立体角

作成日:2013-09-07
最終更新日:

立体角の概念

二次元の平面における角度の概念は既にわかっている。 しかし、三次元の空間における立体角は直観的にはわかりにくい。 一般にこんな説明がされている。

立体角(りったいかく, 英語: solid angle)とは、 二次元における角(平面角)の概念を三次元に拡張したものである。 平面上における角とは、 平面上の同一の点(角の頂点)から出る二つの半直線によって区切られた部分のことをいい、 この2半直線の開き具合を角度という。 角度は、角の頂点を中心とする半径 1の円から、 2半直線が切り取った円弧の長さで表すことができる。 これに対し、空間上における立体角とは、 空間上の同一の点(角の頂点)から出る半直線が動いてつくる錐面によって区切られた部分のことをいい、 この錐面の開き具合を角度という。 角度は、 角の頂点を中心とする半径 1の球から錐面が切り取った面積の大きさで表すことができる。 立体角の単位にはステラジアン (sr) が使われる。 また、天文学で天球上における面積を表すのに用いられる平方度も立体角の単位の一つである。

立体角の演習

全立体角

全立体角 `omega` は`4pi` sr である。 なぜなら、半径 1 の球面の面積は `4pi` であるからだ。

導出1

半径 `r` の球は半円 `y=sqrt{r^2-x^2}` を `x` 軸周りに回転することによって得られる。 ある `x` から `x + Δx` にかけての微小な表面積 `Δ Omega` は

`Delta Omega =2 pi y sqrt((Delta x)^2+(Delta y)^2)= 2 pi y sqrt{1+( \frac{\Delta y}{\Delta x})^2}\Delta x `

となる。したがって表面積 `Omega` は `Omega = 2 pi int_(-r)^(r)y sqrt(1+ ((dy)/(dx))^2)dx= 2 pi int_(-r)^(r) sqrt(r^2-x^2) sqrt(1+\frac{x^2}{r^2-x^2}}dx =2 pi r int_(-r)^r dx= 4 pi r int_0^r dx =4 pi r^2`

導出2

半径 `r` の球の表面積 `omega` は次のように積分で求めることができる。 `l` を球の表面に沿った円周方向にとる。`l` 方向の積分は次のようにかける。

`omega = 2 int_0^r 2 pi sqrt(r^2 - x^2) dl`

` l = r theta ` なので、`x = r sin theta ` と置換する。

`omega = 4 pi int_0^(pi/2) sqrt(r^2 - r^2 sin^2 theta) r d theta`
`= 4 pi r^2 int_0^(pi / 2) cos theta`
`= 4 pi r^2 [sin theta]_0^(pi/2)`
`= 4 pi r^2`

半球

半球のなす立体角 `omega` は`2pi` sr である。 `4pi` の 1/2 から得られる。

円錐

半頂角 `theta` の立体角 `omega` は次で与えられる。
`omega = 2 pi (1 - cos theta) (sr)`

半球は 半頂角 `theta = pi /2 ` の場合であり、このとき値は `2 pi` となるので、 整合していることが確かめられる。

緯度と経度

緯度 `delta_1`から`delta_2`(ラジアン)、 経度 `lambda_1` から`lambda_2`(ラジアン) で囲まれた範囲の立体角(ステラジアン)`omega` は次で与えられる。
`omega = (sin delta_2 - sin delta_1 ) (lambda_2 - lambda_1) `

極座標における立体微小角

以下、単位はラジアンとする。 天頂角 `theta` 方位角 `phi` において、微小量 `Delta theta` 、`Delta phi` で囲まれた範囲の立体角(ステラジアン) `delta omega` は次で与えられる。
`Delta omega = sin theta * Delta theta * Delta phi`

球の口の立体角

こんな問題を考えてみよう。

長さ 2 の線分 `NS` を直径とする球面 `K`がある.点 `S` において球面 `K` に接する平面の上で, `S` を中心とする半径 2 の四分円(円周の 1/4 の長さをもつ円弧)`AB` と線分 `AB` をあわせて得られる曲線の内部を,点 `P` が動く. このとき,線分 `NP` と球面 `K` との交点 `Q` が掃く領域を口(くち)と呼ぶことにしよう。口の面積`omega`を求めよ.

座標系を入れよう。 `N` = (1, 0, 0), `S` = (-1, 0, 0) とし、球面 `K` を xy 平面の円 `C : x^2 + y^2 = 1` を y 軸に関して回転させたものとする。 球面 `S` に接する平面は yz 平面である。

1. `x = x_0` における球の切断面での円の半径

`x^2 + y^2 = 1`

平面`x = x_0` で切ったときの球`K` の半径 `r` は、`r = sqrt(1 - x_0^2)` で表される。

2. 三角形 `ABN` をふくむ平面と平面 `x = x_0` の交線の `x` 軸からの距離

弦 AB と x 軸は、`x = 1` において `sqrt(2)` 離れている。また、`x = -1` では AB に平行な直線の距離は 0 であるから 比例関係を考慮し、`x_0` における距離は `sqrt(2) / 2 (x_0 + 1) ` となる。

3. `x = x_0` における弧の長さ

`x = x_0` における円における円弧の長さを求める。弦を見込む角を 2 α とすると、 `x_0 = 0` においては、`2 alpha = 2/pi` である。下記の図を参考にして、

`cos alpha = ( (1 + x_0) sqrt(2) / 2 ) / (sqrt(1 - x_0^2))`

であることがわかる。よって、

`cos 2 alpha = 2 cos^2 alpha - 1 = (1 + x_0)^2 / (1 - x_0^2) - 1 = (1 + x_0)/(1 - x_0) - 1 = (2 x_0)/ (1 - x_0)`

4. 積分表現

結果として次の式となる。

`omega = int_0^(1/3) cos^-1 (2 x) / (1 - x) dx`

上記被積分関数の不定積分は求めるのは困難である。したがって、数値積分によって近似値を求める。

Pointer coordinates: (x,y)

まず第一次近似として、始点と終点と原点のみで三角形近似をすると次の値が得られる。

`omega ~= pi/2 * 1/3 * 1/2 = pi/12 `

次に、主な点をとって近似してみる。`x` における被積分関数の値を `I` とする。

x0 0.2 `(2sqrt(2)-1)`/7 1/3
I`pi`/2`pi`/3`pi`/4 0

ここで心が折れた。長らく準備中だったが、ここで中断する。

数式とグラフの表現

数式の表現には ASCIIMathML を使っている。

文献

リンク

  1. (ja.wikipedia.org)
  2. 球面過剰(www.irf.se)
  3. いろいろな立体の問題(sshmathgeom.private.coocan.jp)
  4. Enter math in emails, forums and Web pages using ASCIIMathML

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