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治水・利水・ダム問題コーナー

こんどは治水対策で誘導調査
     その中で浅川の治水対策を勝手に結論付けてしまった。
2005.6.20

 5月11日、「北陸新幹線長野県沿線広域市町村連絡協議会」の定期総会があり出席しました。その中で「北陸新幹線建設時(長野車両基地建設時)の確認書のダムに関する事項について誠意をもって協議し、早急に適切な措置を講じること」を内容とする決議が行われました。

 この協議会の「沿線」とは、県内で新幹線が既に開通している市町村(軽井沢町、佐久市等)、今後開通予定の市町村(中野市、飯山市等)、そしてそれらの周辺市町村、合計で40の市町村を指し、協議会はこれらの市町村と議会等で構成されています。

 田中知事は、この「決議」に大いに不満(不安?)を感じた模様で、6月2日付けで構成40市町村に対し「公開質問状」的なアンケート調査を行いました。これには多くの問題が含まれています。

 1点目は
 地方分権によって国も県も市町村も対等だとされています。しかし財政面、許認可、県事業の実施などを通じて、依然として県は市町村に対して強い影響力を持っています。そのような力関係が存在する中で、県知事が市町村長に対し今回の様な政治的なアンケート調査を行うという行為自体が理解出来ませんし、知事の求める意図に反した回答を行った場合の「仕返し」を恐れる作用が市町村長の意識の中に働く場合もあり、客観的な調査とはなり得ないものです。

 2点目は
 さらにアンケート調査の内容たるや、誇張や欺瞞に満ち、都合の悪いことは一切書かないといった、ひとりよがりの設問となっています。とても県民に責任を負う公的機関が考えるような内容ではありません。この点については後で各設問について指摘しますが、誰が考えた調査内容なのか、組織的にきちんとチェックし公式見解なのかといった点は、6月23日から始まる議会を通じて検証する考えです。

 3点目は
 新幹線車両基地の建設に際して地元長沼地区と交わされた「確約書」では、浅川ダムの早期建設が条件となっています。その後田中知事は「脱ダム宣言」を行いましたが、「治水安全度1/100、基本高水450トン」に対応可能な、ダム以外の治水対策を行うと公言して来ました。
 しかし、今回のアンケート調査の中で、突如その約束や議会答弁、流域協議会での検討経過を無視し、ダム代替案にはまったく当たらない「千曲川の改修」と「より実効的な内水対策」を行うと公言したことは、大方針転換を発表したこととなります。
 このことは、これまでの時間や費用をかけた賛否両論が対立した検討経過はいったい何の為に行ったのか、全てを否定しかねない重大問題です。

調査への市町村長の反応

 最近調査結果が県のホームページで公開されましたが、その中で「県が進める『ダムに拠らない治水対策』等に対する忌憚なき認識を伺いました。」としてますが、先に問題の1点目で触れた指摘の言い訳にすぎません。
 その証拠に、回答した市町村が数が40の内34ですが、その中には16項目中2項目のみ回答した市町村長が2(須坂市・中野市)、16項目中1項目のみ回答した市町村長が4つ(上田市・東御市・千曲市・真田町)あり、他の項目に回答出来ない理由として「適当な選択肢がないので回答は控えさせていただきます」等が4市町村ありました。
 また、全てに「回答できない」等とした市町村長は6つ(長野市・佐久市・御代田町・立科町・坂北村・信州新町)ありますが、長野市長は回答はしていませんが全ての設問に反論を行い、他の市町村もその理由として「調査の本旨が何を目的としているか理解に苦しみます。」(御代田町)、「調査の内容には、疑義を感じますので、ご辞退申し上げます。」(信州新町)と指摘しています。

 今年3月、県の松林憲治経営戦略局長名で発表された「平成16年度 県政世論調査」が、堅実な県政運営を推進する上で客観性が何よりも問われる中で、過去の質問項目が大幅に変えられ、設問内容が知事を正当化するの「誘導調査」ではないか等、マスコミに報道されました。
 また、この18日に行った県議会の政策課題研修会で講演頂いた宮城県の事業評価へ県民満足度調査を位置づけてきた東北大学大学院教授は、この本県の「県政世論調査」の在り方について率直に疑義を指摘しました。

 そして、今回の「治水対策調査」は、結果的にも何の目的で行ったのか、沿線市町村長が「忌憚なき認識を」率直に県に「申し上げる」内容でなかったと結論付けざるを得ません。 私が聞いた首長の中には「回答を拒否したい」と言っていましたが、知事の仕返しを恐れ最終的には回答した人や、設問の誘導性を痛感し、ほとんど「わからない」で回答したという首長がありました。

 この様に、この調査は北陸新幹線早期開通という市町村長にとって否定出来ない課題を逆手に取り、自らが浅川ダムを中止しておきながら、代替案を示せず、その結果用地買収が遅れていることに対する責任逃れと受け止められ、設問したこと自体が知事の責任に転嫁されることとなると思います。

 また、県のHPのトップは知事の「個人的なページ」と指摘する人が多々いる中で、この調査結果がトップに掲載されていますが、内容的には印刷出来ない箇所があるなど、情報公開の在り方も疑問視する指摘もあります。

 なお、回答された市町村長の各設問に対する数字は、下記に記載します。


「本県の治水対策等への御認識に関する調査」の依頼文

 田中知事名の「本県の治水対策等への御認識に関する調査」の依頼文の内容は、次の通りです。

 ◆◆◆ 依頼文 ◆◆◆

 日頃より北陸新幹線建設促進に向けて御尽力いただいておりますことに、深く感謝申し上げます。長野県は同新幹線の整備を重要なプロジェクトと位置付け、早期完成を目指して国、沿線市町村の皆様に御理解をいただきながら、今日まで進めてきております。
 去る5月11日に開催されました北陸新幹線長野県沿線広域市町村連絡協議会定期総会において「北陸新幹線建設時(長野車両基地建設時)の確認書のダムに関する事項について誠意をもって協議し、早急に適切な措置を講じること」との長野県へ向けた決議がなされたと伺いました。40市町村と広範囲に亘り、同協議会の会員であられる皆様が、長野県が進める治水対策等をどのように認識しておられるか把握させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
  ○市町村長様自らの率直なご認識に基づいて御回答下さい。
  ○御回答は情報公開の対象となります。
  ○別紙の調査用紙に直接御記入下さい。
 (提出は6月10日(金)17時までにFAXで回答するよう要請)

【私の考え】
 依頼文書には協議会の会員が県の治水対策をどう認識しているか把握するためとありますが、なぜ「把握」する必要があるのか、この依頼文書にはきちんと記載されていません。
 公的機関が行うアンケート調査ならば、何のための調査なのか、きちんと説明する必要があると思います。


アンケート調査の内容と、私の考え

 以下、具体的に、田中知事が行ったアンケート調査の内容が如何に適性を欠いた調査であるか、さらには内容が如何に無責任か、私の考えを皆さんにお伝えしたいと思います。

 ◆◆◆ アンケートの内容 ◆◆◆

本県の治水対策等への御認識に関する調査
                       市町村名
                       御 氏 名

※ 市町村長様自らの率直なご認識に基づいて御回答下さい。
※ 御回答は情報公開の対象となります。 
※ 各設問とも、1つだけ○を付けて下さい。
※ 全ての項目に漏れなく御回答下さい。
※ 調査用紙4枚のみをFAXでお送り下さい。
(送信票等は不要です。)

《設問1》
  かつての浅川ダム計画に関して、多くの県民の方々から地質上の不安や計画数値への疑問が提起されていたことをご存じでしたか?
《選択肢(回答数)》

  @知っていた(20)
  A知らなかった(8)

【私の意見】
 「多くの県民」としていますが、およその人数とか、流域住民の何割ぐらいを占めていたのかといった数値的な説明を示すべきなのです。つまり、田中知事の主観で「多くの」としているのであり、行政が行う調査としては客観性にほど遠い設問になっています。

《設問2》
  浅川ダムの工事中止後、県議会での議員提案により条例設置された「長野県治水 ・利水ダム等検討委員会」において、平成13年6月25日から翌14年6月7日までの 約1年間、浅川の治水対策に関する精力的な議論がなされましたが、その内容をどの程度 ご存知ですか?

  @詳細に知っている(1)  
  A報道解説に載った程度は知っている(21)
  B結論(答申)のみ知っている(3)
  Cほとんど知らない(3)
  D全く知らない(0)

【私の意見】
 「長野県治水・利水ダム等検討委員会」の審議内容を知っているかどうかということと、新幹線の決議がどういう関係があるというのでしょう。田中知事自身、検討委員会での審議内容をどの程度知っているのでしょうか。検討委員会委員として、多くの時間を委員会や部会の審議に捧げた者としては、一度、知事の知識の程度を議会の場でテストさせてもらいたい衝動にかられてます。例えば「大熊委員が『基本高水を下げれば安全度も下がる』という趣旨の発言をしたことを知っていますか?」などと。


《設問3》
  平成14年6月7日に出された検討委員会答申は、浅川の治水対策として「ダムに拠らず河川改修単独で行うべき」とし、基本高水流量も当初の計画より下げるべきとする内容でしたが、県では、「ダムに拠らない」方針とともに、基本高水流量に関しては一定の再検証期間を設ける方針を決めています。このことをどうお考えになりますか?

  @答申に完全に従うべきであった(0)
  A答申は完全に無視するべきであった(0)
  B当時としては現実的な選択であった(13)
  Cわからない(14)

【私の意見】
 浅川部会は賛否両論併記であり、それを受けた検討委員会の答申は、知事が先に結論ありきの姿勢で任命した「脱ダム御用学者」が、理屈ではなく「数」で無理矢理押し切った強行採決で出したものです。
 その際、私の「国の認可を得られないことをやるのか」との問いに、答申を主導した五十嵐委員は「法律に違反することはしない」との返答を行ったと記憶しています。
 つまり、基本高水流量を下げれば国の認可が得られないので、理屈無視で無責任な数による答申に困った県が、ダム計画と同じ450トン(最下流)の基本高水を堅持した上で、再検証期間を設けると言わざるを得なかっただけなのです。
 また、「基本高水流量を再検証するにはどれくらいの期間が必要か」と検討委員会で質問したところ、県は「再検証期間は最低10年必要」との見解でしたが、その後、いつのまにか5年とされたことの理由が私には未だに理解できません。

《設問4》
  浅川などで「ダムに拠らない」方針を打ち出したため、県議会では知事不信任決議案が可決されましたが、これが実質的な争点となった14年夏の知事選では田中知事が再選されています。こうした手続きを踏まえての「ダムに拠らない」方針は多くの県民、国民に支持されていると、長野県は考えております。貴方はどうお考えになりますか?
《選択肢(回答数)》

  @この方針は支持されている(4)
  Aこの方針は支持されていない(0)
  Bわからない(21)
   その他(3)

【私の意見】
 「知事選では田中知事が再選されています。こうした手続きを踏まえての『ダムに拠らない』方針は多くの県民、国民に支持されている・・・」としていますが、「選挙で勝った=その人の言動が全て認められた」という理屈は通りません。当時の選挙公約「5直しと8つの宣言」「『こわす』から『創る』ステージへ」で掲げた「総合的な治水」、「「『脱ダム』債」の新設、「長野県市民憲章条例(仮称)」の策定、「常設型の住民投票条例」の制定等々、今だ実行していない事は、どう説明すれば良いのでしょうか。この設問の作者はそんな簡単な道理もわからないのかと、情けなくなります。
 また、私の会派は時期尚早と判断して知事不信任の採決には欠席し、その後ご批判も頂戴しましたが、不信任は脱ダムにではなく、議会を軽視するなどの知事の姿勢・資質や拙い県政運営に対して行われたものであるにもかかわらず、それを無理矢理「ダムか脱ダムか」に結びつけ「実質的な争点」と断定した言い方は「代替案がある」とした当時の約束を今だ実行しないで現在に至っている事の本質をごまかしています。
 私は当時、マスコミの「ダムか脱ダムか」の論調に対しても、一つの流域の治水対策を全県的に判断を問う選挙の争点にすべきではないと主張して来ました。なぜなら、一つ一つの流域には、その流域住民にしか分からない災害の歴史や痛みがあるからです。
 なお、田中知事が自ら出している調査で、自分のことを「田中知事は」と書く神経はいかがなものでしょうか。

《設問5》
  平成15年8月には、流域にお住まいの皆様と行政とがともに浅川の治水を考える場としての「浅川流域協議会」を発足させ、多くの住民の方々に自発的にご参加いただいて、浅川の「ダムに拠らない」治水対策を具体化し、河川整備計画策定に向けて検討を進めています。県民の皆様とともに治水を考え、進めていく方針をどうお考えになりますか?
《選択肢(回答数)》

  @望ましい方針である(16)
  A望ましくない方針である(0)
  Bわからない(12)

【私の意見】
 私が考える「治水への住民参加」は、流域住民の意見や提案とともに、河川管理者である県が責任ある案を示し率直に住民と対等・平等の立場で話し合うことです。そしてそのことが「住民と行政が同じテーブルで考え、進めていく」という流域協議会の設立趣旨に合致します。
 しかし、これまでの浅川流域協議会は、相手の意見に耳を傾けることなく賛否両論の自己主張を繰り返すだけで、「浅川の『ダムに拠らない』治水対策を具体化し、河川整備計画策定に向けて検討を進めています」などと言えるどころか、議論が後戻りするなどまったく前に進んでおらず、この設問も“ウソ”なのです。
 なお、流域協議会の議論の停滞原因は、河川管理者である県が責任ある姿勢を示さないからです。
 いずれにしても、現実を正確に伝えず、ただ奇麗ごとだけを並べて「どうお考えになりますか?」は、いくらなんでも酷すぎます。

《設問6》
  基本高水流量の再検証に関しては、既に開始している5年間の流量観測等のデータ収集に加えて、今年度より、県民の皆様等交えた検証の場を新たに設けることとしています。このことをご存知ですか?
《選択肢(回答数)》

  @知っている(10)
  A知らなかった(18)

【私の意見】
 脱ダムだけを目的とする住民団体の要請を受け、田中知事は当初、基本高水を検証する(見直す)委員会を設置する意向を示したと聞いていましたが、最近の報道では、流域協議会の一環として、個別の河川ではなく基本高水流量の算出方法について検討する住民勉強会(研究会)といった方向に方針を転換したようです。
 ところがこの設問ですと、その「会」で浅川について検証することが決まっているように受け取られ、最近の県の説明とは明らかに矛盾しています。短期間のうちにコロコロ変わる、田中知事お得意の「朝令暮改」なのでしょうか。
 とにかく、基本高水流量を引き下げ、住民生活の安全性を犠牲にすることを目的に設置され、そのことに県費が投入されるのならば、私は絶対に反対です。
 なお、流量データの収集期間が、「最低10年必要」から「5年間」となったのか疑問である点は、前に述べたと同様です。

《設問7》
  浅川は河川改修等の対策が大きく進み、沿川にお住まいの皆様から、安全性が向上したとの評価が高まっています。また、従来の治水計画に用いられてきた基本高水流量には、不合理な点も多いとの指摘が全国的にも高まっています。こうした点もふまえて長野県では基本高水流量の再検証に取り組んでいますが、このことをどうお考えになりますか?
《選択肢(回答数)》

  @再検証に取り組むべきである。(14)
  A再検証に取り組むべきではない(0)
  Bわからない(13)
    その他(1)
    ○「安全性を担保するためにも1/100の確率を下げるべきではないと考える」(小布施町長)

【私の意見】
 県が「沿川にお住まいの皆様から、安全性が向上したとの評価が高まっています」と言い切る根拠は何なのでしょう。これまた知事の主観で、またしても客観性(あるいは正確性)を欠く設問です。むしろ私の耳には、治水対策をしっかり示さない県への苛立ちが最近増えて来ています。
 また「従来の治水計画に用いられてきた基本高水流量には、不合理な点も多いとの指摘が全国的にも高まっています」との引用は、ダム代替案ができないから基本高水(安全性)を下げたいという知事のホンネがモロに出ていると思います。なぜなら、治水対策は流域住民の安全・安心のために行うものであり、「全国的なムード」によって判断するものではないからです。行政責任を果たす上で、もっと身近な県民生活と自治を尊重すべきです。

《設問8》
  浅川では平成16年度から、国土交通省の理解を得て、河川改修を再開しています。また、従前にも増して河床堆積土のしゅんせつもきめ細かに実施しています。長野県は、着実に沿川の安全性を高めていこうとこうした施策を重点的に行っていますが、このことをどうお考えになりますか?
《選択肢(回答数)》

  @望ましい施策である(14)
  Aもっとペースを上げて進めるべきである(7)
  B県内他地域とのバランスや財政状況を考え、むしろペースダウンすべきである(0)
  C望ましくない施策である。(1)
  Dわからない(6)

【私の意見】
 「長野県は、着実に沿川の安全性を高めていこうとこうした施策を重点的に行っています」と、さも浅川の治水対策を大きく前進させているかのように記載していますが、16年度8億1450万円、17年度7億2000万円という事業費は、国庫補助事業だけで進めてきた平成12年度以前の年間投資額と同程度で、脱ダムによって休止を余儀なくされた遅れを取り戻せる状況にはありません。そもそも当初の予定どおりならば、浅川ダムとともに、平成18年度に河川改修事業も完成していたという説明はどこにもありません。
 また、「国土交通省の理解を得て」と、いかにも国が県の姿勢に理解を示しているように書かれていますが、それならば何故、国庫補助事業が年間1〜2億円に抑えられ、県単独事業で6億円以上もの金額を投入しなければならないのでしょうか。
 平成16年度からの河川改修の再開は、流域住民や長野市、豊野町、小布施町、そして県議会の強い要望や、国土交通省の「流域の安全のためには放置出来ない」という寛大な判断によって実現されたものであり、知事は自分の責任逃れのために「渋々」国に要請させたと私は解釈しています。
 一方、確かに「河床堆積土のしゅんせつもきめ細かに実施」していますが、それはあくまで現状の川の能力を維持しているだけであり、恒久的に「安全性を高め」る性質のものではありません。
 また、「B県内他地域とのバランスや財政状況を考え、むしろペースダウンすべきである」という問いは、知事の本音と受け取れますし、「着実に沿川の安全性を高めていこうとこうした施策を重点的に行っています」とは、未だ河川整備計画の認可を得ることもせず、しかも基本高水流量を下げようとしている事の本質を隠蔽しています。
 この設問もまた、虚偽と事実隠蔽の田中ワールドです。

《設問9》
  天井川を抜本的に切り下げるなど、かねてより重点投資を続けてきた浅川の改修率は、県内の他河川と比較しても相当高まっていますが、下流部においては、昨年の台風時には水が堤防を越えました。これは合流先の千曲川の水位が上昇することにより浅川の水が流れ込めず溢れる「内水氾濫」が生じたためですが、このことをご存知でしたか?
《選択肢(回答数)》

  @知っていた(12)
  A浅川下流で氾濫があったことは知っていたが、原因は知らなかった(12)
  B知らなかった(4)

【私の意見】
 ここでもまた、改修がまだの上流部で、河床が削られ陥没するなどの被害が起きたという事実を隠しています。また、下流部の湛水を、千曲川に浅川の水が流れ込めず越流した内水氾濫だと決めつけていますが、それだけではなく、例えば長沼幹線排水路へ雨水が流れ込めなかったためにも発生しています。長野市長も同様の指摘をしています。知事あるいはアンケート作者が浅川下流域の実態について全くの無知であることをさらけ出した格好です。

《設問10》
  実は、長野車両基地がある長沼地区が歴史的に悩まされてきたのは、この内水氾濫と千曲川そのものの氾濫の危険性です。このことをご存知でしたか?
《選択肢(回答数)》

  @知っていた(13)
  A知らなかった(15)

【私の意見】
 前問と同様、「この内水氾濫」が下流域での湛水ではないのです。せっかく誘導的な設問を苦労して作っても、もはや論理は破綻しているのではないでしょうか。
 「同協議会の会員であられる皆様が、長野県が進める治水対策等をどのように認識しておられるか把握させていただきたく」(依頼文)と40市町村長を質す前に、自らきちんと浅川流域の水害実態を学習して欲しいものです。

《設問11》
  上流部にダムを建設しても、下流部の内水氾濫は防御できません。合流先の千曲川の改修が遅れていることが大きな要因となっているからです。このことは千曲川を管理する国土交通省も認識しており、同省出身の平成12年当時の長野県土木部長も明言している所です。こうした事実をご存知でしたか?
《選択肢(回答数)》

  @知っていた(6)
  A知らなかった(21)
   無記入(1)

【私の意見】
 ダムは、川を流れ下る洪水(外水)が越水等で氾濫しないようにする対策であり、支川(例:浅川)の水(内水)が本川(例:千曲川)に流れ込めず氾濫する「内水氾濫」への対策とは、根本的に異なります。
 内水対策に直接的な効果がないからと言ってまるで「無駄」かのように決めつけることは無理があります。
 ところで、田中知事が「平成12年当時の長野県土木部長」を嫌っていたのは有名です。恐らく自分が意に沿わない発言をしたからでしょうが、このためでしょうか、それから5年経とうというのに、今回もまた、実に執拗に彼のことばを持ち出して来ました。結局、自分で説明出来ないことは人の責任にしてしまう得意のパターンです。

(参考)長野市長の回答
 「『上流部にダムを建設しても、下流域の内水氾濫は防御できません。』と言い切っておりますが、仮に1/100で治水対策が完了していれば、その範囲内では台風23号で被害を受けた湛水被害や護岸崩落などを防げたかもしれません。なお、当時の土木部長が『浅川ダム“だけ”では水害が防げない。』と言ったことも承知していますが、ダムだけで全ての水害が防げるとは長野市も考えておらず、当時の土木部長と同じ考えです。」

《設問12》
  にもかかわらず、長野車両基地建設当時、県では「浅川ダムを建設すれば内水氾濫も防げる」と長沼地区の方々に説明しておりました。このことをご存知でしたか?
《選択肢(回答数)》

  @知っていた(7)
  A知らなかった(21)

【私の意見】
 田中知事はどうしても「私が就任前の長野県はウソを言った」という形を作りたいのでしょう。(疲れます。)
 また、なぜ浅川ダム計画となったか地元と県の歴史的な協議の経過についても正確に触れるべきです。

《設問13》
  こうした点を踏まえ、長野県では、当時の「確認書」に記した「浅川ダム早期建設」に替えて、内水氾濫への対策を本格的に検討、実施することが長沼地区にとって最も実効ある治水対策であると認識しておりますが、貴方はどうお考えになりますか?
《選択肢(回答数)》

  @あくまでも最初に約束した「ダム早期建設」を実効するべき(0)
  A実効ある治水対策に切り替えて行うべき(13)
  B県内の他の地域とのバランスを考えれば対策を急ぐ必要はない(0)
  Cわからない(12)
  その他(3)

【私の意見】
 長沼の皆さんは、県が責任を持って浅川ダムの代替となる具体的な治水対策(外水対策)を構築し、流域住民全体に示してくれるものと信じていました。自分たちさえ良ければいいなどという低い意識で、「確認書」の「浅川ダム建設」という事項に拘っているわけではないのです。「内水対策(設問16では千曲川対策が加わる)さえやればいいんでしょ」という知事の姿勢は、あまりにも長沼の住民を侮辱したものと考えます。
 また、ここでも「B県内の他の地域とのバランスを考えれば対策を急ぐ必要はない」との問いが出て来ますが、「確認書」で約束したダム建設を中止しておきながら昨年12月まで一度も知事が出向いて協議して来なかった事実から新幹線用地の起きていることを考えると、質問する神経が疑われます。事の本質を理解していません。

《設問14》
  平成26年度末までに長野ー金沢車両基地間の完成を目指す北陸新幹線の建設について、どうお考えですか?
《選択肢(回答数)》

  @完成年次がもっと早まるように進めるべきである(10)
  A現行計画に従って進めるべきである(20)
  B国内、県内の他地域とのバランスを考え、むしろペースダウンすべきである(0)
  C中止するべきである(0)
  Dわからない(0)
  その他(4)

【私の意見】
 「北陸新幹線の建設は必要でしょ、だったら浅川問題についてつべこべ言わないように」と誘導するための「飴とムチ」の前振りでしょうか。それにしても「Bむしろペースダウンすべきである」ですとか「C中止するべきである」などという選択肢を用意すること自体、良識というものを疑います。

《設問15》
  長野市まで新幹線を開通させた当時には、用地買収が難航した一部の地域に土地収用法が適用され、行政代執行(強制撤去等)を行いました。こうした事業手法をどうお考えになりますか?
《選択肢(回答数)》

  @大きな県民益を優先するためには妥当な手法である(4)
  A他地域の用地買収が大きく進んだ状況下ではやむを得ない(17)
  Bあくまでも地域が納得するまで待つべきである(6)
  C一部でも納得が得られなければ事業を中止すべきである(0)
  Dわからない(1)
  その他(2)

【私の意見】
 高崎・長野間の新幹線建設に際し、立ち木トラストを行った「田中康夫」氏が時を経た今、どういう心境でこのような質問をしたのか、この設問を見た瞬間、この調査の本質はここにあると直感しました。
 「市町村長の皆さんは、確約書(=浅川ダム)を『立ち木』にして新幹線建設を妨害してるんだぞ」と皮肉っているのか、あるいは「確約書という『立ち木』など、公権力を持ってすればどうにでもなるんだよ」と脅しているのか、それとも「行政代執行という手法に頼らないボクってやさしい人間でしょ」と言いたいのか、いずれにしても時の権力者が唐突に「行政代執行」という言葉を出して来たこと自体、「正当な主張」をしている長沼地区の皆さんへの威嚇行為以外の何ものでもありません。
 また、新幹線早期開通を願っている市町村長にしてみれば、「あの田中知事が何かまた新たな行動を起こし、新幹線整備が遅れたら困る」という不安を抱かせたと思います。
 しかし、事の本質は当時県が約束した「確約書」の事項の中に、変更した場合も速やかに協議することがあるにも係わらず、知事が勝手に変更しても、この「確認書」は無視され、誠心誠意協議し、しかも、住民が納得するダムに替わる治水対策が示されていないことに原因があることをごまかしています。
 つまり、当時の「立木トラスト」と現在の用地買収が遅れを取っている問題の原因は、「行政責任」という面で全く違うと言わざる得ません。

《設問16》
  従前のダム計画や同様の河道内貯留では残念ながら浅川の氾濫被害は防げません。こうした現実をふまえて長野県では、国とともに千曲川対策を進め、長沼地区にとってより実効性のある「内水対策」を行い、いわゆる「確認書」に関して現実的に対応し、新幹線建設を進める方針です。この点に関して御見解をお聞かせ下さい。
《選択肢(回答数)》

  @こうした県の方針を支持する(12)
  Aこうした県の方針は支持できない(0)
  Bわからない(13)
  その他(3)
 (Aと回答された方にお聞きします)
  貴方がお考えになる、実効性のある代替案を具体的にお書き下さい。(0)

【私の意見】
 最も「問題」が多い設問です。
 知事は「確認書」に記した「浅川ダム早期建設」の代替は「千曲川対策」と「より実効性のある『内水対策』」だと明言しました。この考え方は今回の調査で初めて明らかになったものです。
 このような重大な意思表明が、事前に地元住民にも、長野市へも伝えられておらず、また、お得意の記者発表さえなく、このようなイレギュラーなアンケート調査で明らかにするという姿勢は、まったく「自分の過去(経過)も溶かした」不誠実な対応であると同時に、「安全・安心」を掲げる行政への信頼を裏切る行為であり、到底許せません。
 なぜなら、知事は、この調査で初めて、これまで治水安全度1/100、基本高水流量450トンを満足する治水対策案を構築するとしていた県の方針を簡単に覆し、今回のアンケート調査を通じて、「浅川ダムの代替となる外水対策はできない。やるつもりがない」と明言したことになるからです。
 知事が設問5で流域住民参加による治水対策の検討を問うているにも係わらず、自らが設置した流域協議会において結論が出ないのに、なぜこうした結論が言えるのしようか。過去の知事選において主張した「住民参加」や「説明責任」は、どうなったのでしようか。
 もはや、流域住民が自らの自宅や地域の安全を守るためにいくら主張しても知事の理念に合致しないことは受け入れない県の姿勢がこの調査で明確となった訳です。
 従って、「住民と行政が同じテーブルで考え、進めていく」ために設置された流域協議会がどんなに真剣に審議しても、その意見が知事の考えに合致しなければ受け入れにれないということとなり、協議会の審議を継続して行う意味は全くないということです。

 しかも、今回の調査で表明した「代替案(?)」は惨憺たるものです。
 それは、「国とともに千曲川対策を進め」ると言っていますが、では、千曲川の改修はいつまでに行うのか、河川管理者ではない県がどう関与できるのか(まさか直轄事業の地元負担金を払うだけ?)、これまで国にどういう働きかけをしたのか、実現の見通しはあるのか等々は設問にも、そして今までの審議を通じても何ら説明がされていません。
 さらに、「千曲川の改修促進」は、「浅川ダム早期建設」とともに、既に「確約書」に記載されている項目であり、交換条件にはならない本質を指摘していません。
 また、もうひとつの「より実効性のある『内水対策』」というものも、昨年の流域協議会での県の説明では、これから精度を上げた調査をするとのことであり、結果はまだ公表されていませんし、その際の説明では「過去最大の内水被害をもたらした昭和58年9月と同規模の出水に対して、床上浸水を生じさせないレベルを目指す」との説明がされましたが、気象庁のホームページで調べてますと、この昭和58年9月28日の長野気象台の雨量は1日で112ミリ、1時間で最大12ミリとなっていまが、これに対して、浅川ダム+河川改修、その後の流域対策+河川改修は1日130ミリ、1時間が最大で32ミリという雨を前提にしていると記憶しています。
 もともと、内水対策とダムのような外水対策というのは手法も考え方も別だと言われており、両者を混同させて人を欺くようなことを為政者がしてはいけません。
 仮に、内水対策がダム代替案になり得ると仮定しても、それはずっと少ない雨を想定したもの、すなわち低い安全性しか提供できないものだという点を指摘しておきたいと思います。
 今回の調査は、「脱ダムの知事」という肩書きを守るためには平気で嘘をつく、本当に無責任な姿勢であり、返って墓穴を掘る結果を招くと私は思います。

まとめ(安心・安全の治水対策を隠蔽させてはならない)

 以上、今回行われた「本県の治水対策等への御認識に関する調査」の内容と私の考えを述べました。
 そして、この調査に議会が出した条例以降の「住民参加」による検討過程が全く触れられておらず、しかもこの過程を無視して勝手に県としての治水対策方針を示したことは、住民参加や自ら設置した流域協議会を否定することになること。
 新幹線長野以北の整備について、過去の知事が約束した「契約書」であっても行政の継続性や、自ら行った「ダム中止」後の責任ある対応が地元に行われなかったために、用地買収が暗礁に乗り上げている事実を、ごまかすための調査と言わざるを得ないこと。
 そのことは、代替案はあると言ったにも係わらず、未だ流域県民が納得出来る河川整備計画を示せない知事に責任があることを指摘して来ました。

 最後に、議会の指摘を受けて、昨年12月1日に「浅川ダム中止」を打ち出してから約3年半を経て、ようやく「長沼地区北陸新幹線対策委員会」の皆様との「打ち合わせ会」に知事が出席した時の協議結果について、まとめておきたいと思います。
 当時の議事録を読みますと、知事が「脱ダム」により「確約書」の変更を行ったにも係わらず、速やかに対応しなかった事に対する謝罪を何度も行わざるを得ない場面がありますが、肝心のダム中止による代替案については、何ら示されず協議は平行線に終わっています。
 それは、2時間に及んだ協議のまとめとして、前島対策委員会委員長が「今日の説明では私ども役員は納得はできません。はっきり申し上げまして。浅川ダムに替わるべき案があるのかと聞くと、ない。」「内水対策であれだけの仕事が出来るのですかね。これは私は大いに疑問に思っております。内水対策だけでダムに替わるべき代替が出来るかどうか、これは恐らく出来ないと思います。したがって私どもは現時点においては、確認書の原点に戻ってですね、もう一度考え直しをしていただけないかどうかというお願いでございます。」「この次はですね、ダムに替わるべきもっと具体的な代替案をもってもう一度ご足労いただければというふうに思います。」としていること。
 また、知事も最後に「新しい河川の整備とうことは先程申し上げたように大変にいささか年月がかかるものであるかもしれませんが、そのような国全体の流れに甘えることなく、きちんと皆様にお示しをしてまいりたいと。そして、またその間も河川改修等をですね、行うべきことはきちんと行ってまいりたいと思っておりますので、大変いたらぬ点が多々今まであったことを深くお詫びしますし、またこれからもいろいろとですねご相談申し上げ、あるいはご迷惑をかけるようなことも時としてあるかと思いますが、よろしくご指導いただきたいとこのように思っております。」としているからです。
 このように協議が平行線で終わっていて、委員会から「ダムに替わるべきもっと具体的な代替案をもってもう一度ご足労いただければ」と求められ、知事も「これからもいろいろとですねご相談申し上げ」としておきながら、突然調査と称して「確認書」に記した「浅川ダム早期建設」の代替は「千曲川対策」と「より実効性のある『内水対策』」だと決めつけてしまい、しかも「土地収用法」まで持ち出されのでは、長沼地区の皆さんにとっては「ご迷惑をかけるようなことも時としてあるかと思いますが」で済まされることではなく、逆に新幹線の用地問題も含め問題をより複雑にしてしまったと言えます。
 あくまで対策委員会が求めているのは、この打ち合わせ会議の冒頭に前島対策委員会委員長が指摘している「浅川の水害から長沼地区を守るための基本高水450トンを下げることは、長野市長と同様に私どもは絶対に認められません。長沼地区といたしましては、県が一日も早く、平成5年の確認書を履行され、また浅川の河川管理者としての責任を果たされることを切に要望する」ということです。
 知事は、これまでの経過や積み重ねを破壊するのではなく、新幹線の早期開通に向けて用地買収を促進することや、自らが河川管理者である浅川の責任ある河川整備計画の認可を早期に得ることが逃れられない責任であることを自覚すべきです。

 私は23日からはじまる6月県議会の総務委員会の場で、この問題について徹底した審議を行い、事の真相を質す決意です。

■浅川問題につきましては、参考に、「浅川流域協議会の今後と治水対策の論点整理について」をご覧下さい。


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