星雲星団を楽しもう

星雲星団の分類


星雲星団を楽しむときに、それぞれの対象を何かと比較できれば、より楽しむことができます。比較にはいろいろな方法がありますが、天文学者がその形、大きさ、起源、成り立ちなどを基準に分類した分類法を元に、比較してみるのも一つの方法です。そこで、それぞれの星雲星団の分類方法を記述することにします。


散開星団
シャプレイ (Shapley) の分類

[説明]
Shapleyの方法による分類で、7段階のうちの5段階で分けます。もっとも疎らなものをc、もっとも密集したものをg として、密集度に応じてd、e、f としています。
[雑記]
分類した星団の具体例

分類星団名
c M16, M17, M45
d M18, M21, M25, M29, M34, M103, M44, M47
e M6, M7, M23, M35, M38, M39, M41, M50, M52
f M26, M36, M37, M46, M48, M67
g M11, M24, M93



トランプラー (Tumpler) の分類

[説明]
R. J. Trumpler が分類しました。3つの部分のコードから成り、星団の集中度、その星々の明るさの広がり、星の豊富さで分類します。
[雑記.1]
分類した星団の具体例

分類星団名 分類星団名 分類星団名
I1p
I1mM26, NGC6939 I1r
I2pM25 I2mM48 I2rM11, M52, NGC2420
I3p
I3mM21, M41, M50 I3rNGC869, NGC884
II1p
II1m
II1rM37
II2pNGC2451, NGC6882 II2mM44, M46, M67 II2rM7, NGC7789
II3pIC2391 II3mM34, M36 II3rNGC2158
III1pNGC1746, NGC7209 III1mM23, NGC752 III1rNGC1245, NGC2194
III2pM6, M39 III2mM38, NGC6633 III2r
III3pM103, NGC2281 III3m
III3r
IV1pM73, M93 IV1m
IV1r
IV2pNGC7243 IV2m
IV2r
IV3p
IV3m
IV3r
分類星団名 分類星団名 分類星団名
I1pn
I1mn
I1rn
I2pnNGC1981 I2mn
I2rn
I3pnM35, NGC2169 I3mn
I3rnM45
II1pn
II1mn
II1rn
II2pnNGC6281 II2mn
II2rn
II3pnM18 II3mnM16, NGC2112 II3rn
III1pn
III1mn
III1rn
III2pn
III2mn
III2rn
III3pnM29 III3mn
III3rn
IV1pn
IV1mn
IV1rn
IV2pn
IV2mn
IV2rn
IV3pnNGC2264 IV3mn
IV3rn


[雑記.2]
この分類が、我々が実際に見る散開星団の見かけとは違うことを、The Night Sky Observer's Guide Vol.1 (Willmann-Bell, Inc., 1998)のイントロダクションで、Craig Crossen氏は述べています。その内容は、次のようなことです。
「このデータのすべてに問題がないわけではなく、星団をトランプラーの分類に基づいて視覚化することが難しいことが判っています。ある場合、星団の星数が豊富か乏しいかは、相対的な光の集合の強さと大きさに決定的に依存します。一つは、トランプラーの星の豊富さの基準やThe Deep Sky Field Guide to The Uranometria 2000.0 (Willmann-Bell, Inc., 1933)の星数は、写真プレートを元にしています。ところが、写真プレートは、アイピースで見る実視とは違います。例として、多くの散開星団は高倍率の双眼鏡でとても豊富で有望に見えますが、へびつかい座のNGC6633、てんびん座のNGC7209、いっかくじゅう座のNGC2244NGC2264は、望遠鏡の低倍率では、その存在が消えてしまいます。一方、ペルセウス座のNGC957、いっかくじゅう座のNGC2301、はくちょう座のNGC6866のようなグループは、小型の望遠鏡では非常に小さいのですが、充分な口径と倍率では、強い印象を与える程、豊富であることが判ります。小型の望遠鏡では低倍率でも豊富に見えるグループを作ってしまい、高倍率ではコンパクトに密集した星団を分離して、豊富であることを明らかにしてしまうかもしれません。同じように分離についても、星団の背景に関係しています。もし、あなたがその背景を知らなければ、明確な星団に関して分離が何を意味するものか、事前に想像することができないでしょう。かに座のプレセペは、銀河内空間の暗いところに存在するので、とても印象強く見えます。そして事実、M36と同じ、トランプラーの集中度の階級でIIが割り当てられています。しかし、もし、プレセペM36のようにぎょしゃ座の天の川の真ん中に存在したら、全く目立っていないかもしれません。一方では、かなり豊富で集中している星団のいくつかは、密度の高い天の川の背景によって不運となっています。散光星雲IC2177の北の先端にあるいっかくじゅう座のNGC2335は、天の川の星の密集したところが背景となるために単なるトランプラーの集中度IIIのグループに過ぎません。しかし、もし、プレセペの位置にあったら、NGC2335は全天で良く知られた星団の1つになったでしょう。カシオペア座の3つの散開星団、NGC1027Mel.15St2もまた背景との比較で評判になるでしょう。これらはすべて、トランプラーのIIIのグループとされており、このグループは真の自然のために不公平となっています。」

[文献]
Trumpler R. J., Preliminary results on the distances, dimensions and space distribution of open star clusters, Lick Observatory Bulletin, 14, 154-188 (1930).


球状星団
シャプレイ・ソーヤ (Shapley-Sawyer) の分類

[説明]
H. Shapley とH. Sawyer の方法による分類で、星団の密集度の高いものから低いものの順に、I からXII までの12段階で分けます。

[雑記]
分類した星団の具体例

分類星団名
I M75
II M2, M80
III M54
IV M15, M30, M62, M28, M92
V M5, M13, M53, M69, M70, M79
VI M3
VII M10, M22
VIII M9, M14, M19
IX M4, M12, M72
X M56, M68, M107
XI M55
XII NGC5466


[文献]
Shapley H., Sawyer H., Harvard Observatory Bulletin, No. 824, (1927).


惑星状星雲
ポロンソフ・ベルヤミノフ (Vorontsov-Velyaminov) の分類

[説明]
ポロンソフ・ベルヤミノフによる分類方法は、見かけの形によるもので、次のように分類されます。
[雑記]
分類した星団の具体例

分類星雲名分類星雲名
1 IC4732
2 NGC6578, NGC6790,
IC2003, IC2120,
IC4846
2a NGC6572, NGC6578
2b NGC2440, NGC6884
2c NGC6742
3 NGC1360, NGC1501,
NGC7008
3a M97, NGC6563
3b NGC246, NGC7048
4 NGC6337, NGC6818
5 NGC6765
6 NGC6302
複合形星雲名
3+2 M27, NGC1514
3a+2 NGC6543, NGC6826
3+3 NGC6905
3b+3 NGC6781
3b+3b NGC2392
3+6 M76
4+2 NGC6369, NGC6804
4+3 M57, NGC7293
4+6 NGC7009



散光星雲
リンズ (Lynds) の分類




系外星雲
ハッブル (Hubble) の分類







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