本殿:Main 神楽殿:Live 社務所:Info

境内:Home神楽殿入口 ≫ VADER

ライヴレポートのようなもの

ライヴ観て来た記

VADER

02’11月1日 福岡・博多DRUM Be-1
+†HYDROPHOBIA†鎌斬

HYDROPHOBIA

地元の3ピースバンドで、ギターとベースがパート毎にヴォーカルを手分けして兼ねる。プリミティヴ・デスメタルで徹底的にメロディを排している。右のギターは、マイクスタンドをかなり低くして、体を屈曲した前傾姿勢で歌い、顔は金色の長髪に隠れて見えない。左のベースはスキンヘッドで、高くしたマイクに胸を反らす形で歌い、対照的である。両雄とも窒息系デス声で咆哮する、いわゆる「下水系」。この手のバンドに有りがちだが、楽器の低音を求めれば求めるほど、音質は極悪になる。音質の向上はこのバンドの最重要課題であろう。まだデモ2本なので、アルバムを作れば、また、目指す方向性や曲のアイデンティティも定まってくるだろう。これからのさらなる奮起を期待する。(19:00 - 19:25)6 songs

鎌斬

Vo×2、G×1の5人組。爆音系フェスのコンピレーションでチェックした曲“All-P”(8曲目に演奏)は、オールドスクールのHC然としたものだったので、あまり期待出来ないかと思ったが…。知り合いも「良くない」とライヴ前に言っていたが、始まってみると、HC流の疾走感あるギターと、跳ねるリズム、ステージを処狭しと駆け回り叫び続ける二人のVo、見ていて何とも楽し気。曲は2分台だし、ラウド系はメタラーの最も嫌うところ、好き嫌いがはっきり別れるだろう。最近HCに傾倒している筆者は何ともムズムズしてしまった(CD即買)。切れ気味のVoに対して楽器隊が普通に見えたので、アンバランスで可笑しかった。おちゃらけたmc抜きで勝負してもいいと思うのだが…。(19:40 - 20:05)9 songs

VADER

ドラムセットの入れ替えが終ると、Docのセッティングが始まった。バスドラ、スネア、タム…一つ一つ念入りにPAのレベル合わせを行う。その連打に合わせて、手拍子や歓声が起こる。サウンドチェックで福岡は盛り上がっている。「だって、その音だけで格好良い!」と八槌が言ったのは、正論であろう。

時折オリエンタルなフレーズを差し挟む、行進曲のSEが終了してライヴスタート。“Epitaph”は、人間達によって繰り返される、無力な聖神の虐殺。キリストは誕生以来、二千年もの間、背信の人間達によって1本1本、鉄の釘を打ちつけられている。歌詞に相俟って、重くのしかかる曲。

PeterはトンガリヘッドのフライングV。Mauserは先割れヘッドのランダムスター。Simonは5弦ベースで、DocはYAMAHAツーバス。出だしは音量が低めにセットされ、ライヴの進行とともに徐々に上がる。

続く曲もアンチクライストソング。慈悲の名の元に差し出された神の御手は、人間の振りかざす鉄の鎚により、無残にも打ちつけられ、叩き潰される。通常演奏の全体のバランスは良いのだが、Peterのソロパートはギターの音量がデカくなり過ぎて、改善要。

Peterの声は聞こえ難い。3曲目のMCで「夕べ乾杯のし過ぎで喉が痛い」と釈明。親しみのこもったブーイングが飛ぶ。偽りの人造神をなじった後は、古代エジプトの魔法のシンボルを賛えるのである。

Peterは痩せて顔がすっきりとなり、Mauserも前回に比べて、若返っている!秘される者との秘密の契約により、各々生命の根源を手に入れたのだろうか?反対にDocは顔に年輪を刻み、円熟味を増している。不屈のドラムテクを手に入れた代償に、契約により…、いや、止めておこう。このバンドだからこそ、つい勘繰りたくなる。そんなことも思わせる曲が続く。

“Carnal”のブラストは、ある種、ドラッグ的で、それを待ち望んでいた者共は狂気を貪る。曲が高速化すれば、音は分子化し、聴く者の細胞レベルを突き抜けていく。我々の体は音に縛りつけられていたのである。会場のフロアは階段状になっているが、各々が狭く、モッシュの輪は出来なかった。私自身、体を動かすことが出来なかった。バンドの気迫に圧倒されていた。呪縛が解けたのは8曲目に入ってからで、ようやくステージ下が荒れ狂う人の海となる。

VADERの存在を日本に知らしめた“Silent Empire”以降のセットは、見事な組立であった。一連の流れを「鋼の嵐の中で…」と私は名付ける。荒振る軍神、VADERは血の供儀を求め、灌頂の儀式を行う。

“Black To The Blind”魔神の法に於て授法の節に臨みて、水を以て加持し、玉ノ箒を手で持って受者の頂きに灌ぐなり(密の教えに於て伝法あり)。

有名なSEを挟んだ後に、VADERによって語られる真実なる黙示録、残酷なる黙示録。Simonの指弾きによる重低音が重くのしかかる。呪われたキリスト教が垣間見せる幻視の恐怖。

本編のラスト曲に入る前に、Peterからジャパンツアーの全公演に関してサポートしてくれた人々(ファン、スタッフ、バンドたちが含まれるだろう)に対する感謝の言葉があった。そして典型的デス/スラッシュ・チューン“Sothis”による星神崇拝を以って、VADERのライヴは終焉を迎える。

本編が終了すると、すぐさまアンコール、フロアタムの3連打。VADERが自己の中に完全に取り込んだ感のある“Raining Blood”だった。と言って、ここだけ盛り上がったりはしなかったので、この曲はすでに伝説へと風化してしまったのか?10代の御子達には、過去の遺物であろうか?(20:40 - 21:40)

(文責:新地昭彦)


HYDROPHOBIA

名前は小耳に挟んだ事があったが、見るのは初めて。最初は向かって右の、ギター君しか見えなかったので彼がヴォーカルかと思った…。マイクの位置がほぼ下腹部あたりの前傾体勢。この状態でやるのか、すごい体力だ…と思ったら、左にスキンヘッドのベース君がいて、この人がメインヴォーカルだった。二人とも、ある意味日本人に見えない。

ライヴ本編は、何も覚えていないのでカット。ゴメン。

鎌斬

バンド名が良い。かまきりと読む。BEAST FEASTコンピCDに入っている音源を聴いたが、新地が「メタル者にはきついだろうね〜」と言ってた通り、保守メタラーには厳しい感じのハードコア。知人が「(このバンドは)酷いよ」と言っていたのだが、酷くはなかった。

酷い、といわれてしまったのはステージングだろう。フレンドリーで楽しいが、メタル者が嫌うタイプの明るさで…。ライヴ前SEがドリフの「8時だョ!全員集合!!」のオープニング曲、ってのはまずNG。

ダブルヴォーカルの片方の人が、いかにもなヒップホップ系の格好をしていて、神経逆なでされてNG。すごくくだけ過ぎた感じのMCもNG。頭の固いメタル者の様式美に外れまくっていて更にダメダメ。MCに対する反応が冷淡なのに、それにめげずに進行していくのはあっぱれなんだが。

でも演ってる音はなかなかのレベルなので、ステージングで軽く見てしまうのは惜しい。ハードコア轟音系OK!って人は一度お試しを。

VADER

この度は、地方で狭い会場だった事もあり、かなりかぶり付きに近い地で参戦。メンバーの足下まで良く見える状態♪メンバー全員、アーミーパンツとサバイバルブーツをお召しである。脇時の二人は長そでTシャツだが、Peterは今どき珍しいカットTシャツ。

私はSimonの真ん前にいたので、Mauserを見る時は意識して横を向いていたんだが、姿勢が妙。PeterとSimonは頭振る時足を開いて腰を低くしているんだが、Mauserは直立に近い姿勢で上半身を上下する。なんだか腰に来そうだ…。

前回は無気味な雰囲気を出してたMauserの、今日のこの爽やかさ(!)は何だろう。写真映りで損してるタイプだ。めざとい女性ファンから扇子のプレゼントなどされていたので、見る人は見てるんだろうな。

サウンドで気になったのは、ソロのとき音量が上がるPeterのギターの音と、聞こえ辛いヴォーカル。「調子が悪いんだよー」というような事を言ったのはわかったが、それが「乾杯し過ぎて」とは聞き取れなかった(後で新地に聞いた)。

ドラム?今さら言う事はないでしょう。

そして
「されぱいやー!!」
…されぱいや?されぱいやってなんだ?曲が始まって気がつきました。

「ああ、 “Silent Empire”ね…」………前回と同じボケかましてるし。

(文責:八槌せいる)

VADER set list

  1. Epitaph (5th-1)
  2. Torch Of War (5th-7)
  3. Xeper (4th-3)
  4. Carnal (3rd-3)
  5. Reign Forever World (mini)
  6. SE 〜 Breath Of Centuries (1st-12)
  7. North (4th-7)
  8. Silent Empire (2nd-1)
  9. Wings (4th-1)
  10. Black To The Blind (3rd-10)
  11. SE 〜 Revelation Of Black Moses (5th-11)
  12. The Nomad (5th-2)
  13. Sothis (2nd-5)
  14. Rainning Blood{SLAYER}-encore-