その2. 1999年5月12日の星見
(栃木県粟野町粕尾峠)



朝から天気が良く、星見に行きたくてウズウズしてました。ちょうど昨月南半球で発見されたLee彗星(C/1999H1)も、北半球で見える位置に昇ってきています。仕事も急ぎのものはなかったので、午後になって、フレックスで早帰りをすることにしました。もちろん、翌日は午前半休にします。

15時半に仕事を終わりにして、急いで帰宅。車に望遠鏡を載せて16時半には出発しました。昨年12月に凍結路でクラッシュして以来行っていない栃木県粟野町粕尾峠に向かうことにしました。一応、星仲間の鈴木君に誘いのTELを入れましたが、仕事が20時過ぎまでかかるので無理とのことでした。東北高速を久喜・栃木間で使用し、途中コンビニで、おにぎり4つにジュース、それに缶ビール1本とおつまみ用の豆を買い込みました。
冬場にたまに星見をする星野遺跡駐車場の横を通ったところで、携帯TELの電波状況を見てみると、今年の1月に行ったときには圏外表示だったのが、なんとバリサンに変わっており、携帯電話が使えるようになったことを知りました。大越峠を越えた後もしばらくバリサンだったので、この近辺は便利になったと感じました。
昨年12月にクラッシュした緩いカーブのところには、いつの間にかパトランプもついていました。私だけではなく、他の者も凍結路でクラッシュしたのでしょうか、パトランプがつけられるだけあって危険なところだったのかも知れません。

19時過ぎ、私のホームグランドである粕尾峠のいつもの駐車場に、まだ明るいうちに到着しました。昨年はここに10数回来ましたが、今年は初めてで半年ぶりでした。駐車場北の林手前には新しく木製のベンチとテーブルが設置されていました。まだ明るいので、急いで望遠鏡を組み立て、北極星が見え始めるのを待ちました。

20時前、暗くなって北極星が見えだしてくると、Lee彗星の見える南西低空のちょうどの高度に電線があり、もしかしたら電線が邪魔になってしまうのではないかと、80キロほどある組立済みの望遠鏡を、そのまま持ち上げて、20メートルほど移動させました。これで大丈夫と、極軸を合わせ、赤緯赤経環を使って彗星の方向に向けました。彗星本体は、7センチのファインダでは全然見えず、21センチのイプシロンにアイピースを付けて覗いても、確認できませんでした。空の透明度が悪く、高度も20度以下なので、眼視での確認はあきらめ、撮影を開始しました。
3枚撮影した後、極軸の確認をするとずれていました。Lee彗星が手前の電線に架かりそうだったので、望遠鏡を再度1メートルほど移動させてから極軸を合わせ直して、その後、Lee彗星を5枚ほど撮影しました。

Lee彗星の撮影が終わったので、いよいよ新しい私のテーマである多胡カタログ天体を撮り始めることにしました。
まずは、いつも使っている星雲星団ウォッチング(知人書館)に載っているもので撮り残している春の系外星雲であるりょうけん座NGC4631NGC4654かみのけ座NGC4725NGC4565を撮ることにしました。
りょうけん座NGC4631NGC4654多胡カタログ(以下、略してT)のT332T341であり、接近しているので同画角に入れられることができます。かみのけ座NGC4725T350NGC4565T317で、互いに赤緯がほぼ同じで、赤経が25分(約6°)程しか離れていないので、5センチファインダ(視野7°)で同視野となり、どちらかを導入すれば、もう片方は簡単に導入できでしょう。そこで、ささっと、続けて3画角を、6,7,8分で3枚ずつ撮影しました。

多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.332 NGC4631 系外星雲 りょうけん座
No.341 NGC4656
- NGC4627


多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.350 NGC4725 系外星雲 かみのけ座
- NGC4712
- NGC4747


多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.317 NGC4565 系外星雲 かみのけ座


つぎに、ホームページのNGCリストに5000番台が無くて寂しいので、5000番台の天体を撮ることにしました。そこで選んだのが、うしかい座NGC5466(T397)とかみのけ座NGC5053(T373)です。シャプレーの分類ではそれぞれ、XIIXIといったように、共に大きいながらも暗くて密度が荒い球状星団です。

多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.397 NGC5466 球状星団 うしかい座


多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.373 NGC5053 球状星団 かみのけ座


球状星団を続けて撮影したので、球状星団シリーズで撮影しようと、ヘルクレス座NGC6229(T422)を選びました。視直径1.2'のとても小さな球状星団です。写り具合も、隣の2個の恒星よりやや大きく写った具合で、もっと焦点距離の長い物で撮影するか、フィルムの粒子の細かい物で撮影しないと、はっきりとした球状星団には写らないようです。

多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.422 NGC6229 球状星団 ヘルクレス座


再びNGCの5000番台の撮影に戻り、りょうけん座系外星雲NGC5033(T371)とNGC5005(T368)を狙いました。互いは1°程度しか離れていませんが、なにぶん暗い系外星雲なので、それぞれを中心にして2画角撮影しました。暗くて小さいだけあって、写り具合はいまいちでした。

多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.371 NGC5033 系外星雲 りょうけん座


多胡カタログNo. NGCカタログ 種類 所在 写具合
No.368 NGC5005 系外星雲 りょうけん座


36枚撮りフィルムもそろそろ終わりになり、時刻も午前2時近くになったので、撮影を終わりにして、片づけて帰路につきました。自宅は4時半頃到着し、荷物を車から降ろしてから、眠りにつくのでした。

3月、4月と、月のない週末に天候が悪かったので、3ヶ月ぶりの星見でした。
もう、今の季節になると、星見中にダウンを着る必要もなく、寒がらずに一晩中いられるので、快適でした。あとは、晴れの時には躊躇せずに山にでかければ、多胡カタログの撮影数も増えることでしょう。


1999/05/16

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