神奈川県のカマアシムシ類

研究史
　カマアシムシ類は1907年にSILVESTRIにより世界で初めて報告された．日本では1938年に吉井良三氏により滋賀県賤ヶ岳より報告されたのが最初である．カマアシムシ類の研究の歴史は古いものではなく，神奈川県に関しても (1964, 1965)で本県産の試料が扱われたりはしたが，まとまった記録はなかった．1974年にImadatéはカマアシムシ類のモノグラフを公刊し，それまでの記録をまとめ神奈川県では9地点から13種を記録した．また，1978年には今立・大場により三浦半島のカマアシムシ類がまとめられ，8地点から14種が報告された．1989年には，コウナンカマアシムシ　Huhentomon plicatunguis haradai が横浜市保土ヶ谷区狩場町英連邦軍墓地の標本を基に記載された(Imadaté, 1989)．本種は，現在までのところ本地点以外からの記録はない．Imadatéは日本のカマアシムシ相をまとめた一連の報告の中で（Imadaté, 1993, 1994；Imadaté & Nakamura, 1989) ，神奈川県の合計49地点から23種を記録した．

目録
　種の配列はSzeptycki (2003) に従った．そのため，分類体系の一部が「日本の仲間たち」と異なっている部分がある．

カマアシムシ科　Eosentomidae

アサヒカマアシムシ　Eosentomon asahi
オオカマアシムシ　Eosentomon asakawaense
クメカマアシムシ　Eosentomon kumei
カマアシムシ　Eosentomon sakura
クロシオカマアシムシ　Eosentomon tokiokai
ウダガワカマアシムシ　Eosentomon udagawai
サトカマアシムシ　Paranisentomon tuxeni

サイイキカマアシムシ科　Hesperentomidae

コウナンカマアシムシ　Huhentomon plicatunguis haradai

クシカマアシムシ科　Acerentomidae

ミスジカマアシムシ　Acerentulus kisonis
サイコクカマアシムシ　Baculentulus densus
モリカワカマアシムシ　Baculentulus morikawai
ムサシカマアシムシ　Baculentulus nipponicus
ミナミカマアシムシ　Baculentulus nitidus
トサカマアシムシ　Baculentulus tosanus
タカナワカマアシムシ　Filientomon takanawanum
ヨシイムシモドキ　Imadateiella yosiiana
フタフシカマアシムシ　Kenyentulus japonicus
ヨシイムシ　Nipponentomon nippon
ウエノカマアシムシ　Nipponentomon uenoi paucisetosum
カグヤカマアシムシ　Silvestridia hutan
コブクシカマアシムシ　Verrucoentomon shirampa
ミヤマカマアシムシ　Yamatentomon fujisanum
ヤマトカマアシムシ　Yamatentomon yamato

神奈川県内での記録地点などの詳細は，「カマアシムシ目 Protura （神奈川県昆虫誌I，2004）」を参照されたい．