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ライヴレポートのようなもの

ライヴ観て来た記

ARCH ENEMY

98’11月18日 大阪バナナホール

「STIGMATA」が出てから、あまりにも時間が経っていたので、てっきり来日しないのだと思っていた。某誌でのアルバムレヴューの評価は高かったけど、私個人は今作はあまり気に入ってなかったので、来日しても行くかどうかは決めかねていた。

そんな矢先に新地がもってきた情報「来日決まったって…」に驚愕。既にIRON MAIDENとANGRAのチケットをゲットしていた私は、スケジュールを聞いて再び驚愕。「MAIDENの3日前じゃんか!」…思い入れの点から見ても、ここは諦めるのが必然。しかし私は行くことにした。迷いはあったけれど、CATHEDRALの時外した兄貴の拝顔や、何よりちゃんとした形でのライヴが見たかったのだ。

この度の上阪では新地の同行はなし。面倒臭いことはふだんから彼に任せっきりな私は、今回少々そのツケを払った。ただでさえ慌て者だから余計である。

さて、朝になり大阪上陸。こう何回も大阪に来ていると時間潰しが大変。行ける所は大体行ってて最近ちょっと困っていた。そんなところへ今更気がついた方法、という訳で中之島図書館で本を読む。このレポートもMAIDENのライヴまでの時間潰しで、中之島図書館の自習室で書いている。

実をいうと、アルバムが出て大分経つし、そんなにお客さんいないんじゃないかなあ、と思っていた。しかし実際は想像してたよりたくさん入ってて、しかも男女比が9:1。もう少し(IN FLAMES並みには)女性客がいると思ったんだけど。そういえば、¥500で写真売ってたんで笑ってしまった。Amott BROS. とメンバー全員の二種類。サイン入り。こんなん売ってるのは初めて見た。私は彼らの写真見てても楽しくないので買わなかったけど結構みんな買ってたみたい。

7時を少し過ぎた頃、客電が消えた。BGMのRAINBOWに替わって混声合唱(曲名知らず)のSEが流れる中、まずDaniel Erlandssonが登場。次に、仕草が妙に可愛らしいChristpherと、Martin Bengtssonが一緒に出てきた。その次が兄貴。やっぱり一番歓声が大きい。そのまま一曲目開始“Black Earth”。歌が入る直前にJohan Liiva登場……うわー、怪しい!何か、ヒッピーな新興宗教の教祖って感じ(なんじゃそら)。兄貴はレスポールじゃないし、Martinもプレシジョンじゃなくてちょっと寂しい。音はクリアでバランスもよい。ギタリストが中心人物のバンドにしてはヴォーカルがしっかり聞こえている。楽器を抑えめにしてるのか、Johanの声がでかいのか。

バナナホールはの内部は、段差があって少し危ない。だけどこの段差、私のような小柄な人間にはありがたい。私が立った段差はフロアから30センチの高さがあった。絶景である。ただ、少し後ろのほうだったせいか、ヘドバンかましてる人間の横で煙草吸ってる人がいて、「勘弁してくれー、カチカチ山になってしまうー!」自分が前に行けば済むことだけど、ライヴ観ながら煙草吸えるっていうのは一体どういう神経なのだ…。 

閑話休題。「STIGMATA」の曲は二拍子のヘッドバンギングソングじゃなくて、リズムで乗せるパターンが多いかな。そして一曲が長い。“Sinister Mephist”の最中、私は息切れをしてしまった…。一番の盛り上がりを見せたのは、本編では“Transmigration Macabre”。その次は2ndアンコールの“Aces High”と“Bury Me An Angel”。あと、“Bridge Of Destiny”の、ムード歌謡のようなラストのギターパートでも歓声が上がっていた。ファンが求めてるのは、疾走するリフでも吠えまくるヴォーカルでもなくてAmott BROS.の、このギターにあるんだろうな…というのが今更によくわかるというもの。

でもJohanも見てやってね。ステージ上のJohanはその風貌からして怪しいけど、前回より確実にパフォーマンスが向上しているように感じた。多少MCのタイミングが悪いところがあったけど、客のヒアリング力の問題かもしれない。デス声MCなので聞き取りにくいのもある。

聞き覚えのない曲を二曲、たぶんひとつはCARNAGE。もうひとつは「New song…」と言ってた気がするので、新曲だと思う。私のヒアリング力からしてこの程度だ。MCをメモでもしてたらあとで解読できたんだけど。

バランス良い音、よく通るヴォーカルも、アンコール過ぎたころから少し荒れた。特に“Aces High”。でも、Bruce Dickinsonだってこの曲は結構青息吐息だったしね(←「LIVE AFTER DEATH」の話)。カッコいい曲だが難易度A級。大目に見よう。

さて。これは前回も感じたことだけど、“Bury Me An Angel”のツインギターのハモりの所は、ギターが妙に目立っていてアルバム程カッコよくない…。アルバムの表現とライヴでの再現に違いができるのは仕方のないことなんだが。アルバムはあそこでもう一本ギターが鳴ってるんだろうし、“ツインギター”というのが売りになっているなら余計にだ。解ってはいるんだけど、まあ敢えて文句を言っておく。

“Bury Me An Angel”が終わって、Johanと兄貴が挨拶。兄貴の肉声聞くのは初めてなので感激である。そういえば私の後ろでずっと「Michael〜」と叫んでた女の子が居た。彼、ルックスそんなに良くないのになあ、どこが好きなのー?と思った私は、はっきり言って自分のことを棚に上げていた。

演奏のレベルはCATHEDRALの時より良かった。Johanのパフォーマンスはまだ改善の余地有りだけど。でも、ライヴでヘロヘロになってるヴォーカリスト(この比較対象は日本人なので、必ずしも適切ではないが)も多い中、彼はさすがのベテランだった。細かいアラは色々あるんだろうけど、その辺は専門家に任そう。

バナナホールの外に出て時計を見ると9時5分前。大阪駅に向かう商店街はポン引きだらけだった。CRADLE OF FILTHの時はこんなんおらんかったのに…と、うっとおしがりながら歩く私の頭からは既にIRON MAIDENという単語が消え去っていた。かくして私は3日後、首の硬直とともに再び大阪入りするのである。

(文責:八槌せいる)