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治水・利水・ダム問題コーナー

浅川流域協議会の今後と治水対策の論点整理について
2004.11.5
県議会議員 竹内 久幸

 9月22日の9月定例県議会開会後の27日、第9回浅川流域協議会が豊野町老人福祉センターで開催され、私は傍聴に行きました。
 当日は一定の新たな治水対策案が示されることと、この案が全て「河道内遊水池」(穴あきダム)とため池や遊水池の組み合わせであるため、反対派が再び基本高水流量を下げればダムはいらないとする主張を行い、知事はこの意向を受けて議会中に「脱基本高水宣言」を行うシナリオではないかとの噂さがあったためか報道陣や県議の傍聴も多く、特に県議会会派の志昂会(しこうかい)の皆さんが傍聴に来てくれたことは頼もしく思いました。
 そのためか、今回の流域協議会を傍聴し感じたことは、これまでダムに反対してきた皆さんの内、治水・利水ダム等検討委員会の浅川部会でご一緒にダムの代替案について検討し論議して来た皆さん等の主張が元に戻ってしまったということです。
 これでは「反対のための反対」の論議で、いくら協議会を開催しても発展することはありえず出口のないものになってしまいます。
 そこで、流域協議会で出された意見や主張を整理し、今後の協議会での論議の発展のために私なりに論点整理を行いました。

「流出解析の概要」の説明

 会ではまず県治水・利水対策本部副本部長の青山出納長が脱ダム宣言以降のこれまでの検討経過について説明し、その後、浅川改良事務所の内山所長がダム計画と同じ既存の河川改修の進捗状況を説明、そして、この日に発表となる「流出解析の概要」について、島田土木部長と田中河川課長が説明しました。
 この説明によると、この「流出解析の概要」は昨年8月に提示した「流域対策原案」を出発点とし、浅川における総合的な治水対策を、特に数値的な視点から捉えようと、建設コンサルタントに専門的・技術的な検討を委ねた結果であること。この報告には、治水対策6ケース、更に参考の3ケースを加え、合計9ケースが技術的観点から整理されており、その内容に、県の判断や見解を加えることなく、そのまま説明させていただくもの。
 具体的には流出解析を行うに当たっての前提条件は、

  1. 1/100確率の治水安全度とすること。
  2. 治水基準点(千曲川合流点)における基本高水流量は毎秒450トンとすること。(知 事が示した「基本高水流量は再検証するとしつつも、当面の基本高水流量は450トンとする」という「枠組み」にそったもの)
  3. 現時点において科学的な知見の範囲において、定量化が可能な施設を用いて検討すること。(ため池利用毎秒15トン・檀田遊水池・田子遊水池・「河道内遊水池」)各々のケースにおいて、基本高水流量に対し、河川改修、ため池、檀田・田子の両遊水池を合わせても対応出来ない流量を、「河道内遊水池」(穴あきダム)が受け持つ形となっているとのこと。
     その結果、「河道内遊水池」(ダム)の高さ(堤高)は、28.0m〜49.5m(浅川ダム計画は59.0m)というものでした。

出された主な意見

 この説明の後、流域協議会に登録している会員の皆さんから質疑や意見が出されました。以下、私のメモにより気になった反対意見を紹介し、後で私の考えを述べたいと思います。 

  • 全ての案に「河道内遊水池」が計画されている。検討委員会は、再調査を必要とすると しているが、地質のダムの安全性について調査したのか。(U・元部会委員)
  • 「活断層」があることが明らかとなった。15メートル以上はダム。なぜ、ダムと言え ないのか。新潟ではダムがあっても災害は防げなかった。森林整備が大事だ。(Y・元部会委員)
  • この流域協議会はダムを造るための世論操作をしている。地滑り、活断層がある地域に、 しかもコンクリートのダムをなぜ造ろうとするのか。私たちはダムに反対して来た。危 険な地域にダムを造ることには、絶対反対する。(K)
  • 450トンをがっちり固めた数あわせだ。ため池の15トンのカットは数あわせである。 この案には反対である。(K・元部会委員)
  • 浅川は大きな氾濫を起こしたことはない。なぜ、浅川だけダムを造るのか。コンクリートのダムは崩壊する。単なるコンサルタントの案である。千曲川の氾濫を恐れている。絶対反対である。(N)
    ○450トンは流量調査をやり、見直すべき。だから、450トンは確定していない。なぜ、5年間まてないのか。(Y)
  • 脱ダムは県民から支持された。しかし、又ダムとは矛盾している。県民の審判は既に出ている。450トンの基本高水を維持している限りダムを造らざるを得ない。新潟県や福井県では例え基本高水を維持したとても、激しい水害から住民の命を守れなかった。なぜ守れなかったか、そこを本当に考えた上での案なのか。ハザードマップの充実や高齢者の避難体制の充実とか総合的な検討がまず必要。450トン論議をしても、安全な浅川は出来ないことから、まず現実的な対応が必要だ。ため池利用は危険である。まず千曲川の問題である。(N・共産党市議)
  • 知事が脱ダム宣言をしている中で、このような案に非常に怒りを感じる。450トンの基本高水がいかに高いか多く皆さんが知るべき。この案でも内水災害(千曲の)は防げない。なぜ、この様な案を出して来るのか疑問を感じる。河川改修をきちんとやれば、350トンの河道は確保される。何が問題かと言えば千曲川合流点の機場が44トンの能力しかないこと。(T・元浅川部会委員)

出された主な意見への感想と論点

 出された反対意見の論点整理と、私の考えを述べたいと思います。

「河道内遊水池」はダムであり、知事の脱ダム宣言は出直し知事選も含め県民に支持されたのだから、今回の案は矛盾している。とするもの。

 青山出納長が会議のはじめに説明した様に、「脱ダム宣言→条例→検討委員会設置→基本高水を下げる報告→知事による基本高水を下げない「枠組み」方針→既存の河川改修に着手→今回の流出解析」という経過であり、知事自身が450トンの「枠組み」を選択した結果です。
 この経過は「脱ダム宣言」以降に代替案を検討して来ましたが、それは無かった経過そのものであり、国の認可の可能性も含めて、今回の多様な案が出されたことは、むしろ実現性が高くなったと評価すべきです。
 また、確かに出直し知事選挙で「脱ダム」は争点となりましたが、流域協議会での意見の「脱ダム」は信任されたということについては、最近の調査では知事の支持率は44.9%(「支持する」15.1%、「どちらかといえば支持する」29.5%)であり、今現在でも信任されているとは言えません。
また、選挙で信任されれば、その人の思想・信条・行状が全て是認されると考えるのは、あまりにも短絡的な発想と言えるでしょう。
 河川の管理責任は、法的にも管理する行政にあるのであり、まず、そのことを曖昧にし自分達の党方針を正当化しようとする主張は、流域住民にしてみれば党利を優先し何も解決しようとしない無責任なものです。
とにかく「河道内遊水地はダムの一種だからダメ」、これでは議論になりません。何故「河道内遊水地」がダメなのか、その理由を明確にしてもらう必要があります。私(竹内)には、少なくとも「脱ダム」宣言をクリアした対策かなという気がしています。
なお、「地すべり、地質から見て反対」というならば、「安全だ」とする学者も一方にはいらっしゃるのだから、後述のように「再調査」を事業化の条件(足かせ)にして、とりあえずは計画に盛り込むという良識的な判断もあるかもしれません。

450トンの基本高水流量を維持している限りダムを造らざるを得ない。基本高水を下げるべき。450トンは行っている流量調査を待って見直すべき。なぜ、5年間待てないのか。とするもの。

 なぜ無理矢理450トンの基本高水を下げろと主張するのか理解できません。これらの皆さんは「ダムを造るために過剰な基本高水が設定されている」とか、河川改修が完了すれば水害は起きないとか主張しますが、下げる事の明確な根拠や「合理的理由」はありません。
治水は、流域の安全を確保するために行うものであって、安全度が高い方が良いに決まっています。つまり、基本高水を下げる論議は、「流域の安全を確保すること」が目的でなく、自分達が言い出した「ダムを止めること」を目的にした主張でしかありません。
 水位計設置による「5年間の検証」によって基本高水を再検証するので、「なぜ5年間待てないのか」という主張も同じことです。但し、治水・利水ダム等検討委員会の論議では当初、流量計を設置して検証出来るまでには「最低10年間は必要」というのが県の見解であり、いつから5年間になったのか理解出来ません。(答は:第2回治水・利水対策推進本部会議です。)
 この点、県議会土木住宅委員会が9月8日に国土交通省関東整備局と行った懇談で国交省は「5年間の雨のデータをとる場合にしても、元々のデータがデータとしての信頼性を持つたくさんのサンプルがある。サンプルが多ければ多いほど信頼性が増えます。それを5年ぐらい増やして何が解るのかなということが一つ。」「私たちは雨で観測していますから、流量の観測値からでは何が出るのかなと逆に伺いたい。」としています。
 また、土木委員会が設問した「基本高水が高いという論議」「視野が狭い」「目的を忘れた見当違い」「ルールにそって定めて基本高水流量」「住民の安全対策をきちんと講ずることが行政の責務」ということについては、「細かい点を除けばそのとおりということになる」としています。
 私に言わせれば、成長や発展のない「誰のための、何のための論議か」ということです。

地滑り、「活断層」がある地域に、コンクリートのダムをなぜ造ろうとするのか。危険な地域にダムを造ることには、絶対反対する。検討委員会は、再調査を必要とするとしているが、地質の安全性について調査したのか。とするもの。

 ダムに反対する皆さんは、地滑りの危険性や「活断層」(性格には第4紀断層・第4紀層に影響を与えている断層)があることが明確になったと決めつけ、危険性を煽って来ました。しかし、「浅川部会報告書」にも記載されているように、この第4紀断層の活動度については、浅川部会で行った赤羽、斉藤、松島、小坂、大塚氏5名の専門家による調査では「意見が分かれて」います。
 従って、治水・利水ダム等検討委員会の報告書では「ダムを実施する場合にはFーV断層の活動性と下流部への延長を確認し、F−9断層と線状凹地との関連について再調査を必要とする。」とした訳です。
 私は浅川部会の最中に「浅川ダム地すべり等技術検討委員会」の川上浩元委員長と懇談し、当時の真相をお聞きしましたが「反対することが目的で、最後まで1ミリでも動けばダメと言われれば、地球上どこでも構造物は出来ない。ダムは土木工学であり、浅川については安全である判断した。」ということでした。
それでも、地すべりや地質面で生理的に不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。もしそうならば、基本高水の一部を受け持つ「河道内遊水地」をとりあえず計画論としては容認し、地すべりや地質の再調査を、事業着手の前提条件にしておくという考え方もあります。
 もっとも再調査するにしても、知事の気に入った「御用学者」だけ集めて検討すれば、結論は調査する前から決まってしまいますので、客観的な判断が出来る方を学会にお願いし権威ある方の選択が求められると思います。

浅川の水害は、千曲川の内水氾濫である。千曲川の下流からの整備を促進し、立ヶ花の狭窄部を改修することを強く国に求めるべきである。また、機場ポンプの能力アップ等の内水対策を促進すべきである。とするもの。

立ヶ花が現状のままである以上、千曲川の水位があがれば、ポンプによる強制排水に頼るしかありません。しかし、浅川のような中小河川にあっては短時間に集中した豪雨に弱い特性もあり、全ての水害を千曲川の原因にしてしまうことは、事の本質を隠蔽することにもなり危険です。
 千曲川の下流からの改修を促進し立ヶ花の狭窄部の改良を行って頂くことを国に強く求めることは当然ですが、しかし、「近い将来」にそのことが実現する見通しがあるかというと、現状では困難という認識をすべきです。
 それは、これまで、国も県も「飯山などの下流側の整備が終わらないと立ヶ花の開削はできない」と説明していますし、さらに国では「58災害に対応可能なレベルで、立ヶ花より下流の整備を現在進めている。」とも説明しています。
 これを聞いて「今、立ヶ花の下流でやっている事業が終われば、いよいよ開削なんだな」と誤解している人が多いと思いますが、58災害で飯山に水害をもたらした7,440m3/sは、立ヶ花を通過してきた流量であり、つまり、国が今やっている事業が完了しても、やっと今の立ヶ花狭窄部と同じ流下能力が確保されるに過ぎません。県が管理している区間も、同様な考え方で整備が行われています。

◎ この点を県に質し、公式の場で県の説明を求めることも重要だと思います。

 従って、「立ヶ花の狭窄部10kmを拡幅しろ」ではなく、「新潟県境までの50数kmを(もっと言えば海までを)整備しろ」と主張するのが筋です。そうでなければ、長野盆地の洪水を下流に押し付けるというエゴイスティックな主張になります。
 一方で、「浅川の内水問題を解決するためには千曲川の改修が抜本的問題。整備を積極的に進めるよう国に要請する。」と責任転嫁している人がいらっしゃいますが、50数km(新潟県の未改修を含めればもっと)の改修が、20〜30年というスパンで実現しっこないことは子供でも分かる話です。
 従って、千曲川だけに責任を転嫁するのではなく、個々の支川でもやるべきことをやっていくことが必要なのです。
 また、機場の能力アップを許される範囲で国に求めることや、遊水池や河川バイパスの検討などの内水対策は、これまでの流域協議会の論議で、浅川の外水対策(「流域対策」)と並行して行うと既に確認されていることです。

7月の新潟県や福井県の水害では例え基本高水を維持したとしても、激しい水害から住民の命を守れなかった。また、ダムの放流が原因で堤防が破堤した。とする意見。

ダムはどんなに基本高水流量を高めても、想定する以上の超過洪水があれば、当然、水害からは守れません。また、逆にダムで無くても、その河川で治水整備を行うために設定した降雨があって(降雨パターンにもよるが)基本高水以上の洪水が出た場合、やはり水害は発生します。ダムは、治水対策の一つの方策であり、その河川の地理的条件などによって当然行うべき治水対策は異なります。浅川の場合、なぜ、ダム計画となったかは、「浅川部会報告」にもあるように「県は河川改修で対応する場合は河川拡幅幅80mとしたため、家屋の移転、優良農地の大規模買収という点で地元の理解が得られず、昭和51年にダムと河川改修の計画が合意され」たものです。従って、「基本高水を維持したとしても激しい水害から住民の命を守れなかった」と主張することは、では逆に、基本高水を下げれば、もっと大変な被害になり、多くの人命を奪うことになったはずだが、そのことをどう説明するのかと質問してみるべきです。
 7月の新潟や福井の水害について、ダムの放流が原因とする宣伝が意図的に行われていますが、この論理は全く治水ダムの持つ貯留機能を無視した発言です。
 県議会土木住宅委員会が9月8日国土交通省関東整備局と行った懇談では、新潟県の信濃川水系刈谷田川ダムの例で説明されていますが、まず、ダムがあるのと無いのでは、ある方が流量を抑制していることを指摘した上で、ただし計画以上の雨が降りダムがパンクしないために放流は始めたが、放流量はダムへの流入量と同じか少ないため、下流への負担を軽減しているとし、刈谷田川ダムの場合、ダムへの最大流入のピークが12時で、ダムからの放流量のピークが15時であり、この約3時間の時差が避難に対しては役割を果たしたとも考えられる−としている点については、反対派の皆さんはどの様に説明するのでしょうか。
 いずれにしても、基本高水を下げるということは、より少量の出水でも溢れて被害を受けるということなのです。

ハザードマップの充実や高齢者の避難体制の充実とか総合的な検討がまず必要。450トン論議をしても、安全な浅川は出来ないことから、まず現実的な対応が必要だ。とするもの。

 ハザードマップの作成と公表、住民への周知は当然のこと。また、高齢者の避難体制の確立などの対策も当然のこと。では、450トン論議をしても安全な浅川は出来ないのは、「脱ダムのために安全(基本高水)を犠牲にせよ」と主張する方がいらっしゃるからであり、では「現実的対応」とはハザードマップと高齢者の避難体制だけでよいのでしょうか。

ため池は危険。コンクリートのダムも崩壊する。とするもの。

 前回の協議会でため池は危険とする発言が二人から出されました。また、コンクリートのダムも危険とする意見も出されました。では、どうすれば良いのか具体案を求めるべきです。
 そもそも、その「施設」の持つ機能によって、流域の安全が守られているのであり、あれもだめ、これもだめでは、目的が反対のための反対であり、論議に発展はありません。この様な主張では、「コンクリートでも出来ていない今あるため池は、危険なので壊すべき」と主張することが正論となってしまいます。
 自分たちの主張を通すために、むきになるのではなく、どうすれば流域の安全が保たれるのかの検討が先に進展し発展するように論議して頂きたい。
 参考までに「浅川流域協議会会則」の第8条「構成員は、次の各号に掲げる内容を遵守し、会議等に参加するものとする。」として、以下の項目を定めていることの意味をもう一度確認することも必要かもしれません。
 1.協議会を構成する全員が平等な立場にあり、自由な発言を行う。
 2.それぞれの発言を尊重し、発言に対して頭から否定することはしない。
 3.相手の意見、立場を理解しあいながら積極的かつ建設的な発言を行う。
 4.浅川は地域の共有財産であることを忘れず、私利私欲のための発言は行わない。

新潟ではダムがあっても災害は防げなかった。森林整備が大事だ。とするもの。

 森林整備の治水への効果については否定するものではありませんが、森林の果たす保水力については、少なくとも現在までのところ、一定規模以上の降雨に対しては期待できないとする説が主流であり、これと異なる通説が確立されるという保証はありません。また降雨のパターン等により機能が違うこと等から定量化出来ないことは、これまでの論議を通じて確認されて来たことです。これまでの論議が無駄になっており、これでは何度会議をやっても進展がありません。
 また、基本高水流量を決める時に行う貯留関数法では、流域内の森林の保水力を評価したモデルを作成しており、従ってこれにより算定された基本高水流量には、森林本来の保水能力が織り込まれていることも忘れられた発言です。
 先ごろ読売新聞が掲載した「検証 田中県政の4年間」のインタビュー記事の中でも、「知事は、森林の治水効果に期待していたのではないか。だが、検討委は、森林の効果を数値で表せなかったことがネックとなった。そもそも、浅川の流域には森林が少ない。どこまで効果が期待できるか、言うのはなかなか難しい。」と、田中知事が「脱ダム」の指南役と仰ぐ新潟大学大熊孝教授でさえ認めていることなのです。

河川管理者である県の説明責任を求める!

 今回の案を説明した時に島田土木部長は「この報告には、治水対策6ケース、更に参考の3ケースを加え、合計9ケースが技術的観点から整理されており、その内容に、県の判断や見解を加えることなく、そのまま説明させていただくもの。」としています。
 これまでの県の姿勢は知事に口封じをされているのか一貫して、「住民参加」の美名のもとに、こうした無責任な態度をとり続けています。
 浅川流域協議会の会則にはこの会の目的として「浅川流域について、治水・利水対策等の実現に向け、住民と行政がともに考えていくことを目的とする。」とあり、「行政がともに考える」趣旨は、河川管理者である県の判断や見解も含めて「ともに考える」ことになると思います。

 この点、県議会土木住宅委員会が9月8日国土交通省関東整備局と行った懇談で、国土交通省は「いつも長野県さんとの打ち合わせの中で言わせていただいていますが、河川管理者が一番最適だと思う案、これをきちっと骨を作らないといけない、そういう案をきちっと持って来ていただきたいということに一言で言えば尽きると思います。」「逆に言っておかなければならないことは、意見に迎合するということも、おかしなことになります。基本的にちゃんとやらなければいけない部分、ここは意見を聴いて説明責任を尽くすということが本当の意見を聴くという趣旨だと思います。」とし、さらに共産党の毛利議員が「平成9年の河川法改正以降、住民合意だとか、住民参加だとか、一定の時間がかかる」(共産党は議会では、検討をジックリ時間をかけて行うべき主張をしている)との質問に、国交省は「河川法に住民合意ということは一切位置付けられていないので、河川管理者がジャッジするという仕組みになっている。」と答えています。
 (共産党の皆さんは私が提案した条例に反対したのに、今となって住民参加を言っていることについて、ちゃんと言い訳すべきであるが、住民参加を自分たちの目的のために利用しているとしか思えない。)

 であるならば、河川管理者としてベストな案を県として提示させて検討すべきであり、既に、これまで素人である流域協議会の会員の論議は尽きており、これ以上論議しても反対派はダム反対のための主張を繰り返すだけであり、無駄です。
 もし、県が責任ある提案をする姿勢を示さない場合は、先の9月県議会の土木住宅委員会で田中河川課長は土木住宅委員会で「流域協議会はあくまで、意見を聞く場。」としていることからも、「当面はダム計画による既存の河川と内水対策」、「県の今後の河川管理責任の明確化」を強く求め、「今の知事ではだめなので、後は次の知事が行うこと」とし、退席する方法もあります。
 (但し、この場合は長野市や豊野町等と打ち合わせする必要もあると思いますが。)

 ダムを「出来る限り」造りたくないのは私も否定しません。しかし、だからと言って流域住民の安全を守ることを無視し、何ら正当な理由なくして基本高水を下げることは絶対に認められません。これまで長い時間と莫大な費用を費やして基本高水を下げない治水対策を検討して来た結果が、今回の多様な案であり、その中から県が責任ある方向を示すべきです。

◎浅川の河川管理責任者は誰か。
◎今回示された「案」について、河川管理者である県としてはどの「案」をベストとしているか。
◎遊水池等の地権者対応や費用対効果も含め、どの「案」なら実現可能と思っているか。
◎どの「案」なら国の認可を得ることができるのか。
◎基本高水流量を下げて、国の認可が得られるのか。

 等々を県が責任ある回答をするまで、納得せず何度も質すことが必要です。

今後の論議を発展させ一日も早い治水対策を確率するためには

 前回の浅川流域協議会を傍聴した県議会「志昂会」の清水議員は、感想として「これは、結論が出ないのではないか」と言いました。私も、「これは論議が後戻りしてしまい、困ったものだ」というのが実感です。しかし、治水問題は放置する訳にはいきません。必ず、結論がなければ、事業は進みませんし、流域の安全は守れません。
 いずれにしても、反対派の皆さんの主張は知事と同じ様に結論先にありきで「ダムを作らないための」理由を、手段を選ばず主張します。しかし、「では流域住民が納得でき安心出来る対策とは何か」と誰かが遠慮せずお聞きすれば、それは「基本高水を下げること」と答えるのでしょうか。
 また、それは「千曲川の立ヶ花が狭隘であることが原因」と千曲川(国)の責任にする方も多くおられますが、千曲川下流の河川改修は昭58年、59年の台風災害に対応出来る基準で行われていることを考えれば、立ヶ花狭窄部の拡幅は今後何十年も要する課題であり、論争をしていれば解決する問題ではないということを肝に銘じるべきです。
 従って私は、浅川問題の解決策は「浅川流域協議会の目的は、ダムの賛否にあるのではなく、流域住民が安心出来る施策の実現」であることを確認した上で、今回示された県の意思の入った多様な案の中で、どの案がベターなのか、その実現性や費用対効果を含め検証した上で一つの案を決め、なお残る地質等の課題については今後の検証を提起して河川管理者である県の責任を求めるべきと思います。
 また、県には今回の案についての県の考えを率直に説明し、河川管理者としての責任を果して頂きたいと思います。

台風23号の雨量は1/100確率の雨量でも、浅川は氾濫しなかったのだから、基本高水は下げるべきという主張への反論

 10月20日から21日に長野県を直撃し県内各地で被害をもたらした台風23号は、長野市でも多くの被害を発生させました。
 この台風の特徴は20日0時〜24時の雨量が長野気象台観測史上最高を記録し、長野気象台で124.5ミリ、長野市役所で125.0ミリだったということです。
 21日の夕方のテレビで台風被害で苦しんでいる人が後片づけをしている姿や、県や市の職員の皆さんが対応に追われている報道の後で、かって治水・利水ダム等検討委員会の浅川部会の一員であり、現在は浅川流域協議会の会員であるダム反対派の方がインタビーに答え、さっそく「ダム計画と同じ規模の降雨量があっても、たいした災害が無かったのだから、基本高水は過大」と言っていたのを見ました。
 この人たちは台風直後でまだ全ての被害状況も把握出来ないのに、「何でも目的達成のためには言う人たちなのか」と呆れながら、その発言内容のいい加減さに頭に来ました。

 確かに20日の0時から24時の日降雨量は、長野気象台で124.5ミリであり、浅川ダム計画で1/100とし、過去の雨量観測データ等から確率計算により定めた計画降雨量は日降雨量130ミリ(ダム地点)と、近い数字です。(浅川計画の日降雨量の取り方は9時から翌9時で、今回の場合は118.5ミリですが)
 しかし、基本高水は様々な雨の降り方を元に設定されていて、時間雨量も考慮されているのです。浅川の場合は最大で時間32ミリまでを想定していて、これは氏が参画している浅川部会でも県から説明があった重要な事項であるのですが、不幸にもお忘れになられた上での発言だったのでしょう、マスコミ報道だけで判断すれば何のための部会論議だったのか、視聴者が「今回の雨量は1/100」と受け取ってしまう適切さを欠いた報道だったと言わざるを得ません。
 今回の台風の「降水量日表」を長野市から頂きましたが、時間降水量の高いのは、最高は、篠ノ井・川中島・安茂里21時=18.0で、後は、松代・若穂・更北・信更・信里の21時=17.0、小田切・柳原の22時=16.0、長野・七二会・若槻・長野気象台19時=15.0、三才22時=15.0であり、平成7年や昭和58年と比較して、今回は災害のバターンである秋雨前線→台風→集中豪雨の、「集中豪雨」(時間雨量低かった)が無かったことを、「基本高水が高い」という前に「幸いだった」と発言すべきです。
 千曲川のような大きな河川では今回のような「ダラダラ雨」による多量の日降雨量が下流の本川や内水に及ぼす影響が心配ですが、中小河川では集中豪雨が心配です。もっとも今回の場合は、千曲川の氾濫も全体的に時間雨量が低かったことで多少は救われたと思います。
 今回の台風23号での浅川の雨量や流量については、恐らく県も分析していると思いますので、県に説明を求めるべきです。


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