特 集
自治労長野県本部第81回定期大会への議会活動報告

県議会議員 竹内 久幸

 9月19日〜20日の2日間、飯田市で自治労長野県本部第81回定期大会が開催されますが、毎年定期大会には自治労政治連盟の一員として出席するとともに、議案書に議会活動を行っています。
 ここに掲載するのは今回の議案に報告した、私のこの一年間の主な議会報告の内容です。


1.はじめに
 昨年の県本部大会以降の議会活動は激動期の県政にあって極めて多忙を極めました。「治水・利水ダム等検討委員会」での本格的部会審議、部落解放審議会での地対財特法期限切れを前にした本県の今後を方向付ける審議と答申書のまとめ、行財政改革調査特別委員会での審議、男女共同参画推進条例制定に向けた調査会での審議等々、ほとんどの役割が私に集中してしまい自宅での事前準備も含め他の議員としての日常活動をほとんど停止せざるを得ない状況でした。それ故、日常活動の不十分な点をお許し下さい。
 また、定例会の度に知事と議会の対立は激しくなり、ついに今年の6月議会では知事不信任案が可決されるに至り、私にとっても日々苦悩の毎日でした。
 限られた紙面で私がこの一年間行って来た議会活動の詳細については報告できませんが、その主な内容を以下に報告します。なお、詳細を知りたい方は私のホームページをご覧下さい。

2.各議会報告
(1)2001年9月定例会(9月21日〜10月5日)
副知事の選任・浅川ダム本体工事に係わる損害賠償等議案22件を原案通り可決。報告案件5件、「米国における同時多発テロ事件に関する決議」等、決議及び意見書8件を可決しました。なお、一般会計補正予算は一部修正、教育委員会委員の選任・特別職の職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例案については継続審議となりました。
私の行った質問項目は次の通りです。
  1. 「県政改革ビジョン」について
    ・県民や市町村との協働による政策形成について
    ・事業評価システムの確立について
  2. 「治水・利水ダム等検討委員会」の「部会特別委員」の任命について
  3. 介護保険制度の基盤整備について
  4. 身体障害者療護施設の整備について
(2)2001年12月定例会(12月7日〜20日)
一般会計補正予算・下諏訪ダム建設事業の地権者に対する損害賠償について等、議案24件を原案通り可決。報告案件4件、「県議会議員の定数並びに選挙区の合区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例の一部を改正する条例」等、議員提出議案5件を可決しました。なお、継続審議となっていた「特別職の職員等の給与の特例に関する条例案」は一部修正可決、「教育委員会委員の選任について」は同意となりました。また、社会県民連合の提案により「行財政改革調査特別委員会」が15名の委員により設置されました。
私の行った質問項目は次の通りです。
  1. 財政の健全化について
  2. 事務事業の見直しと事業評価について
  3. 介護慰労金事業の廃止について
  4. 国の平成13年度の二次補正について
(3)2002年2月定例会(2月21日〜3月22日)
平成14年度当初予算案を一部修正可決。公債費特別会計ほか予算案17件、各種条例の一部改正案28件、包括外部監査契約の締結等14件、補正予算案11件、計70の議案を原案通り可決、平成12年度一般会計及び特別会計決算の認定、「BSE対策の充実・強化を求める意見書」「介護慰労金等に関する決議」等、議員提出議案10件を可決しました。なお、県政会と県民クラブが出した「県政の停滞に関する知事問責決議」については私は退席しました。また、県政会から9名の議員が分裂し「政信会」を結成しました。
私の行った質問項目は次の通りです。
代表質問の関連質問
  1. 「県財政緊急事態宣言」と今後5年間の中期財政試算について
  2. 平成14年度予算編成と景気対策について
  3. 「財政改革基本方針(素案)」について
代表質問の関連質問
  1. 入札・契約制度の見直しについて
  2. 「公共事業評価監視委員会」等について
  3. 介護慰労金の廃止について
  4. 職員の残業と政策秘書室業務について
  5. 今後の財政見通しについて
(4)2002年6月定例会(6月20日〜7月5日)
「住民基本台帳法に基づく本人確認情報の保護に関する条例案」「公安委員会委員の選任について」「浅川ダム本体工事中止に係わる損害賠償について」等、23議案を原案通り可決、「有事関連三法案の慎重審議を求める意見書」「非核三原則の堅持と非核政策の推進を求める意見書」等の議員提出議案10件可決しました。
 なお、県政会・政信会・県民クラブの3会派により「田中康夫長野県知事不信任決議」が可決されました。
私の行った質問項目は次の通りです。
  1. 浅川の治水・利水対策について

3.各種活動
(1)行財政改革調査特別委員会
 昨年の12月議会を前にこのまま推移すると財政再建団体へ転落するとする「県財政緊急事態宣言」が出され、自治労や県職労の皆さんとも相談しながら、議会に「行財政改革調査特別委員会」の設置を提案し12月議会で発足しました。
 本来であれば議会にこの種の委員会が設置されるのは保守系の議員からであり、その目的は人員削減や民間委託を徹底して行うことにありますが、なぜ私どもが提案したかと言うと、この間、特別職(知事等3役・議員)・管理職等の給与が削減されており、知事の手法では次には職員給与削減が打ち出されることを確実視したからであり、もしそうなれば県下の自治体に波及することを恐れたからです。
つまり、そうならないために議会側から県財政の現況を分析し、安易な給与削減でなく、あらゆる方策を検討し議員の理解を深めながら議会の側からも提案する方向をさぐったのです。
既に2月議会には県財政の現況と景気対策など税収確保等について中間報告を行い、現在9月議会での最終報告に向けて、本庁・現地機関の組織の在り方、市町村合併について、外郭団体の見直し、企業局の在り方等について週一回のペースで審議が行われています。
また、8月7日には鈴木県職労委員長を参考人として招致し、現状の問題点や地方分権時代に相応しい行政改革についての組合の考え方等について意見を聴き質疑を行いました。さらに、9月5日には土地開発公社と住宅開発公社を参考人として招致し、外郭団体の見直しについて審議を行いました。
(2)部落解放審議会
 知事から「『地域改善対策特定事業に係わる国の財政上の特別措置に関する法律』期限後の本県の同和対策のあり方について」諮問を受け、部落解放審議会長として11回の審議会を招集し2回の答申案起草委員会を開催し検討を行いました。そして、昨年10月3日に「論点整理」を発表し今年1月24日には知事に答申を行いました。
 特に国は法期限後の4月からは特別対策を終了し、工夫をこらした一般対策への移行を打ち出しており、審議会としても実態に即した方向を出すため被差別部落の現地調査や強調4団体との懇談会を行い、答申案起草に当たっては「起草委員会」を設置し、審議委員として答申を策定しました。
 答申内容は、特別対策から一般対策へ原則として移行するが、部落差別が依然として存在する以上、県の人権政策の柱として総合的視点にたって行うこと。また、差別根絶に向けた条例の制定や部落差別をはじめ人権に係わる相談窓口を機能として充実するとともに人権センターの機能と拡充を図る等々です。
 審議会の答申をした立場から説明責任を果たすため、今年2月1日に県民文化センターで開催された「部落解放研究集会」に同じ審議会委員である綿貫中野市長とともにパネラーとして出席し参加者との対話を行いました。
(3)治水・利水ダム等検討委員会
 「脱ダム宣言」を受けて住民参加のもとに治水・利水対策を検討するために設置された「治水・利水ダム等検討委員会」の一員として活動しました。特にこの一年間は昨年の9月議会以降、審議が本格的にはじまり「検討委員会」13回、自分の所属した浅川部会14回、財政ワーキンググループ6回、私が部会長を務める「郷士沢部会」(豊丘村)8回、「清川小グループ」2回と、集中した審議が行われ多忙な一年でした。
 これらの審議を通じて検討委員会は今年6月7日に砥川・浅川については、これまでのダム計画の基本高水流量の設定は「過剰」として設定を「下げる」ことにより、ダムによらない治水対策を行う趣旨の答申を知事に行いましたが、私は「基本高水流量を下げることは治水安全度を下げることと同じことであり、住民に説明できない」立場から、この案には反対しました。その後6月議会で知事はこの答申の内容を変更し基本高水流量を変更しないで、その約80%を河川改修で、残る20%を流域対策で行う「枠組み」案を示したため、今後検証するなかで可能であれば賛成することを表明しました。
 よく自治労の皆さんからも「竹内議員は社民党なのに、なぜダムに賛成しているのか」と聞かれますが、私は出来うる限りダムによらない立場で対策を検討しています。しかし、私の地元は水害常習地域であり58年の市議選当選以降今日まで水害と闘って来た歴史があります。水害被災者の気持ちは他の人には理解出来ない苦しみがあり、だからダムによらない方法でも、これらの皆さんに理解頂ける対策を追い求めていることを理解して欲しいという趣旨の説明をしています。現に、今年も台風や集中豪雨により既に4回私は出働しました。
 知事選が終わり一休みしていた「治水・利水ダム等検討委員会」が再会され、私が部会長を務める郷士沢部会も再会されますが、私は流域住民の皆さんとともに率直な論議を重ね、将来に渡ってそこに生活する皆さんが納得出来る対策を検討して行きたいと思っています。
 また、砥川・浅川について示した知事の「枠組み」の具体的検証を行うともに、他の流域についても将来を展望した対策を検討して行く決意です。
(4)男女共同参画推進条例制定調査会
 県議会の「男女共同参画推進議員連盟」から条例制定の方向が打ち出され、議会として県民参画の手法により条例を制定することが決まり、その後知事から県側も一緒に検討に加えて欲しいという申し入れがありました。
 こうして今年3月19日に議会から9名(女性議員4名全員)、議会事務局から1名、県側から1名、学識経験者5名により「男女共同参画推進条例(仮称)制定調査会」が設置され、私もその委員となりました。(既に7回の調査会を開催)
 議員や県民の意識が問われるこの種の条例制定は条例を制定することが目的でなく、条例を制定する過程から広く県民参加を呼びかけ条例そのものに意見を反映させることが大切との考えで委員の意見が一致し、「条例案素案」作成の後、県内4箇所での「県民フォーラム」を開催(延べ830名参加)、事業所訪問や経済4団体との懇談会が開催されました。これらの取り組みや郵送等で寄せられた意見は401件を数え、現在はこの意見をもとに素案の見直しを調査会において行っており、12月定例会に議員提案による条例案を提出する予定です。
 この条例制定の取り組みは、私としては議会が県民参画による手法を重視し県民とともに意識改革を行いながら理念を共有する新たな取り組みであり、議会制民主主義(間接民主主義)の形骸化から生じる議会不信を少しでも解消し、実践し行動する議会として生まれ変わる一つの手法と位置付けて取り組んでいます。
 また、男女共同参画推進のために、条例素案では「家庭を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家庭の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員として役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすること。」とし、そのために県・県民・事業者に対して環境整備のための責務規程を設けていることは、県自らが残業を減らすなどの職場環境整備を率先して行うことを意味しており、条例制定後も自治労として重視して取り組むべき課題ではないかと思います。

4.知事不信任案への対応について
 6月定例会に県政会・政信会・県民クラブの3会派により知事不信任案が出されました。私の所属する社会県民連合としても私としても、首長の不信任には確固たる理由がいるが、不信任する理由がない。知事を支持するかしないかは今後の議会論議や知事の行う施策について県民が判断すべきことであり、不信任は県民に理解されないという立場で、他の会派の説得を行って来ました。しかし、この間の知事と議会との手法をめぐる溝は大きく、また、県政会は2月議会での「問責決議」以降、6月議会での「不信任案」の提出を前提として会派内の意思統一を重ねて来ており、会派の分裂を避ける意味でも、もはやまったなしの状態でした。
 不信任案提出が避けられない状況となり、しかも可決されることが明らかな情勢のも とで、社会県民連合として率直な論議を重ね、構成議員が一致した対応をすることを確 認するとともに、不信任案の提出そのものに反対の立場から、その議案のみを審議する 本会議には出席しない対応を行いました。
 しかし、この対応について「なぜ明確に反対討論をして反対票を入れなかったのか」 「欠席は県民に態度が見えず分かりにくい」などの批判を頂く結果となりました。また、県議会には6名以上の会派代表により構成する「各派代表会」があり、不信任案に対する対応が主にその中で審議されていたため「4会派が一緒になって社会県民連合も県政会と組んで一緒にやっている」との批判も頂く結果となりました。
 今回の不信任騒動について私としても率直に自分の対応の弱さも総括しながら、県民に分かり易い政治姿勢を追究していく決意です。

5.知事選結果と今後の方向について
 9月1日に行われた知事選挙は、田中氏の圧勝でした。この知事選挙は政策というより、不信任した議会が悪いのか、知事の手法が悪いのかを決する住民投票的性格をおび、田中知事の信任投票とも言うべきものでした。そしてそれは、議会がいかに民意とかけ離れた判断をしたかが問われる結果でした。
 長く続いた吉村県政のもとで、中2階である県政運営の民意の反映とは、市町村長や県会議員の意見を国の制度に照らして可能なことは尊重することであり、議員もまた小選挙区から選出され地元利害を中心に取り上げることが民意であり仕事であると思い、そのことが議会の体質となって染み付き、民意と違った「常識」を温存させて来ました。また、議員の日常活動や選挙に議員報酬以上にお金がかかることから、保守系議員を中心として地元利害や業界利害=献金等の利権構造が常識化していたのでしょうか。
 今回の選挙結果は知事を不信任とした議会の感覚が、県民から見て民意の否定と議会=利権との印象が染み付いていた結果だと思います。
 これまで私たちは地方議会を「民主主義の学校」と言い、議員は住民を代表し論議を尽くし提案される議案に是々非々で対応するものと位置付けて来ました。しかし、議会の総与党化は行政主導化傾向へと傾斜し、民意が尊重されない風潮を温存させる結果となりました。間接民主主義(議会)の機能が形骸化し国民(県民)主権が「議会主権」へと変質し、吉村県政から田中県政を選択した民意との「ねじれ現象」を起こしていたと思います。
 このことは国政に対する私の気持ちと同じです。
 私は今回の選挙結果を踏まえ、今後、形骸化した議会制民主主義(間接民主主義)が、いかに民意との「ねじれ」を解消されるのか真剣に議会改革に取り組むとともに、田中知事とも真摯に論議を尽くして行く決意です。
 具体的には、これまでも県民の視点から知事のトップダウンの手法に対し、「治水・利水ダム等検討委員会条例」や「公共事業決定のプロセスや事業評価にあたっての県民参加」の提案など「県民参加」を位置付けて来ましたし、「県財政緊急事態宣言」に対し県民の理解が得られる「財政健全計画」の策定を示すことを提案、また、県民にとって一番切実である景気・雇用対策を推進すめため全庁的に真剣に取り組む「産業活性化・雇用対策本部」を設置させて来ましたが、今後も知事の公約の検証とともに具体的な政策を提示し、是々非々の立場で積極的な論議を行ってまいりたいと思います。
 また、間接民主主義と民意との「ねじれ」の溝を解消し議会の信頼をとりもどすためには議会の情報公開の徹底や各派代表者会議と議会運営委員会のあり方の検討、男女共同参画推進条例制定の県民参加の手法を恒常化する取り組み、知事の公約した住民投票の手法を議会としても取り入れ、重要な選択課題を徹底した情報公開のもとに県民になげかけること、知事と議会の双方向の論議の場を設置すること等々、自治労の皆様からもご意見を頂き取り組みたいと思っています。
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