ベクトル解析

作成日 : 2022-02-19
最終更新日 :

なぜベクトル解析がわからないのか

私がベクトル解析に出会ったのは大学一年生の秋学期、電磁気学の授業が最初だったような気がする。 まずベクトルの外積に手を焼き、 div やら grad やら rot やら ∇ やらが出てきてわからなくなり、 おまけにガウスやらグリーンやらストークスやらの人名が登場して混乱し、 最後にマクスウェル方程式でとどめを刺され、 あえなく撃沈したのだった。

その後も物理数学の授業でベクトル解析はあり、 また物理の時間でも流体力学や弾性体の力学でベクトル解析とのお付き合いは続いたが、 結局わからずじまいだった。

rot の覚え方

ベクトル解析の三兄弟・三姉妹といえば、div, grad, rot である。div や grad はまだわかる気がするが、 rot がいつまでたっても覚えられない。ベクトル場 `A` を `A = (a_x, a_y, a_z)` と書けば、`"rot" A` は次の式となる。

`"rot" A = ((dela_z)/ (dela_y) - (dela_y)/(dela_x), (dela_x) / (dela_z) - (dela_z) / (dela_x), (dela_y) / (dela_x) - (dela_x) / (dela_y)) `
なぜ覚えられないかというと、それぞれの成分にからむ偏微分の式にある。 たとえば、`"rot" A` の `x` 成分は、`x` は出ないが `y` と `z` が出る。 これはいいとして、さて、どちらが微分の上でどちらが微分の下か、どちらがプラスでどちらがマイナスか、 わからなくなってしまう。こういうときは、簡単な例で考えよう。

まず、ベクトル場として、渦を表わす簡単な式がほしい。渦というのは回転で、回転の向きが時計回りと反時計回りがある。 2 次元の場合だと反時計回りが正だ。一般角はそのような定義だ。半時計周りのベクトル場としては、 点(1,0)におけるベクトルが(0,1)、 点(0,1) におけるベクトルが (-1, 0)、 点(-1,0)におけるベクトルが(0,-1)、 点(0,-1) におけるベクトルが (1, 0)、 となるようなベクトル場であってほしい。幸い、このようなベクトル場は、`A = (-y, x)` と書ける。 今は z 成分を無視してしまったが、z 成分も考慮すると z = 0 だから、点 `(x, y, z)` におけるベクトル場は `A = (-y, x, 0)` だ。さて、`"rot" A` の `z` 成分はどうだろう。形で覚えれば、 ` (dela_y) / (dela_x) - (dela_x) / (dela_y)` か ` (dela_x) / (dela_y) - (dela_y) / (dela_x)` だ。計算すると、前者は 2 で後者は -2 だ。 だから前者が正しい。こういった、いいかげんな覚え方をしている。

ストークスの定理

各種書籍でストークスの定理がどのように表現されているか調べた。

ベクトル解析の本

「ゼロから学ぶベクトル解析」という本では次のようになっている。

`int_S {nabla xx bbF(bbr)} * dbbS = int_C bbF(bbr) * dbbR`

「使える数学 ベクトル解析」という本では次のようになっている。

`int_S bbn * "rot"bbA dS = int_C bbA * bbt ds`

物理数学の本

「スカラー場,ベクトル場」という本では次のようになっている。

`oint_L bbA(bbr)*dbbr = intint_S "rot"bbA(bbr)*dbbS`

「したしむ物理数学」という本では次のようになっている。

`int_C bbA*dbbr = intint_S (nabla xx bbA) * bbndS`

電磁気学の本

長岡洋介・丹慶勝市「電磁気学演習」という本では次のようになっている。

`int_S {(nabla xx bbE(bbr)) * bbn(bbr)} dS = int_C {bbE(bbr) * bbt(bbr)} ds`

太田浩一「電磁気学Ⅰ」という本では次のようになっている。本書では「回転定理」という呼称を用いていて、今日ではストークスの定理と呼ぶのが普通である.というように補足している。

`int \ dS bbn xx nabla * bbA = oint \ dbbx * bbA`

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MARUYAMA Satosi