ユーザー車検レポート

BMW Z3 2.0ATのユーザー車検に挑戦しました。
これまで何度もユーザー車検をしてきた私ですが、輸入車は今回が初めてです。
車検は24ヶ月点検を含みますが、今回は時間がなかったので整備の前に継続検査を受ける「先検査後整備」という方法で点検整備は後で行うことにします。

先ず検査を受けるために最寄りの陸運支局の予約センターの自動応答電話で予約を取ります。
検査当日、車検場へ入る前に車検場の近くにある検査センターで予備検査を行います。
予備検査場では車検場と同じようなテスターでサイドスリップ、ブレーキ、スピードメータ、排ガス、ヘッドライト、その灯火装置の点検調整をしてくれます。
予備検査はやらなくても良いのですが、ヘッドライトの光軸などずれていることが多いのでやっておくと安心です。
ただ、一つ心配だったのはBMW等の欧州車の場合はアライメントが規定範囲であってもサイドスリップが車検基準(イン、アウト5mm)を超えてしまう場合があることでした。
あるネット上のページでは、アライメント調整直後のベンツのサイドスリップをいじられてしまったレポートもあったほどです。
しかもこのお方の場合にはボールナット式ステアリングギヤボックスの遊びを調整したことが原因していると思いこみそのままの状態で乗り続けた上にその後日本で有数の程度の良い車というセールス文句でその車を高価で売却しようとしていました。
ちなみにこのお方はジドウシャヒョウンカと呼ばれる職業にもかかわらず車検関係の他のレポートでも珍論を楽しませてくれます。

それはともかく予備検査に話を戻します。片側だけタイロッドの長さを変えられてしまうことも心配していたのですが、今回は予備検査場の人が「この車の場合には検査官に言えば大丈夫だから」と言って調整することはありませんでした。
後で調べて解ったのですが平成13年から一部の輸入車の場合にはサイドスリップ検査で基準を超えた場合に特例措置がとられるようになっていました。
横すべり量の例外的取扱い車両一覧表
ttp://www.naspa.or.jp/reigai0.htm
一覧表を見ていただければ一部の輸入車と言えないほど数の多さであることが解ると思いますが、特例措置がとられるまではこれらの車は必要もないサイドスリップ調整で正規のアライメントを狂わせないと車検を通過できなかったと言うことです。

さて、ここで何故欧州車はサイドスリップ数値が車検基準値(イン5mm)を超えてしまうか素人なりに考えてみます。
先ずサイドスリップテスターの測定方法ですが、左右のタイヤをそれぞれ左右にスライドする踏み板に乗り入れそこを通過するときに踏み板が外または内側に移動する量から1m走行あたりのタイヤの横滑り量が測定されます。
このとき大きなトーインがついていれば踏み板は外へ押し出され大きなトーアウトであれば内側へ動きます。
次にキャンバーがついている場合にはタイヤはオートバイのように傾いている方に進もうとしますからその反力で踏み板はその反対方向へ移動します。
具体的にはポジティブキャンバーの時は踏み板は内側へ移動してサイドスリップテスターはアウト方向へ針が振れます。
当然逆にネガティブキャンバーの場合には踏み板は外に押し出されサイドスリップテスターの表示をイン方向へ動かすことになります。
またすでに遍摩耗したタイヤの場合には測定値はその影響を受けます。
このようにサイドスリップテスターはトーインとキャンバーの総合の結果を表示する仕組みになっています。
従来普通の国産車の場合にはハンドルを軽くするためや車軸への負担を減らす為にポジティブキャンバーがつけられていて2mm前後のトーインをつけてサイドスリップが0mmとなる設定がされていたものが多かったわけです。
ですから昔の車の場合にはサイドスリップを0mmに調整することにも多少の意味があったわけです。
またこのようなアライメントが設定されている場合には車検時のサイドスリップ基準値も多少の意味はあります。
しかし、今の車は部品の耐久性も上がりハンドルの重さもパワーアシストされるのでポジティブキャンバーをつける意味はあまりなくなってきています。
特に欧州車の場合には高速での旋回性を重視してネガティブキャンバーの車が多いわけですが、ネガティブキャンバーの場合にはトーイン0mmでもサイドスリップがインに振れることになります。
更に2mm位、或いは18′位のトーインがついているのでサイドスリップは5mm〜9mm前後がメーカーの基準値となっているわけです。。
このようにサイドスリップの車検基準値は欧州車の場合には意味がないのはもちろん国産車の場合にもアライメントにおけるサイドスリップは最後に確認に測定される程度であまり重要視されていません。
ですから以前はせっかく正規に調整されたアライメントを車検時に狂わされたこともあったわけで一応今回の特例措置は評価できるものでありますが、そもそもサイドスリップで全てを判断してしまおうという考えが混乱を招いていると思われます。
またいぜんとして平行輸入車の場合には特例措置はとられないなど問題もあり、今後はサイドスリップ検査の廃止も検討してもらいたいものです。

それはともかく無事予備検査を済ませ車検場の敷地へと車を進め整備振興会という建物で必要書類(30円)を買い納税確認、重量税(37800円)、検査手数料(1500円)自賠責保険料(27630円)を支払います。
このときバインダーに書類をはさんでおくと便利です。

次のこの書類を持って陸運事務所へ行きお手本を見ながら書類に必要事項を書き込みます。
そして窓口に書類を出し予約の確認をします。
このとき初めての車検であることを検査官に言うと車検ラインの通し方を教えてくれます。
私はここで先検査であることを検査官に告げると、書類に先検査と書き込まれましたが、その後の検査はまったくいつもと同じものでした。
意味もなく屋根をオープンにして検査ラインに車を列べボンネットを開けて検査官に車体番号などを確認、灯火装置点検後検査ラインに車を入れます。
通常検査ラインは数コースあり検査ラインの測定器械はラインによって多少違う場合がありますが、今回はマルチテスターとよばれる4輪同時にブレーキテストを行えるタイプのラインを選びました。

もちろんサイドスリップも問題なし(もし測定結果が×だったときは検査官にアライメントが基準値であることを言えば大丈夫です)、ヘッドライト、ブレーキ、スピードメーター(ATの場合2レンジ、トラクションコントロールoff40キロでパッシング)をテスト後排ガステスト、次にピットの穴をまたぐように車を止め下回りを検査して検査終了です。
以上、予備検査から車検合格まで1時間くらいかかりました。
初めてユーザー車検をする方は当日でも良いですから車検ラインの下見をお勧めします。

車検に必要なもの
車検証、新しい有効期間を満たす自賠責保険、納税証明書、印鑑、お金
当日書き込む書類(整備振興会に書類あり、陸運事務所に書き方のお手本がある)
自動車検査標、重量税申告書、継続検査申請書
車検整備(24ヶ月点検)を行ったときには点検整備記録簿に内容を書き込みます。