皇居のカマアシムシ類


皇居の調査地のいくつか
クヌギ林 照葉樹
竹林 照葉樹

記録種一覧

  1. Acerentomidae クシカマアシムシ科
    1. Acerentulus sp. ミスジカマアシムシ属の一種
    2. Baculentulus densus サイコクカマアシムシ
    3. Baculentulus morikawai モリカワカマアシムシ
    4. Baculentulus tosanus トサカマアシムシ
    5. Kenyentulus japonicus フタフシカマアシムシ
    6. Kenyentulus sp. フタフシカマアシムシ属の一種
    7. Silvestridia hutan カグヤカマアシムシ
    8. Filientomon takanawanum タカナワカマアシムシ
    9. Yamatentomon yamato ヤマトカマアシムシ
    10. Nipponentomon nippon ヨシイムシ
    11. Nipponentomon uenoi paucisetosum ウエノカマアシムシ(東日本亜種)
  1. Protentomidae ヒメカマアシムシ科
    1. Neocondeellum japonicum
  1. Eosentomidae カマアシムシ科
    1. Eosentomon sakura カマアシムシ
    2. Eosentomon sp. cf. novemchaetum キンリョウカマアシムシ?
    3. Eosenotmon sp.
    4. Pseudanisentomon sp.

 今回の調査で,3科10属16種のカマアシムシ類が得られ,種名の確定できたものでも11種になった.これは,これまでの皇居からの記録(3種)や東京都区内の記録を大きく上回るものである.この相違は,今回の調査では年間を通して多量の土壌試料を処理したことによるものと考えられる.しかしながら,東京都区内での記録のほとんどは各調査地点で1ないし2種が記録されているのみであり,出現する種類も限られている.今回は多量の試料が処理されたとはいえ,他の記録に比して多くの種類が記録されたのは,皇居のカマアシムシ相の豊富さを反映しているものであろう.
 今回得られた種全体を眺めてみると,日本の暖温帯・温帯に広く分布するものであった.それでも,都区内に孤島のように残された緑地に16種ものカマアシムシ類が記録されたことは注目に値し,カマアシムシ類にとって皇居の緑地が重要な生息地であることを示している.
 クシカマアシムシ科の個体数に比べ,カマアシムシ科(合計6個体)は非常に少ない.これは,カマアシムシ科がより安定した湿潤な環境を好むのに対して,クシカマアシムシ科はより乾燥に強い(今立,1991)ことによるのかもしれない.これは,皇居が東京という都市の中に孤島のように残された環境と関連しているのかもしれない.

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