小田深山とその周辺のカマアシムシ類


愛媛県上浮穴郡小田町の小田深山とその周辺のカマアシムシ類を調査する機会があった。その結果は次のようであった。

小田町の位置図
小田町の位置

確認された種類

I クシカマアシムシ科 Acerentomidae

1.サイコクカマアシムシ Baculentulus densus
関東以西の本州、四国、九州に分布する。
2.モリカワカマアシムシ Baculentulus morikawai
日本全土に広く分布する普通種で、様々な植生で見いだされる。
3.サイカイカマアシムシ Filientomon lubricum
本州西部、四国、九州から知られている。
4.タカナワカマアシムシ Filientomon takanawanum
北海道、本州、四国、九州の温帯域に広く分布している。
5.ヨシイムシ Nipponentomon nippon
日本全土に広く分布する普通種である。
6.ウエノカマアシムシ Nipponentomon uenoi uenoi
本基亜種は本州西部、四国西部、九州から知られている。
II カマアシムシ科 Eosentomidae
7.カマアシムシ Eosentomon sakura
日本全土に広く分布する普通種である。
8.ウダガワカマアシムシの類似種 Eosentomon cf. udagawai
ウダガワカマアアシムシによく似るが、後肢の爪間体の長さや腹部背板の毛序に違いが認められる。
9.サトカマアシムシ Paranisentomon tuxeni
本州、四国、九州の集落に近い、いわゆる里山で見いだされることが多い。
カマアシムシ相の特徴
 これまで小田町からカマアシムシ類の記録はなく、今回の調査で見いだされた2科5属9種(種名の判明しているのは8種)のカマアシムシ類は全て小田町初記録である。
 これまでの報告(Imadate, 1994, 1995)により、四国からは20種、愛媛県からは15種のカマアシムシ類が記録されている。今回の調査で愛媛県から報告されている種類の半数強が記録されたが、四国に普通に分布するトサカマアシムシ(Baculentulus tosanus)やフタフシカマアシムシ(Kenyentulus japonicus)が見いだされていない。今後の調査により、小田町のカマアシムシ類の種数は増加すると考えられる。  今回得られた種はすべて、四国において普通に見られるものであり、同時に西日本においても採集頻度は高い。(今立、1996)。今回得られた種類は、西日本の暖温帯に広く分布する代表種であった。

文献
Imadate, G., 1994. Contributions towards a Revision of the Proturan Fauna of Japan. (IX) Collecting Data of Acerentomid and Sinentomid Species in the Japanese Island. Bull. Gen. Educ. Tokyo Med. Dent. Univ., (24): 45-70.
Imadate, G., 1995. Ditto. (X) Collecting Data of Eosentomid Species in the Japanese Islands. Ibid., (25): 1-37.
今立源太良、1996. 広島県灰塚ダム周辺地域のカマアシムシ類. 灰塚の自然:261-271.


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