1999年6月26日 JTBショー'99 見学 (東京都立産業貿易センター)



梅雨で星見もできないこの時期、今年も、Japan Telescopes and Binoculars Show (日本 望遠鏡・双眼鏡ショー)、略してJTBショーが、東京都立産業貿易センター3階で行われました。入場は無料で、抽選会では双眼鏡天文グッズが当たるので、私も数年ぶりに行ってみることにしました。

浜松町駅の北口を出て東に歩いてすぐ、計量検定所の隣に産業貿易センターがあります。ここでは、JTBショーの他にも、東京都発明展などの催しがあるので、何度か行ったことがあります。今日は、私の所属する山と星の同人「アルプ」の例会を、JTBショー見学のあとに行うとのことで、楽しみにしていったのですが、12時から14時までみんなで見学したあとに例会を行うものと思っていたら、12時から14時までが例会の時間だったようで、もう既に、仲間は別の場所に移動してしまったあとでした。もっとも別用で、私の所属する埼玉県庁天文同好会の会報を、同会員の西崎君に13時に現地に待ち合わせで手渡す予定だったので、そちらの方は予定通りでした。

早速会場にはいると、多くのメーカのブースに望遠鏡双眼鏡が並べられていました。JTBショーといえば、天文マニアのための展示会だと前々から思っていたのですが、望遠鏡双眼鏡を使う人達って、天文屋ばかりじゃないんですよね。なーんて、ここで話を止めてしまうと、これを読んでる人は、「公園の覗きにも使えるから、覗きマニアの人達だろう」って思ってませんか。違います、違います。そういう人達は、ほんの一握り。それよりも、天文を趣味に持つ人と同じくらい、あるいはそれ以上の人口なのかな、望遠鏡双眼鏡を愛用する人達がちゃんといます。バードウォッチングです。ほら、大晦日の紅白歌合戦で、日本野鳥協会の人達が双眼鏡を持って、一般審査員をカチャカチャと数えているじゃないですか。ですから、この展示会は、多くの天文マニアと多くの野鳥マニア、そして少数ではありますが一般人になりすました覗きマニアの人達が一同集まった催しなのです。それでは、早速、会場のレポートを。といっても正規のレポートは、天文ガイド月刊天文スカイウォッチャーがこのショーを協賛してますので、そちらの誌面をお読みください。私は、私の興味の範囲で、主観的なレポートをしましょう。

ブースをぐるっと廻ると、望遠鏡メーカの出展の他にもいろいろありました。星の手帳のブースには、天文書天文ソフトが並んでました。目玉商品は、月刊天文8月号。毎月1日発売なので、本来7月1日にならないと手に入らないのですが、今日は特別。刷り上がったばかりの月刊天文が山のようにありました。私も買いたいところですが、天文3誌は、本屋で定期購読しており、毎月3誌揃ったらTELをもらって買いに行くことになっているのです。なにしろ、月初めに長期出張や帰りの遅い日が続くと、いつの間にか売り切れていて、残っている本屋を捜すのが大変なので、もう10年近く定期購読しているのです。でもこんな時は、定期購読が裏目に出てしまいます。まあ、数日我慢すればいいだけなんですが。。。あれあれ、星の手帳のブースなのに、アストロアーツ○○さんが、売り子をしているではないか。あえて名前は出しませんが。。。「今日はちょっとお手伝い」とのこと、ところが次の一言で「昔より太ったんじゃないの」と先制攻撃されてしまいました。うっ、私は学生の頃から、全然体重はほとんど変わってないぞ。それより「○○さんもずいぶん太ったんじゃ」とお返しを。なんだ、太ったのを聞いてもらいたかったんだ。そのあと、ステラナビゲータステラプレーヤーの話になって、「ソフトを公開したら、動かないというメールを一杯もらっちゃいましたよ」と私が問いかけると、IE5にまだまだたくさんバグがあるらしく、対応が大変なことを聞きました。

ボーグのブースでは、昨年末に発売された125mmF2.8EDが置いてありましたが、この前、コブティック星座館に行ったときにすでに現物を見ちゃたし、登録すればボーグは定期的にカタログを送ってくれるし、前をさぁっと流しました。そういえば、コブティックの店長の水村さんも、JTBショーに来てました。情報収集という理由で、お店を抜け出して来たらしい。でも本当は、同じ業界の仲間がたくさん集まるから、みんなに会いに来たんでしょう。

望遠鏡の他にも、ドームを展示しているブースもありました。自分の観測所を持って、ドームの中に望遠鏡を設置するのがアマチュア天文家の大きな夢のひとつですが、よくまあ、この会場にドームを持ち込んだなぁと、感心してしまいました。


今年も多くの望遠鏡が
並べられました。
星の手帳のブースでは
天文関係の書籍が売られていました。
望遠鏡のドームまで
展示してありました。

スカイパトロールに
超小型極軸望遠鏡が。

おっと、ここは高橋製作所のブース。ということは、、、やっばり、太田さんがいた。毎度のことながら、どうしても太田さんには、負かされてしまう。あるイベントでは、ヘビーなEM500の組立を手伝わされ、またある時は、観望会を見に行ったはずが、係員にさせられ望遠鏡の番をしたり。それはそれでいつも楽しいのだが、今日も「説明員代わりにやってくれない」と胸のバッジを付けられそうになったので、するりと抜けて、別の人の所に逃げました。

ブースには、発売されて日の浅いスカイパトロールがありました。こういう小さな赤道儀は、日食があると流行るんですよね。今まで日食専用に発売されたものでは、例えば10年ほど前には高橋から、スペースボーイを改良したスペースガイドが、5年ほど前にはビクセンからGP赤道儀を改良したGPガイドパックが、といった具合に既製品を軽量化したものだったけど、これは全くの新規品です。スカイメモに比べて断然小さいし、荷物にならないのが嬉しい。もう既に今年の日食に行く先輩が購入してるし、私も日食に行く予定だったら、多分買ってるでしょう。なにしろ、10数年前に初めて行ったときは、EM10FC76を担いでいったので、へろへろになってしまい、次には、FC76300mmEDレンズ+テレコンに換え、その次は、EM10GPガイドパックに換えと、行くたびに軽量化費が掛かっていたものなぁ。

よくみると、スカイパトロール超小型極軸望遠鏡が付けられていました。「チッチャな!!極軸望遠鏡(専用)です ¥9800-」と張り紙がしてあります。天文ガイドスターベースの広告で「ポーラーファインダー開発中!」とあったのは、このことだったのです。それでは、どんな極軸望遠鏡なのかと、早速、望遠鏡内のパターンを無理矢理デジカメコリメートにして撮ってきました。背景にたくさんある黒い点は、望遠鏡内のゴミではありません、会場の天井が見えているものです。パターンは単純な三重円です。中心の小さな円が極の中心。大きな円2つのうち、内側の実線の円が真の北極から北極星までの離隔を半径にしたもの、外側の波線の円は多分南天用で、真の南極からおそらく八分儀座σ星あたりになってるのでしょうか。至ってシンプルなパターンで、北極星が円弧上のどの位置になるかは、北斗七星カシオペアを見比べて、大まかに合わせるのでしょう。でも、標準レンズでのガイド撮影や、望遠でも日食等の高速シャッタに使うのであれば、これで充分。強いていえば相反するのですが、倍率がもうちょっと大きくて、筒の長さがもう少し短ければ最高です。でも、スカイパトロールとその極望のここまでシンプルにしてしまったアイデアに敬服すべきでしょう。
極軸望遠鏡の
パターン

ブースの中央には、BRC-250が飾ってありました。さすが太くて短い筒です。発売してからもう既に25,6台売れてるそうで、百万円クラスの望遠鏡としてはヒット商品のようです。私も持ってるε-210Cを手放してまでBRC-250を購入した人もいるそうで、画角の広さに魅力があるようです。これがF3ぐらいの明るさだったら私も欲しいところですが、イプシロンの明るさに慣れてしまうと長時間露出は面倒で、私ならむしろε-300が欲しいです。画角といえば、私のε-210Cは普通のカメラで撮ると35mmフィルムの端がけられてしまいます。カメラマウントの径が小さいためだろうと思っていましたが、聞いてみると、イメージサークルは35mmフィルムをカバーするものの周辺減光がかなりあるそうです。その点、BRCはF値が暗いので周辺減光も少なく、中版以上でも使えるそうです。ところで、ε-300がもう少し軽ければ欲しいところなので、カーボン鏡筒が出来ないのか、聞いてみました。すると、カーボン鏡筒の型のサイズが2種類しかないそうで、残念ながら無理だそうです。ε-250Cは結構出ているがもうほとんど無いそうで、新設計の250が既に出来上がっているとのこと。発売するかどうかは未定だか、なんでも補正レンズを現行の4枚から2枚に換えたそうです。そういえば、コントラストが悪いので、私は筒の内側に植毛紙を張ってしまった話をすると、昔の散乱防止塗装はあまり良くなく、今は塗装の粒子をつぶつぶにして、かなり性能アップしているそうです。これが現在の塗装ですと、BRCの内側を指したので見てみると、かなりざらざらで、色も黒くなっていました。植毛紙にはかなわないようですが、植毛紙は湿気を吸ってしまうので、きちんと管理しないとかびが生えてしまいますよと、いわれてしまいました。ちなみに、オーバーホールに出せば、新しい塗装を施してもらえるそうで、無理を言えば、持ち込みの植毛紙も綺麗に張ってくれるそうです。

ニコンの新しい
ED400mmF2.8レンズ
余談ですが、JTBショーから帰るときに高橋のブースに行って太田さんに「またイベントでお会いしましょう」と挨拶をしたら、「それより望遠鏡を買ってくれ」と言われてしまいました。やっぱり太田さんにはかなわない。。。

ニコンのブースでは、昨年新発売となったED400mmF2.8のレンズがF100ボディに付けられて飾ってありました。ひとめ見て短い。さわってみて軽い。昔のがっしりした感じはなく、手持ちでも撮れるぞといった感じです。実際にも、オートフォーカスなのでピントを回す必要もなく、手持ちで充分撮れるようにしたのでしょう。価格さえ安ければ言うこと無しのレンズですね。ちなみにF100ボディの方は、私はほとんど興味なし。

ケンコーのブースでは、アイピースが大安売りしていました。在庫処分だそうで、400円、500円といった値段でした。他にもサングラスムーングラスが200円だったり、大きな虫眼鏡が500円、双眼鏡キャップが50円から100円と、どれを取ってもお買い得品です。私もこの値段なら何にでも使えると思い、アイピースを見繕って買うことにしました。24.5mm径Or.4mmOr.6mm、共に400円也。アメリカンサイズOr.6mmK25mm、共に500円也。JTBショーの帰りに西崎君と喫茶店により、品評会となりました。見た目はまあまあ、Orはどれもアイポイントが近くてちょっと見づらそう、でも値段を考えれば、昔、ミザールから出ていたベークライト製ハイゲンスFシリーズに比べ、月とすっぽんです。ちなみにFシリーズは、20数年前の当時800円から1200円の安さだったので、分解してしぼり環の所に接着剤を延ばして糸状にしたものを張り付けて、明視野照明でのガイドアイピースに使ってました。

アイピースが大安売り。
買ったアイピースを並べて。
今年も抽選会が。


会場が慌ただしくなってきました。そうです、毎年好例の双眼鏡天文グッズが当たる抽選会が始まるのです。私も抽選券をもらってきました。初めのうちは当たりがシール。そのうちアイピースになると、「望遠鏡を持ってない方は使えませんから言ってください」というコメントに爆笑。抽選会が進むにつれて、賞品が双眼鏡へと高価なものに変わっていきました。当たりの者が出るたびに拍手がわきます。私もどきどきしながら抽選番号を読み上げられるのを待っていたのですが、残念ながら私の番号は永久欠番でした。

そんなこんなで、久しぶりのJTBショーに満足して会場をあとにしました。もちろん最後に、しっかりと受付で記念撮影してきました。右の写真です。

以上が、私の独断と偏見によるJTBショー見学のレポートです。総括して、新製品を見るのも楽しいですが、会場で多くの星仲間の知り合いに会えたことが良かったです。


1999/06/29


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