2000年10月14日 五島プラネタリウム 見学

東京の渋谷にある五島プラネタリウムが、来年(2001年)の3月に閉館となります。東急の文化会館8階にある五島プラネタリウムは、昭和32年(1957年)に開館して以来、生解説で星空案内をしてくれる老舗的なプラネタリウムです。今日は正午から渋谷に用事があったので、サークルの仲間たちと見学に来ました。

ここに来るのは9年ぶりでした。入場券の切符売り場がいつの間にかなくなって、自動券売機になっていました。料金は大人900円、以前来たときが700円でしたから、ほとんど値上がりしていないといっていいでしょう。

入るとすぐ前に、昔ながらの天球儀が置いてあります。プラメタリウムの部屋はその奥にあり、部屋の外側一周の通路には、天文博物館として、いろいろな天文関係の展示物が飾ってあります。昔の天文学者についての説明、日本、中国、西洋の星や星座について、隕石なども展示してあります。星をあまり知らない方でもわかりやすく解説されています。その内容は実際に行って見てくることをお薦めし、今回、撮ってきた写真を、以下にずらっと並べておきます。ちょっとした博物館であることが判ると思います。


五島プラネタリウムの入り口です。
左には券売機があります。
入り口を入るとすぐに、
天球儀が置いてあります。
壁には、昔の天文学者の
説明パネルが貼られています。

中国と日本の星座について。
日本の星について。
西洋の星座について。

隕石も展示されています。
他にもいろいろな展示が。
望遠鏡の模型もあります。

プラネタリウムの部屋にはいると、中央にはツアイスの投影機が設置されており、中心に向かって椅子が並べられています。もし、これから見に行かれる方には、双眼鏡を持っていくことをお薦めします。昔来たときに、5センチの双眼鏡を持って来たら、説明員の方に、「双眼鏡を持ってきても良く見えませんよ。」と、言われてしまいました。でも、説明員の方も知らないほどに、投影機は精巧に作られています。木星の縞、土星の輪、アンドロメダ大星雲やオリオン大星雲も、双眼鏡で拡大して覗いてみると、きちんと表現されています。ドームスクリーンのパネルに無数の穴が開いているのが多少気になってしまいますが、それでも双眼鏡で見てみる価値はあると思います。ここのプラネタリウムでちょっと気になることは、恒星を表現している空間に、一定の間を隔てた先に、天の川のある空間があるように見えます。実際の星空では恒星が空間に広がって、そのまま連続した先に天の川がありますが、投影機という機械仕掛けの星空ではそうなってしまうのでしょう。それでも、最近の物はかなり改善されていますが、ここの投影機は古い物なので、そんな点に注意して、投影された星空を見ると、いっそう楽しむことができます。また、スクリーンの地平線の建物の風景は、実際にこの地点から眺めた風景となっており、東京タワーなどがありますが、実際に建設されていく高層ビルの増加には追いついていないので、良く知っている方なら、その景色の面白さが判ることでしょう。私には、判りませんが。。。

プラネタリウムの部屋の中央には、
昔ながらの投影機があります。
北の方角に解説者が解説を行う
スペースがあります。
プラネタリウムの部屋の外にある
ビデオ観賞用のスペース。

ガリレオの作った屈折望遠鏡
凸レンズと凹レンズを
組み合わせて製作。
グレゴリー式反射望遠鏡
主鏡と副鏡で反射させた光を
主鏡の孔から後方に出す構造。
私の好きな望遠鏡の歴史についての展示物もあります。入り口を入って、通路を左側に進んだすぐ先です。廃館になる前に、しっかり記録に留めておこうと、今回は、きちんと写真を撮ってきました。

まずは望遠鏡の基礎となる、ガリレオ式、ニュートン式、グレゴリー式の望遠鏡があります。そして、ヘベリウスの使った望遠鏡。これでヘベリウスは星雲星団を見つけだし、のちにメシエが感化されて、メシエカタログを作りました。 そのメシエカタログに感化されたのが、ハーシェル親子です。ウィリアム・ハーシェルとジョン・ハーシェルはこんなに大がかりな望遠鏡で、NGCカタログの元となる星雲星団を捜していたんですね。ジョンハーシェルは、南天も調べるために、この48センチ金属鏡をアフリカのケープタウンまで運んでいったのですから凄いことです。そして、ウィルソン山、パロマ山の望遠鏡は有名ですね。パロマ山のこの望遠鏡で撮影された青乾板、赤乾板の写真星図が、系外星雲などのカタログ作りに大いに利用されました。身近なところでは、国立天文台の岡山観測所の望遠鏡模型もあります。すばる望遠鏡が建設されるまでは、長い間、日本最大の地位を持っていた物です。最近では、三鷹の赤外線用望遠鏡やぐんま天文台の望遠鏡などは150センチという口径を有していますが、1960年でこの口径があったのですから凄いものです。さなみに、パロマ山の508センチ鏡は、1948年物ですから、その建設費は、当時の金額で、ハワイのすばる望遠鏡以上だったのでしょう。


ニュートンの発明した反射望遠鏡
放物面反射鏡と45度射鏡を備えた
いわゆるニュートン式のルーツ。
ヘベリウスの作った屈折望遠鏡
単レンズの色収差を防ぐために
45mもの焦点距離があった。
国立天文台 岡山天体物理観測所
188cm反射望遠鏡

すばる望遠鏡以前の日本最大。

ハーシェルの作った
反射望遠鏡

口径48cmの金属鏡で
焦点距離が12mある。
ヤーキス天文台
屈折望遠鏡

色消し対物レンズでは
世界最大の口径102cm。
ヘール天文台ウィルソン山
反射望遠鏡

膨張宇宙の発見に
使用された、口径257cm。
ヘール天文台パロマ山
反射望遠鏡

巨大望遠鏡時代の幕開け
となった口径508cm。

入り口の右側には売店があります。星の本から望遠鏡まで、いろいろな天文グッズが売っています。天文関係の本は、大型書店ほどではありませんが、数多く並べられています。また、売店の向かいにはプリクラのような機械があって、顔写真入りの証明書を作ってくれます。

最後に、簡単な案内をしておきます。
入館料は、大人(高校生以上)900円、小人(4歳以上)500円。休館日は、毎週月曜と火曜。投影開始時間は、平日は午後1:30、3:00、4:30、6:00の4回。土日祝日は、これに午前10:00、12:00が加わります。また、土曜の午後6:00からの投影は、「星と音楽の夕べ」といって、解説を少な目にして、音楽を聴きながらのんびりとプラネタリウムを見る回となっています。

閉館まで、残すところあと半年。もう一回ぐらい、見に行きたいと思っています。


五島プラネタリウム パンフレットと半券のコレクション

初めて、五島プラネタリウムを見に行ったのは、1983年8月。初めてといっても、既に大人になってから行ったのでした。それまでプラネタリウムは、小学生の時に1度だけ、行ったきりでした。その頃、栃木県の宇都宮市に住んでおり、学校の授業として、栃木県庁の裏にある八幡山の児童会館で初めてプラネタリウムを見ました。その後、田舎に転校し、近くにプラネタリウムがなかったので、大人になるまでプラネタリウムの存在を忘れていました。仲間と五島プラネタリウムを見に行ってから、そのあと数年間は、いろいろな所にあるプラネタリウム巡りをしていました。その度ごとに貰ってきたパンフレットは、いつの間にか100枚を越え、素敵なコレクションとなっています。

そこで、五島プラネタリウムのパンフレットと入場券の半券を並べてみることにしました。ここに並べたパンフレットは、すべて見たわけではありません。見に行ったときに、館内に先月の物も置かれているので、一回に2ヶ月分が手に入ります。ですから、2ヶ月続けてある物は、後の月の上映を見に行ったときに、前の月のパンフレットも貰ってきたことになります。

ちなみに、1983年8月に初めて行ったときは、土曜の午後6:00からの「星と音楽の夕べ」に行きました。その月のテーマは「ユーミンの世界」で、その頃流行っていた松任谷由実の曲を聴きながらのプラネタリウム鑑賞でした。

1983年8月
1986年1月
1987年8月
1987年9月

1990年1月
1990年2月
1990年3月
1989年12月

1991年5月
1991年6月
2000年9月
2000年10月

入場券 (大人600円半券)
1986年1月の時の物
入場券 (大人700円半券)
1991年6月の時の物
プラネタリウムの入場券は、映画館の入場券のように薄い紙でできており、入る際に、半分がちぎられます。入場券には薄いインクで投影機が印刷されています。

600円の半券は、1986年1月に行ったときの物です。700円の半券は、1991年6月に行ったときの物です。現在は、自動券売機になってしまい、半券がなくなってしまいました。ちょっと残念ですね。


2000/10/16


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