八重洲室内アンサンブルの本番を迎えた。場所は杉並公会堂の小ホールである。
いろいろなトラブルもあり、お客様にご迷惑をかけたが、演奏は少しはよくなったかなと思う。前半3曲、後半1曲、アンコール1曲の組み合わせだ。
前半は、ヘンデルのラルゴ(オンブラ・マイ・フ)から始まった。この曲は、他の3曲より決まるのが遅かった。ほかの方と相談し、最初に短い曲を入れようということになり、私の提案で入れたものだ。なぜこの曲かというと、一つはト長調だからだ。ヴィオラとチェロはト音のほかニ音やハ音に開放弦があり、よく響く。ヴァイオリンとコントラバスもト音とニ音に開放弦があるから、ヴィオラとチェロほどではないが、響きは似ている。前回も同じようにト長調の小品「アンダンテ・フェスティーヴォ」から始めたのも参考にした。もう一つは、俺が好きな作曲家だからだ。最後に、夏の終わりだから、木陰への憧れを歌ったこの曲はぴったりではないかと思ったからだ。もっともこの日は雨交じりで、木陰が恋しくなるほどの暑さにはならなかったが、それはそれでよかった。
次はヴィヴァルディの調和の霊感(調和の幻想)から第5番イ長調。この調はヴァイオリンが一番鳴る(と個人的には思う)。二人のソリストが活躍した。特に、第2楽章のソロを務めた U さんは素晴らしいできだった。ヴィヴァルディは最近、良さがわかってきた。
前半の最後はモーツァルトのホルン協奏曲第4番変ホ長調。ホルンのソリストの G さんは過去に2度モーツァルトのホルン協奏曲でこの楽団と共演している。今回もナチュラルホルンでのすばらしい演奏を披露された。第1楽章にはカデンツァがあるのだが、なんとその一節がNHKのかつての名番組「新日本紀行」の冒頭だった。私より年かさの男性陣はみな、このユーモアに合点したのだった。
休憩後の後半はドヴォルジャークの弦楽セレナードだった。過去にも当楽団で弾いたことはあったが、まだまだ技術的に足りないところばかりだった。今回もそうであったが、少なくとも過去の自分たちの演奏よりは進歩していると自負している。
アンコールはルロイ・アンダーソンの「春が来た」(原題は The First Day of Spring)。ホルンのソリストにも参加してもらうことができたので(こちらもナチュラルホルン)、最初のホルンの印象的な旋律がより高まった。なお、ルロイ・アンダーソンといえば「シンコペーテッド・クロック」や「トランペット吹きの休日」、「タイプライター」のような際物を思い浮かべる人が多いだろうが、この曲は非常に落ち着いた、春の風景が広がるような清々しさを描いている。
posted by まりんきょ at 23:59|
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八重洲室内アンサンブル
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