その8. 1999年11月5日の星見
(群馬県嬬恋村浅間山)



11月6日から7日にかけて、職場旅行で浅間に行くことになりました。例年では、会社に集合してチャーターしたバスにみんなで乗って出かけるのですが、今年は日帰り参加もできるようにと各自で現地に集合することになりました。わざわざ、軽井沢の向こうまで行くのに星見をしない手はありません。しかし当日の夜は飲み会になって酔っぱらってしまうでしょうから、星見をするなら前日に行ってしまおうと思いました。

仕事を午後半休にして帰宅し、準備を整えて出かけました。空は快晴。高速で軽井沢まで行き、そこから北軽井沢方面へ。鬼押ハイウェイに出て、浅間山が間近に迫る駐車場に到着したのが20時前でした。広い駐車場を歩いてみると、奥の方で星見に来ている人がいました。前日から2晩目だそうで、夜中でも車がたくさん駐車場に入ってくるので、車のライトの影になるところを教えてくれました。

まずは、望遠鏡を組み立て、久しぶりにピント出しからはじめました。普段は、カーボン鏡筒のおかげで、ピント位置が気温にほとんど左右されず、夏でも冬でもピントを変える必要がないのですが、前回の星見後、射鏡と補正レンズを洗ったので、ピント位置がずれている可能性があると思ったからです。ナイフエッジテスターで確認すると、案の定、4目盛分変わっていました。イプシロンのピント部は、1回転に36目盛ふられており、更に各目盛の間に1本の補助目盛が付けられています。ネジピッチが1mmなので、4目盛のずれは、4/36mmとなり、約0.11mmも以前と比べて動いてしまったことになります。でも、これで合わせ直しをしたので一安心です。

今日の撮影対象のテーマは秋の散開星団です。コリンダーの星団番号のついたものを撮りたくなったのです。事のはじまりは、先月の石川町スターライトフェスティバル最終日の抽選会で当たった Sky Catalogue 2000.0 Volume 2 を見てからです。星図を見ると散開星団には、M天体NGC番号IC番号の他に、Mel.CrTrStBe等の番号がついています。これらは順に、メロッテ(P. J. Melotte)による番号、コリンダー(P. Collinder)による星団番号、トランプラー(Robert J. Trumpler)の番号、ストック(Jurgen Stock)の番号、バークレイ(Berkeley)番号、ハーバード(Harvard)番号、キング(Ivan King)の番号となります。この中で、メロッテの番号やコリンダーの星団番号は、M天体NGC天体と重複しており、中でもコリンダーの星団番号は全部で500個弱、明るい散開星団のほとんどカバーしています。散開星団という比較的撮影しやすい対象であることからも、どれだけ撮影できるか挑戦したくなりました。すでに60個以上、撮影済みなので、試しに今回は、秋のコリンダーの星団番号のついたマイナーなものを中心に撮影することにしました。

時刻はもう21時を過ぎていました。まずはピント調整後の試し撮りとして、アンドロメダ大星雲(M31)やペルセウス座二重星団h&χ(NGC869,NGC884)をノータッチガイドで、10分から15分露出で数枚ずつ撮影しました。そして、今日のテーマのスタートです。まずは、カシオペア座散開星団を順に狙いました。NGC637(Cr7)、NGC559(Cr13)、NGC133(Cr3)、NGC146(Cr5)、K14です。NGC559多胡カタログ番号17です。また、NGC133NGC146K14は非常に接近しているので、1つの写野に入ります。

多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
なし NGC637/Cr17 散開星団 カシオペア座


多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
T17 NGC559/Cr13 散開星団 カシオペア座


多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
なし NGC133/Cr3 散開星団 カシオペア座
なし NGC146/Cr5
なし K14


次にペルセウス座の散開星団を狙いました。NGC1245(Mel.18 / Cr38)、NGC1513(Cr46)、NGC1528(Mel.23 / Cr23)です。NGC1245には多胡カタログ番号50が、NGC1513には多胡カタログ番号73が付けられています。また、NGC1528は再撮影となります。

多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
T50 NGC1245/Mel.18
Cr38
散開星団 ペルセウス座


多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
T73 NGC1513/Cr46 散開星団 ペルセウス座


[再撮影] NGCカタログ 種類 所在 写具合
T74 NGC1528/Mel.23
Cr47
散開星団 ペルセウス座


ここで一息入れることにしました。空が非常によいので、オリオン座の馬頭星雲を久しぶりに撮影したくなりました。15分露出してもかぶらないだろうと、12分、15分と2枚撮影しました。せっかくオリオン座に向けたので、近くのNGC2141(Cr79)を狙いました。多胡カタログ番号95が付けられています。

多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
T95 NGC2141/Cr79 散開星団 オリオン座


駐車場の北側に望遠鏡を設置したため、南のオリオン座方向は駐車場に入ってくる車がライトを照らして、辛いものがあります。そこで再び天頂に戻し、ぎょしゃ座のNGC1664(Mel.27 / Cr56)、ペルセウス座のNGC1582(Cr51)を狙いました。ウラノメトリア星図を使って導入していますが、星図の同じページにCr62が載っていたので、これも狙ってみることにしました。

多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
なし NGC1664/Mel.27
Cr56
散開星団 ぎょしゃ座


多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
なし NGC1582/Cr51 散開星団 ペルセウス座


多胡カタログ NGCカタログ 種類 所在 写具合
なし Cr62 散開星団 ぎょしゃ座


時刻も3時半を過ぎました。西の空に薄雲がかかってきており、そろそろ月も出る頃なので、明日の職場旅行のことも考えて、片づけることにしました。4時過ぎに細い月が昇ってきました。私も車の中で、朝まで仮眠することにしました。


1999/11/11

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