C14を使いこなすぞ。 (フード製作編)


望遠鏡にはフ−ドが必要です。斜めから入ってくる余計な光を遮ると共に、レンズや鏡が曇ってしまうのを抑える働きがあります。C14のようなシュミット・カセグレンタイプの望遠鏡は、補正板となるガラスが鏡筒の最前部にあると、フードの効果は絶大です。そこで、フードを製作することにしました。
C14と完成したフード (径40cm, 長さ51cm)

望遠鏡のフードは過去に何度も製作しているので、既製品の物より安くて良い物が作れます。そこで、今回の製作過程をアップすることにしました。


設計

F値の明るい望遠鏡だと、フード長を長くしてしまうと視野がけられてしまうので、光学構成と視野の広さを計算してフード長を決めなければなりません。例えば私の所有するε210Cの場合、1/5の望遠鏡断面図を製図し、イメージサークルによる視野角を元に、視野がけられない限界近い長さにフード長を決定しました。しかし、C14の場合、F値が11と暗く、視野が狭いので、おおまかな寸法でも問題ありません。そこで鏡筒径の1倍から1.5倍を目安にすることにしました。鏡筒の先端の径は397mmなので、ざっと500mm程度で、材料から取れるフード長にすることにしました。(F値が明るく視野角の広い望遠鏡をお持ちの方はきちんと図面を描いてフード長を決めて下さい。)

フードは、鏡筒の蓋のようにピッタリフィットして、強風が吹いてもずれたり外れたりしないよう鏡筒先端にしっかりはまる物を作ります。鏡筒先端の勘合部はできるだけ多く取り、フード内側に勘合部境界外で内径がわずかに小さくなるよう段を付けておけば、鏡筒にフードをはめ込むときに、フード内部の段差の所までしっかりはめ込むことで、フードが斜めになることもなく、強風にも耐えられます。C14を実測したところ、勘合部は55mm取れそうです。

またフードの内径は397mmとなるので、フードの周長は約1247mmとなります。


材料

必要な材料は、フードとなるポリプロピレンシートとポリプロピレン用両面テープ、そしてフード内部に貼る植毛紙の3点です。

ポリプロピレンは、アクリルや塩ビと異なり、弾力があり割れたりしません。望遠鏡フードにはもってこいの材料です。しかし、接着剤と相性が悪く、ポリプロピレン専用の両面テープが必要となります。植毛紙は裏面にシール付きの物を選び、フード内の散乱光を防ぐために貼ります。

詳細な材料は以下の通りで、ホームセンターで簡単に入手できます。費用も約5000円で済み、余った材料は別の物への流用、例えばファインダ用のフード製作に使えます。

材料
商品名とメーカ
寸法など
費用
合計
ポリプロピレンシート アクリルサンデー(株)製
P.Pクラフトシート 黒
565×980mm,
板厚0.75mm
単価860円, 3枚購入
2,580円 5,260円
ポリプロピレン用
両面テープ
日東電工(株)製
超強力両面テープ No.5015
ポリエチレン・ポリプロピレン用
幅20mm, 長さ20m,
厚さ0.13mm
単価480円, 1巻購入
480円
植毛紙
(裏面シール付き)
光建産業(株)製
サニーシート 植毛黒
幅46cm
長さ10cm当たり110円,
2m購入
2,200円

ポリプロピレンのシート
ポリプロピレン用両面テープ
植毛紙(裏面シール付き)


製作

ポリプロピレンシートの大きさが565×980mmなので、565mmの方をフード長にします。ただし、勘合部を55mmとするので、実際のフード長は510mmです。フードの周長は約1247mmなので1枚のポリプロピレンシートでは足りず、付け足すことにします。付け足し部のシートは貼りしろを約200mm程取ることにします。また、付け足し部をフード面の外側に貼ると、鏡筒との勘合部にはシート1枚分の段差ができてしまうので、付け足し部の鏡筒勘合部分に段差が無くなるようにシートを張り付けることにします。

1枚のシートを、フードの付け足し部、付け足し部の鏡筒勘合部分、勘合部境界用段差部などにカットします。ポリプロピレンシートは柔らかいので、大きめのハサミを使えば簡単に切ることができます(製作過程1)。 フードの付け足し部に両面テープを貼ります(製作過程2)。 そして、もう1枚のシートに貼り付けます。また鏡筒勘合部分にもシートを貼り付けます(製作過程3)。

製作過程1
ポリプロピレンシートを
1枚分カットしたところ。
製作過程2
フードの付け足し部に
両面テープを貼ります。
製作過程3
フードになる部分を
付け足したところ。

フード径を決めるのには、実際に鏡筒先端に巻き付けて決めることにします(製作過程4)。 ぐるっと一周巻き付けたところで両面テープで貼ってしまえば、ピッタリしたフードができあがります。次に真っ直ぐに鏡筒と勘合するように、フード内部の勘合部境界に段を付けます。勘合部分の55mmを残して、両面テープを貼ります(製作過程5)。 そして、幅50mm程に切ったポリプロピレンシートの帯を内部に貼り付け、段を作ります(製作過程6)。 フードを鏡筒にはめるときに、この段差の所までしっかり挿入すれば、フードは真っ直ぐにしっかりと付けられます。

製作過程4
C14鏡筒にシートを巻き付けて
フードのサイズを調整します。
製作過程5
内側に段を付けるシートを
張るための両面テープ。
製作過程6
内側にシートを貼って
段を付けたところ。

フードの鏡筒側は、内側にシートの帯を貼っているので強度があります。しかし、先端部はこのままではフニャフニャしてしまいます。そこで、フード先端の外側に幅50mm程に切ったポリプロピレンシートの帯を貼り付けることにします(製作過程7, 8)。 これでフード先端の強度もバッチリです。最後にフード内部全体に余すところなく植毛紙を貼って完成となります(製作過程9)。

製作過程7
フード先端補強用のシートに
両面テープを貼ったところ。
製作過程8
フードの先の部分に
補強用シートを貼ります。
製作過程9
フード内部全面に植毛紙を
貼って完成しました。


仕上がり

仕上がり具合はいかがでしょうか。下の写真は、左がフードのない状態、右がフードを付けたときです。フード長は材料の関係から51cmとなりましたが、できれば1mぐらい欲しいところです。でも、あまり長すぎると望遠鏡を覗いたときのコントラストは向上しますが、強風時の写真撮影では、フードが風にあおられて振動となり、像が揺れてしまいます。ST4等のオートガイダではエラーが頻発してしまうので、この程度の長さに留めておくのが良いところでしょう。

フードの無い状態のC14開口部
フードを取り付けたC14開口部


2000/05/10


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