03’3月27日 心斎橋 クラブクアトロ
＋†MANIPULATED SLAVES
MANIPULATED SLAVESのレポは無し。
こオープニングはアルバム通りでナチュラルトーンの妖しい響きが会場を一気に閉鎖された世界に摩り替える。暗めのライティングは古びた地下室を思わせ、アンダーグランドなギグの始まりを感じさせる。自分をどうにも抑える事の出来ぬ者共がステージに向かって飛びかかる。Patrickの凄まじいリフが始まると“Godpuppet”が破城槌となって観客を薙ぎ倒す。腕に覚えるのあるオーディエンス達がヘッドバンギング、モッシュ、ダイヴでTHE HAUNTEDに挑むのである。
「Chasm」と1stの曲がコールされると、俄然、会場のテンションが昂り、奮い立つのがひしひしと伝わる。ここに集った者達の1stへの思い入れが並々ならぬ物であると感じ取れる。
フロント４人の配置はL to Rで、Patrick、Marco、Anders、Jonas。Marco、Patrickはよく客を煽り、Jonasも度々左サイドまでやって来た。Marcoは多彩なステージパフォーマンスを見せ、度重なるツアーで確実にステップアップしている。ライヴ中、様々な表情を見せ、アクションをとり、歌以外の部分でも客を魅了する。客席からは「Jense〜〜n」の呼び声多し。しかし、ドラムのPerもJensenなわけで、私は敢えて「Patrick」とコールした。実際、このバンドの音像を支えるギターリフを聴いたならば、彼の名を叫ばずには居られない
“Trespass”では、ギターメロディを口ずさむ者が周りに多数出た。私はその心情に呼応し、ギターメロディに心が締め付けられる程の喜びを感じた。“Undead”演奏中、Marcoは客席に向かって手招きをする。もっとダイヴでステージに来い！そんな挑発だろうか？エンディングは、「FU〜〜〜〜CK!」と伸ばす。
真っ青なライトが会場を照らす中、いくつもの光条を思わせるライトが回転する。我々は仄冥い深海から幽かに届く太陽の光を眺めているようだった。聖歌のようなSEが流れ、母胎という海に優しく包まれ漂う穏やかな時。羊水の中で見る心安らぐ夢は一瞬にして踏みにじられる。“Leech”の圧殺するリフが覆い被さる。夢想は終わりを告げ、再び戦場の現実に引込まれる。コーラスを掛けたギターメロディは重苦しく、不気味である。「動・速」のセットにあって、際立つ「静・重」の山場。“Revelation”“Shithead”といった秒殺スピードチューンで、オーディエンスが次々に屠ふられ、屍体の山が築かれていく。しかしその魂は救われる事無く、鬼狂となってバンドにさらなる音曲を求めるのである。
「スローソングをやるからリラックスしてくれ。女性にこの曲を捧げる。」と言って始まったのは、“Hollow Ground”であった。攻め一方ではなく、こういう曲をセットにさらっと加えるからTHE HAUNTEDというバンドは侮れない。アルバム通りに行進の足音のSEから“D.O.A.”となり、ヘッドバンギングのリズムに会場が揺れる。空襲警報のSEに導かれた“Dark Intentions”から“Bury Your Dead”で客は忘我恍惚となり、バンドを可畏き神として崇敬する。
禍言を吐き続けるMarcoの着た黒襟シャツは汗で肌にビッタリ張り付いていた。“Bloodletting”イントロのブレイクでは、シンバルに合わせてMarcoも叩く真似をする。アルバムにゲスト参加したMichael Amott特有の粘るフィルインをAndersが再現していた。
「セカンドアルバムの最速曲だー！！」と始まったのは、“Silencer”。mcの煽りを聞いただけで、血が沸騰し暴発寸前となる。ファストにミドルにと自在に変わるリズムがヘッドバンギングやモッシュを誘発し、獣行のリフが切り裂く。セットはここで一端終了。アンコールの求めに応じてPerがドラムソロを披露。それは摩可不思議なリズムであった。
そしてお待ちかね、ニューアルバムのタイトルトラック“One Kill Wonder”の演奏。「o〜ne ki〜ll wo〜nder〜 、o〜ne ki〜ll！！」の大合唱である。サビが短いので、もうワンコーラスあっても良い気がする。ベースのフィルインは、今一つハッキリ聴こえず、非常に残念であった。
サポートに対する感謝と今夜の客が最高だというお褒めの言葉を頂いたところで、御褒美ともいえる“Hate Song”でセットを締めた。猛り狂うバンドとオーディエンス。アウトロの“Demon Eyes”で互いの健闘を讃え合う。
フルセット闘い続けた私の心の中には、満足だけしか残っていなかった。
（文責：新地昭彦）
1st:THE HAUNTED
2nd:THE HAUNTED MADE ME DO IT
3rd:ONE KILL WONDER