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週刊金曜日を読む 2018-04-06

作成日:2019-11-06
最終更新日:

うんこから世界を見よ

野糞を長く続けている伊沢正名氏へのインタビューである。この伊沢氏は、週刊金曜日の定期購読者でもある。 それも 14 年になるという。氏曰く、「ただ小難しくて読み切れない記事も多いような……」。ハハハ。

伊沢氏は野糞を通じて伝えていることは、自然は人間に多くのものを与えているにもかかわらず、 人間は自然から奪いつくし、自然に何も与えていない、身勝手な存在である、ということだ。 その人間の身勝手さを、氏は野糞という材料を用いて端的に訴えている。この野糞を材料にした、 人間は自然に与えられたものを返すべき、という考えを氏は糞土思想と名付けている。 そして自身を、糞土思想の伝達者という意味で糞土師と名乗っている。

インタビュアが「都市部に住む人間は野糞ができない。どうすればよいか」と氏に問うと、 氏は「将来的には都市への集中を改め、地方への分散に向かうべきでしょう」と答えたあとで、 「しかし、だからといって今すぐ脱都市やのぐそをしなければダメなのではなく、 各自が今自分にできることをすればいいと思います。」と付け加えている。 これにほっとした。

私は都市部に住んでいて、近くに野糞ができるような場所もない。仮にあったとしても、野糞をする勇気が私にはない。 私が野糞をしたことは少なくとも一度しかない。1990 年より少し前のことだと思う。 友達二人と一緒に、ある山に登る途中のことだった、どうしても便意に耐え切れず、 登山道から少し離れた草むらで野糞をした。わたしはそれをずっと罪悪だと思っていた。 伊沢氏のことを知ったのは 21 世紀になってからのことだった。氏が提唱する正しい方法で野糞をすれば、 それは罪悪どころか、糞土思想に適う行為だったのだ。

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MARUYAMA Satosi