雑誌「詰将棋パラダイス」は、優れた詰将棋に毎年「看寿賞」を贈る。その作品群が単行本となって世に出る。
私が知りたかった「ミクロコスモス」や「四銀詰」が出ている。いつ見てもあきない。
成桂や成香の活字が圭や杏で表されているのは残念である。 (2000-01-16)
なお、この本は1950年度(昭和25年度)から1998年度(平成10年度)の受賞作までである。 その後、新たに起こされた完全版 看寿賞作品集には、本書に収録された作品に加えて、 1999年度以降から2015年度までの看寿賞受賞作品が含まれている。こちらは筆者は未見である。(2019-06-13)
pp.93-95 で高木秀次氏の作品が紹介されている。紹介文を引用しよう。ここで、詰パラとは雑誌「詰将棋パラダイス」のことである。
作者高木秀次氏は(中略)超難解な作品を次々と発表。(中略)詰パラ昭和 38 年 2 月号の「千早城」63 手詰では正解者なしの記録を樹立している。
この解説文で、「千早城」というのは難攻不落の城(あるいは難攻不落の何者かであることの代名詞)である、ということを知った。
さて、千早城を守っていたのは誰か。その人は楠木正成という武将だったことは別の何かで耳にしていた。そうしたことがあって、
あるとき、後藤明生の小説「首塚の上のアドバルーン」に収められている小説群で、
楠木公うんぬんの話が展開されたときに、千早城を思い出したのだった。
pp.152-155 で柳田明氏の作品「稲村ヶ崎」が紹介されている。同書の作品の解説はすべて柳田氏によるもので、 したがってこの作品は自作の解説ということになる。その作者の解説を同書から引用する。
(前略)命名は、新田義貞が鎌倉を攻めた時に黄金の太刀を海中に投じて海神に退潮を祈願したという『義貞徒渉の話』より取りました。 初形が潮満ちる海に、詰上りが潮の引いた浜に一振りの太刀、とは気取りすぎか
私は歴史に弱いのだが、この作品で新田義貞という人物や、この人物が黄金の太刀を海中に投じて退潮を祈願したというエピソードを知ることができた。 このことも千早城と同様である。 後藤明生の小説「首塚の上のアドバルーン」に収められている小説群で新田義貞の名前を見て、 既視感があったのはこういうことだったのだ。
書名 | 看寿賞作品集 |
編者 | 詰将棋パラダイス(編) |
発行日 | 年 月 日 |
発行元 | 毎日コミュニケーションズ |
定価 | 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 978-4839902322 |
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