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ライヴレポートのようなもの

ライヴ観て来た記

RHAPSODY / EDGUY

02’5月2日 大阪・梅田 ON AIR OSAKA

RHAPSODY

rhapsody[r ae p s e↑ d i]
自由形式の器楽曲。多くは民族的または叙事的性格をもつ。狂詩曲。狂奏曲。

暗転から柔らかく明るいピアノの音が響く、嵐の前の穏やかな空を表すように。“Deadly Omen”により、ライヴは荘厳さを演出される。曲が進むにつれ、ステージ上はもはや、RHAPSODYの造り出した物語の世界に切り替わった。ステージ右後方では、薄いヴェールに身を包んだ女性が踊る。

すると、ステージ左後方にElgardのウィザード、Aresiusが現われたではないか。“Tears Of A Dying Angel”は前後半の部分はカットされ、Aresiusのナレーションパートのみ。「Yes,mighty friends…」語り口に合わせて、Aresiusはアクションを取る。これだけで、RHAPSODYがこのライヴに対して、どれだけ本気に取り組んでいるかということがわかるであろう。間髪入れずに始まる“In Tenebris”…次々に力のこもった拳は突き上げられ…歓声、怒号が沸き起こり…姿を現わしたメンバーにさらなる大歓声が…あー、何という光景だ…これぞ、待ちに待ったHMのライヴではないか。

本邦初公開、RHAPSODYの生演奏“Knightrider Of Doom”はそれまでのSEに対し、全く遜色の無い音像。眼前で見事にアルバム通りに再現されていく。ステージ全体の音のバランスを取るため、ドラム類のPAレベルがばらつく場面はあったが、それはまるで問題にはならない。さあ、想像してみてくれ、アルバム同様に演奏を行うRHAPSODYのステージを!サンプリングを駆使して、オペラティックな混声コーラスをも再現するそのステージングを!しかし、如何に想像をめぐらせても、想像の域を脱し得ない。そのライヴは想像を遥かに凌ぐものだったからだ。

ステージ上は6人の大所帯だ。ギターをツインにしているのが驚きである。この手のギタリストは、再現性よりも自分のエゴを優先するものだが…。Lucaはクルクルの髪を後ろで軽く束ねている。前髪で隠され、その瞳を見る事は出来ない。衣装は、予想通りLucaとStaropoliはフワフワ袖の襟シャツ。

黒のぴったりとしたTシャツを着たFabioは“Emerald Sword”を伸びやかに歌う−確固として安定した演奏のさらなる高みから、天空を舞うように。

“The March Of The Swordmaster”では、左後方に7人目のメンバー、リコーダ奏者の登場で、ステージに華を添える。心憎い程のこだわり、演出である。彼は1stアルバムから参加している、Staropoliの実弟、Manuelであった。

Fabioは次の曲が始まる前に、自分の後に付いて歌うことを客に要求する。「Hoooly〜 what ?」「Holy draaagon〜 ?」「keeeepers ?」「keeepers of time」「blue skies ?」「speeeell my eyes」とかなりしつこい。いや、客は皆、次なる曲はわかってはいるが、どうして彼と同じオクターブで歌うことが出来ようか。このやり取りは、イントロパートの旋律をなぞるコーラスを促した。旋律コーラスってのは、ARCH ENEMY以降、お約束だねえ。

再びリコーダ奏者Manuelが登場する“Legendary Tales”の静かな導入部の後、雷号の如きパートでストロボが効果的に使用される。続いて、旋律コーラスが客席から沸き起こる。Manuelがステージの前に出てきて、今度は左後方にLucaが位置し、メタリックブルーのIbanezギターを爪弾く。

“Land Of Immortals”では、キーボードパートが若干アレンジされていたようだ。ここでは、もう一人のギタリスト、Dominiqueがソロを弾く。自分だけの独壇場にしないLuca。

「次にイタリア語の曲を演ります。私たちの母国語はもちろんイタリア語ですが、この曲は貴方達にとっては、意味が取り難いかもしれません。」と、丁寧に説明してくれた“Lamento Eroico”

髭をたくわえ、ストレートの髪を後ろで束ねているHolzwarthの風貌は、STAR WARS Phantom Menaceのクワイ=ガンの様。彼のソロは、打ち込みのキーボードを交えるという、目新らしいアイディア。プログラムSEを多用するRHAPSODYのライヴでは、彼はドラムマシン以上に精確なリズムを要求され、マンマシンインターフェースとなるだろうが、そのプレイはライヴ全編にわたって人間味溢れるもので、決して機械に成り下がっていない。

男前のベーシスト、Patrice。美形のイタリアンはエロティックにセクシーだ。彼のソロは、スラッピング奏法を駆使し、スローパートでピッキングハーモニクスを見事に絡め、最後はタッピングまで出る始末。並々ならぬテクの2人がRHAPSODYのボトムを堅固なものにしているというわけだ。

他のメンバーがステージに戻ってくると、8人目の奏者が加わっていた。“Village Of Dwarves”のリズムに合わせ、タンバリンを叩く女性が艶かしく踊る(実はLucaのフィアンセ)。その体の動きが美しく、またそれが曲のフレーバーにもマッチするのである。「新世界」をモチーフにした“The Wizard's Last Rhymes”から、アルバム通りSEとして「RAIN OF A THOUSAND FLAMES」のタイトルメロディが流れ、メンバーはステージを後にする。

ステージングには満足したが、こんな曲数では全然物足り無いぞ。聴きたい曲は山程有るのだ。こんな素晴しいライヴをやるんだったら、もっと早くに来てくれりゃ良かったんだ。大体、アルバム4枚プラスミニ1枚で初来日なんて、来るのが遅すぎるぞ。もっと、もっと聴かせてくれ!アンコールを求める手拍子に一際力が入った。イントロあり、アウトロありと徹頭徹尾、細部にまでこだわり、完成された本編だったので、RHAPSODYのライヴはこれにて終了、もはやアンコールはありません、という事になるのではないかと思い込んでいたので、メンバーがステージに現われたときは本当に嬉しかった。

水滴のしたたる音。Elgardのウィザードのナレーションからオペラティックコーラスが重厚に曲を押し進める“Lux Triumphans ”のSEが流れ、そのまま一気に“Dawn Of Victory”に突入。この場に集った勇敢な戦士達の拳が次々と上がる。その時RHAPSODYは、エメラルド・ソード・サーガの体現者となる、まさに〈勝利の夜明け〉と呼ぶにふさわしい光景が繰り広げられる。この段階になっても、Fabioの歌声は全く衰えず、やはり脅威のヴォーカリストだと言えよう。

続く“Power Of Dragonflame”。組曲最終章の“...And The Legend Ends... ”。アンコールはアルガロード年代記に同期する構成となっている。ナレーション、三たび登場したAresius、ステージ上に高く掲げられたエメラルド・ソード!。締めくくりはもちろん、「POWER OF DRAGONFLAME」のメインテーマ。壮大なるエメラルド・ソード・サーガが今、一つの終幕を迎えるのであった。

静かなアウトロの“Wings Of Destiny”Fabioは歌うことをやめず、サビではコーラスを促すように、客席にマイクを突き出す。最後の最後まで、エンターテインメントに徹した人だった。

「RHAPSODYが来日公演したら、本のタイトルは、「大阪ラプソディ」にしよう」などと、冗談を言っていた。それが冗談ではなくった。RHAPSODYがライヴなど出来っこない。来日なんて有るわけない、と思っていたのに…。RHAPSODYがイタリアのフェスティヴァルに出演したというのは聞いていたが、その演奏やステージがどうであったかはまるで知らなかった。ライヴでは、アルバムより格段に落ちるだろう、あまり期待しない方が良い、そんな腹積もりで臨んだライヴだった。

しかし、いざ蓋を開けてみれば、アルバムと同格のパワー、演奏レベル。ツアーを計画すること自体、それはアルバムを再現できるという自信の現われか。これがイタリアというプログレッシヴロックの土壌に培われた実力なのか。あんな凄まじいアルバムを創り続け、その上ツアーまでやるだけのことはある。HEAVY METALの底力、奥深さを篤と見せつけられたライヴだった。

「ニューアルバムを仕上げて、再び日本に来る」Fabioは、MCでそう言った。「POWER OF DRAGONFLAME」でストーリー完結となったはずだが、RHAPSODYの新たなる第2章が始まるのであろうか。(文責:新地昭彦)

RHAPSODY set list

  1. Deadly Omen (SE) [Mini-2]
  2. Tears Of A Dying Angel (SE) [Mini-4]
  3. In Tenebris (SE)[4th-1]
  4. Knightrider Of Doom [4th-2]
  5. Emerald Sword [2nd-2]
  6. The March Of The Swordmaster [4th-4]
  7. Wisdom Of The Kings [2nd-3]
  8. Legendary Tales [1st-10]
  9. Land Of Immortals [1st-7]
  10. Lamento Eroico [4th-7]
  11. Holy Thunderforce [3rd-7]
  12. Drum solo
  13. Bass solo
  14. Village Of Dwarves [3rd-4]
  15. The Wizard's Last Rhymes [Mini-7]
  16. Lux Triumphans (SE) [3rd-1]-encore-
  17. Dawn Of Victory [3rd-2]-encore-
  18. Power Of Dragonflame [4th-3]-encore-
  19. ....And The Legend Ends... [4th-10 3]-encore-
  20. Wings Of Destiny (SE) [2nd-7]-encore-

(7:45pm-8:35pm)50min.
1st:LEGENDARY TALES
2nd:SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS
3rd:DAWN OF VICTORY
4th:POWER OF DRAGONFLAME Mini:RAIN OF A THOUSAND FLAMES
※演奏されなかった曲も(SE)と表記して、セットリストに加える


EDGUY

EDGUYに関しては「ドイツのバンド、メロディックパワーメタル系」という情報しか持っていなかったので、「新譜ぐらいは買って聴こう」と言っていたのに、RHAPSODYの予習にかかりっきりでそれは成らなかった…。というわけで、ここでは感想を。

メンバーがステージに出てきた時の感想が「額が正しくドイツ人だ…」というのが情けない。しかし新地によると、そういう事を言ってた人間が他にもいたそうだ。嗚呼。

アルバムをまともに聞き込んでなかったので、再現性がどうとか言えないのだけども、演奏力はかなりのものだった。マメにライヴをこなしてると聞き及んでいたので納得。代表曲らしい曲ではフロア前大合唱。日本デビューしてから、だいぶ経っているので「待ちに待った」というファンも多かったんだろう。

私を驚かせたのがコーラス。ステージに3本のマイクが並んでいたのでもしや…と思ったら、案の定弦楽器隊全員がコーラスに参加していた。ヴォーカル以外のメンバーが歌えるってのは強力である。ライヴでの音の厚みも増すし、勢いもつく。MCも手慣れてて、見苦しい点は見当たらなかった。

サポートアクトというか、事実上「対バン」だと思うのだけど、それだけに演奏時間もけっこうあった。EDGUY目的の人には短かったと思うけれど。(文責:八槌せいる)