記者会見の内容

2002.6.13

治水・利水ダム等検討委員会答申に関する記者会見要旨

  1. 6月7日、治水・利水ダム等検討委員会が浅川、砥川の治水・利水対策について答申をまとめるにあたり、最終的に委員が起草委員会に提出した意見の数により決したことは、今後の検討委員会や部会運営に禍根を残したと言える。

      検討委員会はこれまでの審議を通じ、議会が提案し可決された条例の精神はトップダウンによる手法でなく住民参加を尊重しダムも含む治水・利水対策を検討する、河川法16条の2項に定める河川整備計画策定に関する市町村長や住民合意の手続きを補完するものであることが 理解されていたと確信していた。
      なぜなら、苦難の論議を積み重ねながら検討委員会と部会との関係についても「双方向」或いは「相互の流通を図る」ことが論議され各ワーキンググループや委員会、部会との関係が実際に細心の注意を払いながらそのように運営されて来たかである。
      また、宮地委員長もこうした論議や経過の中で「多数決はとらない」と明言してきたからで ある。

      しかし、宮地委員長が浅川、砥川の答申を一本化するため最後に判断した選択の基準は、起草委員会に提出された意見の数であった。このことは「採決」こそとらないものの「多数決」と同義であり、従来からお互いに細心の注意を払いながら運営してきた検討委員会と部会との 位置づけを否定したものととらざるを得ない。
      しかも、浅川、砥川の治水・利水対策について最終的な諮問書の論議が起草委員会のまとめた両論併記の審議が終わったところで、委員長案を出したこと、或いは起草委員会に提出した委員の文書を公開しないということは流域住民や県民にB案を選択したプロセスや理由、そして多数という判断材料をも示さなかったこととも同義であり、これまでの検討委員会の運営を通じ「長野モデル」としてきた会議の公開、資料の公開、住民参加などのプロセスをも否定したと言える。

      私達は条例を提案した県議会選出の検討委員として、また、それぞれの流域の部会長或いは部会委員として、これまで検討委員会の審議を通じて確立されてきた委員会と部会との連携を尊重し、そして浅川、砥川の部会審議を教訓としながら各流域における治水・利水対策の検証を、より市町村長や住民代表の皆様と率直に話し合いながら進め、流域住民の皆様に信頼を持っていただける方向を出すため今後も努力して行く決意である。
      しかし、今回の検討委員会が答申をまとめるにあたっての対応は、多くの県民から「脱ダム先にありきの人選では、はじめから結論先にありきではなかったのか」といった検討委員会に対する意見や、部会の特別委員からは「どうせ部会をやっても、検討委員会で数で決めるのだから意味がない。」と言った意見が寄せられるなど、県民に開かれた委員会運営や住民参加による真の治水・利水対策の検討に水を差す対応であり極めて遺憾であると言わざるを得ない。

      私達は今回の事態について、もう一度、条例の精神を検証しながら検討委員会においても検討委員会と部会の位置付けについて明確な検討を求めるとともに、住民参加の部会の在り方についても今後の部会審議を通じて検証していく決意である。

      また、公開されいない各委員が起草委員会に提出した意見についても、これまでの審議や資料が公開であることが「長野モデル」である以上、さらに事が流域住民の生命と財産に関することであり自らが述べた意見に責任を持つという観点からも、引き続き公開を求めて行くものである。

  2. 浅川、砥川の答申を審議した検討委員会では、その日の内に知事に答申するという報告はされなかったが、夜10時という異常な時間に答申は行われた。
      本来であれば各委員が意見を出し合い訂正した答申書の写しを、これまでの議事録公開の手続きがそうであるように全委員に配布し確認することが通常のルールだが、この日は異常であった。そして、そのために砥川部会の特別委員会から出されていた答申前の部会開催の要望を無視する結果となった。
      このことは、住民参加の部会との連携を軽視したものであり、今後の委員会や部会の運営、さらには河川整備計画策定にあたって禍根を残したものである。

  3. 私達は浅川、砥川の治水・利水対策の検討を通じて、ダムによらない代替案について検討し、結果として既に計画され一定の進捗をみている両河川の基本高水流量を下げる理由や、砥川における利水対策が不明確等の理由によりA案を主張しB案に反対して来た。
      なぜなら、両河川ともB案は基本高水流量を下げることが「安全度を下げることと同義」であり、ダムを造らない理由として基本高水を下げることに終始し、あげくの果てに災害が起きたら「我慢すればよい」では、県として管理する河川の管理責任を果たしたことにならず、住民の理解は得られないと思うからである。
      また、B案は基本高水以外に具体的な河川改修はどの様に行うのか、生命と財産はどの程度まで守られるのか、流域住民がイメージし判断できる明確なものとなっておらず、代替案となり得ないと判断したからである。

      しかし、検討委員会では数の論理によってB案に押し切られ、その日のうちに知事に答申された。
      この答申書そのものは残念ながら検討委員会を離れ、こんどは両河川の管理責任者(知事)の判断に委ねられた。つまり私達はB案が代替案となりえない以上、こんどは河川の管理責任を問う議会の場で代替案を検証するつもりである。

      それは一つには、B案が流域住民の生命と財産を守れるものであるか、流域住民が頭に描けるものであるかどうか。また、利水事業者が求める水を保証できるのかどうか。
      二つには、検討委員会で確認されている「国の認可が得られるもの」であるかどうか。また、国の認可が得られない場合は、河川管理者としてどう対応するのか。
      三つには、ダム建設の場合も市町村や流域住民への説明責任が問われたと同様に、ダムによらない河川改修等の事業も同様な説明責任が問われる。
      四つには、答申にはダムを中止した場合の業者補償、補助金の返還、代替水道施設の整備、災害が発生した場合の損害賠償等について、検討委員会としては「不明である」或いは「試算できない」「裁判所の判断による」と明確になっていない重大な課題があるが、河川管理者としては判断する場合責任が問われる。
      五つには、公共事業評価監視委員会に図らなければならないが、また、結論先にありきの人選を行うのか。
  等々である。

 私達は、県民の生命と財産を守ることが責務の第1と考え、以上の観点から今後も検証を行いながら知事に対しB案を選択しないよう求めて行く決意である。
以上


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