キシャヤスデの大発生


発生場所の地図
キシャヤスデ 道路で轢かれたキシャヤスデ
白く見えるのが道路でひかれた
キシャヤスデ
キシャヤスデは8年ごとに大発生するといわれています.大発生の翌年に産卵し,年内に孵化し,毎年1回ずつ脱皮します. 7回脱皮(8年目)して成体となり,再び大発生するのです.大発生した場合には,1平方メートルあたり密度は200匹を超え,時には1000匹 を越えることもあるといわれます.この大発生地として,有名な小海線沿線の他に,中央線・飯田線沿線,奥多摩などが知られています. 埼玉県の大滝村一帯もキシャヤスデの大発生地の一つとして知られています.

1983年10月に群馬県との境にある小鹿野町志賀坂峠で大発生を確認しました.
 ところが,5年後の1988年10月に大滝村でキシャヤスデが大発生したのです.それぞれの地域のものは, 発生年の異なる個体群に属しています.
 大滝村のものは,秩父・多摩・大菩薩地域に含まれ,1949年から1983年の34年間に11回大発生しています. 一方,志賀坂峠のものは中部山岳地域に含まれ,1920年から1984年の64年間に15回の大発生が記録され ています.両群には4年くらいの発生年のずれがあるようです.

1983年と1988年以降,埼玉県内でキシャヤスデの大発生は確認できませんでした.2004年秋,大滝村三峰山でキシャヤスデが発生していると聞き,現地を確認に行きました.大滝村三峰と大血川を結ぶ林道(図の2004年の確認場所の地点)沿いで確認できました .2004年は,1988年の16年後になります.当然といえば当然の発生なのかもしれません.1996年の発生は目撃できませんでしたが,見落としただけなのかもしれません.

一方,昨年(2003年)に大滝村栃本で大発生したとの話を聞きました( 図の黄色の部分).発生したという周辺を調べてみましたが,残念ながら確認はできませんでした.また,1988年には国道140号線沿いに広く見られました(図の水色の部分) .今回はどうかと思い,調べてみましたが,全く姿は見られませんでした.

今回の結果から見ると,隣接地域で発生年の異なる個体群が見られるようです.今後どうなっていくかも興味があるところです.

なお,今回の調査は自動車を繰りながら道路沿いを見たもので,林の中までは入っていません.


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