1999年6月12日 合同観望会 (埼玉県大滝村栃本広場)


6月12日、私の所属する埼玉県庁天文同好会と、昔から交流のある飯能天文同好会とで。埼玉県の秩父湖北側にあたる栃本広場合同観望会を行いました。きっかけは、飯能天文同好会ホームページの中にある掲示板でやりとりをしているうちに交流観望会の話が進み、私の会の方での春の観望会行事を、飯天さんの月例観望会に場所と日にちを合わせる形になりました。本当は5月に行うはずだったのですが、雨で流れて一月遅れの6月となりました。
栃本広場にある案内図

栃本広場は、埼玉県大滝村栃本地区にある国立公園内の広場です。秩父湖の二瀬ダムのトンネルをくぐり秩父湖北側の民家がある道路沿いの途中から栃本尾根の方に上っていくとあります。飯天さんは、ここを月例観望会の場所としており、いわば飯天のホームグラウンドです。

栃本広場には、大きな舗装された駐車場があり、ここを起点にいろいろなハイキングコースが造られているようです。国立公園内でよく整備されているので、木陰の中に、水道の通った公衆トイレの建物もきちんとあります。また、近くの湧き水から引いている水飲み場もあり、おいしい水なので、遠くからポリタンクを持参して汲みに来る人もいるそうです。

周りが木に囲まれているので低空はやや厳しく、場所によっては北極星のちょっと上まで木が茂っているので、極軸望遠鏡できっちり極軸を合わせたいときには、北極星の見えそうな位置に赤道儀を設置しなければなりませんが、なにぶん場所そのものがある程度広いので、好きなところに望遠鏡を組み立てられます。南の下が秩父湖になるので、下の方がガスってしまうこともあるそうですが、湖畔と比べてしまえば、ここは山の尾根近くなので、かなり良いようです。また、東から南の低空は、秩父市街地や都心の明かりで、やや悪くなりますが、都心から短時間で来られる位置にあるのですから、距離や時間のパフォーマンスから考えれば妥当な空と言えるでしょう。

ここにはハイキングコースが
たくさんあります。
木陰の中に公衆トイレもあります。 湧き水からひいた水道、
とってもおいしい水です。

真ん中に望遠鏡が並べられました。
周りはすべて我々の車です。
私は先月実家に望遠鏡を置いてきたので、前の晩、仕事が終わったあとに帰省し、当日は、実家のある栃木から群馬廻りでやってきました。現地に到着したのが、20時頃でしょうか。もう既に、20人ほど集まっており、私の会からは私を含めて4人の参加でした。私の会は年間計画で観望会の日程が決まっているので、延期前の日程では10名以上は参加する予定でしたが、延期で日どりが変わったので、多くの者が予定がつかなかったようです。飯天の井上さん市川さんなど、久しぶりにお会いする懐かしい顔ぶれも揃っていました。

もう、何台もの望遠鏡が組み立てられモータドライブも動いており、いつでも覗ける状態になっていました。空の状態はあまり良くなく、望遠鏡で惑星を見ている者、仲間と輪になって話をしている者、もうすでにお酒を飲んでいる者と、バラバラでした。私は、観望の方は誰かの望遠鏡を覗かせてもらうことにし、自分では直焦点撮影をしたかったので、舗装された駐車場の奥にある砂利地に望遠鏡を組み立てることにしました。

望遠鏡を組み立てているうちに、市川さんの鍋が出来上がったというお声がかかり、駐車場入り口付近の椅子で囲まれた雑談所に行きました。飯天の市川さんは、観望会には必ず鍋を準備してくるそうで、各自、具一品持参の連絡も観望会前にまわってきていました。ジャガイモ、ニンジンはもとより、先月に中止したときに作って冷凍にしておいたという肉団子、他にも、魚の切り身、骨付きの鶏肉、ウィンナー、それにエビまでもが入っている、超豪華な鍋でした。みんなが鍋を囲んで、食べながらの星の話、パソコンの話などの雑談が盛り上がりました。もちろん私も、持参したビールの500ml缶をいつの間にか3本、4本と空けていきました。

飯天、横尾さんの50cmドブソニアン
左には某星座館の店長
観望している端の方で、
私も直焦点撮影。
更に外れに、仮眠用のテントが並ぶ。

途中で、飯天のメンバーの中のお豆腐屋さん (ごめんなさい、名前を忘れてしまいました) がやってきて、おぼろ豆富という、味が濃厚で自然な甘みのあるおいしい豆腐をいただきました。こんなおいしい豆腐を食べたのは初めてです。字のごとく豆腐ではなく豆富だということがわかりました。

50cmドブソニアンに、デジカメを自作で取り付けて撮影。
お腹も一杯になり、酔いもまわり、星も出てきたので、私も写真を撮り始めることにしました。いつも通りの直焦点撮影なので露出時間が短く、雑談の輪を抜け出しては、写真を撮りに行き、戻ってきては話に加わりました。夜半過ぎには空の状態も良くなり、飯天の水村さんも仕事を終えて到着し、本格的な観望会となりました。飯天のメンバーの機材は凄く、シュミカセFS128が何台も並び、スカイセンサ2000も数台ありました。ドブソニアンもいくつも並び、中でも横尾さんのは口径50cmの特大ドブソニアンです。明け方に昇ってきた木星の姿をいろいろな望遠鏡で見せていただいたときには、感動ものでした。そうそう、横尾さん50cmドブソニアンデジカメが取り付けられるようなマウントを自作していました。デジカメを取り付けた状態を撮りたいけど撮れないので、撮っておいてと言われたので、右にアップしておきます。惑星の明るさであれば、取り付けたデジカメのモニターにはっきり写り、50cmの威力を感じました。

薄明が始まっても観望は終わらず、空が明るくなる4時頃まで木星を見ていました。次第に星も見えなくなり、雲もどんどん湧いてきたので、みんなはテントに引きこもり、私もそろそろ寝ることにしました。飯天の水村さんは、今日は午後から都内で日食説明会を開くので、と帰っていきましたが、本当にタフでビックリです。

暑さで目が覚めると、時刻はまだ7時半。ところがみんな、暑くて起きてしまったようで、もう既に鍋の元で、輪になって雑談が始まっていました。市川さんは鍋の仕込みをしています。なにやらいい匂いがしてきます。昨晩の鍋に、カレーとうどんのゆで麺が入って、具沢山の超豪華カレーうどんが出来上がりました。朝から美味し過ぎで、私は山盛りでおかわりしてしまいました。

輪になって朝食をとりながら、
昨晩の雑談の続きが始まる。
市川さんの鍋は、翌朝も健在。
中身は、カレーうどんに変化していました。

さあこれで、観望会も終わりかと思いきや、実はまだまだ続くのでした。昼間の星を見ようということで、みんなで星を探し出しました。ここで威力を発揮するのが、スカイセンサー2000です。入れたい星にセットすると、望遠鏡は自動でその方向に動きだし、アイピースを覗いて明るい青空の視野中に、星が見えているかどうか、確認するだけなのです。早速、何台かの望遠鏡に木星が入れられました。青いバックの中に、消えてしまいそうな白い木星が奇妙に浮かんでいます。昼間の木星です。別の望遠鏡でも、見せてもらいました。今度はバックの色が先ほどより青っぽく、白い木星がぽっかりと揺らいでいます。天気の良いときには、も見えることがあるそうです。私が以前昼間の星を見たのは、もう10年以上も前のこと。学生の頃、大学の望遠鏡でエンコーダを使って入れたとき以来かも知れません。当時、エンコーダが付いてるから昼間でも星が入れられ、個人の望遠鏡で入れるのは至難の業だと思っていましたが、スカイセンサー2000のような自動導入装置が、個人で持てるようになってからは、昼間でも気軽に星が見られるようになったのだと、つくづく感じました。私も、スカイセンサー2000が欲しくなってしまいました。

中央のワゴンは、いろいろな物が
詰まっている不思議な車です。
さあ、これで片づけに入ります。ところがところが、これからも長い。
みんながテントをたたんでいる時に、飯天の女の子の一人 (ごめんなさい、名前忘れちゃいました) が不思議なテントを持ち出してきました。誰かから貰ったそうですが、一人で作ったことがないのでテントの作り方講習会が始まりました。まずは作り方を教えるのには一度作ってみなければと、教えようとしている者が組み立てようとしたのですが、なぜか不思議なテントで作り方がさっぱりわからない。みんなが集まり、ああだこうだしているうちに、やっとで疑問が解けました。自立型テントではなく、ロープで四方に引っ張って建てるタイプのもので、作り方が難しいのでタダでくれたのだ、という結論になったのでした。

一方で、望遠鏡を持ってきた人たちは、ほぼ片づけが終わっていました。ところが、まだ分解モードに入っていない方が一人。確かにこれは分解するのが大変です。高さが2m以上、重量100kg以上の大物、50cmドブソニアン、ちょっと気合いを入れないと分解する気になれないのはもっともです。どうやって車に入れるのだろうと、眺めていると、ポールを外し、鏡を外し、ワゴンの運転席から後ろすべてが、望遠鏡の入るスペースなのです。上手に入るものだなぁと感心していると、車をワゴンに買い換える前は普通車に積んで、家族も一緒に載せていたというのですから凄い。どうやって載せていたのが、想像ができません。スカイマックスを普通車で持ち運んでいる人を見たことがありますが、体積からいうとスカイマックス程度では済まないのですから。。。

さあこれで、みんな片づけが終わったのかなと、思いきや、まだ一人片づけをしている方がいます。1ナンバーの大きなワゴン車に、凄い量の荷物が乗っています。荷物のほとんどがキャンプ用品。大きなテントから、冷蔵庫まで、どこに出かけても不自由しないすべてのものが載せられており、ドラエモンのポケット状態です。積載量が1トンだそうで、荷物が地層になって一番下の方には何が載っているのか本人もわからないということですから凄い。重いと燃費も悪くなるし、使わない荷物は物置にでも入れておいた方が良いんじゃないですか、と尋ねると、物置も同じような荷物で既に一杯になっているとのこと。車を物置代わりにしている人は結構いますが、ここまで多くの荷物を載せて、しかも積んだままでどこにでも出かけていってしまう人は、そう滅多にいないと思いました。多分、飯天の方は、いつも見慣れているので不思議に思わないのかも知れませんが、私にとってはびっくり状態です。

そんなこんなで観望会も終わり、11時頃解散、帰路につきました。感動あり、ビックリあり、摩訶不思議ありの、楽しいひとときでした。最後に、飯能天文同好会の皆さん、どうもありがとうございました。今後とも、よろしくお願いします。


1999/06/19


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