トリュ−ムタングステンフィラメントの動作原理
参考文献 以下の資料から抜粋および一部略
独シ−メンス Jochen Stahl氏 発振管による高周波加熱

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カソ−ド細線の断面
直熱管のフィラメントはどのような動作原理なのでしょうか。

初期のカソ−ドは純粋なタングステンで所定の電子流密度(A/Cu)を放出させる為表面温度を2600Kまであげる必要があり特に加熱電力が大きくなります.
トリュ−ム タングステン カソ−ドは同等な電子流密度を得るのに1900Kですみ,加熱電力(ヒ−タ−電圧と電流の積)が低くできます.

フィラメントはタングステン粉末をカソ−ド細線として焼結する際に,約1%の酸化トリュ−ムを混合します.成型した後[増炭]処理によりタングステン細線の外部層を炭化タングステンに変化させます.

トリュ−ム タングステン カソ−ドは,細線表面にトリュ−ムの単原子層が存在している限り,1900Kにおいて高い電子流密度を保持します.しかし絶えずトリュ−ム原子の一定量が蒸発するので,同量のトリュ−ム原子を常に細線内部から表面に補給してやらねばなりません.この動的な平衡を保つ為,最初に混合しておいた酸化トリュ−ムを,金属トリュ−ムに還元する必要があります.この過程は,炭化タングステンの介在によって可能になります.炭素成分が酸化トリュ−ムの酸素と結合して新しいトリュ−ム原子が開放されて,細線表面で蒸発したトリュ−ムの代わりになります.炭化タングステンの貯えがすべて使い果たされ,酸化トリュ−ムがもはや単原子トリュ−ムに変化できなくなると,カソ−ドの寿命は終わります.

熱電子放出のメカニズムは相当に複雑で,温度に依存した多数の化学的および物理的な反応に基づいており,デ−タ−シ−トに記載された加熱電力値を正確に守ることが大切であり,加熱が5〜10%超過すると,トリュ−ムの蒸発速度が2倍になり,寿命を半分に縮めます.同様に加熱不足になると新しいトリュ−ムの補充が妨げられ,やはり寿命を縮めます.
一般の傍熱管はヒ−タ−でカソ−ドを熱しますのでメカニズムが異なりますが,定格より10%程度ヒ−タ−電圧が高い場合は事故率が2倍となり,10%程度低い場合は半分になります.しかし低いほうがよいわけではなく,加熱不足でエミッションが不足すると,特に電力管では寿命を縮めます.



電子流密度



製造法


動作原理

 

 

 


使用上の注意