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生誕250年特集 ***  ベートーヴェンのダンス音楽を聴く

 ベートーヴェン生誕250年の今年、ぜひ、聴いていただきたい珍しいレコードがあります。名手ボスコフスキーが指揮した『ベートーヴェンのダンス&ロマンス』という古いLP盤です。
 英デッカの正規録音ですが
なぜか【非売品】と表示されて関係者や一部の会員だけに配布されたものです。ベートーヴェンの とても面白い秘曲集ですが、よほど物好きにしか売れないマイナー盤と考えられたのでしょう。
 その後も、再発も、CD復刻もされず、お陰で、ネットの中古市場でも、実物は無く、「高価買取」の広告だけが出ている幻のレコードです。

 さて、アニバーサリー・イヤーということで、今年は、ベートーヴェン特集がいろいろ登場しますが、この作曲家の場合、どうしても内容深遠なものが多くて、鑑賞暦の豊富な会員の皆さまにとっては食傷気味ではないでしょうか。
 ちょっと趣きを変えて、この幻のレコードで、ベートーヴェンのダンス音楽を特集します。彼もウィーンに住みましたから、舞踏会用の音楽も、かなり たくさん作曲しました。注文によって実用のためのダンス音楽を書くというのは、宮廷に仕えた作曲家なら昔は当然でしたが、ベートーヴェンにも、そういう舞曲が少なからずあるのは愉快なことです。
 しかし、彼は、これらの実用音楽に、作品番号を付けませんでした。そこで、後世の研究者がWoO(ドイツ語の「作品番号なしの楽曲」の略語)という整理番号を付けました。(他でも、有名なピアノの小品「エリーゼのために」も、作品番号が付けられなかったので、WoO.59という番号で整理されています。)
 では、彼がウィーンにデビューして間もない24歳の時に作曲した、舞踏音楽としては初期のWoO.8からお聴きください。


ウィリー
. ボスコフスキー
(19091991)
@ ベートーヴェン:12のドイツ舞曲 WoO.8から 第2、3、8番 (1795年作曲)

 ウィーンで行われた舞踏会のために作曲された舞曲ですが、ウィーン・フィルのコンサート・マスター、ボスコフスキー指揮のウィーン・モーツァルト合奏団が瀟洒な演奏を聴かせます。
ウィーン・フィルのメンバーが主体のアンサンブルで、この小編成による気取りのない作品をじつに自然に、優美に、そして、室内楽的なきめ細かさで演奏しています。
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(上の曲名をクリックすると曲目のページが開いて、自動的に演奏が再生されます)


A ベートーヴェン:12のコントルダンス WoO.14から 第1、2,5、7、11、8番 (1800〜01年作曲)

 今年のウィーン・ニューイヤー・コンサートは、ベートーヴェンの作品が初登場して話題になりました。《12のコントルダンス》という舞曲ですが、交響曲第3番《英雄》の終楽章と同じ旋律が含まれている点でも注目されました。
 そもそも、ベートーヴェンの交響曲は、ウィーン古典派のハイドンやモーツァルトが用いたメヌエットの舞曲を取っ払って、スケルツォという器楽曲に換えることによって、優雅な舞踊的古典組曲との最後の絆を断ち切ってしまったわけですから、私のようなミーハー人間には、厳めしい設えに見えてしまいます。第3番も、こんな優しい舞曲の旋律を使いながらも、これで、凡夫を威圧するような、あの重厚長大な変奏曲を構築してしまうのですから、これぞベートーヴェンたる所以でしょう。


B ベートーヴェン:11のウィーン舞曲(メートリンク舞曲) WoO.17から 第1、2,3、6番 (1819年作曲)

 ベートーヴェンのダンス音楽の最後のものは、別名《メートリンク舞曲》と呼ばれています。メートリンクとは、ウィーン近郊の景勝の地で、当時のベートーヴェンは、既に8曲の交響曲を完成させ、次なる大曲《ミサ・ソレムニス》に精力を傾けていた時期で、作曲の合間には、よく この地を散歩したそうです。
 ここには、お気に入りのレストランがあり、なかなか器用な小編成の専属バンドもいて、この楽団のために作曲した舞曲集です。いずれもウィーン近郊の民族舞曲ですが、ワルツ(4曲)、メヌエット(5曲)、レントラー(2曲)と多彩な踊りが楽しめるものになっています。
 ベートーヴェン48歳の作品、これ以降、彼は実用のためのダンス音楽を書いていません。


*文中の作曲年代等はジャケット記載のデータに準じました。(選曲&文責:中野 哲男)



関西クラシック音楽同好会