特 集                              2001.12.20
 
なぜ「行財政改革特別委員会」を設置したのか。
 
 12月議会では県議会に「行財政改革調査特別委員会」が設置され、議会として行財政の在り方について本格的な検討を行い、提案して行くことになりました。
 しかし、何故私がこの特別委員会の設置を提案したのか、その理由がなかなか議員の皆さんに理解いただけていないと思います。当初は私自身も、男女共同参画条例制定のための特別委員会を2月議会で設置しようという動きの中で、宮城県方式のように財政と男女共同参画条例制定のための2つの課題を「新みやぎ想像特別委員会」のような名称でスタートすることも考えていました。けれども、12月議会前に出した「県財政緊急事態宣言」の内容や介護慰労金の廃止など事務事業の見直し、「県政改革ビジョン」に掲げられている機構改革から予想される保健所や建設事務所、砂防事務所等の見直し、そして、それに対する知事の議会答弁などから、どうしても12月議会で行財政を議会として独自に検討する委員会の必要性を痛感したのです。
 今財政が苦しいのは、長野県だけではありません。なぜなら今日までの国の景気対策が地方に比重の多い公共事業対策を中心に行われ、そのために起債について後で地方交付税措置をする「有利な起債」制度を設け、箱物をはじめ地方自治体の公共事業を煽ったこと。しかし、景気はよくならずに逆に起債の内、地方自治体が負担し償還する公債費も増え、さらに事業を行う時や償還時に、これまで景気の良い時に蓄えて来た基金の取り崩しすをせざるを得なかったこと。そして、最近の景気の低迷により特に法人2税が自主財源である都道府県は税収が落ち込みダブルパンチとなっているのです。
 この点、知事が突然新聞広告を通じ出した「県財政緊急事態宣言」では、オリンピック、高速道、新幹線整備などにより県の借金が増え、起債制限比率が全国ワースト2位であることが強調されていますが、これの傾向は本県だけのことではないのです。また、このまま推移すれば「財政再建団体」に転落するとしていますが、全国の財政状況を見るとき起債制限比率よりもむしろ経常収支比率が悪い大阪府や東京都の方が危機意識に燃えており、一概に決めつけることは出来ません。
 むしろ危機感を持たなければならないのは、景気が低迷し法人2税が落ち込んでいることであり、そのことを強調すべきです。なぜなら、オリンピックや新幹線整備等は当時として県民が望んだことであり、それが国の公共事業対策とあいまって、県としても当時、財政試算を行いながら基金を取り崩し、借金をして行った事業だからです。昔のことを批判するよりも、むしろ田中知事が編成した平成13年度予算の税制収入が大幅に下まわっているという結果について、見通しの甘さや景気対策への取り組みの弱さを率直に認め、今後どうするのかを県民の前に提案することの方が問われています。私が財政が厳しいのは本県だけではないと主張するのは、これめでの国が進めて来た公共事業中心の景気対策を地方が受け入れ来たことや、毎年予算編成前に国が出す「地方財政計画」の甘さが大きな要因であり、こうした国の対応に対して地方自治体としても景気に対する認識を誤った結果だという認識が今こそ必要だと思うからです。
 知事は「県財政緊急事態宣言」で県民への不安を煽ると同時に、12議会答弁では長野県が「起債制限比率ワースト2位」から、いつのまにか「県財政は全国ワースト2位」と答弁するに至りました。しかし、全国的には、進んでいる都道府県は「財政危機宣言」を出す前に「財政健全化方針」などのプログラムを県民に示した上で、県民や議員、市町村長、職員との理念の共有を図りながら「緊急事態宣言」を行っています。地方自治体の財政や施策は、例えどんな人が前の首長であっても、新たに首長になった人の責任です。知事が真に長野県財政を健全化しようとするのであれば、人の責任にするのでなく、まず当初予算編成に対する自らの認識の甘さを認め、健全化に向けたプロセスを示すべきだと思います。
 「県財政緊急事態宣言」を受けて議長から提案した議員の歳費の削減案は、逆に知事はじめ特別職の給与削減とういう形でマスコミに発表されました。また、介護慰労金廃止等の事務事業の見直しが提案され、現に介護者からは「知事は介護者の言うに言えない痛みを知らないのでは」という声も私の所に来ました。でも介護者の痛みや議員歳費の3%カット等については個人の生活の利害が伴うだけに、突然の「緊急事態宣言」では多くの人が理解できないのでないでしょうか。つまり今回も知事の手法は、支持率を背景とした自分の「うけ」を狙った「保身」であり、県民に対する対議会としての構図作りとしか私には思えませんでした。つまり議会との喧嘩に一人一人の県民(弱者)を犠牲にしてはいけないのです。また、「この非常事態に、議員の歳費は3%で、なぜ知事は10%なのか」という問い合わせに、私は「知事には4年間で5千万以上の退職金があるが、議員には無い」と答えると、「それは知らなかった」という答えが帰ってきます。ですから客観的な話しは県民に伝わっていませんし、また、知事も「県財政緊急事態宣言」や給与のカットについて本当の事を語っていないのです。
 なぜ「行財政改革調査特別委員会」を設置したのか、その一つは以上のことで一定のご理解はいただけると思いますが、財政や機構の見直しは県民一人一人生活に多大な影響を与えることであり、突然に自分の「保身」から犠牲ならない対応をどうするのかということ。二つには、真の財政健全化と時代に対応した機構改革など、議会も行財政改革を調査提案することにより、議会としての県民への説明責任を果たすことです。三つには、特別委員会を設置し調査・検討するとにより議員の行財政改革に対する認識を深めタブー視されてきた傾向にある外郭団体への天下りや議会改革も含めてメスを入れるこどです。今後、委員会審議が本格化しますが、議会としても調査を通じ提案をする以上、自らの痛みを伴うことであり、議員としての「保身」や「既得権」も試されることであり、大変な論議になると思います。でも、今の時代、職員の皆さんも含めて、この試練をやりぬき県民とともに歩む県政を創るしか道はないのではないでしょうか。
 
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