月刊天文1999年3月号の「同好会の広場」に掲載される。

記事 「月刊天文」という天文関係の雑誌があります。この雑誌の中に同好会誌の紹介コーナーとして、「同好会の広場」というものがあります。この「同好会の広場」に私が所属している同好会の会報が紹介され、私の文章が掲載されました。掲載されたのは、月刊天文1999年3月号の100,101ページです。
私はいくつかのサークルに所属していますが、その一つに埼玉県庁天文同好会(通称:SPGAS)という県の職員を中心として集まっている社会人サークルがあります。私は県の職員ではありませんが、創立時に学生だった私は先輩に誘われ入会し、現在に至っています。この会の会報は何種類かありますが、その内の定期会報である「まがたま」の41号に投稿した「星空の下で語り合いたい素朴な疑問」が掲載されました。
また月刊天文の編集部から次のようなコメントをいただきました。
仲江川さんの「星空の下で語り合いたい素朴な疑問」から前半部分の「その1」を転載させていただきました。ちなみに、手元にある「朝日新聞」では、「あすの暦」として翌日の「日出・日入」「月出・月入」が出ています。
月刊天文を購読している方は、前半の全文を読むことができますが、せっかくの機会ですのですので、前半のみならず後半も以下に全文を掲載いたします。


「星空で語り合いたい素朴な疑問 その1」

1.どうして星座名は仮名遣いなんだろう?
獅子座、双子座、乙女座、天秤座、、、うーん、なんとなく、星占いの世界みたい。しし座、ふたご座、おとめ座、てんびん座、、、そうそう、天文学っぽい。でも、どうして仮名で書いた方が、学問っぽいの。普通、逆じゃない。
月刊天文
2.「ベルセ群」って、省略し過ぎ?
毎年夏の一大イベント。お盆の時期は、これを見ておかなくっちゃ。でも、星仲間以外には、まったく通用しない言葉。
「ベルセ流星群っていって、ベルセを中心に流星がいっぱい流れるんだよ。」
「なんだそうか。ところで、ベルセってなに。」
うーん、ベルセも省略形だった。「ペルセウス座流星群」を、いつから自分は「ベルセ群」ですべて通用すると思っている人間になってしまったんだろう。

3.「筒」と「玉」。
「同じ値段だったら筒のでかいやつがいいよね」
「でも、気流の影響も少ないし、玉も良いものはシャープだし」
知らない人が聞いたら、ピストルとかライフルの話に聞こえるらしい。まさか、反射望遠鏡と屈折望遠鏡の話なんてわからないものなあ。えっ、本当にライフルの話をしてたって!

4.新聞の日の出、日の入りと月の出、月の入り。
新聞に載っている日の出、日の入りは当日の時刻なのに、なんで月の出、月の入りは明日のなんだろう。もっとも、明日のを載せてもらった方が前もってわかるから便利なのか。それじゃ、日の出、日の入りは、家に配達される新聞、夏場は下手すりゃ、日が出た後に届くぞ。まあ、太陽は月ほど毎日出入りの時刻が変わらないからいいけど。うーん、何となく変。

5.ニュートン式鏡って、どうしてみんな右用なの。
私の利き目は左。ニュートン式望遠鏡のファインダーを覗くとき、ほっぺたが筒について、冬なんかはいつも冷たい思いをしている。外国では、右利き左利きが半々ぐらいいるのに、日本人は子供の頃に、親に右利きに直され、左利きはいたって少ない。でも、利き目を直す親はいないから、左目が利き目の人も結構いるんだよね。赤道儀の微動ハンドルは右にも左にも取り付けられるようになっているんだから、ファインダーだって、左目用に簡単に付け替えられるようになってもいいんじゃない。


「星空で語り合いたい素朴な疑問 その2」

まがたま 6.星が趣味、それじゃ星を発見するんだ。
「私は星を見るのが趣味なんです。」と言うと、星の世界を知らないたいていの人は、
「それじゃ星を発見するんだ。」と返してくる。
「ところで、あなたの趣味はなんですか。」
「ゴルフなんですよ。」
「それじゃ、ホールインワンするんだ。」
「えっ、君知らないの、ホールインワンなんて、一生の間、何度もできないんだよ。」
うーん、多分、星を発見するより、ホールインワンする方が簡単なんじゃないの。。。

7.携帯電話って、かえって不便。
「携帯電話買ったから、現地に着いて晴れてたら電話するよ。」
現地に到着、満天の星空。よーし、電話してあげよう。ピッ、ピッ、ピッ。あれ、電話が通じないぞ、圏外だ。彼は電話を待ち続けているのだろうか。。。

8.星図のページが逆。
星空の下で星図を見ていて、ふと気がついた。星図上の右に外れたものをページをめくって確認しようとすると、次のページには、前ページの左端の続きが。ウラノメトリアもスカイアトラス2000も、星図の右に外れたらなぜか左のページをめくる。すっごく不便で、なんかおかしい。家に帰って他の星図も調べてみた。ベクバルもSAOも、みんなページの付き方が逆だ。これって、机上で計算するような人にはいいかも知れないれど、実用的じゃないんじゃない。おっと、誠文堂新光社の全天恒星図2000はページが合っている、なんて良心的だ。ちょっと待てよ、1950年分点の全天恒星図は、、、うーん、ページが逆だ。きっと、前回のものが不評だったので、2000年分点のもので直したのかなぁ。

9.死語「望遠鏡を覗く」
昔から、テレビのチャンネルはガチャガチャ回すものだった。ところが、このガチャガチャが最近死語になってしまったらしい。子供に言っても、まったく通じない。生まれたときからテレビのチャンネルはリモコンで替えるものらしい。星の世界も、随分変わってきている。私が星を始めた頃は、103aEで鼻水をすすりながら40分とか60分の手動ガイドで写真を撮った。水素増感が出て、モータドライブ付きの赤道儀が当たり前になって、ST-4で完全自動ガイド、果てはCCDでの撮影。スカイセンサやTEMMAにより星の導入も完全自動化。あと数十年もすれば、「望遠鏡を覗く」は死語に。子供たちは、生まれたときから、星は部屋の中から望遠鏡をパソコンで操作して、フラットパネルのディスプレイで見るもの。もっとも、その頃まで、綺麗な星空が残っていればいいけど。。。


以上が、会報「まがたま」に投稿した全文です。皆さん、楽しんでいただけましたか。

1999/02/07


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