記念演奏会の案内で書いている「このほかのピアノ曲」についてですが、 南真弓さんと私が演奏しました。南さんの弾いた曲は次の2曲でした。
モーツァルト | きらきら星変奏曲 |
ショパン | 夜想曲嬰ハ短調(遺作) |
わたしこと丸山が弾く曲を紹介します。
スカルラッティ | ソナタハ長調 K.159(L.104) |
シューマン | トロイメライ |
フォーレ | 無言歌 |
以下、未公認解説です。
ヴィヴァルディの協奏曲はヴァイオリンを取り上げたものが多い。
このイ短調の曲も2つのヴァイオリンが華々しく活躍する。
ただし、バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲とは違い、必ずしも対等ではない。
第1独奏のほうがリードし、第2独奏がそれについていうという図式で作曲されている。
第2楽章はチェロ・バスはほとんど休み。手持ちぶさたである。
それをいいことにぼーっとしていると最後の4小節で出遅れる。
こんな感じの2楽章がヴィヴァルディの作品には多い。
困った作曲家である。
ブランデンブルク協奏曲の中でも明るく輝くのがこの第3番である。 冒頭の単純なリズムが一貫して使われる最初の楽章と、 細かな音形が展開される最後の楽章はともに生き生きとしている。間に2つの和音からなる楽章が入る。 ここはなんでもありで、実際にはチェンバロかヴァイオリンが好き勝手なことをやっていたらしい。 われわれの演奏ではたぶん楽譜どおりやることになるだろう。
ある会社の正門で、朝の出勤時にこれを流していた。 だいたい会社で音楽を流す神経がわからないが、もし流すとすれば他の音楽よりこれがいいとは思う。弦楽合奏オリジナルの作品として取り上げられる機会が多い。それだけのことはある。 というのはチャイコフスキーならではうまい曲作りがなされているからだ。 特に第2楽章のワルツがしゃれている。
クラシックを知らない方は名前だけみてもどんな曲かわからないだろう。 ところが今年(1998年)のはじめ頃、 この曲の冒頭があるコマーシャルに使われていたのでかなりの人が覚えているはずである。 どんなコマーシャルかというと、「会社の幹部がいきなりレオタードで登場した」 「会社のトップがコーヒーを(うっかり)こぼしたので、 下のものが我先にとみんなコーヒーをこぼした」ほか、 ご存知の方が多いと思う。
この曲を練習している時、楽団員のある子供さんがこれを聴いて「おーじんじ、おーじんじ」とわめいていたという。 また別の楽団員の子供さんは、第4楽章のアレグロの出だしが気に入って、 車の中で「チャッ チャッ チャッ チャッ チャカチャカチャッ チャッ」とそればかり言っていたという。 ここは Lilypond 風に書けば、c8 c8 b8 b8 a16 b16 c16 a16 g8 g8 となるところだ。
スカルラッティの数多くのソナタのなかで、短いながら躍動感溢れる曲。均整のとれたソナタ形式のなかに、
トランペット風の開始、音の跳躍、中間部の転調など彼の特徴が織り込まれている。
NHKの「ピアノのおけいこ」で知った曲であることから、スカルラッティの曲のなかでそらで弾ける数少ない曲である。
十度の跳躍はなかなか当たらない。
子供の情景Op.15のなかの第7曲。あまりにも有名なシューマンの小品であり、解説は不要だろう。
この曲の美しさは多くの作家や評論家が文章で表している。 その中に、最近邦訳が出版された、ノア・アダムスの「ピアノ・レッスンズ」がある。 この本では、ピアノの初心者である作者がこの曲を練習し、 弾けるようになるまでの一部始終が描かれている。
私もこれを読んでみて、初めて人前で弾いてみようかなという気になった。改めて楽譜を見てみると難しい。 弦楽四重奏を一人でやっている気味があり、 ピアノ曲に向いているのかいないのか、わからなくなる。
フォーレが書いた無言歌p.17は全部で3曲あり、ここでは3曲目変イ長調を演奏する。 甘いメロディーはフォーレのイメージを伝えるに十分である。 これをきっかけに中期から後期の渋いフォーレもぜひ聴いてもらいたい。
聞いた限りの甘さにつられて練習したのが運の尽き、右手はカノンが入ってきて指を広げないといけないし、 左手はオクターブの低音から伴奏音形への2オクターブほどの移動を瞬時になめらかに行わないといけない。 どうりでユボーの演奏もどことなくぎくしゃくしていたわけだ。 この曲は明らかに独奏楽器(フルートかヴァイオリン)とピアノ伴奏の形が適当だろう。 それだけでピアノはだいぶ弾きやすくなる。
今回の演奏にあたって、いかさまをすることにした。 それは、49小節から52小節の二拍目の中声(C,Des,Es,F)を左手でとるというものである。 私が持っている2種の版(春秋社、ブダペスト)のどちらも、中声部は上段にかかれているのみで、 左でとる旨の指示はない。
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