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ライヴレポートのようなもの

ライヴ観て来た記

DEAD IN HORROR our mere existence- vol.3

03’1月11日 福岡 KEITH FLACK
†CARNAL FORGE†GRIM FORCE†BASSAIUM†HYDROPHOBIA
†NECRONOMICON†UNDER CREW†REIGN OF TERROR

会場となったKEITH FLACKは、ライヴハウスが林立する天神長浜公園の路地裏に建つ、廃ビルかと思ってしまうような雑居ビル2階のクラブ。今回のライヴイベントを企画した地元バンド達の働きかけか、オープン予定の18:00前には会場の周りに睦月の夜陰に乗じて夜叉共が群れ集う。寒月も凍てつく厳冬夜というのに、すでにTシャツ1枚で鋼の地獄に身を投じようとする修羅もいる。その熱き思いを削ぐほどに開場時間は遅れに遅れたが…。

会場に入って思い出したのだが、ここは筆者が若かりし頃、メタルディスコのイベントでインチキDJをやった曰く付きの場所であった。約5.6m×3.2mというライヴスペースは、来日バンドの公演にとって最小面積となったのではないだろうか。今回のイベントは企画発表時とはラインナップが替わったり、またBUZZ CULTが当日ドタキャンになったりと非常に残念な面が多かった。

REIGN OF TERROR

G、B、Vo、Drの4人組。全身黒ずくめの出で立ちで、全員がフードのようなものをすっぽり被り、一種異様な雰囲気でステージに立つ。しかしその音楽性は「好きなバンドの曲を部分部分繋ぎ合わせました」といった感が否めず、デスメタルという殺人兵器を初めて手にした見習い兵が演習地に赴くといった風情である。まだまだこれからのバンドであるので、充分に経験を積んで、自己の楽曲センスを身に付けて頂きたい。(セット:4曲)

UNDER CREW

G、B、Drのトリオ編成が交互にVo(MC)をとる(主にG、BがVoパートをとる)。音楽性は爆音系ミクスチャー・コアとでもしておこう。私の知る限りでは、SYSTEM OF A DOWNに近いだろうか。この手の音楽性は作り易いのか、曲はある程度のレベルをクリアしている。メタラーが気に入るかどうかは別として。他の国内出演バンドよりも、曲の構成力は高い。ベースのボトムがブッとく、英語の発音も上々。「異質」と「変化」という意義で、前座バンドの中で一番耳を引いたバンドだった。(セット:4曲)

NECRONOMICON

G、B、Drの3人組で、GがVoを兼ねる、地元で女性に人気のデスメタルバンド。曲調はアメリカンデスで、デスヴォイスは窒息系。ギターソロになると途端に音が細くなるので、Gをもう1人入れるか、B、Drがボトムアップの演奏に努めるか、の改善が急務。人気の要素がGのルックスだけと言われないように、曲の質の向上に努めて貰いたい。(セット:4曲)

HYDROPHOBIA

'02年11月1日のVADER中でライヴレポをしているので、今回は省略。
(セット:4曲)

BASSAIUM

'02年10月11日のOMEN OF EVIL RETURNS中でライヴレポをしているので、今回はこぼれ話ネタを。迦陵頻伽は左Gの最前を確保。「風邪気味で鼻水が飛ぶぞ」とライヴ前に冗談を飛ばしていたが、ライヴ中、彼の立っている床を見ると、鼻水がボトボトと水たまりに…。いやいや、滝のように噴き出す汗であった。空調も何もあったものじゃない会場で、上下レザーでは、サウナスーツ状態であったろう。なお、3曲目は、掟破りのSLAYERカヴァー、“War Ensemble”。(セット:5曲)

GRIM FORCE

G、B、Vo、Drの4人組。スキンヘッズに髭のVoは「凄味」という特異の存在感を放つ。「デスラッシュに飾りは要らない。直球勝負のみ!」とは物販ブースでのアディクティーズ女史の発言だが、まさにその言葉に違わない、豪速球の音楽性であった。直線デスラッシュの曲調に、リフもルート弾きのゴリ押し。変化球や引きは一切無し。RITUAL CARNAGEから分裂派生したバンドとして充分納得できるもの。これまた、掟破りのSLAYERカヴァー、“Angel Of Death”を5曲目に披露。一晩のうちに2つもSLAYERのカヴァーが聴けるとは、恐れ入った。(セット:5曲)

CARNAL FORGE

G×2、B、Vo、Drの5人組。スウェディッシュ・スラッシュ・シーン確立の一旗手。恰幅の良いメンバーがステージに現われて、シンバル2発でいきなり始まった。

私はバンドに関して何のインプットも無かったので、その音楽性にびっくりした。てっきりデスとかブラックと思っていたのに、正統的なスラッシュをカマされて仰天してしまった。リフとかリズムとかが、それまで出演した日本のバンド群とはまるで違うのである。リフのエッジが利いているのは単なるディストーションサウンドによるザクザク感ではなく、リフの構成そのものがザクザクなのである。

曲はパート毎にしっかり作られていて、全体的に整合性がある。つまり無駄な部分が無く、全体を見て曲の流れを掴んでいる。曲のどのパートを採っても客をノセる要素が含まれている。これが世界のレヴェルなのか。まざまざと見せつけられた。日本盤発売前であり、地方の福岡では事前に音源を手に入れる事は困難であったろうに、客の好リアクションがあったのはひとえに楽曲の良さであろう。

メンバーの位置は、LtoRでJari、Jonas、Petri、Lars。ドラムのStefanは後ろでpremierのセットに座り、Jariは黒のIbanezギター、Larsも同じく黒のIbanezベース、Petriは木目のIbanezギターであった。Jonasは終止にこやかであり、ヘッドバンギングは頭を振り上げ、正面で止めるので常に顔が見える不思議なものだった。Jariは頭を振る度に後ろにわずかにある弁髪が立ち上がり、スラッシュチューンの緊張感とは裏腹である。スラッシュ然とした長い黒髪がたゆとうLarsと違って他のフロントメンバーは短髪で割腹もよく、とてもスラッシャーには見えない。

アンコールでは、Jonasはカメラを持ち出して客を写し、「to show my mother」となごみのmcで客を沸せた。しかし演奏の攻撃の手は一切緩められず、ライヴが終われば日付けが変わっていた。

今回のイベントは見事なまでのピラミッド構造を現した。地方の駆け出しバンド、中堅バンド、中央の中堅バンドと来て、最後が海外での活動もやっていけるバンドとはっきりとした階層が存在していた。しかも国内と海外のバンドの間には高い壁が立ちはだかる。バンド達はそれぞれの階層の壁を認識し、さらに上のステージに昇る様頑張ってもらいたい。

(文責:新地昭彦)