私が愛した世界の女たち

vol.032
海南島チャイナドレスの女
中国のハワイ、海南島も不況で観光開発が滞っていた。しかし、海口市にあるホテル海口賓館のコーヒーショップには若い中国娘たちで溢れている。女たちは中国大陸各地からの出稼ぎで、内外からやってくる観光客を相手する鶏女(ジーニュィ)と呼ばれるコールガールである。
女たちに手招きされてテーブルにつくと「香港?台湾?」と質問しながらも女たちは勝手に自分たちの飲み物を注文し始めた。
最初から日本人と分かっているからナメたことをするのだ。こんなオンナにロクなのはいない。キッパリと声を出して拒絶してやると、横のテーブルに1人で座っていた女性が振り向いた。それとわかるほど振り向いたのではないが、片頬をこちらに心持ち向けて微笑んだ。そして少し首をかしげると肩まである黒髪が白い頬を流れて切れ長の目のはじで止った。形のよい鼻筋は家柄のよさと気品を漂わせているようにすら感じられた。
女の名前は桂花。少し英語が話せた。
「自分はコーヒーショップのなかでは年寄りなの」
控えめに笑った桂花は27歳。シルクの白いチャイナドレスの胸元は赤糸で花の刺繍がなされている。その花に彼女の乳房がふくらみを与えて、より豊かな南国の花にしていた。
ホテルのフロントには休憩2時間100元(1500円ほど)と案内されてある。気に入ったコーヒーショップの女と部屋に直行できるシステムである。ホテル側も部屋の稼働率を上げることになるし、オンナたちにとっても、警察の手入れの心配がいらない。このようなシティホテルが海南島の新しい観光スポットになっている。
桂花が席を立った。
スレンダーなカラダと豊満なヒップにぴっちりと吸い付くチャイナドレスの深いスリット。餅のような白い太ももがチラリと見える。彼女はホテルのフロントには目もくれず外に出た。あとについて行くと、彼女はタクシーに乗り込み目配せで続いて乗るように促した。
タクシーが走り出した。行き先はわからない。
雨で濡れた道路に反射した街のネオンが車内を極彩色の万華鏡の世界にしたかと思えば、建設途中で放棄された高層ビルの黒く大きな影で覆われた。
桂花は少し振り向きながらスリットに自分の手を滑り込ませて言った。
「湿了(シーラ)」中国語で「濡れている」という意味だ。彼女は男がどのようなことをすれば悦ぶかよく知っている。初老の運転手がバックミラーの角度を変えた。桂花はそんな視線を楽しむかのようにゆっくりじらしながらパンティーを下ろしていく。スリットから見えた白い太ももが赤のパンティーで縛られているように食い込んだ。
湿気で蒸れていた車内に甘酸っぱい香りが広がった。桂花は切れ長の目に悪戯ぽく笑いを浮かべながら、中指を少し内に曲げて自分の股間に戻し、小さな円を描くように動かしている。
タクシーが急停車した。桂花は腰を突きだすことで漏れそうになる声をこらえてた。うっすらと開いた唇の淫らさと苦悩にも似た悦びの表情に初老の運転手が生唾を飲み込んだ。
車内に赤信号の明かりが差し込んできた。桂花に首筋を掴かまれ抱き寄せられた。そして濡れた中指を口に含ませた。
「好咆(ハオチー)おいしい」
返事の代りに桂花の指を吸ってやると、彼女はパンティーを足首まで下ろした。運転手に100元のチップを払わせあと、400元(6000円ほど)を求めた。
信号が青になった。
タクシーは人気ない市外の丘陵を止りそうなぐらいの速度で走っている。桂花は窓の外に顔を向けながらチャイナドレスを上げた。夜空にはまん丸いお月さま。車内には肉付きのいいまん丸いお尻ちゃん。暗やみを照らす2本のヘッドライトが絡みあうように揺れている。下半身も快楽に揺れた。
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女の名前は「ケイカ」と聞こえたが確かでない。そこでM.O.Bの近所にある中華料理店「桂花」を便宜上使用した。ここの料理は安くてうまい。
(日刊スポーツ「世界の下半身」より)
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