星雲星団を楽しもう

星図について


星雲や星団を眺めるときは星図が必要となります。星図には、初心者向けの星座早見盤から、ハードカバーで何分冊にも分かれている物、パソコンのソフトウェアとしてパソコン画面上で見られるものまで多数あります。私が所有している星図だけでも、ベクバル星図やSAO星図に始まり数10種類ありますが、その中で、使いやすく私が愛用しているお薦めの物を紹介します。


全天恒星図2000
廣瀬秀雄・中野繁 共著 誠文堂新光社 1984年発行

星雲星団を楽しむ初心者向けの星図です。持ち運びに手頃で望遠鏡を覗きながら片手に持って使えます。大まかな星雲星団はすべて載っており、恒星や星雲星団が黒の単色で印刷されているので、暗闇でも非常に見やすくなっています。

2000年分点である、この全天恒星図2000(写真の右)は、その前身である1950年分点の全天恒星図(写真の左)に比べて、文字が少し見づらくなりましたが、頁の順に星図が並べられており、使いやすくなっています。左開きの書籍の場合、星図の並び順は赤経の大きい順から並べなければ、頁をめくったときに連続して見られません。1950年分点の全天恒星図はその悪い例であり、全天恒星図2000で改良されました。

写真は、星図本体のケースです。ケースは普段持ち歩かないで家に置いてあるので綺麗ですが、本体は既にボロボロで、2冊とも表紙が取れかけてしまっています。安価な星図は、星図中に気にせずどんどん書き込めるところがよいですね。
2002/02/23記


標準星図2000 第2版
中野繁 著 知人書館 1998年発行


全天恒星図と並び、初心者向けの星図です。全天恒星図に比べて倍ぐらい詳細に書かれています。星雲・星団のマークも明るいものは一回り大きく書かれており、双眼鏡や小口径の望遠鏡で見るときに、対象を捜すのが便利になっています。

ただし、恒星や星雲星団の番号が橙色で書かれており、星空の下で赤色の懐中電灯を使って星図を見たときに、番号が全く読めなくなってしまうのが難点です。また、重量は軽いのですがサイズが大きめのところが、望遠鏡を覗きながら片手で持ってみるには不便なところです。
2002/02/23記


Uranometria 2000.0 First Edition
Tirion, Rappaport, Lovi Willmann-Bell, Inc. 1987年発行

星雲星団の観望をヘビーに楽しんでいる人ならば誰でも知っているウラノメトリア星図です。北天用(写真の左)と南天用(写真の右)の2分冊になっており、9.5等までの恒星が書かれています。星雲星団も、NGCやICに属さない天体まで詳細に載っています。望遠レンズや1000mm程度の望遠鏡の直焦点撮影で画角を決めるには持ってこいの星図です。

もちろん、私の一番お気に入りの星図です。重量はかなりありますが、片手に持って望遠鏡を覗きながら星図を見るのに適した大きさです。ただし、赤経の小さい順にページが並べられているので、星図を連続的に次のページに渡って見るときには不便です。また、倍率も高いので、星座や目標の天体の位置関係を大まか知っていないと、使いづらいかも知れません。隠れた利点としては、ハードカバーで重量があるので、強風の中でも地面に置いていて飛ばされないのが良いですね。

私の星図は、かなりぽろぽろに使い込んでありますが、面白いことに、南天版の後半はきれいなままです。日本では見られない部分の星図なのでページをほとんど開くことがないからですね。ちなみに、購入した当初は大事に使用していましたが、露に濡れ、地面に置いて汚れてくるうちに、きれいなままを維持するのをあきらめ、今では書き込みだらけになってしまいました。特に、新彗星を捜すときに、予報位置を星図に直に書き込んでおくと、現地で彗星を捜すときに非常に便利です。
2002/02/23記


Uranometria 2000.0 Second Edition
Tirion, Rappaport, Remaklus Willmann-Bell, Inc. 2001年発行

First Edition の誤記や不具合を完全に修正して、Second Edition として発行されました。3分冊になっていますが、Volume1(写真の左)と Volume2(写真の中央)は、First Editionをそのまま移行し、Volume3(写真の右)は、First Editionの誤記と星表をまとめて発行されたDeep Sky Field Guide を一新したものです。

First Edition に比べて格段に使いやすくなっています。星図は赤経の大きい方から並べられ、連続して星図を見ることができます。また、表記されている星雲星団の数もかなり増えました。索引もつけられ、目標の天体を捜しやすくなりましたが、星図中の星雲星団が増え過ぎて、かえって見づらくなってしまった気もします。もちろん、星雲星団の密集した領域には、拡大した星図が別に付けられました。アマチュアが使う書籍タイプの星図としては最高峰だと思います。

野外で望遠鏡と共に使うには、星雲星団の表記が多すぎるかも知れませんね。私としては、野外では First Edition を使い、撮影後の写真の確認に Second Edition を使うのが良いような気がします。

Uranometria 2000.0 Second Edition は、インターネット経由で出版社から簡単に手に入れることができます。私も発売前に予約して、個人輸入しました。Willmann-Bell, Inc.のページをご覧ください。私は何度も Willmann-Bell, Inc. から輸入していますが、荷物にきちんと保険をかけてくれて、安心して依頼できます。船便で40日、航空便で1週間程度で入手可能です。ちなみに私が購入したときには3冊まとめて、船便+手数料が約$38でした。なお、定価よりも高価で良ければ、日本の天文ショップでも入手可能です。
2002/02/23記


ステラナビゲータ Ver.5 for Windows
アストロアーツ アスキー 1999年発行

パソコンを使った星図には、The Sky、Guide、Mega Star 等がありますが、ステラナビゲータは日本で作られた天文用ソフトウェアです。恒星は14等程度まで表示され、星雲星団はメシエに加えてNGCとICが網羅されています。それ以上の天体が目的の場合にはやや力不足ですが、他の機能も考えると、総合的に使いやすいソフトです。

星図としては、私は Uranometria 2000.0 を持っているので、ステラナビゲータはその補助として暗い恒星を使って位置関係を知るのに使用している程度です。しかし、天文シミュレーションや新彗星の軌道要素を入れての位置確認などには、非常に有効に使用しています。

今後のバージョンアップで期待することは、もっと多くの星雲星団の表示と、メジャーな星雲星団の詳細な大きさと形の表示です。それができるようになれば、Guide や Mega Star に肩を並べられるかも知れませんね。ちなみに私は、The Sky は持っていますが、Guide と Mega Star は持っていません。
2002/02/23記





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