車検整備料金値下げ競争激化の影響

平成7年7月施行の道路運送車両法の一部改正により自動車の検査、点検、整備制度が大幅に簡素化されるなど自動車業界も規制緩和がが進みつつあります。
これにより整備業界に新規参入する業者も増え車検整備料金の低額化、料金の明朗化、サービスの差別化を進める整備事業所が増え、自動車ユーザーの料金やサービスに対する関心が高まりつつあります。
そして更にユーザーの要望にこたえるサービスと料金の低額化を進める事業所が現れるなど、いわゆる資本主義の競争の原理の働きが活発化しています。
これにより我々自動車ユーザーは安く良質の車検サービスを受けることが出来ますが、一般整備料金高騰など憂慮すべき点もあります。

従来の自動車整備工場においての故障修理などの一般整備は、故障個所を見つけるために時間を費やしても不良個所を交換する工賃と部品代だけしか請求しないことが多く、また工賃の基準となる標準作業時間内に部品を交換するには難しいという仕事もあり、利益を上げるのは困難でした。
一方、車検整備に伴う作業は、消耗品の交換がおもである為、作業は容易でしかも点検に伴い複数の部品を交換するなど一般整備に比べ作業効率が良く比較的利益率も高かったのです。
このような理由で故障の修理は儲からなくても整備工場の経営は成り立っていたのです。
しかし、前述の競争激化により車検整備の売上は減少しており、しかも、既に成熟した産業であることを考えると同じサービスを維持しながらコストを削減することも難しく、以前のような利益率は見込めません。
このようなことから、車検整備での利益を見込めなくなった整備事業者が故障などの一般整備の料金を値上げすることが予想されます。
これはコスト面から考えるとむしろ以前より適正な価格になるとも言えます。
やはり、もともと業者による車検整備があまりり行われていなかったアメリカでは、一般の修理料金が高いと言います。
そのためにユーザーは自分で車を修理したりすることも多いのです。
欧米のケミカル品メーカーが多いのもそれらの需要があったと言う理由があります。
我々もその真似が出来れば良いのですが、今まで整備工場まかせにしてきたユーザーには難しいしでしょうし今さら自分で修理やりたいと思う方も少ないでしょう。
結局多くのユーザーは整備工場を利用する事になるのでしょうが、そこで従来ほぼ横並びだった整備料金や修理料金が事業所によって大きい差があることに気がつくはずです。
誰しも無闇にたかい料金は払いたくないもので従来どおり信頼のおける整備工場を利用し続ける方にとっても新規参入業者の価格やサービスの内容は気になるものです。
また、比較的内容がパターンかしている車検整備と違い一般整備の内容や料金が適正であるか理解するのは難しいものです。
例えばタイミングベルト交換一つをとってもそれだけを行う業者と寿命を迎えようとしている他の部品も一緒に交換する業者がいます。
このような場合には単に安い見積もりを出す業者を選んでしまうと後で高くつきます。
また、ある業者は、関連する二つの部品それぞれに取り替え工賃を請求し工賃の二重取りをしようとします。
単に見積もりの総額だけを比べていたのでは業者の良否は判断出来ないことがおわかり頂けると思います。
つまり規制緩和で業者間の競争が促されたのはもちろん消費者も良い業者、自分にあった業者を選ぶために知識が必要になったのです。










法律的には、事業として分解整備(ブレーキの分解やエンジンの脱着など)を行なうには運輸局長の分解整備事業場として認証が必要ですが、ユーザー自身が行なう分解整備に対する規制はありません。
また、車検や法定点検は車の使用者(ユーザー)が行なうように定めてあります。
つまりユーザーが整備や修理を行なうことは法的に全く問題は、ありません。