軽トラックのクラッチオーバーホール

 昭和62年式 スズキ M−DB71T 走行距離4万キロくらい
最近クラッチペダルを踏むとレリーズベアリングからシャーという異音がするようになった。
ベアリングが焼けてしまったのだろうとは思ったが、その状態でも走れるし危険を伴うとも思えなかったので、後で修理することにした。
私の場合「後で」という意味は、半年から1年後或いはそれ以上の期間の後の事を言う。
そうこうしているうちにある日クラッチベダルを踏むと突然踏み応えが無くなり、クラッチが切れなくなった。
そのままではギヤも入らないのでエンジンを止めた状態でギヤを入れ、スターターを回すとエンジン始動と同時に車は動き出したが、下の方からバケツの中でザリガニが暴れているような異音がした。
どうやら単にクラッチワイヤーが切れたのではなく何処か壊れてしまったようである。
早速ミッションを取り外しにかかる。
まず最初にバッテリーの−ターミナルを外し、セルモーターを外す。



その他取り外す必要がある、スピードメーターケーブル、バックランプスイッチ、シフトケーブル、4WDシフトケーブル、アースケーブル、4WDセンサースイッチ、プロペラシャフト、クラッチワイヤー
ケーブル類は、ピンで止まっているのでケーブルを外したあと元の位置に戻した。


プロペラシャフトを抜くとミッションオイルがこぼれてきたが、漏れを止める特殊工具もないので放置する。
シリンダーブロックとミッションを止めるナットを外しミッションを抜き取ると今度はフロント側のプロペラシャフトが抜けてそこからオイルがこぼれてきた。
こんな事なら予めミッションオイルを抜いておけば良かったが、今となっては後の祭りである。
クラッチカバーが見えてきたが何か様子がおかしい。
クラッチカバーをあらわしにしてみるとダイヤフラムがばらばらになっていました。どうやら焼けたレリーズベアリングを押しつけられた為に磨耗してしまったようだ。
レリーズベアリングは焼けて更にレリーズレバーとリテーナを固定するピンが無くなっていた。
リテーナのレバーとの接触面も磨耗していた。
古いベアリングのインナーレースを新しいベアリングのインナーレースにあてベアリングに無理な力がかからないようにしてリテーナを圧入する。本来は油圧プレスを使うが、でかい木槌を使った。
新品のピンを使ってリテーナとレリーズレバーを取り付け。
順序が前後するが、新旧の部品。
クラッチディスクは、クラッチカバーとフライホイールの間に挟まれる形で固定されるが、取り付けるときにセンターを出さないとミッションのトップシャフトが入らなくなる。
センター出しにはメンドラという特殊工具が必要だが、今回は鉄鋼ドリルビットに絶縁テープを巻いてサイズを微調整した物を使った。
工具でディスクを正しい位置に固定した状態でクラッチカバーのボルトを締め付ける。
クラッチディスクのボルトは形と強度の違う2種類があるので正しい位置に。
ミッションを取り付けセルモーターや配線線、ワイヤー類を取り付ける。
プロペラシャフトは、予め合わせマークをつけておき元の位置に取り付ける。
ミッションオイルを入れて終わり。