スクリャービン ピアノ名曲解説

作成日:2006-09-17
最終更新日:

練習曲集

スクリャービンの練習曲の中で、感情が技巧を上回った作品はいくつかある。 双璧が、嬰ニ短調 op.8-12 と 嬰ハ短調 op.42-5 である。 この2曲に適当な標題がついていればよいのだが、 皆作品番号で言うのが習慣になっている。 なお、op.8-12 には「悲愴」という別名があるが、 それほど知られてはいない。

op.8-12 は、低音の幅広い動きに乗って、右手が力強く自由な歌を歌う。 op.42-5 は、不安定な、テンションの高いアルペジオの上で、 切れ切れなメロディーが不安気に始まる。しばらくして現れる慰安の節は、 スクリャービンの中でも出色だ。

ソナタ集

番号つきのソナタは10曲ある。初期は調性感が明確であるが、 徐々に和声は豊潤になる。後期のソナタは調性は不明確となり、 構成と流れに特徴をもつ、独自の境地を開拓した作品群となっている。

前奏曲集

スクリャービンの初期の作品群は、ショパンの影響が顕著である。 前奏曲集はその典型である。後期に向かって、独自の書法を確立していく。

焔に向かって

最初はピアノで神秘的に始まり、徐々に気分が高まり、最後に絶頂を迎えて終わる、 という曲である。ピアノ独奏曲としてはエロチックさで一二を争う。

幻想曲

ショパンの書法を発展させて、ロマンを昇華させた傑作。

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MARUYAMA Satosi