特集
2004.7.25

「検討委員会等の条例による設置を求める決議」と県のその後の対応について

(めちゃくちゃな県政運営の実態 1 )

各種検討委員会設置と運営への疑問

 知事が就任以来、県外の理念を同じくする学者などで構成する「検討委員会」を設置し、思惑通りの答申を得て県政運営を行っていることや、知事就任前に議会の議決を得て制定している審議会条例により委員を任命しても、条例の中に規程している「専門委員会を置くことが出来る」といった規程を活用し、事実上県外の知事と理念を同じくする「学識経験者」(御用学者)を専門委員会委員に任命し、そこで得た結論を検討期間等の制約から事実上審議会に押しつけ審議会の審議を形骸化していること(「行政機構審議会」の「外郭団体見直し専門委員会」、「総合計画審議会」の「専門委員会」等)に対し、私は次の点から疑問を持っていました。
 それは、地方自治法では138条の4.3で「執行機関の組織」として、審議会を置くことができる規程があるが、この規程について「実例判例集」では「県職員の外、大学教授、弁護士等の部外者を加えて構成される場合、条例をもって定める」としています。
 一方、地方自治法174条の専門委員については、「実例判例集」は「執行機関の附属機関たる性格のものであれば、名称のいかんを問わず、また、臨時的、速急を要する機関であってもすべて条例によらなければ設置できない」としています。
 この間、条例によらず設置された検討委員会等は多くありますが、中でも公共事業入札等適正化委員会、緊急医療に関する特別委員会、中信地区廃棄物検討委員会、「長野県」調査委員会など県外者や学識経験者が多いのも、又は県政の今後の方向を左右する課題を検討するものにあっては、条例により設置すべきであるということです。
 田中知事就任以降、県政の重要な課題を審議する審議会等で条例により設置したものは私が提案した「治水・利水ダム等検討委員会」位のもので、後は「要綱」等により知事が勝手に設置し好きな委員を任命しているのですが、つまりこのことが地方自治法に抵触しているのではないかということです。
 田中知事は「改革」「改革」と言って勝手に検討委員会を作り、自分と考え方を同じくする様な「学識経験者」ばかりを任命し、検討する前から結論が分かっているような手法に徹して来ましたが、これは権力者としての立場に自分が溺れ、法があっても無くても「何でも、やらせようとする」強権政治になってしまいます。
 むしろ、「改革」のためにそれだけ重要な検討課題であるのであれば、地方自治法に依拠して正々堂々と議会に「審議会設置条例案」を提案し、論議を行えば良いことですし、そのことが「持続可能な政権」へと県民の理解が得られることになると思います。

議会への「決議案」の提案

 こんな疑問から2月定例会で私は、「既存の各種検討委員会を含め、県政の今後の方向や県民生活を左右する施策について調査・審議する委員会については、条例により設置するよう求めるものである。」とする以下の「決議(案)」を提案し、多くの議員の賛同を得て可決することが出来ました。


議 第 13 号

検討委員会等の条例による設置を求める決議(案)

 現在、知事及び教育委員会は、様々な政策課題について調査・審議等を行うため、多くの検討委員会を設置しているが、こうした検討委員会については、大学教授や弁護士等の外部の者を構成員に加える場合など、執行機関の附属機関たる性格を有する場合には、地方自治法第138条の4の規定により、その設置については、本来、条例をもって行わねばならないこととされている。

 現在設置されている検討委員会の中には、条例によらず、要綱により設置されているものも多いが、同条について示された行政実例によれば、こうした執行機関の附属機関たる性格を有するものについては、臨時的・速急を要するものであっても、すべて条例によらねばならないとされており、現在の運用は、こうした法の趣旨から逸脱している可能性がある。

 本来、こうした外部の専門的識見を有する者を加えて、県政の今後の方向性や県民生活を左右する施策を調査・審議する委員会を設置するに当たっては、同法の趣旨に照らし、条例をもって行い、県政運営の車の両輪である議会の同意も得て行うことが適当である。

 よって、県においては、こうした点にかんがみ、既存の各種検討委員会を含め、県政の今後の方向や県民生活を左右する施策について調査・審議する委員会については、条例により設置するよう求めるものである。

 以上のとおり決議する。

2004年 3月26日

長  野  県  議  会


その後の県の対応と、県の見解に対する反論 (言い訳県政)

 この議会決議を受けて県はその後、3月31日付けで当時の「行政システム改革チームリーダー」名で「要綱等により設置された協議会等について」と題する通知を、各チームリーダー、課(局・室)長、企業局課長、教育委員会事務局課長宛に出しました。
 その主な内容は「去る3月23日の県議会本会議において、『検討委員会等の条例による設置を求める決議』が別添のとおり可決されました。この決議は、県が要綱等で設置する協議会等が地方自治法第138条の4第3項に規定する附属機関の性格を有するのではないかという認識から条例による設置を求めるものです。ついては、要綱等により設置された協議会等は、あくまで同条に規定する『調停、審査、諮問又は調査』を目的としない有識者等からの意見を聴取し県政に反映させることを主な目的とするものであることから、附属機関と誤って県民に受け取られることがないようその名称や運営方法についてご配意願います。」というものです。
 3月23日の県議会本会議では他にも様々な決議を可決し、その中には「中期計画の策定を求める決議」もあり、その後この決議について何の反応も無いことを考えれば、この内部通知は、少しは議会の「監視」を意識し反省のポーズを取ったのかも知れません。
 しかし、この通知の「あくまで同条(地方自治法)に規定する『調停、審査、諮問又は調査』を目的としない有識者等からの意見を聴取し県政に反映させることを主な目的とするもの」という表現は、事実を矮小化する表現であり、ごまかしています。
 広辞苑によれば「調停」とは「当事者双方の間に第3者が介入して争いをやめさせること。仲裁。」、「審査」とは「詳しく調べて、適否や優劣などを決めること。」、「諮問」とは「意見を尋ね求めること。下の者の意見を求めること。」、「調査」とは「或る事項を明確にするためにしらべること。」としており、そのことを「目的としない有識者等からの意見を聴取し県政に反映させることを目的とする」と言ってみたところで、現県政の実態を考えれば、そうでないことは明らかです。一番分かりやすい例は、オリンピック帳簿問題や県財政が厳しくなった状況、しなの鉄道設立時の経過等を調査する「『長野県』調査委員会」や、知事の住民票問題を審議する「住所認定に関する調査委員会」です。両委員会の名称は正に「調査委員会」ですし、審議の目的も調査をすることを目的としています。
 後に触れますが、6月議会の総務委員会で私がこの問題をとり上げたところ、松林経営戦略局長は「諮問していない」ので、附属機関ではない趣旨の答弁をしました。しかし、各種検討委員会の設立は目的と課題がある故に設置され議事があるのであり、当初招集された会議に「諮問書」があっても無くても実態は誰が見ても「意見を尋ね求めること。」であることは明らかではないでしょうか。
 また、「有識者等からの意見を聴取し県政に反映させることを主な目的とするもの」ということについては、先に「実例判例集」の「県職員の外、大学教授、弁護士等の部外者を加えて構成される場合、条例をもって定める」としている点を引用したように、知事と理念が一致する結論先にありきの県外の「学識経験者」を主に起用している事実からも、言い訳は出来ないはずです。
 さらに、「附属機関と誤って県民に受け取られることがないようその名称や運営方法についてご配意願います。」という表現は、先に引用した「実例判例集」の「執行機関の附属機関たる性格のものであれば、名称のいかんを問わず、また、臨時的、速急を要する機関であってもすべて条例によらなければ設置できない」という指摘を無視したごまかしと言えます。
 これだけでも、今の県政は法を自分勝手に解釈し、やり放題の「言い訳」県政です。

 6月議会の総務委員会において私からこのことについて「2月議会で可決した決議について、その後、どの様な対応をしているのか経過を示す資料を示して欲しい」という要求に対し、これまで引用した「通知」とともに、「2月定例会の『検討委員会等の条例による設置を求める決議』に対する対応状況」という文書が、「人事活性化チーム」から提出されました。
 その主な内容は「1 決議を受けて、当時の担当であった行政システム改革チームリーダーから審議会等の事務局である課長等あてに通知をし、決議の内容を周知するとともに、要綱設置の協議会等については、附属機関と誤って受け取られよう名称や運営方法を改善するよう求めた。5月からは、担当が人事活性化チームに移ったことから、新たな協議会等の設置については、事前に相談を受けるよう再度徹底し、議会の議決を踏まえて厳正に対処していきたいと考えいてる。 2 決議があった以降に要綱で設置した協議会は、次の1件のみ 住所認定に関する審査委員会(有識者から意見をお聞きする趣旨であり、要綱設置とした。当該委員会は、任務を終えて、廃止済みである。) 決議があった以降に条例で設置した審議会等 該当なし」等というものでした。
 この資料でお分かりの様に、知事の住所認定で問題となった「住所認定に関する審査委員会」は、議会決議の後に設置されたものであり、しかも「通知」が出て以降も先に指摘した「審査」(広辞苑では、「詳しく調べて、適否や優劣などを決めること。」)機関を作っていることを否定しているのです。
 この様に、今の県政は法的秩序なく、「改革」でなく「政権維持」のための言い訳が繰り返されていえます。


「第3者機関」の機能はありうるのか! (めちゃくちゃな県政運営)

 6月議会前には、「長野県」調査委員会の委員であった醍醐聡東大大学院教授が3月に都内で開いた委員と知事との懇親会の費用が、知事の後援会から支出されていたことや、その後他の2人委員が県の嘱託職員扱い(給与・月20万円)されていたことについて、「行政との独立性が保てない」として辞任する事態が発生しました。
 また、6月議会の審議やその後のマスコミの追求により、知事の後援会から懇親会費を支出していたのはこのほかにも分かっただけでも、住民基本台帳ネットワークの安全性問題を審議した「本人確認情報保護審議会」の1回、外郭団体見直し専門委員会の3回、32万円余りがあり、しかも、この懇親会には複数の県幹部が同席しており、公職選挙法に抵触する疑惑が明らかになりました。
 さらに、「長野県」調査委員会にあっては、本来条例で定める審議会委員報酬は一日一人1万3千5百円と定められていますが(この委員会は条例による制定ではない)、いつまにか「調査活動」を名目として5万円の支出をしていたことも明らかになりました。
 この問題は、「本人確認確認情報保護審議会」委員の内4委員と知事、県職員3人の計8人が昨年8月5日都内の飲食店で行った懇親会については、先の6月議会の総務委員会でも取り上げられ、当時情報政策課長であった現松林憲治経営戦略局長がこの懇親会に出席していたことを認め、そのことについて小林公喜総務部長が「県職員の服務規律で、こうした接待を受けることは好ましくない」と答弁。そして議会が終了した後になって、この答弁をした小林総務部長も他の同様のケースの懇親会に出席していた事が明らかとなり、問題は知事に使える職員の責任問題にまで発展しました。
 こうした事態の責任は誰にあるのか。そして、なぜこうした事態が発生したのかは、先に指摘した通り明らかです。
 つまり、権力に溺れ「理念」さえ正しければ「何でも自分の思うとおりにしても良い」というおごりが、「理念」のためであれば委員に権力者として言うことを利かせるために自分の後援会で酒ゃ料理を振る舞い、自分に同調すれば民間人であっても職や給与を与える道を開き、社長に文句も言えない県職員を同席させ罪が問われても責任を負おうとしない姿に見えるのは私だけでしょうか。
 こうした権力者の暴走を阻止し、二度とこうした問題を発生させないためには、県政の今後の方向を決める重要な検討にあたっては、知事が言い訳にこれまで良く使って来た「知事と議会は車の両輪」という「理念」に徹し、一方の県民代表である議会審議を堂々と行うことが、最低限必要です。 
 地方自治法上は各種検討委員会(審議会)は設置できます。しかし、そのためには議会審議が必要なことも事実です。だから議会が嫌いだからといって無視する方法をとり続けることにも自然と無理があります。まして、地方自治法上、審議会等の設置にあたって知事に委員の任命権がある以上、知事から独立した「第3者機関」たることも現法ではありえません。しかし、だからと言って「何でも知事の従属機関」であって当然という姿勢は県政のみならず日本の民主主義の敵です。
 私は、この観点に立って長野県民の民主主義を守るため頑張る決意です


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