その20. 2001年8月24日の星見
(静岡県御殿場市富士山御殿場口)



星雲星団を、もうかれこれ10ヶ月近く撮影をしていませんでした。静岡に引っ越してきてやっと落ち着き、先月からリニア彗星(c/2001A2)の撮影を機に、イプシロンを動かし始めました。今日は天気が良く、仕事が終わった後、星見に富士山へ出かけようかどうか迷っていました。いつも仕事から帰ってくると、もうくたくただからです。でも、今日は月が22時頃沈むし、ちょっと休んでから出かけていっても明日は休みだし、撮影する気力が無くても、観望したまま寝てしまうのも良いなと思っていました。

会社から帰宅後、かなりのんびりした後、23時頃、富士山の駐車場に向けて出発しました。さすがにこの時刻では、車も少なく、貨物のトラックがバイパスをびゅんびゅん走っています。御殿場口の五合目駐車場まで約30分で到着。第2駐車場はがらんとしていて、奥の方までライトをスモールにしてゆっくり入っていきました。いちばん奥には、車が2台、人数にして5人ぐらいだったでしょうか、平塚から来たそうで、高校の卒業生とその先生で星の写真を撮影しに来たそうです。私は、隣に望遠鏡を設置させてもらっても良いかどうか確認し、望遠鏡を組み立てました。平塚のグループはまだ他人との交流には慣れてないらしく、何度か私が話しかけてもこれといった返事もなく、一晩中おとなしくしていたので、無理に交流を持つことはあきらめました。

望遠鏡を組み立て、極軸も完璧に合わせ終わると、もう夜半近くなっていました。まずは、いつもの試し撮りです。この時期の試し撮りの対象は、こぎつね座惑星状星雲である M27 / NGC6853 (多胡カタログ番号 494)、いわゆる亜鈴星雲です。3枚ほど撮影し、写真を現像した後の空の状態のチェックに使います。

参考 NGCカタログ 種類 所在
M27 No.494 NGC6853/M27 惑星状星雲 こぎつね座


いよいよ撮影です。缶ビールを家から1本だけ持ってきたので、まずは一口。そういえば、先月撮影したリニア彗星(c/2001A2)は、今晩はどのくらいになっているか見てみることにしました。カメラを外し、アイピースを着けて覗いてみると、リニア彗星のある場所に彗星らしき物が見えません。かなり暗くなってしまったのでしょうか。ダメ元で、リニア彗星を撮影することにしました。

撮影したリニア彗星の画像はこちら。

さていよいよ、いつもの多胡カタログの撮影です。時刻は1時を過ぎており、もう夏の銀河付近の撮影には向きません。多胡カタログのリストを見ながら、今晩は朝まで多胡カタログペガスス座系外星雲を狙ってみることにしました。まずは、 NGC7177 (多胡カタログ番号 508)と NGC7217 (多胡カタログ番号 509)です。ウラノメトリア星図を見ながら導入していきました。缶ビールも飲み終わり、気分は絶好調です。

多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
NGC7177 No.508 NGC7177 系外星雲 ペガスス座
NGC7217 No.509 NGC7217 系外星雲 ペガスス座


ビールの酔いも醒め、寒くなってきました。長袖シャツだけでは耐えられず、ダウンを上に羽織りました。一つの天体を撮影するのに、導入から撮影終了まで30分程度かかります。気がつくともう2時。薄明が始まる3時半まで、撮影できて3つです。引き続き、ペガスス座系外星雲 NGC7331 (多胡カタログ番号 512)、 NGC7448 (多胡カタログ番号 513)、 NGC7479 (多胡カタログ番号 514) を撮影していきました。

多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
NGC7331 No.512 NGC7331 系外星雲 ペガスス座
NGC7448 No.513 NGC7448 系外星雲 ペガスス座
NGC7479 No.514 NGC7479 系外星雲 ペガスス座


順調に天体を導入できたので、薄明が始まるまでまだ30分ほどありました。久しぶりにアンドロメダ大星雲を撮影してみると、薄雲が広がってきました。そこで、無理せずに撮影終了とし、望遠鏡を片づけて帰宅しました。明るくなる前に自宅に到着。以前だったら考えられないことですが、今度は星見場所が近いので、直ぐに帰ってこられます。今後は、24枚撮りフィルム1本を目安で、撮り終わったら無理せずに帰宅し、続きは次回のお楽しみということで、星見の時間を短くし、その分、行く回数で稼ぐのも、疲れの残らない方法かなと思っています。




私が行った、ペガスス座の5つの系外星雲の巡回方法

ペガスス座の鼻先の星、εPeg(バイエル名)、あるいは 8Peg(フラムスチュード名)が、この近辺では一番入れやすい。目盛環を使って、ここから9Pegを導入して、NGC7177を入れる。
εPeg 21h 44.2m
+9°52'
ペガスス座の鼻先の星、εPegを導入する。
9Peg 21h 44.5m
+17°21'
εPegから、移動すると、望遠鏡の方向は、21h 44.2m +17°52' となる。
NGC7177
(No. 508)
22h 00.7m
+17°43'
更に、16m 移動すると、望遠鏡の方向は、22h 00.2m +17°52' となる。ここから、ウラノメトリア星図(166頁)を見て、NGC7177を、写野の中心に入れる。
NGC7177から、目盛環を使って、NGC7217を導入する。
NGC7217
(No. 509)
22h 07.8m
+31°22'
NGC7177から、14°7m 移動すると、望遠鏡の方向は、22h 07.7m +31°43' となる。ここから、ウラノメトリア星図(122頁)を見て、NGC7217を、写野の中心に入れる。
NGC7217から、目盛環を使って、NGC7331を導入する。
NGC7331
(No. 512)
22h 37.1m
+34°26'
NGC7217から、30m 移動すると、望遠鏡の方向は、22h 37.8m +34°22' となる。ここから、ウラノメトリア星図(123頁)を見て、NGC7331を、写野の中心に入れる。
NGC7331から、目盛環を使って、NGC7448を導入する。
NGC7448
(No. 513)
23h 00.1m
+15°59'
NGC7331から、19°23m 移動すると、望遠鏡の方向は、23h 00.1m +15°26' となる。ここから、ウラノメトリア星図(213頁)を見て、NGC7448を、写野の中心に入れる。
NGC7448から、目盛環を使って、NGC7479を導入する。
NGC7479
(No. 514)
23h 04.9m
+12°19'
NGC7448から、5m 移動すると、望遠鏡の方向は、23h 05.1m +11°59' となる。ここから、ウラノメトリア星図(213頁)を見て、NGC7479を、写野の中心に入れる。



2001/9/9
2001/9/16 update.

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