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ライヴレポートのようなもの

ライヴ観て来た記

Extreme the DOJO Vol.9

04’2月5日 心斎橋クラブクアトロ
†ZYKLON†DARK FUNERAL†GOATWHORE

黒を基調とした暗夜の集団、どいつもこいつもコアなバンドTシャツでその存在感をアピールする者共が集う、久々に真性なメタルのライヴ。特筆すべきは、アルバムジャケットの影響か、黒のロングコートで映画「MATRIX」の世界観を引きずる者もいた。男女比が6:4という客層も、久しくお目にかからなかったコンディション。いや、この手のバンドでは異常な事態だと思ったのだが…。

GOATWHORE

アメリカの4人組で、丸坊主に長い顎髭のギターと短髪のドラムはいかにも今のアメリカを象徴する典型的アメリカ人だが、長髪に顎髭のヴォーカル、同じく長髪のベースはその風貌からメタルらしい雰囲気を発していた。

1曲目は極端にスピードを追及するUSブラック/デスで、マシンガンビートが止めどなくストリーミングする。2曲目はミドルテンポ。エクストリームファストのパートは流行のテクニカルデスからの影響を感じさせる。客を牽引することなく、バンドの満足だけで激走するアメリカンスタイルに終始するかに思えたが、4曲目からライヴの流れを掴んだのか、曲がこちらの意識を引き付けるようになった。

刻む重厚なリフ、ノリの良いヘヴィなうねりはアメリカンの本領発揮。他国の者が真似することの出来ないものを持っていることは強味になり、その音楽の存在価値をグンと高める。ヨーロッパスタイルの模倣だけでは面白みは無いが、そこにアメリカのお国柄を加味させた所にこのバンドの評価がなされる。ブラック、デス、ノーマルヴォイスと使い分けるヴォーカルも強力な武器となるだろう。

まだアルバム1枚でメンバーも固まっていないので、各々の方向性を持った曲がライヴにばらけた印象を与えたが、アルバムを作るごとにバンドの指向性は明らかになってくるであろう。11曲目はCELTIC FROSTカヴァー “Into Crypts Of Rays”で、その幕を降ろした。

追記:トイレでのキッズの感想「むっちゃ、良かったー。ハードコアっぽいなあ。始まった時のギターの一発目の顔がスゴかった(笑)」だそうです。(19:00-19:40,11曲)

DARK FUNERAL

D.FUNERALのバックドロップがZYKLONのあのマークを覆い隠し、ステージ・フロアは俗魔ブラックメタルバンドの登場を待つばかりとなった。闇の異界から顕現した彼らは、若干のメンバーチェンジを行っていた。相変わらずデカいけど、どことなくほっそりした感のあるAhriman卿、「CALIGUR」と腹に彫られたタトゥーが目に飛び込んでくるCaligula皇帝は髪がドレッドっぽくなってはいたが、各々健在。他のフロントと違ってほっそりして、乳ピアスが痛々しい東洋人風のギターChaq Molが加わっていた。体格・顎髭から鍾軌の様な風体のベースはTHE PROJECT HATEからのセッション参加Lord K。紅いライトに照り映える幽鬼たち。

左右のMESA BOOGIEが喚き出すギター音、TRACE ELLIOTが発散するベース音は分子レベルで結合し、ドラムの爆音も加わった音壁となって会場の時空を制圧する。音塊からシンバルとスネアが辛うじて浮上し、音壁の中でメインメロディがサブリミナルに蠢く。実際、聴いているこっちの動悸が一気にピーク領域に達して、心臓破裂を引き起こしかねないブラストビートが凄まじい。5曲目の“Goddess Of Sodomy”で、煉獄の炎もかくやという程にCaligula皇帝の火吹きがお目見えする。

突然決まった来日とはいえ、ツアーを重ねていた彼等ならではの貫祿で全く支障の無い演奏、隙の無い構成のライヴを終えた。(20:05-20:50,10曲)

ZYKLON

会場暗転とともに“Zycloned”がSE代わりに流れ、メンバーがステージに現われた。ここは新譜の1曲目からのスタートで「Psyklon Aeon」の大合唱を期待していたのだが…、残念。野郎の怒号を切り裂く、黄色い歓声にいま一つ興冷めの感がある。フロント配置は向かって左からSamoth、Secthdaemon、Destructhor。ライヴは取っ付き易い“Core Solution”からの緩やかな立ち上がりだったが、Destructhorは屈曲したヘッドバンギングに入って陰に籠り、その姿を見る事はほとんど無かった。時折コーラスのためマイクに向かうところを目撃できるのみであった。ギターアンプはどちらもmarshall、ベースアンプはampeg。ドラムセットはYAMAHA。バックドロップはあの手裏剣マーク。Jacksonギターを弾くSamothは送風器の風を受け、その髪は生き物のごとく絶えず舞い続けるのである。

立ち上がり音のバランスが悪くてDestructhorのソロワークは聴こえず、Trymのスネアも判然としない状態だったが6曲目辺りから改善された。エクスプローラーのベースを持つSecthdaemonは歌に演奏にと八面六臂の活躍を見せる。局面に合わせて死声・黒声・吠声と声音を使い分ける、そのスタイルは圧巻であった。脅威のヴォーカリストSecthdaemonをはじめ、鋭いリフを弾くDestructhor、安定したリズムで攻性のビートを叩き出すTrym、まとめ役の重鎮Samothと今のZYKLONは、まさに最強の布陣である。

新譜のタイトルトラックとでも言うべき“Psyklon Aeon”は割と素っ気無く始まった。後半のブレイクから始まるミドルの刻みパートは、牽引するギターのリフが速く、ライヴならではのノリ。 曲間のブレイクには、DARK FUNERAL、GOATWHOREのメンバーらが客席から声を飛ばし、パッケージバンド達の和気藹々とした雰囲気が伝わった。実際、ステージ上のSamothはリラックスした印象で終始笑顔であり、とても元インナーサークルのメンバーたる闘気を纏っては居なかった。もっと威圧的なオーラを発する人物なのではないかと思っていたが…。

クライマックス“Hammer Revelation”で短すぎるセットを一旦終了。アンコールの“I Am The Black Wizards”はEMPERORの1stからの曲。この場合、セルフカヴァーとでも言おうか。しかし、ここで聴かれたのはライヴアルバム「EMPERIAL LIVE CEREMONY」で聴かれた後期EMPERORの荘厳なものではなく、くぐもったギターサウンドに喚きのブラックヴォイスとVENOMのようなプリミティヴブラックであった。これはSamoth自身の原点回帰とも言えるだろう。

変化に富んだ2ndの曲を織り混ぜながらも、しかし高低差の少ないライヴの流れであり、また関西圏の客層は代替わりしたのか、反応の弱い若輩層も相まって、全体的に不完全燃焼の感が残るものとなった(ダイヴ、モッシュ無しとは!)。この点に関して八槌が、今日のセットリストは元々DIMMU BORGIRの前座として組まれたものであり、トリを想定したものではなかったのではないか、と面白い指摘をしている。次回、メインバンドのスペックでのライヴを堪能したいものである。(21:10-22:05,10曲)

(文責:新地昭彦)


ここの方によると、東京はもっと人が多かったと。人口密度の差か、はたまた、2日後に迫った某英国ベテランバンドのフェスに客を取られたか(苦笑)。

GOATWHORE

さすがアメリカ人というか、パフォーマンスは3バンド中、一番あか抜けてた気がする。もっとも、音楽的にはまだやりたい事が練れてないような、ストレートに北欧のバンドに影響された感じ。

ベースの彼の本当にアメリカ人と疑いたくなる、あの野暮ったさ(失礼)に癒された。実は、自分達が会場に到着したら、外にメンバーが立っていて、ベースの彼は、ちらりと私の胸元を見た。私の着ていたBEHEMOTHのZOS KIA CULTUSのTシャツ(アルバムジャケットの山羊柄)が気になったらしい。

DARK FUNERAL

この無茶なスケジュールでよく来てくれたなあ…。

Ahriman卿は明らかに痩せていた。新地は「あの腹が見えないのは寂しい」と言ってたけど(笑)。

東京では、Matteへの声援が多かったって話だったけど、それは大阪も同じ。ほとんど姿勢を変えないまま、黙々とタイトなリズムを刻む彼はある意味神々しかった。

Caligula皇帝はなんか、髪型と“色”のせいか、映画「プレデター」の異星人のようだった。ライヴの中盤からステージソデでSecthdamonとDestructhorが見ていたんだけれども、途中、皇帝がそっちの方に向かって行って、何か言ってたので、「喧嘩でも売りに行ったか!?」などと、冷や汗かいた。そしたら、火吹きの準備をしに行っただけで、ほっ。

ZYKLON

Secthdamonは「バイキング(ここの方談)」的質実剛健で武骨な雰囲気が非常にツボ。彼の威風堂々な姿ばかりが脳裏に焼き付いている。Destructhorは旋回する髪の毛しか記憶になく、Trymは言わずもがな。一番目的だったはずのSamothの印象が薄い…(泣笑)。

ただ、まあ人の見方は色々なので、文句を言う筋合いはまったく無いのだけれど、「サモス素敵〜っ♪」は勘弁してほしかった…。(文責:八槌せいる)