イラク問題
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作成日:2003-02-28
最終更新日:
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インターネット上では、私は政治に関する話題をめったに出さない。
私が物事をろくに考えないからである。
しかし、今回はゆえあってイラク問題について考えてみることにした。
題材は、2003 年 2 月 26 日 の毎日新聞朝刊「記者の目」という論説である。
高畑昭男さんが「イラクにどう対処する」という題名で述べている。
この論説を私は次のように要約した。断っておくが、これは高畑さんの意見であり、
私の意見ではない。
- 反戦を口で言うのはたやすい。しかし、反戦の先には何が残るのか。誰がどのように責任をとるのか。
- ソ連は東欧にミサイルを配備し、西洋を屈服させようとした。これに対抗して、米国はミサイルを配備した。
- ポーランドの知識人は、西欧の反戦運動はソ連を利する、レーガン政権には核戦争の脅しでソ連を屈服させて欲しいと願った。
- 米欧指導者は核配備を進めたから中距離核全廃が実現した。
- 反戦の叫びはわかりやすいゆえに論理のすりかえが起こりやすい。
「ブッシュの米国対フセインのイラク」という図式化はその例である。
- イラク問題の本質は、安保理決議を含む17の国連決議を履行していないことだ。
履行されないのは審判が責任を果たしていないからだ。
- この状態が続ければ国連の権威は失われ、無法国家がはびこる。
- 国際社会は、反社会的行為を罰し、強制力を行使する責任と権限を安保理に与えた。
- 問題は「国際社会対イラク」である。非をブッシュに押し付けるのは筋違いだ。
- イラク自らが武装解除するのが先決であり、それがだめなら国際社会が行動するしかない
- 査察継続→封じこめの対策は成功していない。仏露は封じ込め成功の目算、
石油利権との関係を明確に説明しなければならない。
- 欧州にとってイラクの脅威は米国ほど深刻ではないかもしれないが、安保理が空転すれば決議の履行は遠のく。
- イラクに関する国連決議には、国内の抑圧即時停止を求めたものもある。
抑圧者の苦しみは、
冒頭の東欧知識人のそれに通じるものがある。
- 東欧が米国を支持する理由、仏代表が暴言を吐いた理由を考えるべきだ。
番号付きのリストで要約した理由は、
番号を使って野矢茂樹流の論理トレーニングをしようとしたからだ。
しかし、今はあきらめた。せめて、高畑さんの意見にどのように問いかけようか、
という質問事項を出してみよう。
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なるほど、東欧の知識人は悩み苦しみ、戦争の期待をしたのは事実だろう。
イラクの知識人に関しても、国連決議から明らかだ。
しかし、東欧の一般市民はどうだったのだろうか。
イラクの一般市民はどうだったのだろうか。それがわからない。
戦争が始まれば、一般市民も巻き込まれる。知識人の苦しみを解放するための戦争は、
意味がない。
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核配備を進めたから中距離核全廃が実現した、
というのは全世界の核兵器が減った話であり、戦闘そのものとは分けて考えるべきだ。
仮に核配備が戦争の抑止力になることを認めたとしても、
このことから反戦が認められないという論理にはならない。
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履行が果たされなければ、イラク問題は解決しないという意見であるが、
履行を果たしたからといって、イラク問題が解決するとは限らない。
現に過去の湾岸戦争で、イラクは戦争に負けた。しかし、問題は解決されていない。
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仏露は封じ込めの目算や石油利権の関係を説明しなければならない、とあるが、
それは米国についても、戦争の目算や石油利権の関係についての説明が必要であるのと
同じである。両者の説明を比較考慮して、検討する作業が必要である。
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東欧の抑圧を解放したベルリンの壁の崩壊は、米国の核配備が要因だったのだろうか。
ゴルバチョフの英断に、米国の核配備が影響していたのだろうか。私は疑問だ。
(ここらあたりはよく調べないといけない)。
少なくとも、戦争でベルリンの壁が崩壊したのではないことは確かだ。
もっと考えが出てこないといけないが、私のない頭ではここまで考えるのが精一杯である。
本当は、国連の決議は何かとか、
東西冷戦時代のソ連の影響力と現在のイラクの影響力を比べないといけないとか、
調べたり考えたりすることが必要だ。
付記
その後、産経新聞で高畑さんの記事を見た。産経新聞に移られたのだろう。(2013-02-03)
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MARUYAMA Satosi