特 集

今後の県政に挑む私の姿勢について

2002/9/16


知事選挙の結果について

 9月1日行われた知事選挙で田中康夫氏が82万票余り(有効投票数の64.28%)を獲得し、長谷川敬子氏に41万6千票以上の大差を付けて再選されました。
 今回の知事選挙は県会3会派が提出した知事不信任案の可決を受けて、知事が議会解散でなく失職の道を選択し行われましたが、選挙戦は政策課題というより知事が正しいか県議会が悪いかの住民投票的性格をおび、田中知事の信任投票となりました。
 この選挙結果は県民が「数の力によって」「不信任案を押し切り」、県民の民意で選んだ知事を「自分たちの思う通りにならないからと」失職させたと判断し、こんどは議会を多くの県民が不信任にしたということであり、通常選挙とは言えこんどは来年4月の県議選で議員が今回の不信任への対応や、再選された知事との今後の対応について県民の審判を受けることになります。
 私は次回の県議選選挙についてまだ対応を決めかねていますが、私としても今回の選挙結果を受けて、議員としてこれまでの県政運営に係わって来た一員として、県政運営のあり方や民意の把握のあり方などを率直に総括し、形骸化した間接民主主義(議会制民主主義)をどの様に県民に信頼される機能に改革していくのか回答を出さなければならないと思っています。

議会と民意

 今回の選挙結果は、議会がいかに民意とかけ離れた判断をしたかが問われるものです。
 長く続いた吉村県政のもとで、中2階である県政運営の民意の反映とは、市町村長や県会議員の意見を国の制度に照らして可能なことは尊重することであり、議員もまたそれぞれの選挙区から選出され地元利害を中心に取り上げることが民意であり仕事であると思い、そのことが議会の体質となって染み付き、民意と違った「常識」を温存させて来ました。また、議員の日常活動や選挙に議員報酬以上にお金がかかることから、保守系議員を中心として地元利害や業界利害=献金等の利権構造が常識化していたのではないかと思います。
 今回の選挙結果は、こうした歴史的経過から知事を不信任とした議会の感覚が、県民から見て「民意の否定と利権を求める議員体質」からくるものとの印象が、染み付いていたものと私は思います。
 これまで私たちは地方議会を「民主主義の学校」と言い、議員は住民を代表し論議を尽くし提案される議案に是々非々で対応するものと位置付けて来ました。しかし、議会の総与党化は行政主導化傾向へと傾斜し、民意が尊重されない風潮を温存させる結果となりました。間接民主主義(議会)の機能が形骸化し国民(県民)主権が「議会主権」へと変質し、吉村県政から田中県政を選択した民意との「ねじれ現象」を起こしていたと思います。
 このことは国政での公共事業や郵政民営化、構造改革などをめぐる「族議員」の対応や、政治と業界の癒着、「政治とカネ」の問題などへの政治不信の高まりと、野党の毅然としない対応など、既存政党に対し無党派層が増大していることと比例しています。

 田中知事は選挙中「県政改革を夜明け前に再び、戻してはならないのです」と言った趣旨の訴えをしていました。この「県政改革」とは恐らくこれまでに知事が示した「県政改革ビジョン」の内容を指すのではなく、私が先に指摘した「歴史的に染み付いた常識の改革」を指しているのだと思います。「県政改革」とは何か、私自身あらためて目標を整理しておく必要を痛感します。しかし、私は前回の知事選挙で田中氏が選出されて以降、議会改革も含めてむしろ「改革」を推進して来た立場であり様々な提案も行って来ました。「県政改革ビジョン」の大筋は賛成ですし「染み付いた常識」の改革も議会改革を主種行って来たつもりであり、もともと「夜明け前に戻す」つもりなどありません。

議員と会派の目的とは

 今、選挙結果を受けて県政会は解散を決め、次期選挙をにらみながら様々なパターンの会派構成を模索し、3つの会派とどこにも所属しない無所属に分裂しました。その結果、現時点での県議会の会派構成は、県民クラブから公明党議員が別れたことも含め9つの会派と、どこにも所属しない無所属議員とで運営されることになりました。でも、私にはなぜ、どの様な規準で、どの様な目的で新たな会派が結成されたのか良く理解できません。
 この点、先に田中支持を打ち出し2名で新会派「無所属(無の会)」を結成した島田基正議員から挨拶状をいただきましたが、島田議員はその中で「無の意味は、もう一度原点に戻って、議員の役割、会派のもつ功罪等を既成の概念にとらわれることなく考えてみる、『無』からの出発を意味しております。」とし「全国にさきがけ、改革の幕が切って落とされた長野県、先進地としての誇りを持ち、県民の声に正しく反応すべく常に耳をすませて、県政の一翼を荷っていく覚悟です・・・」と言っています。
 しかし、会派を解散しても、いくつ会派を作っても何も解決しませんし何も変わらないと思います。問題は知事を支持し与党になるとか、今後も知事を認めないとか、会派を解散して責任をとるとか、その様な対応を多くの県民は求めているのではないと思います。今県議会や各議員に問われることは、県民のために、何を目的として会派を結成し、どんな「改革」を行うのかを明確にすることだと私は思います。このことは大会派でなく10人未満の会派が一時的にせよ9つ出来たということは、今後、会派の政治姿勢や政策提案能力が試されることを意味しており、この会派間の競争によって前よりは県民のためになると思います。

当面の私の提案課題

 私は今回の選挙結果を踏まえ、これまでの私の考えや活動の弱さを率直に総括し、今後、形骸化した議会制民主主義(間接民主主義)が、いかに民意との「ねじれ」を解消されるのか真剣に議会改革に取り組むとともに、田中知事とも真摯に論議を尽くして行く決意です。
 具体的には、これまでも県民の視点から知事のトップダウンの手法に対し、「治水・利水ダム等検討委員会条例」や「公共事業決定のプロセスや事業評価にあたっての県民参加」の提案など「県民参加と徹底した情報公開」を位置付けて来ましたし、「県財政緊急事態宣言」に対し県民の理解が得られる「財政健全計画」の策定を示すこと、県民にとって一番切実である景気・雇用対策を推進すめため全庁的に真剣に取り組む「産業活性化・雇用対策本部」を設置することを提案し、知事もこの提案を受け入れ実施して来たことも事実です。
 私は今後も議員や知事、職員の利害的発想でなく「何が県民益」なのか、どの様な方向に長野県を発展させることが県民の幸せにつながるのか、今後も知事の公約の検証とともに具体的な政策を提示し、よりより緊張関係のもとで積極的な論議を行ってまいりたいと思います。その当面する課題は、財政再建団体にしないための徹底した施策の見直しであり、その見直しの視点は地方分権を推進するために市町村に徹底して権限を移譲すること、新たな産業の育成と雇用の拡大、そして、徹底した情報公開と県民参加、県民の自治意識の拡大だと思っています。
 知事は選挙公約で多くのことを約束していますが、私は今の県財政は景気低迷の中で誰が知事になっても、全ての公約は達成できる状況にないと思っています。知事が即やらなければならない事は先にまとめた「財政健全化方針」を今後の景気動向をさらに何通りかのケースを想定して税収見通しを分析し、あらゆる事態を想定した支出削減策のケースを県民に示すことだと思います。また、議会と知事がまともに向かいあうことが出来なかったために起こった県政の混乱から一日も早く長野県が進むべき方向を示すことが求められていると思います。しかし、知事の示した公約だけでは今後の長野県は何を目指そうとしているのかが良く分かりません。「こわす」から「創る」というステージは公約の中にある「県民憲章条例(仮称)の策定」の様に、長野県が今後歩むべき基本的方向を条例化の前に広く理念を県民や議会、職員とともに語りながら、その中から県民の権利から自治への参加意識の高揚をはかって行くことに目標を置いたらどうかと私は思います。私の県政の目標は全国に誇れる「自治意識」であり、このことが政治の原点だと思っています。

議会改革

 最後に議会改革についても、この間の不信任劇や知事選挙の結果で明らかになった、間接民主主義と民意との「ねじれ」の溝を解消し議会の信頼をとりもどすために最善の努力をしたいと思います。
 特に「調査費」などの議会の情報公開の徹底や、調査費を活用した学識経験者からの提言、議会改革や政策提言のための第3者機関の設置、現在行っている男女共同参画推進条例制定のための県民参加の手法を恒常化する取り組み、知事の公約した住民投票の手法を議会としても取り入れ重要な選択課題を徹底した情報公開のもとに県民になげかけること、知事と議会の双方向の論議の場を設置すること等々、県民の皆様からも広くご意見をいただきながら取り組みたいと思っています。
 この約2年間、田中知事と向かいあった長野県議会は、全国の都道府県議会がまだ行っていない地方自治法で許された様々な議会機能を活用し全国に発信しており、不信任案可決と田中知事再選という結果を受けて率直にこれまでの議員個々の「感情」を総括することによって、どう前向きに議会改革に取り組むか個々の議員が考える姿勢を示した時、私は日本の形骸化した議会制民主主義を「長野議会モデル」として、全国の議会や国会に発信する姿となることを確信しています。
 皆様からのご意見をお待ちしております。
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