実戦の詰み

作成日 : 2022-03-25
最終更新日:

実戦に出てきた、あるいは出てきそうになった詰みを集めた。また、即詰だけでなく、 一手スキ(詰めろ)も集めた。

局面0001
図 1 は☖4六飛まで
図 1 は後手が4五にいた飛車で4六にいた先手の角を取った局面である。この局面で後手玉には即詰みがある。 ☗3三桂、☖同銀、☗4三香、☖4二桂、☗5二銀、☖3一玉、 ☗1三角、☖2二金、 ☗4二香成、☖同銀、☗同と、☖同玉、☗4三金、☖3一玉、☗4二銀 まで、15 手詰。

☗3三桂が詰将棋のような手。☖同銀以外の手は容易に詰む。☖同銀に対して☗4三香がまたうまい。 ☖4三同金なら☗1四角として、☖3二角なら☗5二銀、☖3一玉、☗3二角成、☖同玉、☗4一角以下、 ☖3二桂や☖3二香なら☗5二銀、☖3一玉、☗2三桂以下詰む。 したがって、☗4三香に対しては☖4二桂と合駒をするしかないが、 ☗5二銀を決め☖3一玉に対して☗1三角が決め手。☖1三同桂ならもちろん☗2一金まで。 ☖2二銀や☖2二角は☗4一金まで。そこで☖2二金と移動合でしのごうとするが、 これには☗4二香成以下清算すればあとは難しいところはない。

実戦ではこの即詰み手順に先手が気付かず、☗2一成香と下駄を預けてきた。

局面0001
図 2 は☖8九成香まで

ここで盤面を反転して、改めて先手番となった局面を 図 2 として掲げる。こちらも詰みがある。 こちらは簡単だ。☗5二角、☖5一玉、☗6一角成、☖同玉、☗6三飛成以下詰む。

なお、☖8九成香の代わりに☖4二金打として飛車の横利きを遮る手も映る。しかしこれは、 ☗4二同飛成以下、☖同玉なら☗3三金、☖4一玉、☗5二角!以下、 ☖同金なら☗3二金打、☖5二玉、☗4二金、☖同玉、☗4三金!以下、いずれも詰む。 この詰み筋は難しい。

元に戻って、☖8九成香の代わりに☖9六角なら詰めろ逃れの詰めろで簡明だった。


局面0003
図 3 は投了図

別の実戦から取材した。図 3 は先手☗8四同角成に後手が投了した図である。 先手玉は詰まず、後手玉にはこのままだと即詰みがある。 手順は、☗3二飛、☖同玉、☗4一角、☖2二玉、☗3一銀、☖1二玉、☗2三角成、☖同玉、 ☗2二金、☖3三玉、☗4三金まで。☗3二飛とは強引な手だが、持ち駒が豊富ならこれでいい。 持ち駒が不足なら☗4二飛として合駒を請求すればよい。こうして玉を3二に寄せてから☗4一角とすれば、 後手の2三金を手に入れる筋があり、詰みとなる。

投了せずに頑張る場合の最善手は☖1二玉だろうが、それには☗3二銀以下、一手一手となる。


局面0004
図 4 は☖2三玉まで

図 4 は先手☗2一銀に後手☖2三玉と後手が玉で2三の垂れ歩を払った図である。 先手玉は怖い形をしている。ここで☗2五飛と飛車で銀を取って王手すれば即詰みとなる。 手順は、☖2四金、☗4五馬、☖3四飛、☗4一角、☖2二玉、☗3二金、☖1三玉、 ☗2二銀、☖2三玉、☗3三金まで。☗2五飛に対して、 取れる飛車を取らずに☖2四金とする移動合が退路を開けて一番粘りある手だが、 それには☗4五馬として退路を塞ぐのがいい。以下は並べ詰めである。 ☗2五飛に対して☖同金とする手は、☗4一角、☖3四玉、☗4五銀、☖3三玉、☗3二角成、☖2四玉、☗2三金まで。 また、☗2五飛に対して☖2四歩(桂)と合駒をする手には、 ☗4一角、☖3三玉、☗3二角成、☖4四玉、☗4五歩、☖同金、☗3三銀、☖3四玉、☗2四飛まで、 また、☗2五飛に対して☖3三玉と逃げる手は、 ☗2二角、☖4二玉、☗3一角成、☖3三玉、☗2二飛成、☖4四玉、☗5三銀まで。


局面0005
図 5 は☖3三同玉まで

図 5 は先手☗3三銀成と後手の金をとった手に後手が☖3三同玉と成銀をとったところだ。 大駒がない先手は後手玉に対してうまく詰む形を作りたい。ここでは☗3五桂としばるのがいい。 これは☗3二金や☗2三金の一手詰のほか、☗3四金以下の追い詰めも見ている。 後手は☖4一角と打つのが最善だが、これには☗3四歩☖2二玉☗4二銀不成☖3二金☗3三金☖1三玉まで決めて、 ☗4一銀不成と角を取るのがいい。これは一手スキではないが、 後手からは先手玉に一手スキをかけ続ける手段が難しく、先手の勝ちである。 本譜は☗3四金☖1三玉の交換を決めたあとで☗3五桂としたが☖3一桂と受けられて逆転した。 本譜は☖3一桂のあと、☗2三歩☖1三玉☗3二銀不成となり、 あとは後手が先手玉に一手スキの連続で迫ればいい形となった。 それも後手は斜め後ろに効く駒さえ渡さなければ詰まない。 しかし、思ったより一手スキの連続で迫るのは難しかったようだ。 後手の攻勢をかわした先手が☗2二歩成を間に合わせて再逆転した。


局面0006
図 6 は☖7八同龍まで

図 6 は先手三間飛車対後手居飛車穴熊の対抗形(先後逆)。後手が6九の龍での先手の7八香を取ったところだ。 大駒がない先手は後手玉に対してうまく詰む形を作りたい。先手の玉は詰めろだが、 ここで後手玉には即詰がある。☗8三銀と放りこめばいい。 逃げる手は銀打ですぐ詰むので☖8三同玉と取るよりないが、 そこで☗7三歩成と両王手するのが決め手。逃げれば馬が入って詰むので☖7三同玉と取るが、 ☗7一龍と香車を取って一間龍の形にする。後手は7二に何を合駒しても☗8二銀までの詰みとなる。


局面0007
図 7 は☖2二角まで

図 7 は、図 6 で居飛車側が☗8三銀を逃した数手後の局面である(先後を戻した)。 居飛車の後手が☖2二角と龍に当てたところ。ここで先手には、☗3三桂打と詰めろをかける手があった。 ☖3一角と龍を取れば、☗2一桂成☖同玉☗3三桂打☖2二玉に☗1一銀と打てば詰む。 ☖1一同玉は☗2一金までなので☖3二玉としても☗4一銀☖4二玉☗5二金まで。 金を残した効果だ。元へ戻って☗3三桂打☖2二玉に対し☗2一金では☖3二玉で詰まなくなる。

実戦では☖2二角に対して☗同龍☖同玉となった。そのため、穴熊への即詰はなくなると同時に振飛車側に☖2八飛以降の詰めろがかかってしまい、 逆転した。


局面0008
図 8 は☖7八金まで

図 8 は居飛車対振飛車の相穴熊の終盤戦である。後手は☖7八金と詰めろをかけてきた。 ここで後手玉には即詰みがある。手順は、 ☗9二成香☖同玉☗8四桂☖8三玉☗9二角☖8四玉☗7四金☖8五玉☗8六香までだ。 穴熊の銀を取らずに香車を取るのはよくある筋だ。☗8四桂☖8三玉の形で、9二に銀を打つか角を打つかだが、 角を打てば7四の利きが増すため直後の☗7四金が成立する。7三の歩があるため7四に金を打つ筋はない、 と思い込んでいたのが誤算だった。実戦は☗9二角ではなく☗9二銀☖8四玉とし、 ☗9六桂☖7五玉☗8四角☖8五玉となり、後手玉の即詰みはなくなった。


局面0009
図 9 は☖7二同玉まで

図 9 は居飛車対振飛車の終盤戦である。後手が☖7二同玉と成銀をとったところである。 ここで後手玉には即詰みがある。手順は次の通り。

☗7三歩☖同玉☗6五桂☖8四玉☗7三銀☖9四玉☗8四金☖8四同馬☗8四同銀成☖8四同玉☗8一飛☖8三金☗6二角☖9三玉☗8三飛成☖8三同玉☗7三角成☖9三玉☗8三金☖9四玉☗8四馬までだ。 以下長くなるが説明する。

初手は平凡なようだが、☗7三歩で応手を尋ねるのがいい。これに対して歩を取る手と取らずにかわす手がある。後者は7通りの応手があるが、 結論は取る手が一番粘れる。以下取らずに逃げる手を調べる。
まず、真下に①☖7一玉と引くのは頭金まで。
次に 6 筋に逃げる手だが、②☖6三玉なら☗5三飛と打てば玉が急に狭くなり☖6四玉なら☗5五銀までだし、 ☖6二玉なら☗7二金までだ。③☖6二玉なら☗7二飛と打つ。下に逃げるのは頭金だから ☖6三玉と上に逃げるしかないが、☗5三金☖6四玉☗6二飛成でつかまっている。 ④☖6一玉なら☗7一飛と打つ。取っても☖5二玉でも頭金で詰み。☖6二玉なら☗7二飛成以下やはり頭金で詰み。
次に 8 筋に逃げる手を調べる。⑤☖8一玉なら☗7二銀以下簡単。⑥☖8二玉なら、 取れば先の即詰みを見た☗8一飛がわかりやすい。☖9二玉なら☗8三金以下詰む。 また☖9三玉なら☗8三金☖9四玉☗8六桂として、☗8六同馬なら☗8四金以下、 また☖9五玉なら☗9六銀以下、いずれも詰む。 ⑦☖8三玉はやっかいだ。まず☗7二銀と打つ。 ☖7三玉と歩を取れば☗6三金と押さえ、☖8二玉でも☖8四玉でも☗8一飛と打てば詰んでいる。 また7三の歩を取らずに☖9二玉や☖8二玉は☗8三金まで。☖8四玉は☗8一飛以下詰み。 ☖9三玉は☗8三飛☖9四玉☗8六桂☖同馬☗8四金以下詰み(他にも変化あるが省略)。 したがって、☗7二銀には☖9四玉が一番粘れる。これには、 ☗8六桂☖同馬☗8四金☖同玉の連続捨て駒がうまい。 以下、☗8一飛と打つと捨て駒の効果で☖9五玉と上に逃げることができない。やむをえない☖7三玉に、 ☗8三飛成☖6二玉☗5三歩成☖5一玉☗8一龍まで詰む。ここまで変化を検討したが、 結果、☖7三同玉と取るのが最善のようだ。

☖7三同玉に対しては、☗6五桂でさらに応手を尋ねる。ここでは 7 通りの逃げ方がある。 まず 6 筋に逃げる手を調べる。① ☖6二玉には複数の詰め方があるが、 ☗8二飛と打ってのちに不詰みがわかったときに馬を抜けるようにするのが 「保険をかける」意味で実戦的だ。逃げるのは簡単に詰むので☖7二銀と合駒をするが、 ☗5三歩成☖7一玉☗8一金☖同銀☗6二飛成まで、きれいに詰む。 ②☖6三玉は☗5三歩成以下やさしい。③☖6四玉は☗7三角以下、これもやさしい。 以上で 6 筋に逃げる手はすべて詰むことがわかった。 次に④☖7二玉と下に落ちる手は☗7三金と打てばあとは並べ詰みだ。 残った応手のうち、 ⑤☖8二玉は☗7三銀と打てば後に述べる☖8四玉の場合と合流する。 ⑥☖8三玉と逃げる手に対しては☗6三飛と打ち、 以下☖9四玉☗8三銀☖9三玉☗6三銀成以下、詰んでいる。よって⑦☗6五桂☖8四玉の変化を調べればよい。 以下☗7三銀☖9四玉☗8四金☖同馬☗同銀成☖同玉と清算し、 ☗8一飛と打つ。☖8三金と合駒をするが、☗6二角☖9三玉☗8三飛成☖同玉☗7三角成以下、 詰み筋となる。なお、☖8三金の代わりに☖8三歩などでは☗7三角と打ち、☖9三玉ならば☗8二角成以下、 ☖9四玉なら☗9一飛成☖9三歩☗9六香以下、やはり詰む。

実戦は、居飛車側が☗7三歩を逃し、振飛車側の勝ちとなった。


局面0010
図 10 は☖7八同龍まで

図 10 は居飛車対振飛車の終盤戦である。後手が☖7八同龍と銀をとったところである。ここで後手玉に即詰みがある。 手順は、☗8三桂成☖8三同玉☗7五桂☖7五同歩☗7四銀☖7四同玉☗7五歩☖8三玉☗7四金☖7二玉☗6三馬☖6一玉☗5二金、 までとなる。後手7四の歩は数手前に催促で突いたものであった。☗8三桂成☖同玉はいいとして、 催促で突かれた歩の頭に☗7五桂と捨てる手はおそらく先手には思いつかなかっただろう。これが成立するのもひとえに、 先手の5三にある馬の利きが強力だからである。先手の7七の銀と持ち駒の金2枚と合わせて、 右辺の大海への脱出をも阻んでいる。実戦では先手は☗8三桂成☖同玉から☗7一馬と金を取った。 これも金を取りながら詰めよだからこれでも先手が勝ちだと思われるが、後手も馬の利きを生かして☖8二金と詰めよを消して、 激戦が続いた。


局面0011
図 11 は☖9二玉まで

図 11 は 図 10 から十数手を経た局面である。後手が8三にいた玉を9二に引いたところである。 ここで先手は☗9四金と出て、 ☗9三金打☖同金☗同馬☖同桂☗8三銀以下の一手スキをかけるべきだった。以下、 ☖9三歩なら☗7二銀以下、☖7二歩なら☗9三金打☖同金☗同金☖同桂☗8四金以下、 攻めが続く。実戦では☗9四金ではなく☗7四歩と伸ばしたがこれは一手スキになっていない。 後手には☖7六桂という好手があり、以下は後手が勝った。


局面0012
図 12 は☖6七歩成まで

図 12 は居飛車対振飛車の終盤戦で、後手が6六の歩を6七に成ったところである。 ここで後手玉には即詰みがある。手順は、☗6三金☖同銀☗7一飛成☖8四玉☗6二馬☖9三玉☗9一龍☖9二銀打☗9四香☖同玉☗9二龍☖同銀☗8四金まで。 ☗6三金に対し取らずに☖8四玉は☗6二馬以下、また☖8二玉は☗7一馬以下詰む。したがって☖同銀ととるよりないが、 そこで馬で銀を取らずに飛車を7一に成って王手をするのが明るい手。 逃げずに合駒を打つ手は☗6二馬以下簡単だ。ただし、☖7二銀右と移動合する手は注意が必要だ。 ☗6二馬に移動合の効果で☖8三玉と逃げられる。このときは、筋が悪いが☗8二金と打つのがいい。 ☖9三玉でも☖9四玉でも王手で☗9一龍と香車を取ればいい。本譜に戻って☗7一飛成に☖8四玉と逃げたときは、 平凡に☗6二馬とする。玉は9筋に逃げるほかないから、やはり王手で☗9一龍と香車を取ればいい。


局面0013
図 13 は☖5三同飛車まで

図 13 は相矢倉模様からの終盤戦で、後手が8三の飛車で先手の5三銀を取ったところである。 ここで後手玉には即詰みがある。手順は、 ☗3三金☖5一玉☗4二銀☖6一玉☗5三桂不成☖7一玉☗6一飛☖8二玉☗6三歩成☖5五桂☗同馬☖同歩☗7四桂☖8三玉☗8一飛成☖9四玉☗8五龍まで。 一度3三金と打って玉を下段に落とすのがもったいないようでもわかりやすい。先手の4五桂が53に成って王手をすると早く詰むので、 後手は5一玉から6一玉とするが、6一玉の形では☗5三桂不成と不成で王手しながら飛車を取る手があった。 あとは飛車打ち以降、☗6三歩成が先手の2八の馬の角道を通しながらと金を作る気持ちのいい空き王手で、 以下は駒余りなく詰む。


局面0016
図 16 は☖5三同金まで

図 16 は相居飛車の終盤戦で、金頭のタタキに5二の金で歩を取ったところである。 ここで先手は☗7一馬と歩を取るべきだった。放置すれば☗6二馬だし、 ☖7一同銀と馬をとっても☗7一同龍☖5一歩☗3一飛以降即詰みである。また先手玉に即詰みはない。実戦では☗7一馬を逃し、 ☗4五桂と跳ねた。その後数手を経て図 17 となった。


局面0017
図 17 は☖5二同金まで

図 17 は図16 から☗5三桂☖5二金☗9三香成☖2三歩☗5三歩☖5一金☗5二銀打☖5二同銀となった局面である。 先手の5二銀を後手は同金と取ったがこれは悪手だった。以降後手玉には即詰がある。 次は☗5二歩成に対して、後手は☖同玉か☖3二玉である。

まず☗5二歩成に後手が☖同玉とする手では、☗5三銀と打ち☖5三同銀に☗7二飛と打つ手がある。 ☖7二同歩と取らせて☗5三銀成とすれば、龍の利きが広がっている。 ☖5三同玉に☗5一龍と回り、☖5二桂と合駒しても☗5四銀☖5四同玉☗5五金☖53金☗7一馬以降詰みとなる。

次に☗5二歩成に後手が☖3二玉と逃げれば☗3一飛と打ち、☖2三玉に対して☗3三桂成とする。☖3三同桂に対しては☗3四銀以下、 また☖3三同金に対しては☗3三同飛成とし、☖3三同玉でも☖3三同桂でも☗3四銀以下詰みがある。 なお☗3一飛のかわりに☗4二飛と打ってもよい。このときは☖2三玉に対して☗2二飛成☖2二同玉☗3三桂成☖3三同桂☗2三歩とすれば詰む。


局面0018
図 18 は☖6七とまで

図 18 は居飛車対振飛車の対抗形で、後手が☖6七とで先手の6七にあった金を取ったところだ。ここで後手玉に対して詰みがある。 手順は次の通り。

☗7二金☖同玉☗5二飛成☖同歩☗6一飛成以下詰み。

☗7二金☖同玉は絶対手。次の☗5二飛成も3一の飛車の横利きを通すために必要だ。これも☖同歩と取る一手である。 そこで先手☗6一飛成が好手だ。取れば☗6二金までだし、☖8二玉は☗7二金☖9二玉☗8一龍まで。 また、☗6一飛成に☖7三玉は☗6三龍と引き、☖8四玉は☗8五金まで、また☖8二玉は☗7二金以下詰む。

なお、端歩の突き合いがある場合でも☗7二金~☗5二飛成~☗6一飛成の手順は有効である。 最初の☗7二金に対し☖9二玉とすれば即詰はないが、平凡に☗5一飛成とすればいい。


局面0019
図 19 は☖6六角まで

図 19 は居飛車側対振飛車の対抗形の終盤である。ここで後手玉には詰み筋がある。手順は次の通り。 ☗2四桂☖同玉☗2三銀☖4二玉☗4三香☖同金☗同銀成☖同玉☗3四銀成☖同玉☗4五龍☖3三玉☗2三金☖同玉☗2四歩☖2二玉☗2三歩成☖3一玉☗4二金 まで詰み。☗2四桂と歩の頭に桂馬を打つのが習いある手筋。 ☖2二玉は☗3一角以下詰む。また☖4一玉は☗8一龍☖5一金☗3二角以下、☖4二玉も☗4一金☖同玉以下、合流する。よって☗2四歩には☖同歩と取るしかないが、 そこで☗2三銀と放り込む。取ると早詰めだから☖4二玉と逃げる(☖4一玉ならやはり☗8一龍)が、 ☗4三香からばらして☗3四銀成がにくい。あとは龍を4五に据えれば簡単だ。


局面0020
図 20 は☖6二同金まで

図 20 は図 19 の一手前の局面である(先後逆)。つまりここでの☗4四角は悪手だったわけだ。 ここで後手玉には即詰がある。 ☗8四桂☖同香☗8一角☖同玉☗8二銀☖同玉☗6二龍☖7二金☗7三金☖9三玉☗8三金打☖同金☗同金☖同玉☗7三金☖9三玉☗8二龍 まで。☗8四桂と香の頭に桂馬を打って退路を封鎖するのがこれまた習いある手筋。 桂馬を取らずに☖7三玉と逃げる手が気になるが☗6二龍☖同玉☗7一角と打てばつかまっている。 以下☖5一玉なら☗5二銀以下、☖7三玉なら☗8二銀以下、いずれも詰む。よって☗8四桂は☖同香と取るしかない。 そこですぐに一間龍の形を作ろうと☗8二金では☖7三玉と上がられ詰ませにくくなる。 そこで☗8一角として☖同玉を強制させてから☗8二銀とすれば☖同玉の一手になり、☗6二龍の一間龍の形が実現する。


局面0021
図 21 は☖3二金打まで

図 21 は相矢倉の終盤戦。後手玉には詰みがある。 ☗3一角☖2一玉☗2二金☖同金☗同角成☖同玉☗3三銀成☖同玉☗2五桂☖2四玉☗3五金☖同玉☗3八飛☖3七桂☗同飛☖2五玉☗3四角成☖2六玉☗3六飛 まで。☗3一角が鋭い。☖同金には☗3三銀成とこちらの金をとり、☖同玉に☗2五桂と打つ。玉が下に落ちれば金や歩を打てば詰む。 ☖2四玉は本線に合流する。戻って☗3一角に☖1二玉は☗1三金に☖2一玉となり本線に合流する。 ☗3一角☖2一玉には2二で金を清算してさらに3三で金銀を清算する。☗2五桂で下に落ちるのは並べ詰みなので☖2四玉と上がるが、 そこで☗3五金が好手だ。☗3五金に☖同歩は☗3四金☖2五玉☗3三金☖2四玉☗3四角成以下詰む。 よって☖同玉だが、あたりになっている飛車を逃げながら☗3八飛と活用するのが味のいい手。 ☖3七桂は飛車と龍の利きを限定する捨合の手筋だが☗同飛と取って問題ない。以下☖2五玉に☗3四角成以下、詰みとなる。


局面0022
図 22 は☖6六角まで

図 22 は相矢倉の終盤戦で、後手が☖6六角と攻防の角を放ったところ。後手玉には詰みがある。 ☗3三香成☖2一玉☗2三香☖1二玉☗2二香成☖1三玉☗2三成香☖1二玉☗2二香成☖1三玉☗2三成香引☖同銀☗1五飛☖1四歩☗2五桂☖同歩☗2三銀成☖同玉☗2四銀☖2二玉☗3三銀右不成☖3一玉☗4二金上☖2一玉☗3二金☖1二玉☗1四飛以下詰み。

☗3三香成は絶対手。☖2一玉と落ちられて手が続かないように見えるが、☗2三香以下、手が続く。 ☗2三香を☖同銀と取ると☗2二歩と打ち、以下☖1一玉には☗1四飛☖同銀☗同香☖1二歩☗2三桂で詰み。 ☖1二玉でも☗1四飛☖同銀☗同香☖1三歩☗2三銀以下詰む。そこで☗2三香には☖1二玉とするが、 ☗2二香成☖1三玉のあと☗2三成香引☖同銀として☗1五飛が王手になるようにする。☖1四歩の合駒に、 ☗2五桂が好手。☖同歩に☗2三成香☖同玉を決め、☗2四銀と上から押さえるのが決め手。☖同玉や☖1二玉は☗1二飛以降簡単だから、 ☖2二玉と落ちるしかないが、☗3三銀右不成とする(成でもいい)。以下、玉を1筋まで追い込んで☗1四飛と走れば詰みとなる。

なお、☗3三香成に対して☖3一玉と落ちる手に対しては☗4二金上☖2一玉を決めて、上記と同様に☗2三香とする。 以下の詰手順もやはり上記とほぼ同様である。

実戦は初手で☗3三銀成と誤り、☖同角と取られ以下敗勢が確定した。


局面0023
図 23 は☖6二同銀まで

図 23 は居飛車対振飛車の終盤戦(先後逆)で、 後手が7一の銀で6二にあった先手のと金を取ったところ。 先手の馬が後手の龍に当たって忙しいように見えるが、後手玉には詰みがある。手順は以下のとおりである。

☗6一飛成☖同玉☗5二金☖7一玉☗6二馬☖8二玉☗7一角☖9二玉☗9三銀☖8三玉☗8二角成☖7四玉☗6三馬まで詰み。

☗6一飛成☖同玉☗5二金の三手一組が読めればあとは容易だ。☗5二金を☖同玉と取るのは☗4三角と打ち、☖4二玉には☗3四桂以下、 ☖4一玉には☗4二歩以下、容易に詰む。そこで☗5二金には☖7一玉または☖7二玉と逃げるしかないが、 自然に☗6二馬として容易に詰む。上記は一例である。

実戦は☗3五角とつなぎ、以下☖4七龍☗5七金☖4四龍☗同角☖5二銀となり、泥試合となった。


局面0024
図 24 は☖6二玉まで

図 24 は居飛車対振飛車の終盤戦(先後逆)で、 先手が☗6一銀に対して後手が☖6二玉としたところ。ここで後手玉には詰みがある。手順は以下のとおりである。

☗7二金☖5一玉☗5二歩☖4二玉☗3二とまで詰み。

☗7二金と狭いほうから打つのが盲点。☖5一玉となり玉が逃げられそうだが、☗5二歩の王手が利くのがまた盲点。 あとは☖4二玉でも☖4一玉でも☗3二とまで後手玉はちょうどつかまっている。

実戦は☗5二金と狭いほうに追い込んだ。こちらは即詰がないが、こちらでも勝ちだろう。


局面0025
図 25 は☖5七歩成まで

図 25 は図 24 から数手が経過した局面。後手が☖5七歩成としたがこれは形作りだろう。 ここで後手玉には詰みがある。手順は以下のとおりである。

☗8二金☖9三玉☗8三金☖同玉☗8二飛☖9三玉☗8四馬まで詰み。

王手をかけるには8二に金を打つか飛車を打つかしかない。金を打った場合はこの手順で詰む。

仮に8四の地点に後手の駒が利いていて最終手の☗8四馬が取られてしまう場合には、 ☗8四馬の代わりに☗9四馬とし、以下☖同玉☗9五歩☖9三玉☖☗9四歩まで詰み。

また仮に8四ではなく8三の地点に後手の駒が利いている場合には、今までの手順では詰まない。初手は☗8二飛から入る。 以下☖9三玉☗8四金☖同歩☗同馬まで詰み。


局面0026
図 26 は☖9七桂成まで

図 26 は後手が桂馬で先手の9七にいた角を取ってなったところ。ここで後手玉には詰みがある。手順は以下のとおりである。

☗4二歩成☖同銀☗5二金☖3二玉☗4二金☖同玉☗5二飛☖3三玉☗3四歩☖同玉☗2五銀☖4五玉☗3六金☖5五玉☗5三飛成☖5四歩☗7三馬まで詰み。

後手玉は上に広い形。どのように上部脱出を阻止するかが考えどころである。まずは必然の☗4二歩成に後手は同銀か同玉の二通りである。 同玉の手順は後述する。同銀ならば5二金☖3二玉☗4二金☖同玉として後手玉を裸にする。☗4二金に☖2二玉や☖3三玉とする手は、 いずれも☗3二飛以下詰む。戻って☖4二同玉に対しては☗5二飛と打って後手玉が2二から逃げるルートをふさいでおく。 ☖3三玉には☗3四歩として☖3四同玉を強制し、以下☗2五銀☖4五玉☗3六金として入玉を阻止する。以下はやさしいが、 ☗5三飛成☖5四歩にうっかり☗5六歩としてはいけない。これは打歩詰の反則である。 かりに盤上に後手の8一桂がいて☗7三馬が入れない場合は、本手順で☗5三飛成のかわりに☗5六歩としてもよく、これでも詰む。

なお☗4二歩成に☖同玉ととった場合は以下の手順で詰む: ☗5二飛☖4三玉☗5三馬☖3四玉☗2五金☖4五玉☗6三馬☖5四歩☗同飛成☖3六玉☗5七龍☖4五香☗3七金まで。 ☗4二歩成を玉で取るため銀が持ち駒にならず、そのため、☗2五金と金を打つことになり、3六からの逃走ルートが阻止できないようだが、 6二の馬で5三歩を取って王手をしたあと、☗6三馬として飛車の道を通すのがいい。後手は手筋の焦点の歩で飛車と角の利きのいずかを制限しようとするが、 この場合は飛車で取って王手をするのがいい。☖3六玉で逃走できそうだが、 ☗5七龍が6三の馬による空き王手となると同時に龍の利きで7段目以降に後手玉が逃げるルートを防いでいる。


局面0027
図 27 は☖5二歩まで

図 27 は後手が5二に歩を打って龍の直射を防いだところ(先後逆)。 このまま先手の6二にある成銀を取られるとピンチだが、 ここで後手玉には詰みがある。手順は以下のとおりである。

☗7二成銀☖同銀☗7一角☖同玉☗6二金☖同玉☗5二龍上☖7三玉☗7二龍☖8四玉☗7三銀☖7五玉☗3五龍☖6五歩☗8五金☖同玉☗8三龍☖7五玉☗8四龍まで詰み。

2 枚の龍が強力だ。ただし、5五の龍は後手玉が8筋に脱出したときの押さえの役割も果たしているので、 5二にある歩をどちらの龍で取るかは場合による。まず☗7二成銀は当然の一手。逃げると簡単に詰むので☖同銀か☖同玉である。 ☖同玉の場合は☗5二龍寄☖同銀☗6四桂とする。この場合5二の歩を3二の龍で取るのは5五の龍を横に利かす意味である。 ☗7四桂以下は☖8一玉☗7二金☖9二玉☗8二金打☖9三玉☗8五桂☖8四玉☗7三角まで並べ詰みだ。

☗7二成銀を☖同銀と取った場合☗7一角☖同玉☗6二金☖同玉と捨て駒連発で玉を危険地帯におびき寄せる。 なお、☗6二金に対して☖8二玉と逃げた場合は☗7二金☖同玉☗5二龍上☖5三玉☗7二龍以降、後の詰手順に合流する。 二枚龍の形を作ったところで7三玉から8四玉の逃げ出しが気になるが、いったん☗3五龍と引いて☖6五歩を強要してから☗8五金と打てばつかまっている。 なお、☗3五龍と引かずに☗6五金と打てば速い。☖同玉には☗6二龍右とし、☖7五玉でも☖5四玉でも☗6四龍以下詰む。


局面0028
図 28 は☖9二玉まで

図 28 は☗7二金の王手に☖9二玉と逃げたところ(先後逆)。正しくは☖9三玉でなければならず、この☖9二玉は悪手で後手玉は頓死する。 ここで後手玉には詰みがある。手順は以下のとおりである。

☗8一龍☖9三玉☗8二銀☖8四玉☗7三銀不成☖7五玉☗6六銀☖同成香☗8四銀打☖7六玉☗5八角☖6七金☗6八桂まで詰み。

☗8一龍以下☖7五玉までは必然の順だ。☖7五玉で手が止まる。ここで、☗6六銀と捨てる手が好手。 ☖同歩の場合は6五に空間ができるので、☗7六歩☖同玉☗6五角☖7五玉☗7六銀で詰む。 また取らずに☖7六玉は☗6五桂以下容易だ。 したがって☗6六銀に対しては☖同成香とするが、これには☗8四銀を打って☖7六玉を強制させれば☗5八角が打てる。 この角の王手に対して6七に何を合駒しても☗6八桂で詰んでいる。

他の詰め方もある。☖7五玉に対し、☗6五金と出る手でも詰んでいる。☖同玉には☗7四角と打ち、☖7五玉☗7六歩☖同玉☗6五銀☖7五玉☗7六歩☖6六玉☗5六飛まで。 ☗6五金に対し☖7六玉と逃げる手は☗5六飛と浮き、☖6五玉には☗7四角以下、☖6六歩には☗6八桂以下、こちらも詰む。 なお、☗5六飛を浮く代わりに先に☗6八桂を打っても詰んでいるようだ。

実戦は☖7五玉に対し☗6六銀も☗6五金も逃し、☗8四角としたために☖7六玉と出られ、この玉がつかまらず負けとなった。


局面0029
図 29 は☖7九龍まで

図 29 は居飛車対振飛車の終盤戦。後手玉には即詰みがある。手順は、 ☗8二銀☖6一玉☗6二角成☖同玉☗7一玉☖5二玉☗6二金☖5三玉☗7二金☖6四玉☗7五金まで。 美濃囲いの玉を端から追い出す筋はあまりなく、さらに上に追い出す筋はまれである。この場合は条件に恵まれたこともあり、 詰みまで読み切るのは難しくない。


局面0031
図 30 は☖3一銀打まで

図 30 は相居飛車の終盤戦。後手玉には即詰みがある。手順は、☗1三桂☖同香☗3一金☖同銀☗1二金まで。 なお、☗3一金を先にして☖同銀に☗1三桂としてもかまわない。 手順前後が詰み筋に影響しないのは珍しい。実戦はこの即詰みを逃したが、先手が勝った。


局面0031
図 31 は☖2二銀打まで

図 31 は相居飛車の終盤戦。後手玉には即詰みがある。手順は、☗1三桂☖同香☗3一金☖同銀☗1二金まで。なお、☗3一金を先にして☖同銀に☗1二桂としてもかまわない。 手順前後が詰み筋に影響しないのは珍しい。実戦はこの即詰みを逃したが、先手が勝った。


局面0032
図 32 は☖6二金まで

図 32 は相居飛車の終盤戦。後手玉には即詰みがある。複数あるかもしれないが、☗4二銀と捨てるのが速い。 ☖同玉は☗6二龍で終了。☖同玉も☗4一角☖4二玉☗6二龍でやはり終了。☖同銀が最善だが☗5二金☖同金☗同歩成☖同玉と清算する。 ここからも複数詰め方がある。一例は、☗5三歩☖同銀☗同桂成☖同玉☗7一角☖4二玉☗6二龍以下容易。実戦は☗4二銀ではなく、☗6二龍とした。 これでほぼ後手玉はほぼ必至であり、先手玉は詰まない。


局面0033
図 33 は☖3四龍まで

図 33 は☗4三金と龍取りに持ち駒の金を打った手に対し☖3四龍と逃げたところ。 即詰みはないが、詰めろで迫れば勝てる。ここですぐに目につくのは☗5三銀成で実際これで勝ちだった。 ところが先手は何か勘違いしたか☗6三銀成としてしまった。後手は当然☖4一玉と早逃げし、これで後手玉がつかまりにくくなってしまった。実戦も先手が負けた。


局面0034
図 34 は☖6七銀まで

図 34 は後手が☖6七銀と打って詰めろをかけた局面だ。ここで後手玉には詰みがある。手順は次の通り。 ☗3二銀成☖同玉☗5二飛☖4二金☗同角成☖同金☗2四桂☖3三玉☗3二金☖2三玉☗2二金以下詰み。 ☗3二銀成☖同玉☗5二飛は必然。☖4二金の代わりに☖4二銀でもほぼ同様だ。この合駒を角で取り、☗2四桂と俗に王手する。 歩の頭に打つので感触が悪いが、これで詰んでいる。☗2四桂に☖4三玉なら☗5三金☖同金☗3二飛成でぴったりだ。 ☖3三玉と上がった手にはこれも俗だが☗3二金とする。☖2三玉はやむをえないが、取ると☗4二龍を見せた決め手。 取らずに☖3三玉としても☗3二桂成以下詰む。


局面0035
図 35 は☖4三金まで

図 35 は相居飛車の終盤戦。 後手玉を詰めるためには、☗3一銀から入るしかない。後手玉は☖1二玉か☖3二玉かである。 ☖3二玉ならば、☗4三飛成☖同玉☗4四歩とし、☖同銀ならば☗4二金以下、☖3二玉ならば☗4三金以下詰む。 したがって、☗3一銀には☖1二玉と端に逃げる。そこで☗2四桂と歩の頭に捨てるのが好手だ。☖同歩の一手に☗2二金☖同銀☗同銀成☖同玉と清算する。 そして桂を捨てた効果で飛車の活用を図る☗2三銀が打てる。 ☗2三銀に対し☖同玉ならば☗4三飛成☖3三金☗3四金☖2二玉☗2三銀☖3一玉☗3三龍以下詰む。 また☗2三銀に対し☖3三玉ならば☗4三飛成☖同玉☗4四歩以下、これも詰む。

実戦ではこの詰みを逃し、後手の勝ちとなった。


局面0036
図 36 は☖8一同玉まで

図 36 は居飛車対右玉の終盤戦。8一にあった後手の飛を先手が5四の馬で取り、後手が同玉としたところ。 先手は☗6一飛と打ち込み、後手が☖7一金と合駒した結果即詰みが生じた。手順は以下の通り。 ☗7二銀☖同玉☗6三成桂☖8三玉☗7三成桂☖同玉☗7一飛成☖7二角☗同龍☖同玉☗6四桂☖6三玉☗7二角☖6四玉☗5四金☖7三玉☗6三金☖8二玉☗7三金☖7一玉☗6二金直まで。


図 36 は☖8一同玉まで

図 36 は居飛車対右玉の終盤戦。8一にあった後手の飛を先手が5四の馬で取り、後手が同玉としたところ。 以下の指し手は次の通り。☗6一飛☖7一金 ☗7二銀☖同玉☗6三成桂☖8三玉☗7三成桂☖同玉☗7一飛成☖7二角☗同龍☖同玉☗6四桂☖6三玉☗7二角☖6四玉☗5四金☖7三玉☗6三金☖8二玉☗7三金打☖7一玉☗6二金直まで。

☗6一飛に☖9二玉と逃げていれば☗6二飛成には☖8二金で詰まなかった。ところが☗6一飛に☖7二金と合駒をしたために後手玉が詰んでしまった。


図 37 は☗5五角まで

図 37 は居飛車対振り飛車対抗形の終盤で後手の手番である。以下は実戦の指し手である。

☖7七成銀☗同角☖6八銀☗8八銀☖7七銀成☗同銀☖7八金☗8八銀打☖同角成☗同銀☖5五角☗6六角☖同角☗同歩☖6一金☗同飛成☖8八金☗同玉☖7九銀☗7七玉☖6八角まで先手投了。

途中の☖6一金は余計な手で、銀を手ゴマに加えずとも先手玉は即詰みである。つまり ☖6一金☗同飛成の交換はせずに、すぐに☖8八金☗同玉☖7九銀で詰んでいる。☗同玉や☗7七玉なら☖6八角でいいし、 ☗7八玉には☖7七銀がしゃれた手でやはり即詰みだ。


図 38 は☖6七馬まで

図 38 は居飛車対振り飛車対抗形の終盤で先手の手番である。以下は実戦の指し手である。

☗7一龍☖同玉☗6一歩成☖8二玉☗8三桂成☖同玉☗8六香☖8四歩☗同香☖同玉☗7五銀まで後手投了。

先手の☗8六香は悪手。直後の☖8四歩が敗着で、☖8五歩として☗同香☖7四玉とすれば後手玉は詰まなかった。 この後手の中合があるのであれば、さかのぼって☗8六香ではなく☗8四香と短く打たねばならなかった。 ☗8四香に対して☖7四玉とかわす手には☗8五銀が好手で、 ☖8五同玉なら☗7五金で、☖6三玉なら☗6二と☖5四玉☗5五金でいずれも詰み。☗8五銀の効果は玉が逃げられたときに 先手の7六歩に紐をつけられることだ。☗7五銀だと☖6五玉のあと後手玉が7六の歩を取る手が生じるので詰まない。


図 39 は☖7一香まで

図 39 は居飛車対振り飛車対抗形の終盤で後手が自玉の一手詰めを受けるために☖7一香と打ったところだ。以下は実戦の指し手である。

☗9一角成☖8九銀☗8二桂成☖4四角☗7二成桂☖同香☗6三香☖9八銀成☗同玉☖8九銀☗9七玉☖9八金☗同玉☖同銀成☗同玉☖8九銀☗9七玉☖7一桂☗6二香成☖同角☗8一銀まで後手切れ負け。

先手の☗9一角成は悪手。☗7一同角成とすれば☖同玉☗8二金☖6一玉☗7二金までは一本道。ここで☖同玉ならば☗6二龍☖同玉☗6三金以下、 ☖同金ならば☗同龍☖同玉☗6三銀以下後手玉は詰んでいた。一手の余裕を得た後手は当然☖8九銀とする。ついで☗8二桂成☖4四角のあと、 ☗7二成桂としたがこれも悪手。☗7一成桂ならば前述と同様の順で詰んでいた(4四の角の利きがあるが無関係である)。 ☗7二成桂に対して後手は☖同香とする。これに対して☗6三香としたのが負ければ敗着となる手だった。後手が☖9八銀成としたので難を逃れたが、 もし☖6三同金と香車を取っていれば、☗6三同歩成に対して☖9八金☗同銀☖同銀成☗8七玉☖7七角成以下、先手玉に即詰が生じていた。 以下も何回か☖6三金と質駒の香車を取っていれば逆転の可能性もあったが、本譜のように進めば☗8一銀にたいし、 以下☗7二銀成☖同玉☗8一銀☖6一玉☗7二金までの詰みがどうしても受からない。


図 40 は☖7八龍まで

図 40 は居飛車対振り飛車対抗形の終盤で後手が☖7八龍として先手玉に詰めろをかけたところだ(便宜上先後逆)。以下は実戦の指し手である。

☗7二と☖同玉☗6三銀☖6一玉☗7二金☖5一玉☗2四角☖4二銀☗6二金☖4一玉☗5二金☖3二玉☗4二角成☖2二玉☗2五香 にて後手投了。

☗7二と☖同玉は必然として、次に☗6三銀と打つのが肝要。☖同歩ならば☗7三金以下、 ☖同銀ならば☗同歩成☖同玉☗6四銀以下詰む。そこで☗6三銀に対しては後手は☖6一玉として右辺への遁走を図る。 これに対して☗7二金☖5一玉のあと、☗6二金☖4二玉☗5一角☖3一玉☗3四香以下の手順で詰む。 本譜は☖5一玉にたいして☗2四角とこちらから王手した。合駒を打って受けるのは☗6二金の一手詰だから☖4二銀と移動合をするしかないが、 ☗6二金☖4一玉☗5二金☖3二玉に☗4二角成と銀を取りながら馬が作れるのが大きい。 最初の読みでは、☖3二玉に☗4二金しか見えずこれでは☖2三玉と上がられ、頭の丸い角では詰まないと即断してしまった。 王手をかけながら読んでいるうち、☖3二玉に☗4二角成があることに気づいた。 ☗4二角成に☖2二玉であれば☗3四桂でも☗3三銀でもすぐに詰んでいたが、 いったん☗2五香と遠回りしてしまった。


図 41 は☖5三玉まで

図 41 は角換わりの終盤で後手が☖5三玉として合駒を使わずかわしたところだ。 この手は悪手だった。後手玉には詰みがある。

☗6四金☖同玉☗6二飛成☖6三歩☗6五歩☖同玉☗6三龍☖6四歩☗6六金まで詰み。

☗6四金に気が付けば、一間龍の形から送りの手筋で詰む。☖5三玉を見て、これは危ない手だ、後手玉は詰みそうだ、 と思いながら、☗6四金に気が付かなかった私はアホである。なお、この将棋は二転三転したが、私が勝った。


図 42 は☖7二銀まで

図 42 は居飛車対振り飛車対抗形の終盤。後手が☖7二銀と打ってしのごうとしたところだ(便宜上先後逆)。 それでも後手玉には詰みがある。

☗7一銀☖同玉☗6二金打☖8二玉☗7二金寄☖9二玉☗8二金☖9二玉☗8二金打まで詰み。

☗7一銀に気が付けば、あとはやさしい。しかし、実戦ではこの筋に気づかず☗6二金打としてしまった。 後手は☖6三銀と金を取ったので☗7一銀から詰ますことができたが、それだったら最初から☗7一銀に気づくべきだった。


図 43 は☖8四桂まで

図 43 は横歩取りの終盤。後手が☖8四桂と打って馬筋を遮断したところ。 後手玉には詰みがある。

☗7五歩☖8五玉☗8六歩☖同玉☗8九香☖9五玉☗9六歩☖同桂☗同香☖同玉☗8七金☖9五玉☗8六金まで詰み。

☗7五歩☖8五玉のあと☗8六歩☖同玉の交換を経て☗8九香と下段に香を打ちなおすのがポイント。 ☗8六歩☖同玉の交換を経ずにすぐ☗8六香とすると☖9五玉とされ、☗9六歩☖同桂☗同香☖同玉のあと、後手玉を捕まえる手段がなく失敗する。 下段に香をすえておけば、金を繰り出すことができる。なお、☗7五歩☖8五玉☗8六歩にすぐ☖9五玉とする手に対しては、 ☗9六香☖同桂☗同歩☖8六玉☗8七歩☖8五玉☗7七桂☖7六玉☗6五銀まで。7五の歩は9三の馬で守られているのでこれで詰んでいる。 最終手☗6五銀のかわりに☗9四馬とすると、 ☖同飛と飛車の横利きで馬を取られてしまうので注意。


図 44 は☖4七銀まで

図 44 は居飛車対振り飛車の終盤(都合により先後逆)。後手が☖4七銀と打って詰めろをかけたところ。 後手玉には詰みがある。

☗4三銀☖3三玉☗4二銀不成☖同金☗4五金☖2四玉☗2六飛☖2五飛☗同飛☖同玉☗2六飛☖1四玉☗2五銀☗1五歩まで詰み。

☗4三銀が露骨な好手。☖同銀は☗同歩成☖3一玉☗3二飛☖同金☗同銀☖同玉と清算したあと☗4三金から詰み。 また☖3一玉は☗3二飛☖同金☗同銀☖同玉☗4三金☖4一玉☗4二金以下詰み。よって☖3三玉と逃げるのが最善。 先手は☗4二銀不成と銀をとる。☖同玉は☗4三歩成以下詰みなので☖同金ととるしかないが、そこで☗4五桂☖2四玉の交換のあと☗2六飛と合駒を尋ねるのが巧妙だ。 後手には合駒が飛車と銀しかなく、そのどちらであってもすぐに取り、その取った駒を2六に打てば詰んでいる。 実戦は先手が☗3九金と詰めろを解消する手を指したが、後手は☖6九飛と再度詰めろをかけた。ここでも後手玉は前述の詰筋があったが、 先手は気付かず☗4九桂と守りの手を指した。実戦は☖3一玉☗6三飛と進み、ほどなく先手の勝ちとなった。


図 45 は☖7六金まで

図 45 は居飛車対振り飛車の終盤(都合により先後逆)。後手が☖7六金と先手の銀を取って詰めろをかけたところ。 後手玉には詰みがある。

☗7二と☖同銀☗同龍☖同玉☗6一角まで後手投了。

図の局面を考えて、即詰はないと思い込み、☗7三と☖同桂☗同角成☖同玉☗3七角という王手飛車をかける筋や、 ☗7二と☖同銀☗7一角☖同玉☗6二金以下の筋を考えていた。しかし、前者は☗3七角の瞬間☖5五角と逆王手食らって負ける。 また後者は☗7一角のとき☖同玉とせず☖8三玉以下上部に遁走される筋が見えて断念した。 さらに考えていると、☗7二と☖同銀のあと☗同龍と清算すれば☖同銀の一手に☗6一角という有名な筋があることに気づいた。 本来ならこの局面で☗6一角の筋が見えないといけない。

なお、☗7二とに☖同玉ではなく☖9二玉なら☗9三香☖同玉☗7一角以下詰み。ほかにもいろいろな詰め方がある。


図 46 は☖7六金まで

図 46 は居飛車対振り飛車の終盤(都合により先後逆)。後手が☖4五玉と先手の銀を取ったところ。 後手玉には詰みがある。

☗4六飛☖3四玉☗4四飛上☖3三玉☗3四銀☖2四玉☗2五銀☖1三玉☗1四銀☖2二玉☗4二飛成☖3二金☗2三銀成☖同玉☗2四金まで後手投了。

☗4六飛☖3四玉は必然として、次の☗4四飛上は遠回りだった。☗4四飛寄とすれば☖3三玉の一手に☗4二飛成☖2四玉☗2六飛以下、早く詰んでいた。 本譜は、いざというときに☗6九飛としてと金を払って☖7九銀(角)以下の即詰みを防ぐためだった。 幸い本譜でも後手玉に詰みがあった。


図 47 は☖9五同飛まで

図 47 は角換わりの終盤。後手が☖9五同飛と先手の銀を取ったところ。 後手玉には詰みがある。

☗7二銀☖9四玉☗8六桂☖8五玉☗7七桂☖8四玉☗8三金☖同角☗同銀成☖同玉☗7四角☖9三玉☗8三金まで。

☗7二銀は必然。逃げる手は 5 箇所あるが、☖9四玉以外の手は☗8三金以下83の地点で清算して☗7二角と打てば詰んでいる。 そこで☗8三金を王手で打たれないように☖9四玉とするが、☗8六桂☖8五玉に☗7七桂と飛ばれ☖8四玉の一手にやはり☗8三金と王手で打たれる。 以下は並べ詰みである。


図 48 は☖4二金寄まで

図 48 は居飛車対振飛車の終盤。後手が3二の金を4二に寄って☗2五桂以下の詰めろを防いだところ。 後手玉をどう寄せるか。

☗2二銀☖同金☗4二玉☖同玉☗2二龍☖4三玉☗5五金まで先手の勝ち。

☗2二銀と捨てる手があった。☖同金の一手に☗4二馬が継続手。 ☖3四玉と上に逃げる手は☗4六桂以下詰むので☖同玉ととるよりなく、そこで☗2二龍と王手で金を取って一間龍の形にすれば受けが難しい。 ☖3二銀や☖3二角ならや☗5五桂と打つのがいいだろう。☖4三玉と持ち駒を節約して受ける手には退路をふさぐ☗5五金がぴったりだ。 次の☗3三金の一手詰や☗3五桂☖3四玉☗2三龍以下の詰みが防ぎにくく先手の勝ちである。本譜は☗3四銀と打ってしまい先手の負け筋になったが、 相手の緩手もあり、戦いが続いた。


図 49 は☖4八馬まで

図 49 は図 48 から数十手後の局面。後手が先手の4八の歩を6六の馬でとったところ。 後手玉には詰みがある。

☗5三金 ☖6一玉 ☗4一龍 ☖7二玉 ☗6三銀 ☖8三玉 ☗8一龍 ☖8二金 ☗同龍 ☖同玉 ☗7四桂 ☖8三玉 ☗8二金 ☖7三玉 ☗7二金 ☖8三玉 ☗8二桂成 まで先手の勝ち。

☗5三金で龍の道を通して☖6一玉の一手に☗4一龍と入る。 ☖5一歩は☗同龍と取られて無効だから☖7二玉と上がる。ここで☗5二龍と一間龍の形にしたいが☖8三玉☗6三龍☖7三金となると届かない。 そこで☗6三銀として上部脱出を防ぐ。☖8二玉には☗5二龍が、☖7三玉には☗7一龍があるので☖8三玉だが☗8一龍とこちらの一間龍の形を作る。 あいにく後手の合駒には金しかなく(歩は二歩で打てない)この金をむしりとって桂馬を打てばぎりぎり詰んでいる。


図 50 は☖4四同金まで

図 50 は居飛車対振り飛車の終盤戦。後手が先手の4四の角を金で取ったところ。先手玉には☖5五金の一手詰がかかっているのでこれを防ぐ必要がある。 しかし平凡に☗4四角成では☖7七角で4四の馬を素抜かれる。 先手は後手玉を即詰みにしとめるか、うまい手順で詰めろを解除する必要がある。実際、後手玉には詰みがある。

☗3三銀 ☖同銀 ☗同歩成 ☖同玉 ☗2五桂 ☖4三玉 ☗3五桂 ☖5二玉 ☗5三銀 ☖4一玉 ☗4二歩 ☖同 金 ☗同 銀 ☖同 玉 ☗5三銀 ☖3一玉 ☗4二金 ☖2二玉 ☗3三銀 ☖2一玉 ☗2二金 まで先手の勝ち。

☗3三銀とぶちこむのはこれしかない。本譜は☖同銀だが、他に☖2一玉や☖4一玉の応手も考えられる。 ☖2一玉には☗2二歩☖同金☗同銀成☖同玉☗3三銀☖同銀☗同歩成☖同玉☗2五桂☖4二玉☗5三金☖3一玉☗4二金打☖2一玉☗2二歩☖同玉☗3三銀 以下詰み。また☖4一玉には、 ☗3二銀打☖同金☗同銀成☖同玉☗3三銀☖4一玉☗4二銀成☖同玉☗5三銀☖3一玉☗2二金☖同玉☗3三歩成☖同玉☗4四金☖2二玉☗3三金 以下詰み。☗3二銀打に☖5二玉とかわす手には、 ☗6三銀☖同玉☗7三金☖5二玉☗4二銀成☖同玉☗4三銀打☖同金☗同銀成☖同玉☗3三金☖5二玉☗4四桂☖6一玉☗5三桂まで詰み。 したがって、☗3三銀のぶちこみには☖同銀と応じるしかない。以下3三の地点で清算して☗2五桂と据えるのは妥当で、 これに後手は3四への逃げ出しと6二角の死角のすり抜けを両にらみして☖4三玉とするしかない。先手はここが考えどころで、 ☗3三金ならば☖5二玉と左辺に逃げられ、銀桂では届かない。また☗5三金なら☖3四玉と今度は上部に逃げられ、やはり銀桂では届かない。 そのため、金は打たずに☗3五桂とするのがいい。後手が☖同桂ととれば☗4四銀が打て、☖3四玉と上部に逃げられたときに金を取りながら☗3五銀と引けるので、 上部には逃げられない。そこで☗3五桂を金でとることはできず☖5二玉と左辺への逃げこみをはかる。しかし平凡に☗5三銀と打てば、 ☖6一玉には☗5二銀打☖7二玉☗7三金で詰みなので☖4一玉とするしかない。これでも☗4二歩と打てば、☖3二玉には☗3三歩以下詰みだし、 ☖4二同金には☗同銀成以下やはり詰みとなる。

実戦では☗3五桂を先手が見送り、☗4四角成と角を切ってきた。これで後手玉への即詰はなくなった。


図 51 は☖4四同金まで

図 51 は図 50 の続き(都合により先後逆)。先手玉に詰みはないが、後手玉の45から56への遁走を阻止しなければならない。 後手玉には詰みはないが、遁走は阻止できる。

☗3四龍 ☖同玉 ☗3五銀 ☖2三玉 ☗4一角 ☖2二玉 ☗4六銀 まで先手の勝ち。

☗3四龍が英断の一手。これで後手玉の遁走は阻止できる。 ☖同玉の一手に☗3五銀と打てば、☖4五玉には☗3四角で詰んでしまうので☖2三玉と落ちるよりほかなく、 そこで☗4一角として退路を塞いでおけば☖3二(歩|金|飛)でも☖2二玉にも、☗4六銀として質駒の金をとっておけば、先手玉に詰みはなく、 また後手玉の詰めろを防ぐ手段もとぼしく、後手の投了となった。


図 52 は☖6四同歩まで

図 52 は矢倉急戦(都合により先後逆)の終盤。64にあった先手の角を後手が歩で取ったところ。 後手玉には詰みがある。

☗5三桂打 ☖同銀右 ☗同桂不成 ☖5一玉 ☗5二馬 ☖同金 ☗6一金 まで先手の勝ち。

☗5三桂打と桂馬をつなぐ手は見えやすいが、そのあとの☗5二馬が見えなかった。なお、 手順を前後して、☗5二馬☖同金としてから☗5三桂打☖同銀右☗同桂不成でも同様に詰んでいる。


図 53 は☖8七歩成まで

図 53 は矢倉急戦の終盤。後手が8六にあった歩を成ったところだが、これは失着だった。 後手玉には詰みがある。

☗6二金 まで先手の勝ち。

なぜか私には☗6二金がまったく見えていなかった。持ち駒に金があるとは思っていなかったからだ。 なぜ金があるとは思っていなかったかというと、 持ち駒の金は後手が攻めに使った金でほとんどタダで手に入れたようなものだったからだと思う。 貧乏人は金を見る力がない。


図 54 は☖6三歩まで

図 54 は図 53 から十数手経過した局面で、後手が6三歩と打って攻めを催促したところ。 後手玉には即詰がある。

☗5二桂成 ☖同 銀 ☗6二金打 ☖4二玉 ☗5二金 ☖同 金 ☗3二金打 ☖5一玉 ☗6二銀打 ☖同 角 ☗同 成銀 ☖同 金 ☗4二金 ☖6一玉 ☗6二飛成 ☖同 玉 ☗7三角打 ☖5三玉 ☗5二金打 ☖4四玉 ☗5五金 ☖同 銀 ☗同 角成 まで先手の勝ち。

☗5二桂成は当然だ。後手は☖同銀、☖同金いずれもある。☖同金でもやはり☗6二金と打ち、☖同金ならば☗同成銀☖同角☗4二金以下、 ☗6二金に☖4二玉ならば☗5二金☖同銀☗3二金以下、一間龍の形を含みに玉を追えば詰んでいる(詳細略)。以下は☗5二桂成に☖同銀の応手を調べる。 ☗6二金に☖4二玉は必然で、もし☗6二金を☖同角と取ると☗同龍☖4二玉☗5三角以下早詰。☖4二玉のあと、一間龍の形を作ろうとするが、 後手も抵抗する。☗4二金に☖6一玉となったところで手段が尽きたかに見えるが、☗6二飛成と飛車を切り、☖同玉に☗7三角とここに角を打てば、 ☖7一玉や☖7二玉ならば☗8二金☖6一玉☗5一金までで詰むので☖5三玉と上がるが、☗5二金☖4四玉に☗5五金が角の利きを生かした手で見事に詰んでいる。


図 55 は☖6三歩まで

図 55 は居飛車対振り飛車の終盤戦。後手が3三の玉を4二に逃げたところ。 後手玉には即詰がある。

☗5二飛 ☖同 玉 ☗5三銀打 ☖6三玉 ☗6四銀上 ☖7二玉 ☗7三金打 ☖7一玉 ☗6二銀成 まで先手の勝ち。

☗5二飛はコンピュータが指摘した手。人間だったら欲張りだから☗7二飛から考えるだろう。☖5二歩に対して☗同飛成とすれば歩1枚は得している。 さて☖5二同玉に対しては☗5三銀打としてよい。当然☖6三玉と上に逃げるが☗6四銀上とすれば玉は狭い。 ☖7四玉には☗8四金で詰み。 ☖7四玉の代わりに☖7二玉でも☗7三金以下やはり詰んでいる。

実戦では☗5二飛ではなく☗5四桂と打った。☖同角に☗同銀ととったのが敗着。☖2九飛と打たれ、先手玉がトン死してしまった。 ☖5四同角に☗3三銀打とすれば、☖5一玉には☗8四角以下、 ☖5二玉には☗5三金以下の詰みがあった。


図 56 は☖2一馬まで

図 56 は矢倉模様の相居飛車の終盤戦。後手が3一の馬を2一に逃げたところ。 後手玉には即詰はないが、どのように寄せるか。

☗2四歩以下先手の勝ち。

☗2四歩は指摘されれば当然の手だが、指しているときには全く見えなかった。放置すれば☗2三歩成で、また☖2四同歩と取れば☗2三角で、 後手玉は詰む。☖1四銀と2五の銀を引くのが一番手数が長いが、それでも ☗2三歩成 ☖同 銀 ☗同 金 ☖同 玉 ☗2四歩打 ☖同 玉 ☗2八飛 ☖2五歩打 ☗3三角打 ☖2三玉 ☗2四歩打 ☖1二玉 ☗2三銀打で詰みとなる。

実戦では☗3二と、としたが☖同飛!☗同金☖同馬となり、種駒がなくなり7六の銀も取られ、先手が負けた。


図 57 は☖5一香まで

図 57 は居飛車対振り飛車の終盤戦(都合により先後逆)。後手が5一に香車を打って、☗6二桂成以下の詰めろを防いだ局面である。 それでも後手玉には即詰がある。

☗5三金☖同角☗同馬☖同玉☗7一角☖6四玉☗7五金☖6三玉☗6二角成 まで以下先手の勝ち。

5三の地点で清算すると押さえがなくなってしまうので指しがたいが、その後☗7一角と打てば右辺には逃げられない。☗7一角に対して☖6三玉は ☗6二角成☖7四玉☗7五金で詰んでいる。☗7一角にたいして☖6二玉も上に述べたように詰んでいる。


図 58 は☖6二同歩まで

図 58 は角換わりの終盤戦。後手が6一の歩で6二の成香をとったところ。 後手玉に即詰はない。先手の玉も迫られていて攻防の手がほしいところ。

☗7二飛成 ☗4一玉 ☗7六龍 ☖5七桂左成 ☗同 金 ☖同 桂不成 ☗7七玉 ☖6三香打 ☗3三桂打 ☖同 銀 ☗同 歩成 ☖同 金 ☗5三馬 ☖4二金打 ☗5二歩打 ☖5三金 ☗5一歩成 ☖3一玉 ☗3九飛 以下先手優勢。

☗7二飛成が攻防の手。このままでは☗6三馬以下後手玉が詰んでしまうので☖4一玉の早逃げは致し方ないが、 ☗7六龍と銀を取って先手玉は安全になった。以下は後手も手順を尽くすが、先手は後手の角も取ったので戦力も蓄えられた。 以下は戦いはまだ続くが、先手優勢である。本譜は☗3三桂と急いでしまい、以下逆転負けとなった。


図 59 は☖4二同銀まで

図 59 は角交換からの乱戦となった終盤戦。(便宜上先後逆)後手が☖4二銀として先手のと金を払ったところ。 後手玉に即詰がある。

☗1三香成 ☖同 玉 ☗2二金 まで先手の勝ち。

☗1三香が当然とはいえ好手。ここで☗4二同角成では攻めが遅くなる。また☗2二金☖1三玉☗2五桂☖2四玉☗4二角成 と上部に追い出すのは、以下即詰みはあるものの、本譜に比べて明快さに劣る。 1三に前に利く駒を打って桂馬で逃げ場を塞いでから腹金で詰み、というのは基本だが、実際に出てこないと思っていた。 しかし、本譜のように、よく見ると起きていることがわかる。


図 60 は☖5三銀直まで

図 60 は居飛車対振り飛車の対抗形の終盤(便宜上先後逆)。後手が5二にあった銀を☖5三銀直と上がったところ。 後手玉には即詰がある。

☗2五桂 ☖4三玉 ☗6一玉 ☖5二金 ☗4一龍 ☖4二銀 ☗5二馬 まで先手の勝ち。

☗2五桂と王手に跳ねだす。玉を左辺に逃がすようで気が進まないが、 ☖4三玉に☗6一馬と入れば後手には持ち駒が歩しかないので☖5二金と寄らざるを得ない。そこで☗4一龍と回ると、 やはり持ち駒が歩だけなので☖4二銀か☖4二金左とするしかないが、どちらでも☗5二馬と後手の金をとって後手玉は詰みとなる。 本譜はこの順を逃したが、幸いまだ勝ちは残っていた。


図 61 は☖3六歩打まで

図 61 は居飛車対振り飛車の対抗形の終盤(便宜上先後逆)。先手玉は危険だ。しかし後手玉には即詰がある。

☗1三金 ☖同 歩 ☗2三香打 ☖同 玉 ☗1三歩成 ☖同 桂 ☗1五桂打 ☖3四玉 ☗2三銀打 ☖3五玉 ☗2六金打 まで先手の勝ち。

☗1三金と露骨に打ち込むのがよい。1三の地点は後手の駒の利きが多いが、以下に見られる順で詰んでいる。 なお、上記手順では、☗1三金☖同歩のあとにすぐ☗2三香を打っているが、☗1三香成☖同桂のあとに☗2三香と打っても☖同玉の一手なので、 ☗1五桂を打てば上記手順に合流する。本譜は先手がこの筋に気づかず☗3八金と引き、以下激戦が続いたが、 最後はやはり☗1三金と打ち込む筋を使って先手が勝った。


図 62 は☖1八成桂まで

図 62 は乱戦模様の終盤。後手玉には即詰がある。

☗4二銀成 ☖6一玉 ☗5二成銀 ☖7二玉 ☗6二成銀 ☖同金 ☗8二金 ☖同玉 ☗6二飛成 ☖7二香 ☗7一銀 ☖8三玉 ☗8四銀 ☖同玉 ☗6六馬 ☖8三玉 ☗8四金 まで後手投了。

この盤面での私の読みは、本譜の進行で☗7一銀☖8三玉となったときに、どうやって1一の馬を活用しようかということだった。 ☗8二金と打っては☖9四玉で詰みそうにないので困り、仕方なく手なりの王手をかけながら考えていたが、 後手玉が☖8三玉と逃げたときの盤面を見て、ここで☗8二金ではなく☗8四銀と捨てれば、 ☖同玉に☗6六馬と引けばどこに後手玉が逃げても持ち駒にまだ金があるから大丈夫だ、 ということに気づいた。そんなことぐらい、☗4二銀成とするときにすでに読んでいろよ、と言いたくなるが、私は弱いのだ。


図 63 は☖1八成桂まで

図 63 は居飛車対振飛車の終盤(都合により先後逆)。後手玉には即詰がある。

☗7一飛成 ☖同 金 ☗同 龍 ☖同 玉 ☗6三桂 ☖6一玉 ☗6二金 ☖同 玉 ☗7一角 ☖6三玉 ☗5三金 ☖6四玉 ☗7五金 まで先手の勝ち。

単純に相手陣をはがしたあとで、☗6三桂と打てば詰んでいる。☖8二玉は☗7一角以下簡単。☖7二玉や☖6二玉は本譜と同様。 ☖6一玉の逃げには☗6二金と豪勢に金を打てばいい。☖同玉の一手に☗7一角と打てば打った角と金2枚を生かして詰みあがる。 図63 の局面で、☖7四桂と打たれて、「これは詰めろではないはずだ。だからこちらから詰めろの連続で迫ればいいはずだ」と考えていたので、 即詰みがあるとは思ってもいなかった。ここらあたりが私が弱い理由なのだろう。

実戦では☖7四桂のあと☗6三桂と打った。これは確かに詰めろだが、☖6一歩と受けられて訳が分からなくなった。☗7二桂成☖同馬を決めてから、 ☗6一飛成☖同馬☗同龍としたが、桂馬を相手に渡したことは危険だった。それならば☖6一歩とされたときに☗7二桂成とせずにすぐ☗6一飛成☖同馬☗同龍とするのがよかった。 このほうがスマートだ。実戦に戻ると、☗6一飛成☖同馬☗同龍のあと、☖7一飛と打って最後の抵抗に出た。


図 64 は☖7一飛まで

図 64 は図 63 の続きで居飛車対振飛車の終盤(都合により先後逆)。後手玉には即詰がある。

☗7一龍 ☖同 玉 ☗5一龍 ☖6一銀 ☗6二金 ☖同 玉 ☗5三角 ☖5一玉 ☗4二金 まで先手の勝ち。

上記は実戦で生じた詰手順である。☗7一龍と飛車を取って、☖同玉に☗5一飛と一つ離れた場所に飛車を打った。一間龍ならぬ一間飛だが、これで詰んでいる。 生飛車は斜めの地点が弱いのが難点だが、☖6一銀の合駒に☗6二金と「取れるものなら取ってみろ」と迫るのがいい。取らずに☖8二玉と逃げるなら、 ☗7一角以下、容易に詰む。☖6二同玉と取るしかないがそこで☗5三角と5一の飛車の利きを生かして打つのが決め手だ。☖7二玉なら☗6一飛成以下、☖6三玉なら☗6四飛☖7二玉☗6一飛成以下いずれも詰む。 ☗5三角には本譜は☖5一玉と飛車をとったが、 これには☗4二金で詰んでいる。後に取られることを想定して一間あけて飛車を王手で打つこの手筋が私は好きだ。なお、☗5一飛に対して☖6一桂と合駒すれば☗6二金☖同玉に今度は☗5三角には☖同桂と取られてしまう。 この場合は☗5三角の代わりに☗5二金とする。☖7一玉、☖7二玉、☖6三玉のいずれを選んでも☗6一飛成以降、一直線で詰む。

実戦では飛車交換後☗5一飛と飛車から先に打ったが、☗5三角と角から打っても詰む。むしろ、こちらのほうが上部脱出を抑える意味で普通かもしれない。 ただ詰み筋は少し難しい。☗5三角☖6二歩☗同角成☖同玉☗4二飛☖5二歩☗6三歩☖5三玉☗7五角以下、詰んでいる。最後にあたりになっている先手の6六角を逃げながら☗7五角と王手をする手が気持ちいい。


図 65 は☖6四銀打まで

図 65 は居飛車対振飛車の終盤(都合により先後逆)。後手玉には即詰がある。

☗6四銀成 ☖同 玉 ☗5六桂打 ☖5三玉 ☗6五桂 ☖4二玉 ☗3三銀打 ☖3一玉 ☗2二金打 ☖同 飛 ☖同 杏 まで先手の勝ち。

平凡に☗6四銀成と銀を取るのがいい。逃げる手は早詰なので☖同玉と取るしかないが、☗5六桂が気持ちいい。☖6三玉なら☗6四銀☖6二玉☗7二金で詰むので、 ☖5三玉と逃げるしかない。そこで☗6五桂と香を取りながら王手する。7筋に逃げるのは簡単に詰むので☖4二玉だが☗3三銀以下並詰である。

実戦では☗6四銀成とせずに直接☗6五桂としてしまったため☖同銀と取られ混戦となった。 私は☗6四銀成☖同玉☗5六桂☖5三玉に☗6四銀とここで金気を使ってしまう手ばかり読んでいて以下☖4二玉☗3三金☖3一玉にこれ以上の攻めがないので危険と読んでいた。 ☗6五桂が王手となることに気づかなかったのが恥ずかしい。


図 66 は☖6二銀打まで

図 66 は図 65 から数十手先の局面である(都合により先後逆)。後手玉には即詰がある。

☗5六桂打 ☖5五玉 ☗6四銀打 ☖6六玉 ☗6七歩打 ☖同 玉 ☗6九香打 ☖6八歩打 ☗同 飛 ☖7六玉 ☗7七歩打 ☖8七玉 ☗8五龍 ☖8六歩打 ☗8八金打 まで先手の勝ち

☗5六桂と歩の上に桂馬を打つのが盲点だった。☖6三玉は☗6四銀以下容易。☖6五玉と桂馬を取る手には☗8五龍がぴったりで早詰。 そこで☖5五玉とかわすしかないが、☗6四銀と後ろから追い、あくまで桂を取らない☖6六玉には☗6六歩☖同玉の交換を入れて☗6九香と下段に香を打って詰み形になっている。 ☖6八歩と捨て合いをするが、☗同飛と取れば玉は狭く、以下は並び詰めとなる。

実戦ではこの詰みに気づかず、☗6九香とつないで、さらに激戦が続いた。


図 67 は☖6七銀まで

図 67 は矢倉戦。後手の私が☖6七銀と形を作った場面。後手玉には即詰がある。

☗4二金 ☖同 金 ☗同 と ☖同 飛 ☗同 銀成 ☖同 玉 ☗3四桂 ☖4三玉 ☗4二飛 ☖3四玉 ☗4四飛成 ☖2五玉 ☗2六金 まで先手の勝ち

☗4二金と打つのが紛れが少ない。4二の地点で総交換したあとで、☗3四桂と打てば後手玉は詰んでいる。☖3三玉には☗3一飛がぴったりで☖3二合なら☗4四金まで、 ☖4三玉なら☗5三金まで。したがって☗3四桂には☖4三玉でまっすぐ上がるが、☗4二飛以下、ぴったりつかまっている。

実戦では先手がこの詰みに気づかず、☗3四桂ではなく☗5四桂と打ったので☖3三玉と逃げ、後手玉の即詰はなくなった。


図 68 は☖4二歩まで

図 68 は矢倉戦。後手が即詰を防いで☖4二歩と打った場面。後手玉をどう寄せるか。

☗2三銀 ☖5二銀 ☗3二銀打 ☖5一玉 ☗4三角成まで先手の勝ち

上部脱出を押さえて☗2三銀と打つのがしっかりしている。これは次に☗5二銀☖3一玉☗8一飛成までの3手詰である。 これを防ぐために☖5二銀とすると、☗3二銀打☖5一玉を交換して角から☗4三角成といくのが好手。☖同歩では☗6二金☖4二玉☗5二金まで詰む。 ☗2三銀に対し☖6一銀とすると、やはり☗3二銀打☖5一玉☗4三角成の筋で受けがない。

☗2三銀の代わりに☗2一歩成とする手もある。これは次に☗5二銀打☖3二玉☗4三角成☖2三角☗1五桂☖1四玉☗2三玉☖1五玉☗1六金までで詰む。 なお☗4三角成に☖同龍は☗2二金まで、また☖同歩は☗2二金☖4二玉☗5一銀までで詰む。よって、☗2一歩成には☖3四歩と角道を止めるが、 ☗2二とと引いて次の☗5二銀が受けにくい。☖5二銀には☗3二銀☖5一玉☗6二銀まで、また☖6一銀には☗3二銀☖5一玉☗6三桂までである。

実戦では☗5二銀と「王手は追う手」という、悪手そのものといえる手を指してしまい、負けてしまった。


図 69 は☖2六銀まで

図 69 は居飛車対振り飛車の対抗形(便宜上先後逆)。後手が2六にあった先手の桂馬を銀で取った場面。後手玉には即詰がある。

☗2三銀成 ☖2一玉 ☗3二角 まで先手の勝ち

角の利きがあるので☗2三銀成とするのは当然の一手。たいして☖3一玉なら☗2二角☖2一玉☗1一角成☖同玉☗1二成銀まで。6七角の利きがある。 そこで後手は☖2一玉とするが、☗3二角と打つ。後手はここで投了した。

☖3二同金ならば☗4一龍☖3一合☗3二金まで。これも6七角の利きがすばらしい。 ☖3一玉としたとき、私は☗2六歩か☗4三角成とする予定だったが、実は即詰があった。☗2二成銀と捨てるのが好手。以下☖2二同玉☗2三角成☖3一玉☗4一角成☖同金☗同飛成まで詰みとなる。


図 70 は☖8一銀まで

図 70 は居飛車対振り飛車の対抗形(便宜上先後逆)。後手が☖8一銀として先手の馬を追い返そうとした局面。 後手玉には即詰がある。後手の6一香に注意する。

☗8一同馬☖同玉☗7二銀☖同玉☗3二龍☖6二桂☗6四桂☖8一玉☗7二金☖9一玉☗8一金 まで先手の勝ち

即詰にもっていくには☗8一同馬とするしかない。☖同玉に☗7二銀と捨てるのもこれしかない。☖同玉に☗3二龍として龍の利きを生かすのがいい。後手は逃げるか合駒をするかだ。 まず逃げる手を調べる。 下に逃げるのは金を打って並べ詰めである。上に☖6三玉と逃げれば☗5五桂と打てばよい。☖7四玉には☗7五金、☖6四玉には一例として☗7五銀☖5三玉☗4三桂成☖5四玉☗5二龍☖6五玉☗6六銀上 まで。したがって☗3二龍には合駒をする手となる。何を合駒しても☗6四桂と打てば玉は狭い。下に逃げる手は本譜の順で詰む。☖6三玉と上がっても☗5二龍として☖7四玉でも☖6四玉でも☗7五金までとなる。


図 71 は☖4三同銀まで

図 71 は矢倉急戦からの終盤。後手が☖4三同銀として歩を取った局面。 後手玉には即詰があるが、先手は逃した。以下は実戦の指し手である。

☗2三金打 ☖4一角打 ☗同 成銀 ☖同 玉 ☗4三桂成 ☖同 銀 ☗7四角打 ☖5二歩打 ☗5三銀打 ☖3一銀打 ☗4四銀成 ☖同 銀 ☗同 飛まで先手の勝ち

☗2三金は緩手。当然☗4一金と打てば☖3二玉でも☖2二玉でも☗2三金まで詰んでいた。九死に一生を得た後手は☖4一角と粘る。 次の☗4一成銀も緩手で、☗4三桂不成と飛び込めば☖同銀の一手に☗4二金としてこれも詰んでいた。どちらの手順も逃したが、逆転には居たら科なかったしなかったのは幸いだった。


図 72 は☖3六角まで

図 72 は対抗形からの終盤(都合により先後逆)。後手が☖3六角とした局面。 後手玉の寄せをどうするか。以下は実戦の指し手である。

☗8二金打 ☖同 玉 ☗6二飛成 ☖9三玉 ☗8五銀打 ☖8二金打 ☗9四銀 ☖9二玉 ☗9五桂 ☖7二金打 ☗2二龍

☗8二金以下は必然だが、☗8五銀はチャンスを逃した。ここでは同じ詰めろでも☗9一銀成または☗8一銀成としておけば後手は受けづらかった。 ☗8五銀に☖8二銀と受けられ慌てた私は☗9四銀から☗9五桂とするが、受けきられそうな気がした。☗9五桂に対する☖7二金に☗2二龍と逃げたがこれは悪手。 ここは強く☗8三桂成と踏み込み、☖同金左☗同銀成☖同玉☗8四金☖9二玉に☗9四馬と出て受けなしだった。本譜は☗2二龍と逃げたあと戦いが続いた。


図 73 は☖5七歩まで

図 73 は対抗形からの終盤(都合により先後逆)。後手が☖5七歩と垂らした局面。この手は先手玉への詰めろになっている。 後手玉に即詰はあるか。以下は実戦の指し手である。

☗3一馬☖同玉☗4二銀☖3二玉☗4一角☖2二玉以下、後手の勝ち。

☗3一馬と馬を切るのはこの一手。☖同玉はやむを得ない。ここで☗4二銀は逸機。 ☗5三角と離して角を打てば☖3二玉に☗4二角成以下詰みだった。

☗4二銀に対して☖3二玉とまっすぐ立った手に、☗4一角が悪手だった。ここでは☗4一銀不成とすれば即詰だった。 取れた頭金までだから☖3三玉とするが、☗4二角☖2二玉に☗3一角成とできる。取ればこれも頭金なので☖3三玉とするが、今度は☗4二馬とすれば☖2二玉に☗3二馬とできる。 ☖1二玉に☗2二金までの詰みとなる。


図 74 は☖7九香成まで

図 74 は対抗形からの終盤(都合により先後逆)。後手が☖7九香成とした局面。実はここで後手玉に即詰が生じている。 以下は実戦の指し手である。

☗7三桂成 ☖同 金 ☗7一角打 ☖同 玉 ☗6二金打 ☖8二玉 ☗7二金 ☖同 金 ☗7一銀打 ☖同 玉 ☗6一飛打 ☖8二玉 ☗7二龍 ☖同 玉 ☗6三金打 ☖8三玉 ☗8一飛成 ☖8二歩打 ☗同 龍 ☖同 玉 ☗7三金打まで先手の勝ち。

☗7三桂成と金をとるのはほぼこの一手。これに対して☖同玉は☗5一角以下容易。☖同桂は☗8一金☖同玉☗7一飛☖同玉☗6二金として玉を追いながら銀を奪い、 最後に奪った銀を8二に打ち込んで詰む。となると☗7三桂成には☖同金ととるのが普通だ。その後は持ち駒の角と金を使って相手の銀をはがすが、 まだ相手の金は残っている。そこで☗7一金から☗6一飛と据えて、☗7二龍として龍を切れば詰み型に入る。☗6三金に対し☖6一玉と飛車を取れば頭金までだから、☖8三玉と逃げるしかない。 追跡する☗8一飛成に☖8二歩は最後の抵抗だが、かまわず☗8二同龍とすれば☖8二同玉の一手になり(☖9四玉には8五金)そこで☗7三金と上から押さえらればいい。 実戦ではここで後手が投了した。 以下、☖9一玉には取ったばかりの桂馬を☗8三桂と打てばあとは簡単な即詰だ。


図 75 は☖4六馬まで

図 75 は居飛車対右玉の終盤(便宜上先後逆)。後手が☖4六銀として先手の金をねらった局面。 後手玉には即詰がある。後手の4六馬に注意する。

☗7二桂成☖5一玉☗6二成桂☖4二玉☗5二と☖3三玉 ☗3四香打 ☖2二玉 ☗3二香成 ☖同 銀 ☗2三歩打 ☖同 銀 ☗3三金打 ☖同 玉 ☗3四銀打 ☖同 銀 ☗同 銀 ☖2四玉 ☗1三角打 ☖同 香 ☗2五金打 まで先手の勝ち

☗6二とには☖同玉で、このあと手をつなげるのが難しい。そこで、☗7二桂成とこちらの桂馬を活用する。即詰にできなかったとき飛車筋が玉頭に直通するのが怖いがやむを得ない。 実戦では☗7二桂成に対して☖同金と取ったために☗5二銀以下早く詰んでしまい、後手の投了となった。したがって☗7二桂成に対して延命するには☖5一玉と寄るしかない。 以下☗6二と☖4二玉☗5二と☖3三玉に☗3四香が急所の一手だ。香車以外の持駒を打つ手は☖2二玉と逃げられてしまい、手が続かない。 ☗3四香に対しても☖2二玉と逃げるが、☗3二香成として金を3二の位置で取れるのが香車を取った効果である。


図 76 は☖4六馬まで

図 76 は居飛車対振り飛車の終盤。後手が☖4九角成として先手の金を取った局面。 後手玉には即詰がある。

☗3五角打 ☖6四玉 ☗6五金打 ☖7三玉 ☗7四金打 ☖7二玉 ☗4二龍 まで先手の勝ち

☗3五角から入る。この場合は☗4四角でもかまわない。合駒は無効だから☖6四玉と上がるしかないが、☗6五金☖7三玉に次に☗7四金と連打すれば、 ☖7二玉に☗4二龍(☗3二龍でも☗2二龍も可)とすれば角の利きがあって詰んでいる。しかし、私は☗3五角を打つときに読み切れていなかった。恥ずかしい。


図 77 は☖6一同玉まで

図 77 は居飛車対振り飛車の終盤(便宜上先後逆)。後手が☖5七桂成として詰めろをかけたが悪手だった。 後手玉には即詰がある。

☗7二銀成 ☖同 玉 ☗6一角 ☖同 玉 ☗6二金 ☖同 銀 ☗5二金 ☖7二玉 ☗6二金 ☖8二玉 ☗7二飛 ☖9三玉 ☗8二銀 ☖9二玉 ☗9一銀成 ☖同 玉 ☗9二香 まで先手の勝ち

☗7二銀成は当然。これに対して☖9三玉と逃げる手があるがこれは☗7一角として合駒請求をすれば寄っている(詳細略)。 ☖同玉に対しては☗6一角と捨てる。これに対して☖8二玉と逃げる手は☗5二飛と打ってあとは詰んでいる(詳細略)。 よって☗6一角に対しても☖同玉だがここで☗6二金と捨てるのが妙手。☖6二同玉は先手5二飛車と打って簡単だから☖6二同銀と取るしかないが、 そこで☗5二金から☗6二金として手順に後手の守備の銀をはがせばあとは詰む。

なお実戦では先手が☗6二金を見逃し☗5一飛としたため後手玉が詰まず、ここで後手が勝ちとなった。


図 78 は☖6一同玉まで

図 78 は居飛車対振り飛車の終盤(便宜上先後逆)。後手が☖4七馬と引いたが悪手だった。 後手玉には即詰がある。

☗9四銀 ☖同 玉 ☗9五歩 ☖8三玉 ☗9四銀 ☖8二玉 ☗8三香 ☖7一玉 ☗8一香成 ☖同 玉 ☗7三桂 ☖9一玉 ☗8一金 まで先手の勝ち

☗9四銀と捨てるのが好手。逃げると早く詰むので☖同玉と取るしかないが、☗9四歩とたたけば取ることはできない。☖同玉と取れば☗9五香☖同玉☗8六金まで詰んでしまう。 したがって☖8三玉と逃げるしかない(☖9三玉でもほぼ同じ)。あとは上から押さえれば自然に詰む。

戻って☖4七馬では、かわりに☖9二飛とか☖9四歩などとして9筋から来られる筋を防いでおかなければならなかった。


図 79 は☖3三同玉まで

図 79 は相矢倉の終盤。以下は実戦の進行である。

☗7八金 ☖2八飛 ☗2三歩成 ☖4二玉 ☗6八歩打 ☖同 飛成 ☗同 銀 ☖同 飛成 ☗3一角打 ☖5一玉 ☗6八金 ☖8五桂打 ☗8一飛打 ☖6一歩打 ☗4一飛打 まで先手の勝ち

☗7八金は緩手。☗3四銀打とする俗筋で詰んでいた。☖4二玉と逃げれば☗4三銀成~☗3四角とすれば詰む。そこで☗3四銀打には☖同金しかないが、 ☗同銀☖同玉と清算して☗5二角と退路を断ちながら王手をすればよい。☖4三銀と抵抗しても☗4五銀☖3三玉☗3四金以下自然に追えば詰む。

対して☖2八飛だが、ここでは☖4二玉と早逃げをするのが勝った。

☖2八飛に対して☗2三歩成としたが悪手。☗3四銀打☖同金☗同銀☖同玉☗4五銀☖3三玉☗4四角☖4二玉☗5三金以下、即詰があった。

☗2三歩成の応手は☖4四玉とすべきであった。

実戦の☖4二玉に対して☗6八歩はひるんだ。ここは☗3一角と打ち、☖5一玉に強く☗6四角成と飛車を取れば、☖7八飛成には☗9七玉とすれば先手玉に即詰はなかった。

☖6八飛行成は、☗3一角から飛車の素抜きがあるのを避けた手だが、代わりに☖8八金から清算して☖5一玉と早逃げするか、 単に☖5一玉と早逃げすればまだ難しい戦いが続いた。

☗6八同銀に☖同飛成とされ、これを☗同金と取ると☖8八金☗9七玉☖8五桂打☗同歩☖同桂☗8六玉☖7五銀☗同歩☖同馬で頓死してしまう。これを避けるためには、 ☗3一角☖5一玉を交換してから☗6八金と取ればいい。そうすれば、先の手順で最終手の☖同馬を☗同角成と取れて、頓死を免れる。


図 81 は☖8九飛まで

図 81 は対抗形の終盤(便宜上先後逆)。後手が☖8九飛と勝負手を放った場面だ。先手の寄せは次が確実だ。

☗5一龍 ☖4一銀打 ☗7三桂成 ☖1五歩 ☗7九金 以下先手優勢

後手からは美濃崩しの☖4八銀から☖3九角が早いが、まだ余裕がある。かまわず☗5一龍と歩を取っていい。これに☖4八銀は☗3一銀として詰めろをかければ勝てる。 従って☖4一銀と守るしかないが、これで☖4八銀の筋はなくなったので、☗7三桂成として取られるかもしれない桂馬を逃げながら攻めに使う手が十分間に合う。 後手は☖1五歩とちょっかいを出してくるが、☗7九金として飛車の横利きを消しておけば安全勝ちが見込める。

私は☗5一龍とするつもりでいたが、あせってしまい☗4二桂と指した。これも悪い手ではないが、桂馬を使うのでもったいない。


図 82 は☖2四同歩まで

図 82 は対抗形の終盤(便宜上先後逆)。後手が☖2四同歩と桂馬の王手を歩で払ったところ。先手には次のような寄せがある。

☗3三銀 ☖同 金 ☗同 歩成 ☖同 玉 ☗4五桂 ☖2二玉 ☗3三銀 ☖1二玉 ☗2三金 ☖同 玉 ☗2四飛 ☖1三玉 ☗2二飛成 まで先手の勝ち。

先手玉は危ないが、渡す駒に気をつければ即詰みはない。☗3三銀として清算をねらうのが直感であり私もそうした。これに対してすぐ☖3一玉と引くと、 ☗2三桂☖4一玉☗4二銀成☖同角☗4三銀で必死がかかる。この状態で先手玉には即詰はない。☗4二銀成に☖同玉は☗5四桂から後手の玉を上部に追い出しながら、 王手をかけながら先手の駒で後手の駒を取る筋で後手玉が詰む。そこで☗3三銀には後手は☖同金と応じ、これに対して☗同歩成☖同玉となった。 先手は☗4五桂と桂馬で王手をした。飛車の横利きを通すとともに、角を何かのときにとる筋も遺している。これに対し☖2三玉なら詰みまで手数が長くなったが、 ☖2二玉としたために☗3三銀打から容易な詰みとなる。

実戦では、私は☗3三銀打に対して☖1二玉に☗2三金と捨てる手が浮かばず、☗4六歩と香車を取ってしまった。このため、長い終盤戦に突入するのだった。


図 83 は☖6九とまで

図 83 は対抗形の終盤。後手が☖4九とと迫ってきたところ。先手には次のような寄せがある。

☗3二角成 ☖同 玉 ☗4一馬 ☖同 玉 ☗5二銀打 ☖3二玉 ☗4三銀成 ☖同 玉 ☗5四金打 ☖3三玉 ☗4四金 ☖2四玉 ☗4二飛成 まで先手の勝ち。

先手玉には一手の余裕がある。そこで☗3二角成☖同玉に☗4一馬として後手の金銀をはがす手段が成立する。☗4一馬に☖3三玉は☗3五銀として次の☗3二金が妙に防ぎにくい。 そこで☗4一馬を☖同玉と取るが、☗5二銀☖3二玉☗4三銀成として後手の金を1枚はがす。☖同玉の一手に☗5四金と金をタダの位置に打つ。☖同玉ならば☗4二飛成として、 次の☗5五銀などを見て先手勝ちである。そこで☗5四金には☖3三玉とかわすが先手は☗4四金と追撃し、☖2四玉に☗4二飛成として必死となる。

実戦では、私は☗3二角成☖同金に☗4一馬が見えず☗4一銀と重く打ってしまった。 これに対し☖3三玉であれば難しく、☗3二金なら☖2四玉で逆転する。☖3三玉には☗4二飛成が正着で☖同金☗5三銀以下、先手が優勢だがまだ難しいところがあった。 実戦は☗4一銀に☖2二玉とこちらに逃げたため、☗3二金☖1二玉に☗4二金が次の☗4三金を見た詰めろとなり、先手が制した。

図 84 は☖6七歩成まで

図 84 は相居飛車の終盤。後手が☖6七歩成と迫ってきたところ。先手には次のような寄せがある。

☗4一銀 ☖7八と ☗4二金 ☖同 金 ☗同 成銀 ☖2二玉 ☗3二成銀 ☖1二玉 ☗2二金 ☖1三玉 ☗2三金 ☖同 玉 ☗3四と ☖1二玉 ☗2三銀 ☖1三玉 ☗2二銀 ☖1二玉 ☗2一銀 ☖1三玉 ☗2五桂 まで先手の勝ち。

先手玉には一手の余裕がある。実際、☖5八飛と打たれても☗4七玉で詰まない。そこで☗4一銀として後手の金をはがす手段が成立する。 適当な受けがない後手は☖7八金とと金をとるぐらいだ。そこで☗4二金と打てば即詰となる(☗3二銀成は☖同玉と取られて詰まない)。 ☗4二金にすぐ☖2二玉と逃げる手は☗3二銀成以降、のちの手に合流する。 ☗4二金にたいして一度☖同金と取り、☗同成銀に対し☖2二玉と逃げる。 これに対し☗3二成銀とさらに追う。☖1三玉なら☗2二銀以降早く詰むので☖1二玉だが、 さらに☗2二玉☖1三玉として☗2三金と金を捨ててしまう。☖同玉の一手に☗3四とが効くのが金を捨てた効果で、 ☖1二玉☗2三銀☖1三玉☗2二銀不成☖1二玉☗2一銀不成として桂馬を手順に入手して☖1三玉に☗2五桂までの詰みとなる。

実戦では、私は☗3二角成☖同金に☗4一馬が見えず☗4一銀と重く打ってしまった。 これに対し☖3三玉であれば難しく、☗3二金なら☖2四玉で逆転する。☖3三玉には☗4二飛成が正着で☖同金☗5三銀以下、先手が優勢だがまだ難しいところがあった。 実戦は☗4一銀に☖2二玉とこちらに逃げたため、☗3二金☖1二玉に☗4二金が次の☗4三金を見た詰めろとなり、先手が制した。


図 85 は☖5五歩打まで

図 85 は居飛車対振り飛車の終盤戦(便宜上先後逆)。後手が5五に歩を打って銀取りとしながら角の利きを遮った局面。後手玉への寄せを考えたい。

☗3三金 ☖同桂 ☗同角成 まで先手の勝ち。

先手玉にはまだ余裕がある。詰めろの連続が続くかどうかだが、実際可能である。平凡に☗3三金とすればこれは次に☗2三金の一手詰めであるから、☖3三同桂と取るしかないが、 ☗3三同角成と平凡に取って後手玉は必死である。次に☗2三金の一手詰めや☗2五桂の一手詰めなどがどうしても防げない。

実戦では、私は☗4五銀と逃げてしまった。そして後手の☖8八飛成にここでも☗3三金とすれば早かったが、☗1五歩と指した。これも詰めろで、悪くはない。 多少指し手は多くなったが、勝ち切ることができた。


図 86 は☖5七角打まで

図 86 は居飛車対振り飛車の終盤戦。後手が5七に角を打って先手玉への寄せを目指した。後手玉には詰みがある。

☗1四桂☖1三玉☗2二銀☖2四玉☗3三銀不成☖同玉☗2二銀☖2四玉☗2五金☖同玉☗2六金☖2四玉☗1五金 まで先手の勝ち。

まず☗1四桂と跳ねる。玉が3筋に逃げれば次の筋で詰む。

☗2二金☖4一玉☗3二銀☖5二玉☗4一銀打☖同金☗6三金☖同歩☗4一銀不成☖同玉☗5一玉まで詰み。手順中、☗6三金と捨てて馬の利き筋を通すのが大事だ。

したがって☖1三玉と逃げるが☗2二銀と打つ。☖1四玉ならば☗1五香☖同玉☗2六金☖2四玉☗1四金☖同香☗1三金まで詰み。☗1四金と捨てるのがカギである。 だから☗2二銀に対しては☖2四玉と逃げるが、☗3三銀不成☖同玉☗2二銀☖2四玉と進める。そこで☗2五金と捨てるのが最後の決め手。以下☖同玉☗2六金☖2四玉☗1五金 まで、詰みとなる。

実戦では、私は☗3七銀と打ってしまい負けにしてしまったが、再度チャンスが来た。図 87 にて掲載する。


図 87 は☖1六同歩まで

図 87 は居飛車対振り飛車の終盤戦。図 86 から☗3七銀☖1六桂☗同香☖同歩となった局面。☖1六桂以下の指し手は後手にとって自然に見えたが、この局面で後手玉には詰みがある。

☗1四桂 ☖1三玉 ☗2五桂打 ☖同 桂 ☗2二銀打 ☖1四玉 ☗1五金打 ☖同 玉 ☗2六銀 ☖2四玉 ☗2五銀 ☖同 玉 ☗2六歩 ☖同 玉 ☗3七金 ☖1五玉 ☗2七桂打 ☖2四玉 ☗2五歩打 ☖同 玉 ☗2六歩打 ☖2四玉 ☗2五金打 まで先手の勝ち。

まず☗1四桂と跳ねる。玉が3筋に逃げれば次の筋で詰む。

☗2二金☖4一玉☗3二銀☖5二玉☗6四桂☖6一玉☗7二馬まで詰み。桂馬があるのでやさしい。

したがって☖1三玉と逃げるが☗2五桂と桂馬を打ち捨てるのが好手。逃げるとやさしいので☖同桂の一手だがそこで☗2二銀と打つ。 ☖2四玉ならやさしい詰み。そこで☖1四玉と桂馬を取りながら逃げるが、☗1五金とここでも打ち捨てて☖同玉を強制して☗2六銀と出る。 必然の☖2四玉に☗2五金と桂馬を取れるのが桂馬を打ち捨てた効果だ。☖2五同玉と取るしかない。 そこで☗2六歩と突き出せば、ぎりぎり駒が足りている。☖3六玉とこちらの歩をとるのは☗3七金で本譜より手数が短く詰む。 ☖2六同玉には☗3七金とする。☖1五玉には☗2七桂と打って王手が続く。以下は一歩も余らずに詰む。

実戦では、☗1四桂☖1三玉にすぐに☗2二銀と打ってしまい、☖1四玉と逃げられ負けにしてしまった。


図 88 は☖7七とまで

図 88 は居飛車対振り飛車の終盤戦。後手が6七から7七にと金を寄ったところ。後手玉をどう寄せるか。

☗7七同桂 ☖同 馬 ☗7一銀 ☖9三玉 ☗8二角 ☖8三玉 ☗7三角成 ☖同 銀 ☗7四金 ☖同 銀 ☗8二龍 まで先手の勝ち。

現在は先手玉が詰めろなので☗7七同桂と取るのは自然だ。当然後手は☖同馬とするが、これがじつは罠だった。 ☗7一銀として後手玉は詰んでいる。☖同玉ならば☗8三桂が絶好で、☖同銀ならば☗8二角まで、☖8二玉でも☗7一角以下詰み。 また☗7一銀に☖9二玉ならば☗8二金☖9三玉☗8三金打以下詰む。したがって☗7一銀には☖9三玉とするが、☗8二角と打つ。 ☖9二玉とするのは☗9一角成以下詰むので☖8三玉と頑張るが、☗9三金☖同香と逃げ道を塞いで☗7三角成とするのが決め手。 ☖同玉は☗7四金まで。☖同桂は☗8二金まで。☖同銀も☗7四金 ☖同銀 ☗8二龍 まで先手の勝ちとなる。

以上のことから、☗7七同桂に☖同馬とはできない(7三に馬の利きがなくなるため)。そこで後手は☖5二歩や☖5二香として次に☖7七馬を狙うのがよい。 以下は難解な戦いが予想される。

さらに考えを進めて先手は☗7七同桂と取る前に☗7一銀と放り込む手が考えられる。取ると詰むので☗9三玉と逃げるが☗8二角☖8三玉まで決めてから☗7七桂と手を戻す。 後手は☖同馬と取れないので☖5二歩や☖5二香と自陣に手を入れるが、先手も☗7八金打と受けに回って、大変な戦いだ。


図 89 は☖6七角まで

図 89 は居飛車対振り飛車の終盤戦。先手の4九と5六の両方の金にねらいをつけて後手が☖6七角と打ったところ。後手玉をどう寄せるか。以下は実戦の進行である

☗5三桂右成 ☖4四玉 ☗4五銀 ☖ 3三玉 ☗1一龍 ☖ 3四歩 ☗3六香打 ☖ 2五角 ☗3四銀 ☖ 同 角 ☗同 香 ☖ 同 玉 ☗4五角 ☖ 3五玉 ☗4六金 ☖ 2五玉 ☗3五金打 まで先手の勝ち。

☗5三桂右成は、3三への駒の利きを失うのでやりづらかったが、☖4四玉に☗4五銀と打って王手をかけながら5六の金に紐をつけるための手である。 ☖3三玉に☗1一龍として、2二への利きを作るとともに香車を入手して、次に☗3四金の一手詰を狙った。 ☖3四歩はその防ぎだが、かまわず☗3四銀と出る手があった。☖同玉に☗1四龍と引くと、☖2四合は☗3五香☖同玉☗4五金で詰んでしまう。 そこで☗1四龍には☖3三玉だが、☗3四香☖2二玉☗3三香成以下の容易な詰みがあった。実戦では☗3四銀を見送り☗3六香と設置したが、これでも悪くはない。 ☖2五角の抵抗にも素直に3四で清算して角を入手し、その角を☗4五角と設置すればあとは追い詰めである。


図 90 は☖8四銀まで

図 90 は居飛車対振り飛車の終盤戦。後手が☖8四銀と打って下駄を預けたところ。後手の1九の馬が8二まで利いているが、後手玉には即詰がある。

☗9二金 ☖同香 ☗同と ☖7一玉 ☗8二金 ☖同馬 ☗同と ☖同玉 ☗9一角 ☖7一玉 ☗8二金 まで先手の勝ち。

初手☗8二金は後に王手が続かなくなるので、初手は☗9二金から入る。 まず9二で清算したのち、ついで8二に角を打って8二の地点でも清算する。こうすれば、☖8二玉に対して、☗9一角でも、☗7二金でも詰む。

実戦では☗9二金☖同香☗同と☖7一玉のあと☗8二角からの清算ではなく☗5一飛成として必死をかけたが、これは悪手だった。 ☖8八金☗9六玉☖9五銀以下、先手玉が頓死してしまった。☖9五銀に☗同玉ならば☖7三馬と引く。 ☗8五玉には☖8四馬☗9六玉☖9四香、☗9六玉には☖9四香、☗9四玉には☖8四馬で詰み。☖9五銀に☗8五玉ならば☖8四銀と引き、 ☗9四玉には☖9三歩☗同と☖同銀☗同玉☖9二香☗同玉☖8二馬まで、これも詰む。


図 91 は☖4六角まで

図 91 は相居飛車の終盤戦。後手が☖4六角と打って先手玉に詰めろをかけたところ。後手玉には即詰がある。

☗4一角成 ☖同 玉 ☗5一飛打 ☖3二玉 ☗5二飛成 ☖3三玉 ☗2二銀打 ☖4四玉 ☗4三金打 まで先手の勝ち。

初手☗4一角成として手が続く。一間龍の形になってからは詰み形が見えてくる。

実戦では☗5七銀打として守りに入ったため即詰みはなくなった。その後先手に落手が出て後手が勝った。


図 92 は☖7七角成まで

図 92 は対抗形の終盤戦。後手が☖7七角成と打って先手玉に詰めろをかけたところ。後手玉には即詰がある。

☗7二飛成 ☖同 玉 ☗6三馬 ☖8二玉 ☗7二金 ☖9二玉 ☗9三金 ☖同 玉 ☗8二銀 ☖9二玉 ☗9三金 ☖同 桂 ☗8一銀不成 まで先手の勝ち。

初手☗7二飛成はこの一手。その後☖同玉☗6三馬☖8二玉☗7二金☖9二玉と端に追い込む。次の手が悩む。☗8二金としては☖9三玉と逃げられ駒が足りない感じだ。実際にはそのあと☗8三金☖同玉☗7三金☖同桂☗7四銀以下詰むが、 ひやひやする。それならば☗8二金ではなく、逃げ道に捨てる☗9三金が筋としたものである。 ☖9三同桂では☗8一銀で早く詰むので☖9三同玉はやむをえないが、☗8二銀が打てる。☖8四玉では☗7五金で詰むので☖9二玉と引く。ここで☗8一銀不成☖9三玉☗8五桂☖8四玉☗7五金 という詰み筋もあるが、☗9三金☖同桂☗8一銀不成とするほうが少し早い。


図 93 は☖6六歩まで

図 93 は対抗形の終盤戦。後手が☖6六歩と突いたところ(便宜上先後逆)。後手玉には即詰がある。

☗9四桂 ☖7二玉 ☗7三香成 ☖同 桂 ☗8一角 ☖6二玉 ☗6三角成 ☖同 玉 ☗5五桂 ☖同 金 ☗6四銀 ☖6二玉 ☗6三歩 ☖7一玉 ☗8二金 まで先手の勝ち。

☗9四桂 はまず打ってみる手だ。☖9三玉なら☗8二銀以下、☖9二玉なら☗9三銀☖同玉☗8二銀以下、また☖7一玉なら☗8二銀☖同玉☗7三香成以下詰む。 そこで☖7二玉だがここで☗7三香成が思いつきにくい。☖同玉ならば☗8二銀とし、☖7二玉なら☗7三銀☖同桂☗8一角以下、☖6二玉なら☗7三角☖7二玉☗8一銀不成以下詰む。 ☗7三香成には☖同桂とするが☗8一角として、☖6二玉に☗6三角成と駒をはがしていく。やむを得ない☖同玉に☗5五桂とすれば、☖同金にあとは☗6四銀以下の追詰となる。

実戦では☗9四桂☖7二玉のあとに☗7九桂と自陣に手を入れた。これでも先手勝ちである。


図 94 は☖4六金まで

図 94 は矢倉急戦の終盤戦。後手が☖4六金と打ったところ(便宜上先後逆)。この手は悪手で、☖5九金☗同玉☖4九金☗同玉☖3八金以下の追い詰めがあった。 後手玉には即詰がある。

☗7五銀打☖8五玉☗7七桂☖9四玉☗8三龍まで先手勝ち。

☗7五銀打はごくふつうの手だ。☖6五玉なら☗6六歩までなので☖8五玉とするが、☗7七桂が王手である。☖9四玉に☗8三龍まで、簡単な5手詰である。 ☗7七桂のかわりに☗8六歩でもいいし、☗8三龍のかわりに☗8五角でも☗6一角でもいい。 まで先手の勝ち。

実戦では☗8三角とここに打ってしまった。これはおかしい。☖6四馬に☗6五角成と反省すれば以下☖同玉に☗6六銀に☖7四玉でも☖6四玉でも☗7五銀と引いて詰みだったが、 ☗4五銀と打ってしまった。これは先手が負けになった。


図 95 は☖6二金まで

図 95 は矢倉急戦の終盤戦。後手が☖6二金と打ったところ。後手玉には即詰があるが、先手は逃してしまった。以下は実戦の進行である。

☗5二桂成☖同金☗5三桂☖7一玉☗8五香☖7二金☗5二馬☖8五飛☗6一馬まで先手勝ち。

☗5二桂成☖同金はいいとして次の☗5三桂はなさけない。ここは当然☗8三角と打つべきで、☖8三同飛でも☖7二合でも☗5二龍と金を取れば詰んでいた。弱い。 ☗5三桂に対して☖7一玉と逃げた手に対し、☗8五香と打ったが、これもゆるい。☗7二香とすれば、以下☖同飛☗同馬☖同玉に☗6一角と打てば、以下長いが即詰みがあった。 ただ、☗8五香でも逆転には至らなかった。☖7二金に対して☗6一桂成とすれば、☖同玉☗5二馬以下、詰んでいた。☖7二金に対して☗5二馬としたため☖8五飛の余地を与えてしまった。 しかし、☗6一馬と王手を掛けて後手は投了した。以下は☖8二玉に☗8五金とすれば後手玉は必死である。


図 96 は☖6六銀まで

図 96 は対抗形の終盤戦。後手が5五の銀を6六に進めたところ。これは悪手で、後手玉には即詰が生じた。

☗7一飛成 ☖同 金 ☗同 龍 ☖同 玉 ☗7二金打 ☖同 玉 ☗6四桂打 ☖8一玉 ☗8二銀打 ☖同 玉 ☗7一角打 ☖9二玉 ☗9三金打 ☖8一玉 ☗8二金まで先手勝ち。

7一の地点で清算して☗7二金と捨てるのが気持ちいい手だ。☖同玉の一手に☗6四桂と角の利きを生かして桂馬を打てば後手は玉をかわすしかない。 ☖8一飛が最善だが、☗8二銀ともう一度捨てるのが決め手。あとはおなじみの手順で詰む。

後手は5五の銀を6六に動かしてしまい、その結果☗6四桂が打てるようになってしまった。後手は5五の銀を取られることを覚悟で、☖8五桂打とか、☖6八銀などとして先手玉へのプレッシャーをかけるのがよかった。 またさかのぼって、☖6六銀の前に先手は☗5一飛と打ったのだが、これは☗5二飛のほうが優った。☖6六銀とすれば☗7一龍☖同金☗7二飛成☖同玉でやはり即詰みコースだが、金一枚が節約できる。


図 96 は☖6六銀まで

図 97 は対抗形の終盤戦(便宜上先後逆)。後手が2八の金で3九の飛車を取ったが、これは悪手だった。後手玉には即詰がある。

☗5一飛成 ☖3三玉 ☗4二銀打 ☖2三玉 ☗3三金打 ☖同 銀 ☗同銀成 ☖同 玉 ☗4二銀打 ☖2二玉 ☗3一龍 ☖1三玉 ☗2三金打 ☖同 玉 ☗3三銀成 ☖1三玉 ☗2二龍 まで先手の勝ち。

☗5一飛成以降手成りで進めて、3三の地点で清算するのは必然である。そこで☗4二銀の王手が俗手ながら好手。☖2三玉には☗2一龍と回れば、☖2二合は☗3三金から、☖1三玉は☗2三金で詰む。 そこで☗4二銀には☖2二玉だが、☗3一龍☖1三玉に☗2三金が詰将棋のような好手。☖同玉の一手に☗3三銀成から詰みとなる。

実戦では☗4二銀に気づかず☗3一龍と一間龍の形にして詰みと思い込んでいたが、☖3二銀の移動合いを見て飛び上がった。後手玉は上部に開けていて、もう詰まない。


謝辞

図 37 以降の盤面および棋譜再生には、marmooo さんKifuViewer を用いている。marmooo さんに感謝する。

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MARUYAMA Satosi