今井 功:古典物理の数理

作成日:2004-12-21
最終更新日:

各所で提示している「標語」が面白い。たとえば22ページ、 「定義できることは定義せよ.定義できないことは“定義できない”と言明せよ.」 私の実力では、いたるところ“定義できない”と言明することになってしまうなあ。

私の冗談はともかく、 著者の主張は「力学現象は運動量保存の法則によって支配される」という物理モデルを採用することにある。 そして、力は運動量の変化として副次的な意義をもつとしている。 なるほど、と思う。

古典物理の数理

まじめな話を一つだけする。本書§2.12(a)自由な物体の熱伝導で、熱伝導の方程式が提示されている。 `rho` は密度、`C` は比熱、`T` は温度、`t` は時間、`k` は熱伝導率、`Q_s` は単位体積、単位時間あたりの発熱量である。

`rho C (DT)/(Dt) = "div" (k \ "grad" T) + Q_s`

同じく本書で、上記で物体が静止し、かつ k が一定の場合は次のようになるとしている。

`(del T) / (del t) = kappa Delta T + Q_s / (rho C), kappa = k / (rho C)`

ここから後は実際の話である。私は今まで目にしてきた式は、下の式の形のみだった。 ところが、社会人になって、実際の素材に対して適用しようとすると、 kは一定ではなく、温度の関数として変化する値であった。すると勢い、上の式の形で数値計算を進めるほかなかった。 基礎に立ち返る必要性をしみじみ感じた。

数式の記述

数式表現は ASCIIMathML を、数式表現はMathJax を用いている。

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MARUYAMA Satosi