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K's Room Odds & Ends

シドニーオリンピック



 四年前にアトランタのオリンピックが終わってしまった時には、しばし寂しい気分になった。その時は本当に、「ああ夏が終わってしまったなあ」などと、僕は一人で浸りまくってっていた。しかし、まあそんな事とは関係なく、今は2000年の8月、なんと来月にはシドニーオリンピックが開幕する。四年の歳月というのはいったい何なんだったんだろうと改めて思う。

 思い起こしてみれば子供の頃、自分は絶対大人にはならないんだと思っていた時期があった。誕生日は確実にやって来ていたのにもかかわらず、自分の年齢は普遍で、大人は初めから大人として生まれてきたものだと考えていた。30歳は30歳として初めからこの世に生を受けていて、自分は、まあ行っても18、9だろうななどと考えていたわけだ。
 今になって思えば、なんて自己中心的な子供であったのかがよく分かり、幼き日の僕が、今流行りの理解しがたい事件などを、よく起こさずにここまで来たものだとほっとするような次第である。
 しかし、そんなわけの分からない事には関係なく、時は無情にそして確実に経過し、もう2000年の9月になるわけだ。

 一部の例外はあるけれど、オリンピック競技にこだわらず、どんな種目であろうと僕はスポーツが大好きだ。一部の例外というのは、巨額な資金が必要とされるカーレースや、競馬、競輪などのギャンブル競技で、サッカーにトトカルチョが採用されるなんて、何たる事だと思っている。まあ、そんな事はどうでもいいのだが、四年に一度の世界大会という場で、並外れた才能を持つ選手達が、自分を精神的にも肉体的にも限界まで追いこんで勝負する究極の戦いは、掛け値なしに本当に見ごたえがある。

 今回僕が個人的に楽しみにしている競技は、女子の水泳に、サッカー、そして、女子マラソンだ。
 水泳の千葉すずが参加できないという出来事には、何たることだ!と、少々憤慨してはいるが、アトランタの時の顔ぶれが再び挑んでいく、女子水泳陣の今回のメンバーにはぜひ雪辱をかけて頑張ってきてもらいたいと思っている。
 それにしても、オリンピックの選考会でA標準を突破して、堂々優勝の記録を出した千葉すずが、本大会に参加できない理由っていったい何なんだろうと思う(本当に怒っているのだ!)。

 前回のアトランタの時、競技前の女子水泳陣の評判はすこぶる高いものだった。今回のシドニーもそうなのだが、下手すれば全員がメダルを取れるとまで、やたら評判ばかりが一人歩きしていた。しかし、蓋を開けてみれば、その「実力なり」の成績で終わったことに対し、マスコミや急遽オリンピック期間水泳に詳しくなった「にわかファン」達の間で、彼女達はまるでA級戦犯のように扱われてしまった。そして、その矢面に立たされた筆頭が、当時の親分格であった千葉すずだったのである。
 この時の出来事も、何かしらの形で今回の選考に根強く影響しているのかなあ、などと僕は思っている。
 アトランタの年の4月、辰巳の国際プールで日本選手権を兼ねた選考会が行なわれた。僕は当時から水泳には興味があり、現場までのこのこ出掛けて生の試合を見に行っている。実際に会場の雰囲気に触れ、彼女達が激しい競争の中、国内のレースを勝ち抜いてきた過程までを見てしまうと、本選で記録が出なかったことで、彼女達を責める気には到底なれないものだ。
 そんなこともあって、当時の急増ファン達の何にも分かっていない言いぐさや、結果ばかりを煽りたてるマスコミの姿には相当憤慨したものである。で、そんな怒りにまかせて書いた文章が、雑誌「ナンバー」417号の読者欄に掲載されているので、興味のある方はぜひ一読して下さい(これは、なにげに自慢です(笑))。

 今回の女子水泳メンバーの中では、アトランタの後強烈に力を付けてきた平泳ぎの田中雅美、そして、背泳ぎの中村真衣と稲田法子に個人的に期待した。田中に関しては、現時点で文句なしの力。そして、中村と、稲田に関しては、強烈なライバル関係から、まだまだ実力が伸びているといえると思う。今度こそやってくれる、僕はそんな気がしてならないのである。

 サッカーも実に楽しみだ。監督問題では紆余曲折様々な確執があったようだが、どうやらトルシエで行くらしい。選手のオーダーには、僕は個人的にはあれこれと言いたい所ではあるが、今絶好調の柳沢のゴールに期待しつつ(本当に生で見ると、彼の動きのキレ、スピードには凄いものがあるのだ)、何試合もゲームが見られるようベスト4くらいまではせめて行ってもらいたいものである。

 女子のマラソンの選考は、あれで良かったのだろうか?
 二年前の世界選手権で、まずまずの記録を出した市橋有里が、なぜか早々に出場が内定してしまった。と、その翌年、すんごい記録がその年の間に三つも出てしまい、高橋尚子と、山口衛里が上二つのタイムを取られて決定し、記録的に市橋より圧倒しているにも関わらず、弘山晴美がそのとばっちりを受けて出場を逃した。これが誰もが見る今回の事の真相のようである。

 こうなるとオリンピックというこのイベント。何も四年に一度などともったい付けなくても良いのではないのかと僕は思う。これだけ世の中のあらゆるスピードが速くなった現代で、極端な話、毎年オリンピックを開催したところで何の問題もないと思うのだが。
 スポーツ選手が活躍できる年齢というのは、そんなに長い期間ではないはず。とすれば、四年に一度などといわず、毎年でもチャンスを与えてあげたいと思うのが、同じスポーツマンの端くれとしての気持ちである。その結果として、会場誘致に付きまとう様々な黒い噂や、選手選考の難しさや、はたまたドーピング問題まで、解決の糸口が見えてくるのではと、僕は思うのである。

 そんなこんなで、何かと話題の多い今回の五輪。女子柔道の柔ちゃんの金メダルはあるのか?男子柔道の篠原は久しく奪われ続けた重量級での金を奪い返せるのか?陸上ハンマー投げの室伏はどこまで世界に食い込めるのか?松坂の投げる野球は (さんまがテレビで、「野球なんか、巨人がそのまま行ったらええんや!」と、言っていたのには爆笑しました)?、陸上男子短距離の伊東は?金沢イボンヌは(ここは、笑うところです)?またまた夜も眠れず、仕事も手に付かない9月がやってくるなあと今から心配な今日この頃である。

 突然ですが、ここで僕は今回のオリンピック女子マラソンの大予想を立てみたい。
 優勝はズバリ、1月の大阪国際で広山晴美を退けた、ルーマニアのリディア・シモン。あのレース展開での、終盤の追いこみで見せた精神力は、ちょっとただ者ではないと思っているからだ。そして、準優勝が日本の高橋。そして、逆境をはねのけての堂々三位入賞が、市橋。皆さんはどうでしょうか?

(00.8.25)

K's Room

東京大田区バドミントンサークル



 

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