最近ニュース                                           2000.2.22

 

田中知事が「脱ダム宣言」。その先は。

 2月22日の県議会開会を直前にして、田中知事は20日、突然「脱ダム宣言」を行いました。
 そして、予算査定を自ら行い一端は議会にその概要を説明しておきながら、下諏訪ダムを中止する予算の組み替えを伴う重大な発表を行ったのか定かではではありません。

 憶測では、新年度予算案に田中カラーが「造林業」以外に、顧問制度や各種事業へのディレクターへの報酬以外に余り目立ったことが出来なかったことから、査定を終えて以降、誰かに何かを言われたのではないかという噂もあります。 しかし、肝心なことは、「県民益」にとって「脱ダム宣言」により失われる課題(災害等の過去の歴史)について具体的な安全策を示した上での判断か。また、その対案は厳しい県財政の基で、揺りかごから墓場まで問われる県民生活への役割について、財政を圧迫し過去に過言を残すのではないかとうこと。ダム建設が環境や生態系にとってマイナスであることの理念は理解しつつも、これまで過去の災害や利水の教訓から対策を求めて来た市町村や住民との連携、そして県行政への信頼関係はどうするのかということ。100年後の環境を心配する理念があるのであれば、なぜ100年後にはダムを壊すという、ある意味で「しなやかな」提案が出来なかったのか。様々な「県民益」にとって重大な「影響がある」ことを考えなければならないと思います。

 アメリカの「今後ダムは作らない」或いは「ダムを壊すことも公共事業」という考え方が定着して来た背景には日本と違った経過もあります。それはダムの規模が莫大なものであり、塩害や生態系に大きな影響を与えて来たこと。インディアンの漁業権や生活権を大規模な農業や工業用水を引くために奪ってきた人種差別の歴史に対する反発。大雑把なダム工事によるダムの決壊などへの反省があり、徹底したダムの是非について流域住民との論議の歴史があります。
 日本の場合は、アメリカと比較しダムの規模は小さく、昔は発電のためのダムや洪水調整などの多目的ダムの建設により水没する集落への保障の問題や、渇水による漁業権や水利権が主な問題として指摘されて来ました。そして、明治時代に作ったダムへの対応や生態系や環境に対する影響、ダムそのものに対する反対運動が社会的に問題になってからの歴史はまだ近年のことだと思います。
 それよりも日本の場合は、ダムに限らず「公共事業の見直し」そのものが、長く続いて来た自民党単独政権のもとで企業との癒着や集票システム、官僚の大手ゼネコンへの天下りなどを生み出し、この利権構造を変革する国民世論が盛り上がって来ていることの方が、ダム論議の視点に強い傾向があると思います。
 私は「脱ダム」の方向を今後のありたかとして否定するものではありませんが、現実の状況を把握し冷静になって考える必要があると思います。
 つまり、今、国や県に求められることは限られた財政状況のもとで、国民世論の強い公共事業に対する利権構造を排除するシステム作りと、そのために党利党略で混乱している公共事業計画の中で、真に災害など要望の強い必要な公共事業を選択し優先するシステム作りの確立です。

 現在、知事が中止や見直しを表明している県内のダム計画は、どれも過去における災害の歴史や利水の確保など、地元市町村や県、国との検討の結果計画されたものであり、これまでの計画決定のためのプロセスに全ての住民への情報公開が行われたか、問題はあっても、これまでのシステム(旧河川法)の中で計画されて来ているのです。
 知事は「脱ダム宣言」の中で下諏訪ダムの中止について、「治水は堤防の嵩上げや川底の浚渫を組み合わせて対応する。」とし、議案説明ではその代替案を「ダムによらない治水、利水への対応について検討してまいります。」としていますが、もし、具体策が無いとすれば、また、その具体策がダム計画よりも莫大なお金がかかり、県の単独事業が強いられるとすれば、しかもダム中止が大仏や下諏訪ダム、浅川ダム、さらに全てのダム計画が中止されたとすれば、県財政は身動き出来なくなるでしょう。
 残された道は、100年後(将来)は「ダムを壊すことを含め」計画された事業に着手し、今後、長い時間をかけて「ダム以外の方法」を検討する手法。そして、流域の総合治水対策と河川愛護、市町村の施策と役割、住民の治水への参加を基本として、不充分な施策は国の補助制度(負担)を求めて行くことだと思いますし、そのことが住民参加を尊重した「しなやかな」手法であり、「弁証法」で言う「相互浸透」だと私は思います。

 具体的な代替案を示さず、ただ単に「脱ダム宣言」を行い、もし災害があった場合は、知事は保障も含め「責任」が問われます。
 私は、2月県議会において、こうした内容を提案を含めながら具体的に質して行く決意です。
 皆様からもご意見をお待ちしています。 
 

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