2002年5月のニュース

治水・利水ダム等検討委員会の浅川・砥川論議の問題点    2002.5.2   ▲戻る


 浅川流域を含む8つの区や用水関係者で組織する「長野市東北部道路問題懇話会」の総会が5月22日開催され、浅川等に関する検討委員会の論議が大詰めをむかえており、5月23日開催される検討委員会が山場であることから、これまでの論議経過と私の考えをまとめ総会に提出しました。
 この会は私が会長を務めており、総会構成地区や参加者にとっては切実な問題であることから、総会において参加者の率直な意見をお願いするため提出したものです。なお、急を要したため、全ての課題や問題点をまとめたものではないことをご了解下さい。
 以下は、提出した文書です
  1. これまでの部会や検討委員会の論議は、ダムを造らないために、基本高水を値切ることに集中した。しかし、浅川の「代替案」作成の経過で明らかな様に、公聴会時には基準点で330トン(既往最大相当、カバー率70%程度)としていたものが、基本高水ワーキンググループの検討の経過で350トンとなり、その後、また、330トンに変更された。

      また、この過程で財政ワーキングからの「河川改修単独案の具体的提示がないと試算が出来ない」「代替案が二転三転しているが、もう変更は無いのか」「責任が持てるのか」との要請により、基本高水は330トンで良いとしたが、土砂流出を防ぐための砂防ダムや流木を止めるための「施設」(スリットダム等)については、部会で論議していないので試算の対象からははずすこととなり、財政試算は( )付きとなった。

      さらに、検討委員会の論議の過程では代替案に対する財政試算が示されると、代替案に対して提案した側から「こんなに橋の架け替えは必要ないのでは」とか「もっと安い方法がある」との意見が飛び出し、住民の安全のための真の治水より、「脱ダムのためには数字あわせれば良い」という無責任な姿勢が明らかとなった。

      もっと言えば、前回の検討委員会に浅川部会に所属していた「浅川ダム建設阻止協議会」の山岸会長から出された要望書には「ダムなし案の河川改修案は多くの橋の掛け替えと流木対策、砂防堰堤などが提案されておりますが、このようなことが本当に必要なのでしょうか。」と指摘しており、このような主張は自ら「はじめから代替案は無かった」ことを認めることであり、「ダムさえ阻止すれば、目的は達成された」ということを明らかにしたことに他ならない。

     結局、基本高水の論議は何であったのか。
      それは、今となってはダムを中止するために考えだした方法論(理屈)としか思えない。
      つまり、「結論先にありき」の論議であり、代替案が無かったということは、真に住民の安全を守るという観点でなく、住民に不安をあおり、そのことによって自分の党に票が入れば良いとう党利党略に他ならないと言わざるをえない。
      「脱ダム宣言」は、本来その理念からしてダムを止める変わりに住民への安全を保障し、河川行政への管理責任を果たすことによって住民との信頼関係を前提にしているのではないのか

  2. 検討委員会や部会の設置目的は真の住民が安心できる治水・利水を、住民参加により検討することであり、基本高水を下げることが目的ではない。
    これまでの論議を通じて「代替案」が流域住民に信頼されるものでない以上、ダムを中止する場合は基準点での基本高水を450トン以上を前提として検討すべきである。そのことが結果的に流域の住宅密集地で河川拡幅が実現可能かどうか検証することも流域住民の安全のためには欠かせない課題であり、県の厳しい財政状況のもとで「不可能」ということではなく、財政状況は厳しいけれど「流域の安全を守るためには、何年後には整備します」という手法もあることを検討すべきである。

  3. 浅川はダム建設を前提として既に住民への計画説明や用地買収が行われ天井川の改修などの工事が終わっている。この段階に来てダムを中止し基本高水設定に根拠の無い代替案を選択することは、既に住民に説明して来た経過からも理解が得られるものではない。

      また、私の質問に対する国土交通省の「基本高水を下げることは、安全度を下げることと同義である。」「河川整備計画の認可にあたっては、目標とされる水準が、当該河川の重要性、所管地域内の他の河川とのバランス、近年の災害の発生状況等を考慮して設定されていることが判断の基準となっている。」との見解から見ても、同じ長野市の中心市街地に流れ込む裾花川の安全度との違い(較差)について浅川流域住民や長野市は納得できないことは明白である。

      しかも、「代替案」は基本的考え方で、断面が不足する場合(新たな用地買収を考えない)として、A計画高水+余裕高(60cm)が堤内地盤を越えるような場合は胸壁(パラペット)構造とする。B計画河床を下げて、断面を確保する。C護岸勾配を急(例:1割を5分)にする。とし、清水橋上流付近で20cmの嵩上げ、富竹大橋付近で20cmのパラペットによる嵩上げ、平成橋付近で既存護岸撤去と新設や河床下げ、浅川橋付近で既存護岸撤去と新設と、既に工事が完了している護岸の改良や嵩上げ橋梁の掛け替えなどが含まれており、もし代替案が完成すれば流域住民は「なぜこんな構造の川になってしまったのか」嘆く結果となる。
      さらに、橋梁の掛け替えは国の事業認可を得て既に工事が行われている都市計画道路「東豊線」の橋梁構造にも影響を与えかねず財政的にも現在試算している以上の額をもたらす結果ともなる。

      この代替案が国の認可を受けることが出来るのか、この点について国土交通省は私の質問に対する河川整備計画の認可にあたっての見解を示した上で「県が作成した河川整備計画の案が、国へ提出された段階において、判断する」としており、大熊委員は「認可に耐えうる内容であり、国自身がダムを中止している中で、認可せざるを得ない。」としている。
      この点について県は「長野県の河川だけがカバー率を下げて基本高水流量を下げることは、地域住民の生命、財産を確保するためには合理的な理由がない限り許されない」とした上で、県単独事業で実施する場合も「国の認可は得なければならない」としている。
      基本高水の設定や河川改修の根拠が明確でない「代替案」を知事がもし選択し職員に国の認可を求めるよう指示したとしても、河川整備計画策定に必要な長野市長や豊野町長の了解は得れないし、それを強行したとしても将来的には訴訟問題に発展する可能性がある。  

      問題はお金が高いか安いかではなく、流域住民の災害からの不安を解消するため安全をどの様に確保するかであり、その意味で住民に信頼される河川行政であるか、県の河川管理責任が問われる。私の質問に対する国土交通省の見解は「そもそも、河川管理者としては、損害賠償責任を問われることのないよう、適正な河川整備に努めることが第一義的に重要であると考える」としている。

      ダムを中止した場合の国への補助金の返還等については、五十嵐委員は知事の公約、議会の条例、全国のダム中止、委員会や部会による公聴会や住民参加の手法、新河川法などの精神からすれば「合理的理由があり」、公共事業評価監視委員会の議を経れば問題ないとしている。
      しかし、部会が住民参加といっても結果は、砥川も浅川も部会報告は両論併記であり、結論が出ていないし、新河川法の精神とは言っても県や国の河川の管理責任、市町村長の同意、広聴会等の住民意見の聴取、環境への配慮は一体のものであり、公共事業評価監視委員会の検討も、これらを総合して客観的に行われるべきことである。
      知事が結論先にありきの委員を公共事業評価監視委員会の委員に任命したとしても、代替案が流域住民の安全を確保する上で耐えうるものであるのか。県の河川管理責任を果たし将来的にも訴訟等の問題に耐えうる内容なのかどうか。等の客観的な検証が問われることとなる。
      その場合、仮に国の認可が得られない改修案が監視委員会にかかった場合、監視委員会そのものの真価が問われることとなる。

東南アジア経済事情地方行政視察について    2002.4.5   ▲戻る

公開資料

 吉田博美参議院議員(元県議会議長)が議長当時に行った海外視察について旅費の返還命令が出され、また知事が5年前に遡って議員の海外視察の調査を監査委員会に命じるなど、今、議員の海外視察の是非や在り方が問題となっています。
 私も昨年の5月13日から17日の5日間、一期生議員5人で「東南アジア経済事情地方行政視察」に参加しました。そして、この視察についても「観光に終始した公務制のない視察」として長野中央法律事務所の内村修弁護士等から県監査委員会に対して「旅費全額を長野県に返還するよう請求する」監査請求が出されています。
 私は「公務制のない視察」とは思っておりませんし、もしそうした視察であれば長野市議会の時に起こった様々な視察の在り方の教訓から参加しませんでした。
 私が参加した視察は公費負担20万円を限度として、特に東南アジアに事務所をかまえる駐在員が派遣されている国で、その現地駐在員の役割や県内経済への貢献などを調査するもので、私としては議会の常任委員会や決算特別委員会が東京事務所や大阪・名古屋事務所を調査するときと同じ役割を感じていました。また、議員である以上、そうした現地の事情を知っておく必要がありました。
 行き先や調査内容を決める時も参加者5人で話し合い、県人会との懇談・現地NGOの調査・県内進出企業、タイで反対運動が起きて中止となったパク・イン・ダム等、視察の目的等を話し合い決めたものです。しかし、現地との調整の結果、ダム視察ともう一つの企業については受け入れ体制や距離が離れすぎているなどの理由で実現出来ず、調査が一日の結果として偏ってしまったものです。
 今後、参加者の事情徴収等を行った上で監査委員会としての最終的な判断が行われますが、私としては監査委員会の判断に従うつもりです。
 なお、参考に下記の皆様から出されました「公開質問状」について回答した内容を公開致しますのでごらん下さい。
藤本文喜 様   2002.5.5


県議会議員 竹内 久幸


公開質問状に対する回答について


 藤本様ほか7名の皆様から質問のありました「東南アジア経済事情地方行政視察」(タイ・バンコク)について、以下の通り回答致します。


  1. 費用について
    タイへの「東南アジア経済事情地方行政視察」に20万円、の県費が支出されています。
    この海外旅行にかかった費用の明細を明らかにして下さい。

    答え=経費は257,000円と、プラス国内移動旅費及び12日の宿泊料ですが、必要であれば正確をきするため議会で情報公開を行っていますので請求して下さい。


  2. 日程について
    タイ旅行の5日間の全日程を公開して下さい。

      答え=
      日程は5月13日から17日の5日間
      内訳は
       12日 夜・成田宿泊
       13日 成田より移動
       14日 バンコク県駐在所/JATR事務所/ドゥアン・プラティープ財団/スラム街/
                     キッツ・タイ工場/長野県人会との懇談
       15日 水上マケーケット/ナコンパトム/ウメラルド寺院等
       16日 アユタヤ遺跡/パイパン遺跡/長野県経済人との懇談等
       17日 帰路

      なお、必要であれば正確をきするため、議会で情報公開を行っていますので請求して下さい。


  3. この旅行が、県政にどのようにいかされたのか、説明して下さい。

      答え= 
     視察の目的は、私としては議会の常任委員会が行う現地調査や、国内の大阪・名古屋・東京事務所調査同様、ロサンゼルス・ディセルドルフ・香港・上海などの海外駐在事務所の役割と経済事情について調査するためバンコツク視察に参加した。
    「観光ではないか」と言われますが、タイの政治・経済状況や長野県企業の進出状況と苦労、バンコク駐在員の仕事と役割などについて勉強になり、県政を理解しチェツクする貴重な勉強となった。
     タイで日本企業及び長野県の企業が進出し健在であるのは、労働者の低賃金が低いというだけでなく、1997年の経済破綻の中でも欧米が撤退したのに対して日本企業は撤退しなかったこと。日本企業の人材育成などによって部品加工などの産業が集積されて来ているなど、日本企業がタイ国内において蓄積してきた信頼関係にある。
     しかし、こうした人材育成や部品加工などの蓄積は、長野県内からタイに進出しているキッツの例の様に、私が帰国して数日後に諏訪工場を閉鎖しタイに製造拠点を移す報道がされたように、県内の工場が縮小または閉鎖され東南アジアへ移転される傾向が強くなると痛感した。このことは県内の雇用縮小と景気の悪化を必ずもたらすこととなる。
     2001年度の県内景気はIT産業を中心に落ち込みが激しくなり、それにともない県財政の税収見込みも大幅に落ち込み、「県財政緊急事態宣言」をするに至った。この事態は県内大手企業が東南アジアを中心とする地域に生産拠点(タイだけで43社)を移していることも、県内産業が空洞化し雇用の減少や消費の低迷を招いている一因と言える。
     そこで私としてはタイ視察を教訓として県内の景気低迷の原因究明と財政の健全化を目的とした県議会への「行財政特別委員会」の設置を提案した。
     また、県内の厳しい雇用情勢に対する具体的施策や、新たな産業の創設に向けて県として短期・中期的視点で県民に具体的に姿勢と施策を示すため、知事に対して全庁的な「景気・雇用対策本部」の設置を提案し「産業活性化・雇用創出推進本部」として設置され活動が開始された。
     さらに、駐在員事務所の在り方については、これまでの県内企業への情報提供や進出への支援から、逆に例えば観光客の長野への誘客等に方向転換することは出来ないかなど、見直すことについても取り組みたいと思っている。
     私にとって、他にもバンコク視察で得たものは大きく今後も議会活動にいかしたいと思っている。


  4. 選出された選挙区の有権者に、事前と事後にどのような説明や報告が、何時されましたか。

    答え=
     事前・事後とも県政懇談会や研修会で行っている。


  5. 偶数期・奇数期で金額・行き先を決めるなど、「県政の必要性からの海外視察ではないのではないか。」という県民の声がありますが、どう思われますか。
     また、慰労的、観光目的と指摘された場合には、税金の自主的な返還の意志はありますか。

     答え= 
       偶数期、奇数期の分類は過去どの様に決めたか分からないが、私は3で述べた通り、議会の常任委員会が行う現地調査や、国内の各事務所調査同様、海外駐在事務所の役割と経済事情について調査するためバンコツク視察に参加した。
       目的を持った視察であり、慰労や観光とは思っていない。


  6. 県議会では3年間凍結となっていますが、これは、今までの海外視察旅行に問題があったからだと思います。従って、今後は、県民の税金をつかった海外視察を行う場合には、各議員の必要性に応じて計画されるべきと思いますが、今後のあり方についてお考えをお聞かせ下さい。

      答え=
       監査委員会から旅費の返還を指摘された事例があったことは残念である。
    厳しい経済状況や視察目的の透明化などを考慮して、私としては会派の中で「当面、凍結」を提案した。
     その後、議会運営委員会の検討会議の中で3年間の凍結が決まった。
       今後、視察目的や必要性について、さらに透明化や具体化が図られると思う。
       以上


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