ふわふわ ぐるぐる よろめく これってめまい?
めまいとは? ー症状ー
日本語の”めまい”とは少し難しいもので、目が回る、くらくらする、立ちくらみ、ふらふらする、ふわふわするなど、様々な状態を”めまい”として言葉が使われることがあります。
しかし医学的に”めまい”とは、主に①浮動性めまい、②回転性めまいの2つであり、加えて③平衡障害などを指します。
①浮動性めまい
頭が動いていないにもかかわらず、頭が傾いているような、頭が左右に揺れているような感覚のことを指します。幼少期の頃にぐるぐる回って遊んだあとに、勝手に体が傾いていってしまう感覚と似ています。

②回転性めまい
「天井が回っている」や「景色が回っている」などの表現をされる患者さんが多くいらっしゃいます。
めまいを伴う様々な疾患の急性期に多く見られる症状で、立つことも困難な場合もあります。でんぐり返ししたあとに視界が回っている状態と酷似してた状態です。

③平衡障害
上記2つの症状と重なる部分もありますが、目で見える情報と、足で立っている感覚と、頭が傾いている感覚に齟齬があるように感じる症状であり、歩くと顕著に違和感を感じる状態です。

めまい ー疾患ー
めまいを引き起こす病気として主に下記の4つ+1つがあります。診断には眼振、聴力、耳閉感や耳鳴り、めまいの持続時間、めまいが起こる状況など様々な情報が必要となってきます。
原因が脳のときには診断に頭部MRIが必要な場合もあります。
めまいはなぜ耳が原因でおこるのか
耳の奥には内耳と呼ばれる場所があり、蝸牛(音を感じる神経細胞の集まり)と前庭(頭の傾きや頭の回転を感じる神経細胞の集まり)でできています。
蝸牛と前庭は大まかには同じ管できており、その管の中身は共通の液体で構成されています。ですから めまいを感じるときに耳閉感や、耳鳴りを感じることがあるのです。
①良性発作性頭囲めまい症(BPPV)
いままでめまいで病院にかかったことのある患者さんの多くがこの病気だと言われたことがあるのではないでしょうか。
前庭の中の半規管と呼ばれる場所に、もともと耳の中にある石(耳石)が迷入してしまう状態です。半規管だけで起こる症状とされているので耳鳴りや耳閉感といった蝸牛症状は伴わずめまいだけを感じます。
②前庭神経炎
前庭で感じた情報を頭に伝える神経を前庭神経といいます。原因は感染などによる炎症がその前庭神経に波及し、左右の前庭で異なった情報を脳に伝えてしまい、めまいとして感じてしまう病気で、この疾患もめまいだけを感じます。基本的には人生に一度しか起こらないとされています。
③突発性難聴
原因不明の急性感音難聴を総じて突発性難聴と診断します。主に聴力の低下の症状があり、同時にめまいを発症する場合があります。原因不明とされていますが、内耳の血流障害と内耳へのウイルス感染などが原因と考えられています。
④メニエール病
めまいや、聴力の低下を繰り返す疾患です。回転性めまい、浮動性めまいの両方を呈することがあります。めまいといえばメニエール病というように名前を知っている方も多いのではないでしょうか。
基本的には原因不明とされていますが、現在病態解明、治療の研究が進められており、当院院長もその研究に参加しています。
⑤中枢性めまい
上記4つは末梢性めまいといって、耳からの情報が原因で生じるめまいです。しかしめまいのなかには、脳梗塞や脳出血のような、情報を受取る側の脳での異常をおこしても、めまいとして感じることがあります。もし、めまい以外にも、身体が動かない部分が急に出たり、手足が痺れたり、呂律が回らなくなったり、物が二重に見えたりしたら、迷わず救急の受診をしましょう。
以上、簡易にめまいについて記載しましたが、めまいは、診断も治療も大変難しいとされています。
我が国には『日本めまい平衡医学会』という、めまいのみを医学的、医療的に探求する学会があり、日本には約30万人の医師がいますが、特にめまいに詳しい専門会員(めまい専門医)はその中でも約180人しかいません。
日本めまい平衡医学会に所属するめまいを専門とする医師でさえ、めまいは診断に悩み、治療に苦慮することのある病気です。
繰り返すめまい、治癒に難渋にされている方は、一度めまい専門医にかかることをおすすめします。
日本のめまいに苦しむ患者さんが 一人でも少なくなる一助になればと、日々診療を行っております。いつでもご相談ください。
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