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ライヴレポートのようなもの

ライヴ観て来た記

OMEN OF EVIL RETURNS

02’10月11日 大阪・天保山 BAYSIDE JENNY
†DARK FUNERAL†CHTHONIC†BASSAIUM†DIABOLIC ART†MERZBOW

大阪BAYSIDE JENNYは、あのMANOWARが初来日公演をやった伝説のディスコである。その後も幾度かライヴを行っていたが、まともなライヴを演出できたのだろうか?と疑ってしまうほどの音質の悪さであった。おそらく会場の器材とPAの腕が最低だったのであろう。ライヴ中にCHTHONICのVo.が2度も「キーボードの音量を上げてくれ」とPA側にクレームをつけたが、こんなことは前代未聞である。どのバンドも良いパフォーマンスを示したので、音質の悪さが本当に悔やまれる。

本日はイベント形式のライヴで、怪しげなオカルトショップ主催とあり、会場は真面目なメタルリスナーと異形のコスプレイヤーが交錯し、何とも怪しげな雰囲気を醸していた。

BASSAIUM

Vo.も含めた全楽器が徹頭徹尾、最重低音を叩き出す。各パートの音が分離するわけはなく、車の中でこのサウンドを聴けば、間違いなくスネアとシンバルの音しか耳に届かないだろう。エンジンの低い唸り声そのままである。突き詰められたデスメタルは、超硬な音塊となってぶつかってくる。MORBID ANGEL直系のアメリカンデスメタル、まだこんな奴らが生き残ってくれているなんて…うれしさでニヤけてくる。

爆音系フェスのコンピレーションに収録された“Bleed”は4曲目に演奏されたが、MORBID ANGELというよりも、スラッシュ全盛時のSLAYERへの崇敬を感じさせるナンバーだ。どの曲も展開が複雑すぎて、初聴きのライヴでは楽しむことが出来なかったが、アルバムを入手して、じっくり聴いてみたいものである。

CHTHONIC

「たおやか」…メンバーがステージに現われた時の第一印象がそうだった。体育会系バンドの後だから、尚さらかと思ったが、よく見ればベースとキーボードが女性だった。衣装の雰囲気はバンドの音にふさわしく、ヴィジュアライズされた衣装に身を包んだメンバーは、ほぼ定位置で演奏する静的なステージ。

緩急自在のリズムにのる、典型的シンフォニックブラックメタル。ベーシストがコーラスを担当し、そのフィメールヴォイスは絶大な効果を顕わす。残虐なギターリフと凶々しきデス/ブラックヴォイス、物悲しきギターメロディと憂いあるキーボードサウンド。この日一番の音質を誇り、最悪とも言えるPAオペレートの下で、音の分離は申し分ない。しかし、ベースの音がこもり気味で、モコッとした音を出していたので、そこが勿体無いと言えば勿体無い。不慣れなアンプで自分の音が作れなかったのだろうか?

ステージ上は神域、新たなる荒神の御霊(みたま)が生まれ宿る。バンドはアジアの地に天降った、冥府を司る神であろうか。メタル後進エリアのアジアに於いて、彼らは神に近い存在といえよう。

MERZBOW

一人のオペレーターによるDTM(デスクトップミュージック)の打込み。ノイズ系は筆者の守備範囲外なので、コメントは控えさせてもらう。

DIABOLIC ART

「黒衣の司祭がステージの祭壇に現われ、衆生を教化する。気が遠くなるような歳月を閲した、古ぶるしき教会の地下、暗澹たる窖で行われる宗教儀式をステージ上で再現するというアイディアこそは面白いが、司祭が何事かぶつぶつつぶやき、バックで音楽が鳴るというだけを40分近くもやられては…。余興で10分が限界だろう。この日一番の、音の悪さ。打込みによるサウンドは、まだメタルの痕跡を残していたが、如何せん音の悪さに加え高音が耳をつんざく。私は鼓膜保護のために会場外に出る羽目となった。そんな悪条件の中、大多数の人がフロアにいたことが、私には脅威だった。

DARK FUNERAL

ダイモンたちは、存在せぬものをあたかも存在するものであるかのごとく、
人間どもに見られるべきものとして働きかける。────ラクタンティウス

ステージに現われたメンバーは本当に大柄で、体の作りが違う。東洋人を見た後だけに、余計デカく感じられる。典型的ブラックメタルは、典型的悪質の轟音で、会場を激走する。MAPEXのドラムセットに座ったMatteは、ブラストマシーンのようにビートを叩出す。それを涼しげな顔で難無くこなすから、余計に脅威である。進行的には、MCを取らずに曲間に小休止する場面もあり、ライヴの運びとしてはいま一つであった(コアなバンドには有りがちであるが…)。

AhrimanのB.C.RICH、DominionのESPから掻きむしられる音塊は、周波数特性を超え、ギターサウンドがキーボードのようにさえ聴こえてくる。この日のステージに上がったベーシストは皆トラブル続きで、特にRichardの時が最悪であった。音はデカくなったり小さくなったりで、この時ほどPA屋を呪ったことはない。しかし、Caligula皇帝は矢継早に禍言を詠唱し、バックの演奏は死相を浮かべた汚濁となって、神への冒涜の限りを尽くす。

ステージを飾る逆さ五芒星に逆さ十字、呪わしき黒山羊を見ていると、キリスト教というのは本当に病んだ宗教なのであろう、と言わざるを得ない。しかし、このようなブラックメタルを産み出した原動力の一つとして、キリスト教の存在意義という意味では、崇拝するに値するものなのかもしれない。勿論逆さ十字という形で、であるが…。

(文責:新地昭彦)


会場内ではホラー&オカルト色全開で、入るとまず目に飛び込んできたのはスクリーンに映し出された映画。教会とシスターといかにもな悪魔の出る無声映画だった。DIABOLIC ARTが使用する為のセットの一部も兼ねていた模様。

BASSAIUMとCHTHONICはDARK FUNERALと一緒に東名阪を回るので、3、4番目にこの2バンドが出てくると思っていたら、BASSAIUM→CHTHONIC→MERZBOW→DIABOLIC ART→DARK FUNERALという出演順だった。そのつもりでゆったり来ていたら、BASSAIUMは見逃していたよ…。

BASSAIUM

事前に聴いていた曲はストレートなデスメタルだったが、ライヴの曲はリフの刻み方が凝ってたり、展開したりとどこかテクニカルデス風味。演奏力はあると感じた。ひとり金髪の、モヒカンが伸びたような髪型をしたヴォーカル氏は私好みの咆哮声で吠えまくる。MCも危な気なくフレンドリー。最初はフロアの人影もまばらだったのだが、ステージが進むに連れて音に惹かれたと思えし人々が前の方に集まってきた。

しかし、客の方が“バンド慣れ”してなかった為か、MCに対する反応もいまいち。

「DARK FUNERAL好きか〜〜〜!?」
「…………」
「ぉおーい、ダイジョーブかあ〜?(笑)」

こんな調子(笑)。

CHTHONIC

彼らについてはほとんど知識なし。ドラム君は髪型のせいかライデン湯沢、ベース女史は“ブラックメイクの相川七瀬”に見えて仕方なかった。肝心の音ですが、BASSAIUMの時はそれほど気にならなかった音の悪さが耳をつくようになった。高音が割れるんである。せっかくベース女史がコーラス入れてても、ほとんど聞こえなかった。演奏自体は酷くなかったのに残念。

“民族的”がお気に入りポイントの私は、クライマックスでヴォーカル君が二胡を取り出し弾き始めたので、それだけで一目置いてしまった。

きちんと音を聞きたかったので 会場でCD買って、それで歌詞が全編中国語なのを知った次第。女性コーラス以外ではほとんどわからないんだけども。

MERZBOW

一体何をやるのかを思ったらノイズだったという…。Power Book G4が机の上に2台!!っていうところで私と新地はおもしろがっていたのだが、音に関してはまるっきり専門外なのでコメントは割愛。

DIABOLIC ART

名前そのまんま。ステージに準備された祭壇やら、サバトの山羊の垂れ幕で、一体何が始まるのかと思ったら召喚儀式だった。音が悪くてなにを喋っているのか良くわからなかったので、何を表現してたのかは不明。

前述のスクリーンにはそには自作の画像が映し出され、ステージ上では怪しい朗読が展開された。自作の画像といっても、既存のホラー映画と、「どうもどこかで見た事のある」“印”をつなぎ合わせたもの。ホラー映画で判ったのはオーメン、エクソシスト、サスペリアだけで、あとは陰媚な中世の魔女もの。

“印”は、ソロモンの精霊(要するに悪魔)たちの納章とか、「高等魔術の教理と祭儀」にある画…召喚円や印章など、オカルトかじってたらピンと来る物。新地がウケまくってたのが朗読の一部→「イア!シュブ・ニグラス!!」…もちろん「千匹の仔を孕みし森の黒山羊!」と、こっそり続けさせて頂いた。まともに朗読が聞き取れていればもっと楽しめたかもしれない。

DARK FUNERAL

後ろにマーシャルが存在してない洋楽バンドのライヴって初めてだ。後日東京のライヴ写真を見ましたが、大阪は着てたものがちょっとだけ普通だった。

DIABOLIC ARTが登場する時に松明をかかげて出てきたので、ここは火気OK?等と思ってたのだが、Caligula皇帝が松明持って出てきた時にはまさか、火を吹くとは思わなかった。私は5メートル程度離れたとこにいたのに、熱がそこまで伝わって来てビビった…。大阪は火柱がたっても平気だったけど、東京のあの狭い会場でやるのは無謀じゃないだろうか。

(文責:八槌せいる)