東京都の都議会は、自動車税の超過不均一課税の実施に係る条例を可決した。
これには、10年を超える車齢の車は環境に良くないので自動車税を割増して代替を促進しようというねらいがあるようだ
しかし私はこの条例で環境が良くなるとは思えない。

炭酸ガス排出量の削減効果への疑問

一般的に古い車よりも新しい車のほうが一定距離走るときの燃料の消費は少ない。
したがって新しい車のほうが炭酸ガスの発生量も少なくなる。
しかし、10年を超えて使用されている車の多くは一定期間の走行距離が少ないが、環境に大きな影響を与えているのは一定期間に走行距離の多い車である。
つまり、10年を超えた車を新しい車に代替させてもあまり炭酸ガスの削減効果はない。
しかも、走行距離が少ない車の代替は、新車を作る為に使われるエネルギーが、走行にかかるエネルギーをこえてしまう可能性もある。
また廃車となった車は、リサイクルされる場合もあるがリサイクルにもエネルギーが必要であり、結果として炭酸ガスを排出する。
また、鉄くずの価格の下落などにより野積される廃車の増加や、リサイクルできない廃棄物による環境の悪化が予想される。
また、近年の不況で工場などから排出される炭酸ガスが減り、日本全体で炭酸ガス排出量が数パーセント減っているといわれているが、代替が増えると日本全体の景気が良くなり結果として炭酸ガスの排出量も増える。
また燃費が悪くても車齢10年に満たない車には効果がない。。



その他の排出物の削減効果への疑問

東京都によると10年を超えた車は触媒の性能が悪くなって窒素酸化物などの排出量が増えるという。
しかし、車検場などにある炭化水素、一酸化炭素の濃度を測る計器では、10年を超えた車での触媒の性能の低下は、まったく感じられない。
10年を超えた車の触媒の性能がどの程度悪くなっているのか数値が発表されていない。
また、10年を超えていなくても走行距離が多い車と比較してどちらが触媒の性能が悪いのかなどの疑問が残る。

ジーゼルエンジンの黒煙については、古い車にDPFを取り付けることで黒煙はほとんど除去できるが、DPF取り付けにはまったく触れていない。
日本自動車研究所でDPF取り付け車を見たが、普通のトラックであれば簡単に取り付けが出来そうなシンプルな構造である。

環境に良い車の評価への疑問

現在の車の排気ガスの規制値は、排気ガス中に含まれるNO,HC,COなどの濃度を基準にしている。
しかし実際に環境に影響するのは、その排出量である。
例えば排出ガス濃度が高い車でも燃料消費率が少なければそれを相殺できているはずだ。
したがって排気量が少なく排気ガスの排出量の少ない車など燃料消費率の良い車に不当に厳しい評価になる。
更に今回の10年を超える車に対する課税は、排気ガス排出量の少ない車を不当に低い評価を与えるものである。

以上の理由でわたしは、自動車税の超過不均一課税の実施に係る条例に反対します。

対案

まずこの対案は条例で出来る範囲を超えてることをお断りしておく。

炭酸ガス排出量に対する課税

燃料に環境目的税を課税する

炭酸ガスの排出量は、ほぼ燃料の消費量に比例すると思われるので燃料1Lに一定の税金をかける。
これにより車齢10年に満たなくても燃費が悪くまた走行距離が多い車の代替を促す事が出きる。
また古くても走行距離が少ない車の無駄な代替を防ぐ。
更に燃料代があがることで省燃費意識が高まる。

その他の有害排出物に対する課税

その他の有害物質に対してもその排出量に比例して課税が理想であるが、車によって排出濃度が違うなど実際には難しいと思われるので一定距離走行時の排出量から車をランク付けし課税する。
例えばある車よりNOX濃度が倍でも一定距離を走ったときの排出量が同じならば同じ評価になる。
ジーゼルエンジンには、DPFの取り付けを義務付ける。

環境目的税とする

増税分はすべて環境目的税としその使途を環境目的に限定する。
これにより、渋滞を解消するような道路の建設をすすめたり、環境に良い車に対する補助金などに充てる。
現在の自動車税や重量税は道路の新設や補修に使われているが、道路にわだちを作って補修が必要な状態に破壊しているのは、ほとんど車両総重量の重いトラックである。
その割にトラックの重量税は安いので、道路使用量の多い車の税負担を重くし不公平感を緩和する。

環境と自動車税について述べている荒川さんのHP

環境と自動車税

私は、自動車税の超過不均一課税の実施に係る条例
(車齢10年を超える車の自動車税を増税する)
に反対します