浅川問題に関する討論を行いました。

2007/7/10

 6月21日に開会した6月定例県議会が、7月9日閉会しました。
 この議会に県は、減災対策として浅川の治水対策に関し、流域住民の生命・財産を守る治水対策として、治水専用ダム(いわゆる穴あきダム)の概略設計や模型実験を行う費用、1億7600万円の補正予算を計上しました。
 代替案の無かった「脱ダム宣言」から6年、様々な論議がありましたが、村井知事となり、「ダムあり」から「ダムなし」まで、「全ての選択肢をテーブルに上げ検討を行った結果」とする河川整備計画案が出されましたが、私は最終的にこの案しかないと思っており、国の河川整備計画の早期認可と早期着手のためにこの予算案を歓迎していました。
 しかし、これまで「基本高水流量は過大」とか「ダムは危険」として反対して来た共産党議員や田中チルドレン議員の皆さん(11名)は、「浅川の氾濫等で家屋の水害はない。危険箇所の整備はさらに進み、治水安全度は格段に高まっている。」などとして、提案された補正予算を削除するよう修正案を提出しました。
 私としては、前知事が改正された河川法の住民参加の精神を理解せず「脱ダム宣言」を行い、一方的に災害で苦しんだ各流域の住民の痛みを無視したため、住民参加により治水・利水の在り方を検討する「治水利水・ダム等検討委員会条例」を提案し、その後も、この問題について深く係わって来たことから、最近になってこの条例に反対した皆さんが、今回の河川整備計画の認可申請の手続きが、新河川法の精神である「住民参加」の在り方からして間違っている様な発言が、苦になったことから、この6年間は一体何であったのか知らしめるために、修正案に反対の討論を行いました。

 議会閉会後の記者会見で村井知事は記者から討論の感想を聞かれ、「合計6人の方がご意見を開陳された訳でありますけれども、それを拝聴していまして、改めて竹内県議が発言されたこと、非常に何と言いましょうか、流域の住民として、またこの問題に非常に関わりの深い長野市選出の県会議員として、長年この問題に関わってこられたお立場で、非常に尽くしたご発言だったという思いをして伺っておりました。まあ我が意を得たと言うと、他の賛成のご議論をなすった方が、それほどでないのかと言われたら困りますけれど、そうではなくて尽くされたご発言だったなという思いであります。」と感想を述べていますか、私が討論に加わったのは、長かったこの6年間を総括し、私なりに今議会でこの問題に区切りをつけたかったからです。
 概ね5分間という制約の中で、言い尽くせないことが沢山ありますが、不十分な点はお許し下さい。

竹内久幸の本会議での、浅川の治水対策に関する討論

 原案に賛成、修正案に反対する立場から討論を行います。

 浅川の治水対策は、地域住民の強い要望の下、昭和40年代から調査・検討を開始し、多くの検討や地域との協議の結果、昭和52年からダムによる洪水調節を前提として河川改修事業が開始されました。
 また、その後、この河川改修工事と平行する形で、平成12年に、浅川ダムの本体工事発注となったわけでありますが、平成13年2月、「代替案はある」として公表された、田中前知事による「脱ダム」宣言により、本体工事契約は一方的に解除され、「ある」とされた代替案を探し求める、長い、長い旅が始まったわけであります。
 この検討の始まりは、議員提案により設置をされた長野県治水・利水ダム等検討委員会条例による委員会や部会での審議であったわけですが、残念なことに「まずダムに依らない治水を検討する」とした田中前知事の意向により、いわゆる「脱ダム派」を中心とした人選となり、結果的には、流域住民の安全を値切り、「基本高水を切り下げ河川改修で対応する」との答申を強行しました。
 しかし、この答申を受けた前田中知事は、これでは到底、国の認可を得られないことから、いわゆる「枠組み」と呼ばれている、基本高水流量を毎秒450立方メートルとしながらも、その8割を河川改修で、残りの2割を水田貯留、ため池、遊水地等の流域対策で対応するとの「案」を示しましたが、定量化や治水効果の担保ができないなど、実効性のある治水対策にはなり得ませんでした。
 その後も、遊水地案や放水路案など長い年月をかけ、多くの案が世に出されましたが、結果的に、経済性や技術的な確実性の面から、国の認可が得られるような治水対策案が出されないまま、浅川沿川の住民は6年近く放置されてきたわけであります。

 ダムに反対して来た皆さんからは、浅川の上流、中流域では水害が発生したことがないから治水対策の必要性はなく、また、ダム建設予定地には、活断層が通っていて、ダムを建設することによって、さらに巨額な地すべり対策費が必要になると言ったような発言が聞かれます。
 まず、水害については、必ずしも浅川本川の破堤・溢水だけではありません。浅川の水位が上がってしまうことに起因する、浅川の中小の支川の氾濫もあるわけです。
 また、浅川の治水対策は、長い災害との戦いと共に改修工事が行われ、今日に至っており、その改修工事の甲斐があってこそ近年では確かに水害が減っておりますが、水害の常襲地域である私の地元の皆さんは、歴史的な水害への痛みから、何時来るのかもわからない水害に絶えず怯えており、今だに治水対策が行政要望への多くの部分を占めています。
 私もまた、こうした実態から、豪雨に見まわれるこれからの時期は、常に自分の車の中にカッパとゴム長を入れており、多くの各地域の役員さんが豪雨の度に河川を見廻わっている姿を思えば、こうした流量観測に関しても、都合の良い数字だけ並べて基本高水流量は過剰であると言ったような無責任な発言に対して、激しい憤りを感じざるを得ません。

 つぎに、ダムの地質の問題ですが、私は、治水・利水等検討委員会の浅川部会の折りに、過去に浅川ダム建設は危険として設置された「浅川ダム地すべり等技術検討委員会」の委員長とお会いしお話を伺いました。その時、私からの「反対している皆さんの主張について、自信を持って安全と言えますか」との問いに、「私達は土木工学も含め安全と判断した。地質が1ミリでも動けば危険と主張すれば、世界中どこでも構想物は出来ない。こうした主張を繰り返していれば、論議はいつまでも平行線であり結論を得ることは出来ない。反対が目的化しているのではないか。」との答えが帰って来ました。
 私は、「浅川ダム地すべり等技術検討委員会」の議事録も読み、断層や、地すべりに対しては、非常に詳細な検討が行われており、この間のダムに反対する皆さんの主張の中で、新たに危険とし判断出来る新事実はなく、今後検討すべき要素はないと思っています。 前知事の行った「脱ダム宣言」以降、私はこの問題に深く係わって来ましたが、特に浅川問題については、反対する主張は、様々な検討内容や県からの技術的な説明に一切耳を傾けないで流域住民に対し不安を煽り「反対のための反対」をして来たのではないかと思い、その姿勢に非常にむなしさを覚えています。

 さらに、このダムの問題は、治水行政と住民の関わり方、住民参加のあり方という側面も問われています。
 しかし、改正された河川法の住民参加の手法に対し、県民参加を無視し一方的に行われた前田中知事の「脱ダム宣言」に対し、議員提案で対象河川の流域住民の部会や住民参加を規定した「治水・利水ダム等検討委員会条例」に反対し、しかも、今日に至っても、その事実を明らかにせず、「自分たちこそが、住民参加」を実践しているかのような主張をしていることに、私は現在の住民自治と参加のありかたについても、空しさを痛感しています。
 住民参加のためとして設置された流域協議会についても、浅川においては、田中前知事が「住民参加」の名を借りて、結論を住民に丸投げし、何度開催しても賛否の意見の言い合いとなり、一層流域住民の対立を煽り、結論を先延ばしすることになりました。
 私は、以上の経過から、「ダムあり」から「ダムなし」まで、全ての選択肢をテーブルに上げ検討を行った結果とする、今回の河川整備計画を、我々、住民の生命・財産を守るために、河川管理者として県が責任を持って行うことは当然であり、一日も早く実現して欲しいと願うものです。また、概略設計等を通じ、現段階で払拭しきれていない治水専用ダムに関する課題を、一日も早く、具体的な形で地域住民に示し、理解を得る努力をすべきものと考えます。
 また、今回の整備計画には、内水対策について最も効果のある排水機場の増強が盛り込まれており、その一刻も早い完成を求めるものですが、遊水池については、地権者への対応や、効果ある場所への決定等には更なる検討に合わせ、地元の協議も必要であり、慎重な表現にならざるを得ないと思いますか、一日も早い具体化を願うものです。

 従いまして、今県会提出の浅川に関する補正予算に賛成するとともに、修正案に強く反対するものです。
 私の意見に対し、多くの良識ある議員の皆さんへ賛同をお願いし、討論と致します。